兜率天

https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-105-1?locale=ja 【兜率天曼荼羅図

とそつてんまんだらず】より

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仏教の世界にはいろいろな仏や菩薩が存在し、それぞれに住む世界があります。そのひとつが兜率天(とそつてん)。ここに住むのは、釈迦が亡くなってから56億7千万年ののち、この世に現れて仏となり、人びとを苦しみから救うと言われている弥勒菩薩(みろくぼさつ)です。この世に現れるまでは、弥勒菩薩は兜率天で仏の教えを説く説法をしているといわれるため、人びとは死んだあと兜率天に生まれ変わり、弥勒菩薩の教えを直接聞くことで救われようとする信仰が生まれました。そして曼荼羅(まんだら)とは、仏教の世界観を表すもの。今回ご紹介する兜率天曼荼羅図は弥勒菩薩が説法をしている兜率天の世界を描いたものです。 画面中央に座っているのが弥勒菩薩です。ちょうど説法を行っているのでしょう。周りには教えを聞こうと天女(てんにょ)や菩薩たちが集まっています。宮殿の前には船を浮かべられるほどの池、宮殿の奥には雲に浮かんだ小さな楼閣があります。天上には弥勒菩薩を讃えるように楽器を打ち鳴らす天女がいます。弥勒菩薩の住む世界が繊細に描かれています。 兜率天曼荼羅図は現存作例が少なく、斜め上から見下ろしたような構図と、本図のように真正面から見た構図の大きく2系統があります。そのなかでも正面からのものは左右対称性をもち、中国・敦煌(とんこう)壁画の阿弥陀浄土図など中国の浄土図、つまり仏や菩薩が住む清らかな国土を描いたものに倣ったといえます。中世の弥勒信仰を伝える作品です。 実はこの絵、元々は広島県福山市にある明王院の五重塔内に安置されている、大日如来像の後ろの壁に描かれたものでした。五重塔の創建は1348年と伝えられ、この作品もその時に製作されたと考えられます。製作年代がはっきりとわかるという意味でも貴重な作品です。


https://piicats.net/jyoudo5.htm 【[兜卒天]・[龍華浄土]弥勒菩薩】より

仏陀が入滅されたのち、将来仏となってこの世にあられれて法を説き、衆生を救う約束がなされているのが弥勒菩薩で、すでに将来仏となることが約束されていますので、菩薩ではなく「弥勒仏」ともいわれます。ただいま兜率天(とそつてん)において修行、思念中であるとされています。

 しかし、その弥勒菩薩弥勒さまが救世仏として兜率天からこの世に出現するのは、釈迦の入滅後の56億7000万年後であるとされています。残念ながら現在の我々では遭うことがかないません。

 弥勒菩薩は、梵名をマイトレイヤといい、「慈から生まれたもの」と訳されて中国では慈氏菩薩とも呼ばれています。弥勒の兜率天には、釈迦の母摩耶夫人などもおられる天上の浄土とされ、その浄土内には四十九院があり、その中の「説法院」に弥勒菩薩がおられると経典に説かれています。

 また、弥勒菩薩が兜率天からこの世に出現し、人々を救うことは『弥勒下生経』に説かれているのですが、弘法大師も高野山の奥之院に入定されるとき、「われ、閉目ののちは兜率天に往生し、弥勒慈尊の御前に仕え、五十億余年ののち、必す慈尊とともに下生せん」と弟子達に遺言されたと伝えられています。この大師の誓願にしたがい、弥勒菩薩が、この世に出現し説法される時に、大師とともに聴聞したいとの願いから、以後高野山の奥之院に、経典を土中に埋納する信仰が人々によって行われれました。

 胎蔵曼荼羅には、中台八葉院東北の位置に描かれています。

 [弥勒と阿弥陀の浄土の優劣]

浄土論として互いに影響が強いのは当然であり、また持論を展開するにあたっても、その時間を示したり浄土荘厳の様を表現するにしても、「弥勒浄土」も「阿弥陀浄土」も発想は同じですね。。

 『下生経』

四大海の水面各々減少すること三千由旬、その地(閻浮提)平浄にして瑠璃鏡の如し。花が咲き、高さ三十里の大木が繁茂する。人間の寿、八千四万歳、身の丈十六丈、智慧威徳をそなえ、快楽安穏にすごしている。飲食と排泄と老衰の三つだけが、この世界の病である。

ここに翅頭末という大きな城がある。きわめて美しく、福徳の人々城中に満ちている。城付近の池に龍王が住み、夜々微雨を降らせるので道に埃がたたず、地面は砂金でおおわれている。この国は転輪王という王が治めている。その城中の、妙梵と梵摩波提という婆羅門の夫婦に、弥勒は生を託して生まれた。成長した弥勒は、世の五欲が患いをいたすことを感じ、出家して道を学び竜華菩提樹の下に座した。時に諸天龍神は華香を雨と降らせ三千世界はみな震動した。『観弥勒菩薩上生兜率天経』

弥勒が兜率天に往生するとき、兜率天上には五百万億の天人がいて、補処の菩薩(弥勒の意)を供養するために五百万億の宝宮を作る。各々の宝宮には、七重の垣がありそれぞれは七宝で

出来ている。その宝は光明を、光明は蓮華を、蓮華は七宝の樹を出し、五百億の天女は樹下に

立って妙なる音楽を奏でる。五百億の龍王は、垣のまわりを巡って雨を降らせる。時にこの宮に牢度跋提という神があって、弥勒の   為に善法堂を作ろうと発願すると額から自然に五百億の宝珠を出し、摩尼の光は宮中をめぐり化して四十九重(内院・外院四十九とはここから来ている)の宝宮となった。九億の天子、五百億の天女が生まれ、天楽おのずからなり、天女は歌舞し、その歌を聞くものは無上の道心を発する。兜率天に往生するものは、皆この天女に傅かれる。



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