https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E7%94%B0%E6%BA%80%E5%BE%B3 【永田満徳】より
永田 満徳(ながた みつのり、1954年 - )は、日本の俳人。
略歴
熊本県人吉市に生まれる。熊本県出身。熊本大学教授の首藤基澄に誘われて、1987年、「未来図」入会、中村草田男門下の鍵和田秞子主宰に師事。1987年、「火神」創刊・同人、首藤基澄主宰に師事。のちに編集長を経て、三代目主宰に就任、結社誌「火神」は写生を基本とし、自然・人生・社会の実相にアプローチする俳句を目指し、熊本という地方から日本の文化活動の発展に寄与するという視点で発行されている。1995年、「未来図」新人賞、翌年同人。2003年、俳人協会俳人協会熊本県支部事務局次長( - 2010)、県支部長として、俳人協会熊本県俳句大会の運営に尽力し、結社間の交流吟行句会をするなど、支部活動の活性化に努めてきた。2005年、熊本県文化懇話会に推挙され、文学部門会員となる。2009年、日本現代詩歌学館振興会評議員。熊本在住ながら、「俳句大学」という全国的な俳句組織の代表であり、国際俳句の世界にも活動を広げている。[要出典] 2015年、俳人協会熊本支部事務局長( - 2018)。俳句大学設立、学長となる[1]。
2017年、俳人協会幹事。2018年、日本俳句協会副会長(2023年に社団法人)[2]。2019年、俳人協会熊本県支部長。「未来図賞」受賞。「未来図」終刊、「秋麗」入会、同年同人。
2021年、第二句集『肥後の城』上梓。2023年、『肥後の城』にて第15回文學の森大賞受賞[3]。
著作 著書
『寒祭』(文學の森)
『肥後の城』(文學の森)
共著
『漱石熊本百句』(創風社出版)
『新くまもと歳時記』(熊本日日新聞社・熊日文化出版賞受賞)
『徳永直文学選集Ⅰ Ⅱ』(熊本日日新聞社・熊日文化出版賞受賞)
Facebook永田 満徳さん投稿記事
☆ 第6回 俳句大学三賞発表 ☆
【第6回 俳句大学大賞】
津髙里永子『寸法直し』(東京四季出版)令和4年2月
【永田満徳】選評
『寸法直し』は十五年間の句業が集約された四百五十六句の句集。「未来図」を経て「小熊座」の同人、さらに「すめらき」「墨BОKU」の代表。
一口で括れない句柄の豊かさを堪能できる。
建国日富士には煙突が似合ふ
この冒頭の句は太宰治の「富士には月見草がよく似合う」を踏まえていて、本歌取りをなぞっただけの句に堕するきらいがあるが、「煙突」が秀逸である。発想の原点は写生であっても、そこから「建国日」という季語に飛躍するところが独自である。
たんぽぽの絮よわが夢何だつけ
「たんぽぽの絮」の浮遊感に「夢」のはかなさを持ってくる辺りはこの作者ならでは発想である。
おほごとになればなつたで髪洗ふ
「髪洗ふ」をうまく使い、肝の座ったところを詠み、「たんぽぽの絮」の句と同様に、口語表記のおかしみがある。
まあまあの男にバレンタインデーチョコ
恋の句にありがちな甘さがない。
ぶんらんこの重たさに恋手離すか
「重たさ」は「ぶんらんこ」と「恋」の両方に掛かっていて、取合わせの妙味を味合わせてくれる。
海外詠にも視点の確かさ、面白さを堪能させてくれる。
ブータンの人みな正月らしき顔
シベリア鉄道寝返り打てば壁
「正月らしき」にしても仏教の国「ブータン」が立ち上がってくるし、「壁」にしても自然の厳しい「シベリア」が的確に描かれている。
作風の幅の広さがこの句集の魅力であるだけに、津高理永子氏は次の句集を読んでみたいと思わせる俳人の一人である。
「第6回 俳句大学大賞準賞」
松野苑子『遠き船』
(角川書店刊)令和4年4月
【仲寒蟬】選評
第62回角川俳句賞を受賞した作者の第3句集。
あとがきには母の死や闘病など辛いことの多い時期だったとあるが、俳句の読後感が明るいのは作者の性格ゆえであろう。
春の日や歩きて遠き船を抜く
句集の題になった句。印象鮮明である。
緑さすコップの中の水平線
火の上に自爆の形して栄螺
夏帽子駝鳥に求愛ポーズされ
いつも自然体で好奇心旺盛な松野さんらしい。
死後も効く薬なら飲む天の川
病窓の春満月の神話めく
人を楽しく前向きにさせてくれる句集である。
「第6回 俳句大学大賞準賞」
黛まどか『北落師門』
(文學の森)令和4年7月
【五島高資】選評
黛まどかの句集『北落師門』(文學の森)は、前句集『てっぺんの星』から、十年を経ての句集であり、その間、日本は度重なる自然災害、新型コロナウイルスによるパンデミックなどに苦しめられた。
また、作者自身も大切な知己の死や、とりわけ俳人である父・黛執の死に遭遇したことが、生死を超克する、更なる句境の深まりをもたらしたのではないだろうか。
句集名の北落師門は、南の魚座の首星をいうが、俳句はもちろん、多くの芸術活動に携わるなかで、その孤高な光が彼女の心を支え続けた。父の一周忌後の墓参の際にその星をたまたま望むことが出来たのも偶然ではないだろう。
青空のどこかが弛み梅香る
竹煮草いづくで憑きしひだる神
面より底ひの水の真澄かな
月光の浮かせてゐたる力石
滴れる山を重ねて高野山
ためらはず沈む夕日も秋水忌
などに覗われる句境の深まりは、同時に、見えない聖性に裏打ちされた詩的至境として私たちに大きな感銘を与えてくれる。そして、それらは、かつて作者が茂木健一郎と著した『言葉で世界を変えよう』(東京書籍)の体現として、言霊による現代俳句の新しい未来をも示している。
【選考資料】
「第6回俳句大学大賞候補」
【岡田耕治】
津髙里永子『寸法直し』(東京四季出版)令和4年2月
小田島 渚『羽化の街』(現代俳句協会)令和4年10月
恩田侑布子『はだかむし』(角川書店)令和4年11月
【木暮陶句郎】
堀本裕樹『一粟』(駿河台出版社)令和4年5月
小川軽舟『無辺』(ふらんす堂)令和4年10月
星野高士『混沌』(深夜叢書社)令和4年8月
【五島高資】
津高里永子『寸法直し』(東京四季出版)令和4年2月
黛まどか『北落師門』(文學の森)令和4年7月
小山玄紀『ぼうぶら』(ふらんす堂)令和4年11月
【斎藤信義】
布施伊夜子『あやかり福』(角川書店刊)令和4年12月
松野苑子『遠き船』(角川書店刊)令和4年4月
黛まどか『北落師門』(文學の森)令和4年7月
【仲寒蟬】
岩田 圭『膚』ふらんす堂)令和4年12月
杉原祐之『十一月の橋』(ふらんす堂)令和4年4月
松野苑子『遠き船』(角川書店刊)令和4年4月
【永田満徳】
津髙里永子『寸法直し』(東京四季出版)令和4年2月
和田華凜『『月華』』(ふらんす堂)令和4年3月
柴田奈美『イニシャル』(本阿弥書店)令和4年8月
※岡田耕治氏の『使命』(現代俳句協会・令和4年2月)は複数の選考員が推挙するも、岡田耕治氏が選考委員ということで、選考の対象外とした。
選考委員 : 岡田耕治 (大阪教育大学特任教授・「香天」代表) 、木暮陶句郎 (「ひろそ火」主宰) 、五島高資 (俳句大学副学長) 、斎藤信義 (「俳句寺子屋」主宰) 、仲寒蟬(「牧」代表)、永田満徳 (俳句大学学長)
【第6回 俳句大学新人賞】
選考中
選考委員 : 大高翔 (「藍花」副主宰) 、五島高資、仙田洋子(「天為」同人)、辻村麻乃 (「篠」主宰) 、永田満徳、松野苑子(「街」同人会長)
【第6回 俳句大学評論賞】
該当者なし
選考委員 : 井上泰至 (防衛大学校教授) 、加藤直克(自治医科大学名誉教授)、五島高資、永田満徳
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