https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496090698.html 【難多き今ぞ輝け実南天】より
( なんおおき いまぞかがやけ みなんてん )
昨日は、「万両」「千両」を取り上げたが、この時期、赤い実をつける代表的な植物として忘れてはならないのが「南天(なんてん)」である。
この植物、名前の「なんてん」が「難を転ずる」に通じるということで、家の玄関先や庭によく植えてある。
我が家の小庭にも、数年前に鳥か風がもたらした実から芽が出て、毎年沢山の実をつけている。
今年は、台風、豪雨などで近辺にも大きな被害をもたらしたが、幸いにも我が家に被害がなかったのは、多少とも難を転じてくれたからかもしれない。
本日の掲句は、そんな南天の実を見ながら、自然災害や政治経済などで難が多い今日、ぜひともその霊力を発揮してほしいと念願し詠んだ句である。
「実南天」は「南天の実」のことで冬の季語。(秋の季語とするところもある。)「南天の花」「花南天」は夏の季語。
因みに、「南天の実」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 実南天難多ければたわわなり
② シロップのごとき滴や実南天
③ 我が庭に飛来の南天赤極む
①は、どの家にも南天が植えてあるのを見て、「世の中には難が余程多いのだろう。実南天があんなにたわわに実っている。」と詠んだもの。
②は、南天の赤い実が雨に打たれ、透明なシロップをかけたようになっているのを見て詠んだ句。
③は、我が家の小庭に根付いた南天が、真っ赤な実を鈴なりに付けている様子を見て詠んだ句。
南天は、メギ科ナンテン属の常緑低木。原産地は中国など。初夏に白い花を咲かせ、晩秋から初冬に赤色の果実をつける。名前は、漢名の「南天燭」(赤い実を灯と見立てた)に由来している。
縁起が良い木だということで、江戸時代には一大南天ブームが起こり、実の色や葉の色などが違う品種が120種以上あったとのこと。
その後ブームが去り現在残っているのは40種ぐらい。今もよく知られているものに、白い実をつける「白実南天」、オレンジ色の「うるみ南天」、実がならず葉色が変わる「お多福南天」などがある。
「南天」「実南天」を詠んだ句は非常に多い。以前に何句か紹介したことがあるが、以下には、それ以外のものを掲載した。
【実南天等の参考句】
しぐれたるあとの日が射し実南天 (鷲谷七菜子)
南天の実に惨たりし日を憶ふ (澤木欣一)
掃き初めて白南天のあたりまで (古舘曹人)
実南天ひよどり杉の高さ翔び (和知喜八)
起きぬけの水の硬さや実南天 (織野健一)
https://yujyaku.blog.fc2.com/blog-entry-1958.html 【 難多く 南天赤く たわわなり】より
■ 難多く 南天赤く たわわなり
南天の実が真っ赤に色づいてきた。南天は、音が「難を転ずる」に通じることから縁起の良い木とされており、そのせいか、各家の庭や玄関前、沿道に必ずと言ってよいほど植えられている。今現在は、至る所その南天の赤色に覆われ、世の中はつくづく難が多いのだなと逆に思ってしまうほどである。上句は、そういう趣旨を踏まえて詠んだ句。
さて、南天の名前であるが、これはもともと漢名の「南天燭」(赤い実を灯と見立てた)に由来しており「難を転ずる」という意味はない。ところが洒落(しゃれ)で「南天」=「難転」となり、「難を転ずる」となった。ところによっては福寿草の花と南天の実をセットにして 「難を転じて福となす」という縁起物の飾り付けもある。また,料理の飾りに南天の葉をあしらったり、ナンテンの箸というのも食あたりを防ぎ、長寿を祈願するということで好まれているそうだ。名前の洒落(しゃれ)から、これほどまでに重宝にされるとは、南天もよもや思っていなかったと思うが、名前のお蔭でかなり得をしたのではないかと思う。まさに名前の大切さを感じさせる事象である。
https://static.tokyo-np.co.jp/tokyo-np/pages/feature/heiwanohaiku/201703/CK2017032502000069.html 【南天の実千人針を思い出す】より
木地(きじ)敏子(82) 福井県勝山市
<岸本葉子>千人針の結び目は赤い玉。身近な植物にも、記憶はいまだ鮮明に蘇(よみがえ)る。
<いとうせいこう>難を転ずる南天と、千人針。何にでもすがった日々の苦難を語る。
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