珊瑚樹(さんごじゅ)

http://hananonagori.blog.jp/archives/11000124.html 【珊瑚樹(さんごじゅ)】より

珊瑚樹 (さんごじゅ)

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ガマズミ科ガマズミ属 常緑高木

学名:Viburnum odoratissimum Ker Gawl. var. awabuki

英名:sweet viburnum  別名:泡吹(あわぶき) 原産:日本、台湾

撮影場所:奈良県大和高田市

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初夏に咲いた白い花の後、夏に赤い実が房状に生って、木全体が朱赤に見えるほどの珊瑚樹です。和名の由来は、その実がまるで珊瑚のようだから。

ガマズミに似た花は集散花序にたくさん咲きますが、夏に房状に実が生るとそれが重いのか、根元から垂れ下がっていきます。

初夏に「クロガネモチかな」と思ってよく見ずに通り過ぎ、夏になって「あら、サンゴジュだった」と思うこともしばしば…今度はちゃんと花の時期にも見ておかなくちゃ、です。

さて、この珊瑚樹ですが、葉や材には水分が多く、「火伏せの木」としての性質を持っているそうです。

枝や葉に火を付けると泡を吹いて火に対抗するため、別名は「泡吹き」。その性質を利用して、防火樹として生垣に利用されています。

同じ目的か、あるいは単に観賞用なのかもしれませんが、公園や公共施設、神社などの植栽で、割とよく見かける木だと思います。

同じ「火伏せの木」として利用されるのは、イチョウ、モチノキ、ツバキ、サザンカ、カシ、ナラなど。

ほかには、防音、防砂の目的や、排気ガスに強いので街路樹として、また、葉は草木染めの材料にもなるとのこと。

庭木や生垣、林縁などに意識的に植えられ、さまざまに利用されている、日本人の暮らしに身近で頼りがいのある木だったのですね。

「火伏せの木」についての余談ですが、あの有名な「本能寺の変」の舞台、京都、本能寺には、京都市指定保存樹となっている「火伏せのイチョウ」があります。

このイチョウは、本能寺が四条西洞院にあった頃から存在していて、本能寺の変の後に、現在の本能寺に移植されたと伝わるものです。


https://www.uekipedia.jp/%E5%B8%B8%E7%B7%91%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9-%E3%82%B5%E8%A1%8C/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%A5/ 【サンゴジュ/さんごじゅ/珊瑚樹】より

さんごじゅ,Sweet viburnum,fruits

名前の由来となるサンゴジュの果実

【サンゴジュとは】

・関東地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するレンプクソウ科の常緑広葉樹。自生は沿海地域の砂地に多く、丈夫な性質を持つため各地で庭木としても盛んに使われる。

・特に昭和期に造成された都市部の公園、集合住宅、公共施設の垣根などに多く、近年は新たに植栽される例は減っている。

さんごじゅ,はるこがねばな,ふゆめ

冬芽はやや大きめ

サンゴジュの新芽,さんごじゅ,画像

新芽の様子

leaf of sweet viburnum

サンゴジュの葉はピカピカして綺麗だが、虫食いが多い

さんごじゅ,葉

葉の裏面は黄緑色

・サンゴジュの葉は長さ6~18センチの長楕円形で、枝から互い違いに生じる。縁にギザギザはなく、表面は光沢があってビニールのようにピカピカしている。

・葉は質厚で水分が多く、枝を燃やすと泡のようなものが噴出する。このため火災の延焼を防ぐ効果を期待して、防火用に植栽されることも。似たような葉の木は多いがサンゴジュの葉は大きめで、葉柄を折って引き抜くと白い綿のような糸が出てくる。

珊瑚樹,さんごじゅ,垣根,画像

サンゴジュの生垣(皇居 東御苑)

いけがき,画像

民家に用いた例

・垣根として使う庭木の中では背丈が高い部類であり、高さ3~4mの垣根を作るのに適している。排気ガスや日陰にも強いため、幹線道路沿いや日陰地の植栽にも使われる。

Sweet viburnum

できはじめの蕾

蕾,ツボミ

初夏の開花に向けて少しずつ大きくなり

flower of Sweet viburnum

少しずつ白くなっていく

Sweet viburnum

開花期の様子

サンゴジュの開花時期,さんごじゅ

花を近くで見ると長い雄しべがよく目立つ

・サンゴジュの開花は6月頃。枝先に伸びた長さ5~15センチの花序に、盃型をした直径5~7ミリの小花が集まって咲く。

・花はネズミモチやトウネズミモチに似た色形だが、それらと同様、都市部では頻繁に刈り込まれるため、花を見る機会が意外に少ない。

Sweet viburnum,fruits

色付き始めた果実

サンゴじゅ,実

サンゴジュの果実

サンゴジュの実,画像

果期の様子

珊瑚樹,果実

熟すと全体が黒くなる 

sanngojyu

干乾び始めた実の様子

・花の後には果実ができ、8~10月にかけて赤黒く熟す。これを海のサンゴに見立てたのがサンゴジュという名前の由来。

・楕円球の果実自体はサンゴらしくないが、他の木にないような真っ赤な果軸は多少サンゴっぽい。

・果実は花と同じように多数が円錐状に集まってぶら下がる。完熟すると黒くなり、ムクドリ、ヒヨドリ、メジロ、エナガなどの野鳥に食べられる。

サンゴジュの赤い実,さんごじゅ,画像

果実がなる盛夏には木全体が赤く見えることも

・幹は直立するが株元からヒコバエがでやすく、何度も剪定されたような木では複数の幹が株立ち状になる。樹皮は黒褐色~灰褐色で粗く、樹齢を重ねると皮目と呼ばれる点々がまばらに生じる。

stem of Sweet viburnum

サンゴジュは株立ちになることが多い

【サンゴジュの育て方のポイント】

・萌芽力があり、刈り込みによく耐える。また、下枝が枯れることも少ないため、ボリュームのある垣根を作ることができる。

・葉虫(サンゴジュハムシ、ハマキムシ、チャミノガなどのミノムシ)の被害が多い。特に日陰や風通しの悪い場所はハマキムシの被害を受けやすい。春先の剪定と消毒が必須。また、ミノムシは枝葉に絡みついている蓑を見付けて除去したい。

・日向を好むが、日陰にも強い。(ただし、日陰では枝が間延びしやすい)

・自生は海岸近くの沢沿いに多い。このため潮風に強く、海岸の防風垣や大気汚染の激しい場所にも使用できる。

・砂地でも育つが肥沃な土地を好み、栄養分は欠かせない。

・サンゴのような果実は熟しきると黒紫色になって周辺に落下し、掃除がやや面倒となる。

【サンゴジュの品種】

・アジサイバノサンゴジュ

「紫陽花の葉」のように葉の縁がギザギザになる珍品。


https://kigosai.sub.jp/001/archives/14330 【珊瑚樹の花(さんごじゅのはな) 晩夏】より

sanngojunohana

【解説】

珊瑚樹はスイカズラ科ガマズミ属の常緑低木ないしは高木。暖地の沿岸部に自生するほか、庭木や生垣としても植えられる。高さは五メートルくらいが普通で、高いものは十五メートルにもなる。 六月ごろ、枝先に円錐花序を出し白い小花たくさんつける。実は秋に赤く熟し、しだいに藍黒色に変わる。美しい実を珊瑚にたとえて珊瑚樹の名がついた。

【科学的見解】

珊瑚樹(サンゴジュ)は、本州関東以西から沖縄の丘陵地から沿岸地に生育する常緑広葉樹である。赤い実が鳥に好まれ、暗い林でも生育できる耐陰性を有していることから近年分布を広げている。また、葉や枝は草木染めに活用でき、木綿を染色すると肌色から駱駝色の美しい色彩となる。(藤吉正明記)

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