https://mosete.exblog.jp/6955801/ 【妙(たえ)なるきのこ染め】より
今日は三河きのこの会の総会。創立直後からのメンバーの割には出席率がいまいちの不良会員だが、たまには勉強もしないと全く進歩がないので珍しく出席してみた。
出席の目的はもうひとつあって、通常の議事終了後にヒイロタケ(緋色茸)を使った染色があったからだ。
きのこ染め自体は草木染めの延長線にあるので、自然教室やきのこの勉強会など色々なところで経験できる。ただ、本格的にやろうとすると様々な媒染剤(鉄、銅、アルミetc)などが必要なので、そこまで個人で用意するのはちょっと面倒臭い。今回のヒイロタケでは明礬(ミョウバン)が使用された。
ヒイロタケはどこにでもあるサルノコシカケ科の赤いきのこだが、こうやって煮出してみると色合いがなかなか魅力的。赤茶色の煮汁の中にミョウバンを加え、試しにハンカチや毛糸を入れて10分くらい煮ればできあがりだ。
この他に今日は美しい青色に染まるロクショウグサレキン(緑青腐菌)まで準備していただいたが、時間の関係でそこまで居られなかった。
話によるとヨーロッパではコツブタケもよく使うようだ。踏みつけるとコールタールのようなグレバがブチュッと出てくる、お世辞にもかわいいとは言えないきのこだが、染色に関してはこのヒイロタケより黄色味が強く出て面白いらしい。
季節が良くなったら、このコツブタケで染色にチャレンジしてきのこ染めTシャツを作っちゃうのも一興。どなたか、一緒に作ってオソロで着てみますか??
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000243649 【木材を青色に染める作用をもつキノコのことが知りたい。青色に着色した木材は工芸品などに珍重されていると聞いた。】より
回答(Answer)
(1)NDC分類「650」,「474」の資料で菌類による木材の着色を調査。以下の記述によると、ロクショウグサレキン、ロクショウグサレキンモドキに着色作用があり、ロクショウグサレキンモドキによる着色木材は工芸品に利用されている。
【資料1】『森林大百科事典』(朝倉書店 2009)
p318~319「11.2.4 きのこの食用以外の利用」
・・・(前略)・・・酵素以外の利用としては、ロクショウグサレキンの青緑色の色素が羊毛や絹の染色材料として利用されている。野生の子実体の生産量が乏しいため、福岡県森林林業技術センターは濃色で成長速度の速い系統による異物の混在しない培養系を開発し、絹スカーフ染色の実用化に成功している。
【資料2】『現代菌類学大鑑』(共立出版 2016)
p348~351「13.5 住居の構造木材の腐朽」
・・・(前略)・・・すべての材質劣化が、木材の分解に終わるわけではない。木材を変色させる菌類[辺材変色菌類(sap-stain fungi)]が存在する。木材の強度は低下しないが、変色[一般にスポルティング(spalting,不規則な黒っぽい線ができる)とよばれる]によって、木材はほとんどの目的にはふさわしくないものになってしまう。・・・(中略)・・・実際にある種の変色は、特別のキャビネットケースに飾られた工芸品のために需要が多い。ロクショウグサレキンモドキ(Chlorociboria aeruginascens)は、オークや他の落葉性樹種で、特徴的で鮮やかな青緑色の色素を産生する。このように着色した木材は、タンブリッジ・ウェア(Tunbridge ware)とよばれる工芸品の置物(通常寄木細工であるが)に使用されてきた。英国には、20世紀初頭に発効した、ロクショウグサレキンモドキを人工的に樹木に感染させて、着色木材を作成することを含む特許さえ存在する。
(2)きのこの図鑑を調査。以下に「ロクショウグサレキン」「ロクショウグサレキンモドキ」の記載あり。
【資料3】『世界きのこ大図鑑』(東洋書林 2012)
p557「ロクショウグサレキンモドキ CHLOROCIBORIA AERUGINASCENS GREEN ELFCUP(緑の妖精のカップ)」
ロクショウグサレキンモドキは、よく発生し分布が広く、非凡なきのこだ。非凡というのは、子実体が濃い青緑色をしているためというよりも、むしろそれと同じ色に材を染める能力をもつためである。・・・(中略)・・・オークはロクショウグサレキンモドキがとくに好む基材で、イギリスではかつてこうして染まった「グリーンオーク」の木片を集めてタンブリッジウェアに使っていた。タンブリッジウェアとは、多彩な色の木片を使う、人気の高い寄せ木細工だ。それ以前にもイタリアで同じ目的に用いられ、ルネサンス期の寄せ木細工の羽目板となっていた。
★類似種 ロクショウグサレキン(Chlorociboria aeruginosa)は、本種と同じくよく発生し、同じように材を染め、両種は顕微鏡でないと見分けられない。・・・(後略)・・・
【資料4】『世界きのこ図鑑 ネイチャー・ハンドブック』(新樹社 2005)
p269「ロクショウグサレキンモドキ」 科名:ズキンダケ科,種名:Chilorociboria aeruginascens
このきのこは基質の材内を青緑色に着色する。・・・(中略)・・・着色した材は“グリーン・オーク”として知られ、しばしば木工品に使用される。
●類似種 いくつかの類縁種もまだ緑色の着色を生じ、とくにロクショウグサレキンは顕著。
【資料5】『日本のきのこ 山溪カラー名鑑』(山と溪谷社 2011)
p551「ロクショウグサレキン C.aeruginosa」「ロクショウグサレキンモドキ C.aeruginascens」
【資料6】『きのこ 新装版山溪フィールドブックス 7』(山と溪谷社 2006)
p301「ロクショウグサレキン」「ロクショウグサレキンモドキ」「ヒメロクショウグサレキン(仮称)」
回答プロセス
(Answering process)
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
藻類.菌類 (474 8版)
林業 (650 8版)
参考資料
(Reference materials)
【資料1】森林総合研究所 編 , 森林総合研究所. 森林大百科事典. 朝倉書店, 2009.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010543391-00 , ISBN 9784254470468 (p318~319 当館請求記号 R650.3/シ09 ※貸出禁止資料)
【資料2】David Moore, Geoffrey D.Robson, Anthony P.J.Trinci 著 , 堀越孝雄, 清水公徳, 白坂憲章, 鈴木彰, 田中千尋, 服部力, 山中高史 訳 , Moore, David, 1942- , Robson, Geoffrey D , Trinci, A. P. J , 堀越, 孝雄, 1943- , 清水, 公徳 , 白坂, 憲章. 現代菌類学大鑑. 共立出版, 2016.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027104680-00 , ISBN 9784320057210 (p348~351 当館請求記号 R474.7/ゲ16 ※貸出禁止資料)
【資料3】ピーター・ロバーツ/著 , シェリー・エヴァンズ/著 , 斉藤 隆央/訳 , Roberts‖Peter , Evans‖Shelley , 斉藤‖隆央. 世界きのこ大図鑑 : 原色・原寸. 東洋書林, 2012.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I044462294-00 , ISBN 9784887217997 (p557 当館請求記号 R474.8/ロ12 ※貸出禁止資料)
【資料4】トマス・レソェ 著 , 前川二太郎 監修 , Laessøe, Thomas , 前川, 二太郎. 世界きのこ図鑑. 新樹社, 2005. (ネイチャー・ハンドブック)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007980021-00 , ISBN 4787585401 (p269 当館請求記号 474.8/レ05)
【資料5】今関六也, 大谷吉雄, 本郷次雄 編・解説 , 今関, 六也, 1904-1991 , 大谷, 吉雄, 1919-1997 , 本郷, 次雄, 1923-2007 , 保坂, 健太郎, 1976- , 細矢, 剛 , 長沢, 栄史, 1948-. 日本のきのこ 増補改訂新版 / 保坂健太郎, 細矢剛, 長澤栄史 監修. 山と渓谷社, 2011. (山渓カラー名鑑)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023214567-00 , ISBN 9784635090445 (p551 当館請求記号 474.8/ニ11)
【資料6】本郷次雄, 上田俊穂 監修・解説 , 伊沢正名 写真 , 本郷, 次雄, 1923-2007 , 上田, 俊穂, 1941- , 伊沢, 正名, 1950-. きのこ. 山と溪谷社, 2006. (山溪フィールドブックス : 新装版 ; 7)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008595616-00 , ISBN 4635060640 (p301 当館請求記号 474.8/キ06)
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