https://ameblo.jp/seijihys/entry-12498748991.html 【昼顔 石田波郷】より
昼顔のほとりによべの渚あり 石田波郷 (ひるがおの ほとりに よべの なぎさあり)
波郷、新人時代の名句。
愛媛松山在住時代、これら一連の句で、若くして「馬酔木」誌の巻頭を飾り、水原秋桜子に認められ上京した。
上京のエピソードに関してはいろいろな裏舞台があるのだが、長くなるので今回は書かない。こういう句を読むとつくづく俳句は味わうものだと思う。
この場合、「昼顔」が何を意味するかとか、「海」が何を意味するかとか、そういう文学的(?)なことを考えると、たちまちこの句の風趣が色褪せてしまう。
心で呟けば、夜に入る頃の、少し離れたところから静かな波音が聞こえてくるようではないか。
その波音のする夜の闇の中に開く昼顔の淡い色彩が美しい。
「馬酔木」の叙情がいかんなく発揮されている。
https://hukosanbo.exblog.jp/5650787/ 【ひるがほのほとりによべの渚あり 石田波郷】より
波郷のこの句は有名な割りに特に取り上げられていない。採録されていても何の解説もないものが多い。この句のキーワードは「よべ」だと思う。昨夜という意味だが、さて、「よべの渚」とはどんなイメージなのだろう。蕪村の句に「凧(いかのぼり)きのふの空のありどころ」がある。この昨日の空と石田波郷の句の「よべ(昨夜)の渚」とは深いところで通底していると私は感じる。
風もなく爽やかな朝。波だけがまさに余波のうねりを残している。サファーにはご機嫌の波なのであろう。黒い鍔広の帽子を被った、サファーがいる。筋肉質の均斉のとれた男で、逞しい。なかなか洒落ている。ゴム製なのか。水に潜っても平気なようだ。ちょっと意表をつかれたスタイル。
http://www.izbooks.co.jp/hakyou001.html 【石田波郷の100句を読む】より
石田郷子 昼顔のほとりによべの渚あり 波郷
石田波郷は、大正二年三月、愛媛県温泉郡垣生村、現・松山市西垣生の農家に生まれた。本名は哲大(てつお)。俳句を作り始めたのは中学四年生・十五歳の時で、同級生に勧められたのがきっかけだった。余談だが、この同級生は、のちの俳優・大友柳太朗である。
哲大はすぐに俳句に夢中になり、学生同士で「木耳会」というのを結成してせっせと句作に励み、渋柿派の俳人・村上霽月主宰「今出吟社」の句会にも出入りするようになった。そこで知り合った人に、最初の師である五十﨑古郷を紹介されたのである。古郷は、「ホトトギス」に投句し、水原秋桜子に師事した俳人。哲大はこの頃から「波郷」と号したようである。
古郷は、中学を卒業して農業を手伝うことになった波郷青年に、主観を押さえ写生を心がけるように促した。
波郷は当時をこう振り返っている。〈花に止つた蝶の合せた羽が風が吹くと傾くのを何句にも写し取つた。夕方の空に必ず乙鳥が群がる個所があることを発見して句にした。木の枝の雨蛙が、けけけけと鳴出すときこきざみに身体をのりだすのを句にした〉「古郷忌」より
おそらく夥しい数の句稿を波郷は見せていただろう。
しかし、古郷の子息・五十﨑朗さん宅で見せていただいた波郷の句稿に、師匠の古郷は、ほんの数句しか○をつけていない。
さて、この昼顔の句は、波郷が十八歳の時、秋桜子主宰の「馬酔木」に入選した二句のうちの一句である。『波郷句自解―無用のことながら』(梁塵文庫)に自解があるので、そのまま引用する。
〈何かやけに頭がもやもやして海へとび出した。よく晴れた夏の朝だつた。海の色と、島の色と、空の色と、だから水平線の雲の峰は実にあざやかだつた。影法師なんかこもつてゐない奴だつた。こいつをみたらもうすつかり朗らかになつて渚の逍遙をほしいまゝにした。凪のうしほはきよらかに、走せては消え、走せては消えする諸波はこれをふちどつて白い。照りつゞく砂浜のスロープ、そしてあさぎにかゞやく浜草帯の端にはあくまでも静かに明るい浜昼顔が咲きつゞいてゐる。このすべてかゞやかしいコントラスト(の美)の中に、ひるがほのほとりに白くかはいた淡い藻屑の一線がつゞいてゐるのはよべの渚ではないか。こいつが句にせずと居られるかと力んでの作だつたのですが。〉
潮の引いた痕のくっきりと見られる朝の渚を歩きながら、夜のうちに営まれた生命の営みに思いを馳せた。瑞々しい句である。叙情の句であり、「よべの渚あり」の断定は主観でもあるのだが、けっして感傷ではない。
ここには、日々写生に明け暮れていた作者の観察力が、やはり生かされているのだと思う。
https://botanicalartsalon.com/?QBlog-20140707-1 【今日の歳時花~昼顔】より
昼顔のほとりによべの渚あり 石田 波郷
ヒルガオ(昼顔、学名Calystegia japonica、シノニムCalystegia pubescens他)は、ヒルガオ科の植物です。アサガオ同様朝開花するが昼になっても花がしぼまないことからこの名があります。つる性の多年草で、春から蔓が伸び始め、夏にかけて、野原や道ばたなどに繁茂する野草です。夏に薄いピンク色で直径5~6cmの花を咲かせ、花の形は漏斗形でその形が昔、戦の時に使う鼓状の楽器に似ていることから、「鼓子花=こしか」「旋花=ひるがお」とも呼ばれます。アサガオと違って鑑賞用に栽培されることは、殆どありません。また、結実することはまれですが、地下茎で増え、一度増えると駆除が難しいため、大半は雑草として扱わます。しかし、その可憐な美しさは、花影に容姿端麗な女性の面影を思う花として、万葉集に詠まれた「かおばな」は昼顔だと言われています。淡い花色に優しい美しさを感じる季語の花です。
参考資料:新歳時記 平井照敏編
美しい季語の花 金子兜太監修
wikipedia~ヒルガオ
石田 波郷(いしだ はきょう、1913年(大正2年)3月18日 - 1969年(昭和44年)11月21日)は、昭和期の俳人。本名哲大(てつお)。正岡子規、高浜虚子を生んだ近代俳句発祥の地、愛媛県温泉郡垣生村(はぶむら)(現・松山市西垣生)に生まれた。明治大学文芸科中退。戦後の俳壇を先導し、俳句文学に大きな功績を残した。
出典:wikipedia~石田 波郷
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