https://www2.u-gakugei.ac.jp/~planttgu/045.htm 【■ツユクサ】より
●古来から日本人に親しまれてきた植物で、万葉集には「つきくさ(月草、鴨頭草)」の名で9首 にも詠まれています。ツユクサの花の汁で衣を青く染めても、水ですぐに色落ちすることから 恋心の移ろいやすさを表すものとして詠まれたほか、朝咲いて午後にはしぼむ花の短さが 恋心になぞらえて詠まれています。
「百(もも)に千(ち)に 人は言ふとも 月草の 移ろふ情 われ持ためやも」
「朝(あした)咲き 夕(ゆふへ)は消(け)ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我れはするかも」
●ツユクサの青い花をよく見ると、中に黄色の花?があることがわかります。これは実は雄しべの一部なのです。雄しべは全部で6本あり、2本は長く普通の雄しべなのですが、残りの4本は短く、先端が目立った黄色をしています。
黄色のうち奥にある3本はπ(パイ)形をしていますが、手前にある1本は人という字の形をとります。
●ツユクサでは青色の2枚の花びら(花弁)が目立つため、花弁は2枚だと思われがちですが、よく見ると雄しべの下に、もう1枚小さい白色の花弁があります。ツユクサは3枚花弁の植物なのです。
●花の下部は緑色の半円形をした鞘のような葉で挟まれています。これは苞(ほう)といって、その中に複数のつぼみを抱き保護しています。苞を取り除くと、これから咲く花のつぼみを1~3個見ることができます。
●地図に示した場所の他にも、学内のあちらこちらで見られますが、樹木の下など時々日陰になる場所に多く見られます。
https://www.543life.com/content/nipponcolor/post20200821.html 【かさねの色目 月草つきくさ】より
露草のブルーが好きだという方、かなり多いのではないでしょうか。
冴え冴えとした青。のぞきこめばこむほど深く、吸い込まれそうな澄んだ青。これぞ、縹色(はなだいろ)です。
縹色は藍染めの過程として出てくる色として知られていますが、元々はこの露草の色を表した色で、単純に「花色」といったり、「月草色」「露草色」「千草色」などさまざまな名がつけられ、長い年月、日本人に愛されてきたザ・ブルーです。
堅牢な藍になる前に一瞬、顕れる、もっとも華やいだ明るい青。
かさねの色目「月草」は表が縹(はなだ)、裏が薄縹(うすはなだ)で、着用時期は秋になっています。実際は6月頃から咲き始めているのですが、季語としての露草も、やはり初秋のものとされています。
季語というのは面白いもので、いつ見たものがもっとも心を動かされたか、という先人の人々の記憶の集積によって、こまやかに分けられているようにおもいます。後世の人々も、ああ、なるほどそうだ、と思うことで受け継がれていくもので、誰も気づく人がいなければ、いずれその季語は消えてしまうでしょう。
季語は決して規則ではなく、感性の共感です。やはり露草は秋の初め、朝露がたっぷり降りる頃にみるのがもっとも味わい深く、心に響く、、、かどうかはどうぞ実際にみて、確かめてみてください。
実際、私の田んぼでも9月に入ってからの方が露草は俄然、数が多くなり、畦は朝露にたっぷりと濡れる赤まんま(犬蓼)や露草のブルーで埋め尽くされ、その色合いが私にとってはおなじみの初秋の風景になっています。
朝咲き夕は消ぬる月草の 消ぬべき恋も我はするかも 万葉集
露草は、かつて月草(つきくさ)と呼ばれていました。万葉集には月草の名で多く登場します。昔はこの花の汁で布や紙を染めたので「着き草」や、臼で搗く「搗き草」が転じたとされています。友禅染めの下絵に使われている青花(あおばな)は、この露草の栽培品種です。
月草というと、まるで前夜の月のしずくを宿したかのようにも感じられ、なんとも素敵な名前です。露草の葉に宿るつゆは大気の結露ではなく、自らの水孔から排出した水であることが多いのですが、露を宿す草花の中でも、ことさら愛されてきたということでしょう。
早朝に咲いて昼過ぎにはしぼんでいく一日花であることと、儚く消えてゆく朝露のイメージなどが重なって、月草は次第に露草と呼ばれるようになったようです。
露草は虫が活発に動く朝に咲いて、昼過ぎには閉じてしまうのですが、それは自家受粉をするためでもあります。
昼を過ぎると、下に長く伸びた雄しべと雌しべをくるくると巻くように閉じていき、しぼんだ花の中で自ら受粉するという巧みなしくみです。なにしろ花が咲くのは一日だけ、しかも午前中だけですから、必ずしも虫がやってこなくても大丈夫なように進化したようです。くちゅくちゅとしぼんだ花は群青色になっています。
月草の明るく輝くようなブルー。朝露とともに閉じていく一日花の、その日限りのブルー。これからの季節、ぜひのぞいてみてください。
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