https://news.yahoo.co.jp/articles/44d53de2f84a183d06c0f4100f1b2634a650c293 【まるでSF!菌類による驚異の小宇宙を覗く“きのこ”ドキュメンタリー予告編】より
きのこ・菌類の秘めたる力に迫る
ナショナルジオグラフィックやディズニーネイチャーのドキュメンタリー作品を手掛け、タイムラプス映像のパイオニアと言われる映像作家ルイ・シュワルツバーグが、きのこ・菌類の秘めたる力に迫ったドキュメンタリー映画「素晴らしき、きのこの世界」の予告編が公開された。
土の中には地球を守るために菌類のネットワークが張り巡らされており、菌類によるその広大なネットワークは、物質を腐らせ分解し、菌類同士や他の生物と栄養素を共有、つながりを形成し、それを生きた土壌に変えてきた。“きのこ”は土の上にある部分にすぎず、その本体のほとんどは地下に広がる菌糸体。動物でも植物でもない不思議な生物なのだ。
きのこや菌類は、食物としてだけでなく、様々な生命の再生や維持、アルツハイマーやがんなどの治療、環境汚染の浄化にまで役立つことから、地球上の様々な問題への応用が期待されている。本作では、幻覚作用をもたらす一方で、人間の命を救うほどの力も持っていると言われる、きのこ・菌類の可能性を提示していく。
予告編は菌類学者のポール・スタメッツが登場する場面からスタート。そして、多種多様な姿をしたきのこたちが、にょきにょき伸びたり、ゆらゆら揺れたりする神秘的な姿が、タイムラプス映像で映し出される。そこに、無類のきのこ好きだというオスカー俳優、ブリー・ラーソンの「私たちの身近にあって、ミステリアスな存在」というナレーション、人気フードライターのユージニア・ボーンの「植物とも動物とも違う、中間的な存在」というコメントが続き、医療や治療、環境問題など菌類による知られざる解決策やきのこの偉大さを紹介している。
「素晴らしき、きのこの世界」は、9月24日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
https://kinoko-movie.com/ 【素晴らしき、きのこの世界】
https://gigazine.net/news/20210101-fungal-save-bees-environment/ 【キノコが人類を救うカギとなるとの主張】より
アメリカの菌類学者であるポール・スタメッツ氏は、ドラマ「ハンニバル」や「スタートレック:ディスカバリー」に同氏にちなんだキャラクターが登場するほど著名なキノコの研究者です。そんなスタメッツ氏が研究している「キノコで地球環境を救う方法」を、生物学者で作家のマーリン・シェルドレイク氏が科学雑誌のNautilusで解説しました。
The Fungal Evangelist Who Would Save the Bees - Issue 90: Something Green - Nautilus
http://nautil.us/issue/90/something-green/the-fungal-evangelist-who-would-save-the-bees
How Psilocybin Can Save the Environment - Issue 90: Something Green - Nautilus
http://nautil.us/issue/90/something-green/how-psilocybin-can-save-the-environment
シェルドレイク氏は、10代のころからスタメッツ氏と知り合いとのこと。当時は重度の吃音(きつおん)症に悩まされていたスタメッツ氏ですが、マジックマッシュルームを摂取することにより吃音症が治った経験から、菌類の研究にのめり込むようになったそうです。
by Dusty Yao-Stamets
ある日シェルドレイク氏が、「スタートレック」にちなんで「スターシップ・アガリコン」と名付けられたスタメッツ氏の研究施設を訪れると、スタメッツ氏はちょうどキノコを原料にしたミツバチ用の試薬を製造している最中でした。
作物の受粉を助けることで世界の農業の3分の1を支えているミツバチですが、近年は蜂群崩壊症候群により数が激減しており、その要因の1つはダニだといわれています。ダニはミツバチの体液を吸って健康状態を悪化させますが、特にミツバチヘギイタダニはさまざまな致命的なウイルス感染症を媒介するため、これがミツバチの激減を招いている可能性があるとのこと。
この問題にキノコの力を役立てようと研究に取り組んでいたスタメッツ氏は、「真菌抽出物は抗ウイルス特性を持っている」という点に着目し、砂糖水にツリガネタケと霊芝の抽出物を加えたエサを開発。実際にミツバチに与えてみたところ、ハチの羽が変形してしまうチヂレバネウイルスの感染率が79分の1になったほか、欧米のミツバチにまん延しているシナイ湖ウイルスの感染率は4万5000分の1に減少しました。
by Fungi Perfecti
ウイルスはミツバチが抱えている問題のうちの1つであるため、スタメッツ氏の研究が蜂群崩壊症候群を解決させるかは未知数ですが、スタメッツ氏らが開発したミツバチにキノコ由来のエサを与える給餌装置「Bee Mushroomed Feeder」には発表から数カ月間で数十万件もの注文が殺到し、一時は生産が追いつかない状態だったそうです。
キノコを使って生態系を支えているミツバチを助けるだけではなく、より直接的に地球環境の改善に役立たせるという研究も行われています。スタメッツ氏によると、ワシントン州メイソン群では、廃水に含まれている大腸菌・農薬・硝酸塩・リンといった水質汚染の原因物質をヒラタケに分解させるプロジェクトが進められているとのこと。
by Paul Comstock
このように、菌類を用いて汚染物質を除去する手法は、キノコを意味する「myco」と環境改善を意味する「remediation」から「Mycoremediation」と呼ばれています。またスタメッツ氏は、キノコが持つスポンジのように細かい菌糸体を利用して大腸菌や重金属をろ過する技術「Mycofiltration」の提唱者でもあります。
スタメッツ氏がキノコを活用できると考えているのは、環境分野だけにとどまりません。近年では、マジックマッシュルームに含まれるシロシビンには脳の回路を再起動させる働きがあるという研究結果など、医療分野での応用例も報告されています。シロシビンにも注目しているスタメッツ氏は、2017年に開催されたイベントでの講演で「シロシビンはアルツハイマー病などのさまざまな症状に効果があるため、将来的にはビタミンのように気軽に摂取できるようになるべきです」と発言しました。
2020年現在でも年2回ほどマジックマッシュルームでトリップしているというスタメッツ氏は、キノコの魅力について尋ねたNautilusのインタビューに対し「生物多様性の重要性を理解していない人が多いことには心が痛みますが、一度自然と一体になる経験をすれば深い知恵と感謝の気持ちが湧いてくるはずです」「シロシビンが私たちのヘルスケアに組み込まれれば、アルツハイマー病などで毎日何人ものアインシュタインが失われるのを防ぐことができるでしょう」とコメントしました。
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