ミモザとネムノキ

https://sambuca.jp/mimosa-family/  【ミモザとネムノキ(マメ科のフサフサ花の仲間たち)】より

ミモザとネムノキは同じマメ科です。

マメ科は非常に大きな植物群で、同じ科といっても多種多様です。

この記事では、その中でもミモザやネムノキ、オジギソウ等、ふさふさの花を咲かせる植物(ネムノキ亜科)について書いてみたいと思います。

ミモザとネムノキ、ふさふさの花を咲かせるマメ科の近縁種

ミモザとネムノキは、分類としてはマメ科とされる事が多いですが、ネムノキ科もしくはマメ科のネムノキ亜科とされる場合もあります(APG植物分類体系)。

確かに、ダイズ(大豆)やハギ、フジなどの蝶形の花と、ミモザやネムノキのフサフサの花とでは、印象が随分と違います。

これら、ポンポンのような、フサフサの花のまとまりがネムノキ亜科と言えます。

ちなみにこのネムノキ亜科、英語ではMimosa family(Mimosaceae)です。

ミモザ?アカシア?(ネーミングの混乱)

ミモザはアカシア?

ミモザは「アカシア」と表記される場合もあります。

ネムノキ亜科が英語ではミモザ・ファミリー、というのはややこしいですが、それぞれの植物名についても複雑な状況があります。

まずミモザ。

正確にはミモザという植物名はありません(個人的にはミモザという呼び名で良いと思っています)。

一般的に、ミモザと言うとギンヨウアカシアとフサアカシアの事を指し、ややこしいのは「アカシア」とも呼ばれる事です。

アカシアという呼び方も、1000種類以上ある植物群(ネムノキ亜科アカシア属)を指す事になるので、大雑把な呼び方と言えます。

また、ニセアカシア(ハリエンジュ)という別の樹木もある事を考えると、アカシアという呼び方は混乱しそうです。

本来のミモザはオジギソウ

オジギソウの花

オジギソウ。学名はミモザ(Mimosa pudica)です。

こうした、ややこしいネーミングの始まりはヨーロッパです。

オーストラリア原産のフサアカシアがヨーロッパに渡り(19世紀)、オジギソウ(学名はミモザ)に似ている事から「ミモザ・アカシア」と名付けられた後、略してミモザと呼ばれるようになったという経緯があります。

オジギソウとネムノキ、「葉を閉じる」特徴を捉えたネーミング

ネムノキの花

ネムノキの葉は夜になると閉じます。

オジギソウはと言うと、オジギソウの学名「Mimosa pudica(ミモザ・プディカ)」のミモザは、古代ギリシャのミモス劇(mimos)が語源とされます。

ミモス劇とは、パントマイムの元になった身振り劇で、オジギソウ(ミモザ・プディカ)の「葉を閉じる」という特徴を、お辞儀をする、ヒトの真似をする、という風に見たネーミングなんですね。

そしてネムノキは「眠の木」の意味で、夜になると葉が閉じて眠るように見える事から付いた名前です。

それぞれ、特徴を捉えたネーミングであれば誰もが納得しやすい名前になるのでしょうね。

ミモザ・ファミリー(ネムノキ亜科)の旅

花瓶に挿したミモザ

花屋さんで買ってきたミモザを花瓶に。

ともあれ、21世紀の現代です。

様々な植物が世界中を行き来し、ネムノキ=眠の木というような名前の付け方は難しく、外国の言葉をそのままカタカナにする場合が多くなります。

覚えにくい植物名も多い中、ミモザという呼び名がここまで広まっているのは、ポンポン・フサフサの花の魅力はもちろん、言葉の響きの良さも功を奏したのかもしれません。

植物の、遠くへ旅をする為の戦略は様々ですが、ヒトの手や言葉を介したミモザの旅もまた、一つの形と言えるでしょう。

ミモザの日から想う初夏

ネムノキの豆果

ネムノキの豆果。マメ科だと実感する、冬の姿です。

北半球の3月は黄色い小さな花のミモザ・ファミリーの季節です(南半球は9月)。

初夏になれば、ピンク色の大きなミモザ・ファミリー、ネムノキの花が咲きます。

まだ肌寒く、ネムノキの枝に下がる実を眺めながら、夏の陽射しを想う3月8日です。


https://parfum-satori.hatenablog.com/entry/acacia_baileyana 【ミモザとアカシアとネムの木と 銀葉アカシア Acacia baileyana】より

ミモザとアカシアとネムの木と

ギンヨウ(銀葉)アカシア

春一番が吹いて、木が大きく揺れている。

毎年、ギンヨウ(銀葉)アカシアの黄色い花に気がつくのは、なぜかこんな風の強い日だ。

暖かさに油断して、薄着をしたとたんの風でちょっと肌寒い。

なぜそう覚えているかというと、写真を撮るのにいつも花が揺れ動いて、なかなかシャッターを押せないから。

この上下の写真のミモザはギンヨウアカシア(Acacia baileyana )、匂いがない。

香料を採るミモザではないが、でも、本当に可愛い花だ。

ミモザとアカシアとネムの木の関係はとてもややこしい。

今までも4-5回ほどこれについて書いたりしたが、自分でも誤解していることがあったので、

この機会にまた自分の整理のためにおさらいしてみたいと思う。

呼び方っていうのは、国や時代によって変わったりさまざまだから、学名で見分けるのが本当は正確だ。

ピンクの合歓の花

オジギソウ

本当のミモザはピンクのオジギソウのこと。あの、ちょんちょん突つくと葉を閉じる、とげのある草だ。

でも、フランスでは「ミモザの木」と言えば上の写真、ピンクのフワフワのネムの木(学名 Albizia julibrissin)をさす。色と大きさは違えども、花の構造は似てるっぽい。

匂いは最初青い果実のような香りでだんだんと甘く粉っぽくなってくる。

香料用ミモザは房アカシアという

ミモザの香料を採るのはフサアカシア(学名 Acacia dealbata)から。

花の香りは最初爽やかなグリーン感があり、ポワポワっと粉っぽくて甘い。

香料はパウダリー。スミレのようでもあり、ウッディで、豆のモソモソした詰まった感じもある。

わかるかな?でも香りを一度見たら、なるほどと思うだろう。

花は黄色、ギンヨウアカシアより背が高くなり、葉がフサフサとしてネムの木の葉に似ている。

上1枚と下の2枚がフサアカシア。オノマトペが多いけど...。

房アカシアの葉acacia dealbata.jpg

ほら、フサアカシアの葉はこんな風に、柔らかい羽のような葉をしている。

140319ミモザacacia dealbata2.jpg

アフリカのミモザ

また、アフリカ原産のミモザ(Acacia Karroo)はとげがとても大きい。

時期はずれであいにく花が咲いていなかったが黄色くていい香りがするという。(下2枚の写真)

これからも香料を採るのかな。

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