http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/04/21-d208.html 【花祭《21世紀の俳句と世界平和》】より
ここをクリック(タップ)して、「俳句の哲学は世界共通」(国際俳句協会に於けるヘルマン・ファン・ロンパイ元EU大統領のスピーチ)をご覧下さい。
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻は止みそうにないので、「花祭り」の今日は、宗教の観点から恒久的世界平和を訴えることにしました。
アメリカは「信教の自由」をアメリカ合衆国憲法で保障していますが、大統領就任の宣誓は聖書に手を置くことが慣例化しています。
ユダヤ教やイスラム教などの特定の宗教を排除するとか、無宗教を排除する気が大統領に無いとしても、キリスト教は一神教ですから必然的にそういう誤解を与えるでしょう。
このような聖書に手を置く慣例を止めて、現代の憲法の精神に則って宣誓する様式に変更出来ないのでしょうか?
セオドア・ルーズベルトは聖書を用いず、大統領就任の宣誓をしたそうです。
「梅東風や届け世界にこの思ひ」で述べたように、日本の平和憲法前文の理念を世界で最古といわれるアメリカ合衆国憲法の理念に反映し、その新しい合衆国憲法章典を聖書の替りに宣誓に用いる等、何か適切な新様式を採用できないでしょうか?
それが実現すれば、アメリカ大統領が世界のリーダーとして世界中の更に多くの国々から信頼を得ることが出来るでしょう。
プーチン大統領は就任の宣誓にロシア連邦憲法を用いたそうですが、プーチン大統領にも是非、日本の平和憲法前文の理念を織り込むべく、ロシア連邦憲法改正の意思表示をしてほしいものです。
ロシアのウクライナ侵攻は、プーチン大統領の独善的な専制主義のもたらしたものであり、決して支持できません。
宗教戦争やナポレオン、ナチスなどの侵略戦争の歴史を見れば、プーチン大統領の決断の背景には独裁者として共産主義と資本主義との覇権争いに勝たねばならないという強い意思が根底にあるのでしょうが、戦争は世界の人々に多大の犠牲を伴うばかりであり、恨みが恨みを生み、問題を解決するどころか、原子爆弾による人類破滅の危険を増すばかりでしょう。
ウクライナの人々には、ロシア系の人もいるでしょうから、西欧系の人々が一方的にロシアを「悪」とする敵対的な姿勢一辺倒で対処すると和平の道は閉ざされてしまうことを懸念しています。
ロシアやアメリカ、イスラエル、ウクライナのみならず、世界の指導者が、戦闘意識をむやみに煽ることなく、お互いの国や国民の立場を考えて、和平の道を速やかに見出してくれることを祈っています。
「宗教と科学の対立と融合」をご一読頂き、薫風士の思いをシェアして頂ければ幸いです。
https://www.haiku-hia.com/haiku_tsurezure/22.html 【世界と日本を結ぶ俳句の現在】より 国際俳句協会 事務局長 木村聡雄
2022年7月、鎌倉の鶴岡八幡宮の一角、直会殿(なおらいでん)にEU名誉大統領ヘルマン・ファンロンパイ氏の姿があった。国際俳句交流協会の招聘により、コロナ禍が完全には収まらない中での来日であった。各地での講演の目的は日EU俳句大使としてユネスコ無形文化遺産登録推進など世界に向けてさらなる俳句の発展を目指すためと言えるだろう。鎌倉でのHIA総会ではファンロンパイ氏、次いで高野ムツオ氏が講演を行なった。それぞれの講演の概要は『HI』誌156号(2022/8)にも掲載してあるが、ここでは世界へとの観点からファンロンパイ氏の言葉について触れておきたい。
HIA講演でファンロンパイ氏は次のように述べている。「世界全体は複雑化する一方であるが、俳句は簡素でそうした状況の対局にある。人間も混沌とした精神状態に置かれやすくなるが、俳句の働きがそれを鎮める効果もあるだろう。今も世界では戦争が続いているが、俳句は不和ではなく平和を求め、他の人々の言葉にも耳を傾けようとする。私は、故有馬朗人会長の願いであった〈俳句を通しての世界平和〉を実現するためなら努力を惜しまない。」(HIA総会講演要約2022/7/11)。滞在中のファンロンパイ氏の言葉からさらに引いてみよう。「俳句は現代社会の抱える問題への一つの答えでもある」(『読売新聞』2022/8/9朝刊)。「調和を大切にする俳句は国際交流や国際平和に寄与する」(『京都新聞』2022/7/15朝刊)。
こうした言葉には、その俳句観がよく現れている。すなわち、俳句の特質を簡素さに求めて精神の浄化作用への効果を認める。そのとき人の心は平安へ向かうだろうという考えである。
Cannon thunder while summer flourishes the sun will win 砲音に 太陽真上 日の盛り ヘルマン・ファンロンパイ(『毎日新聞』2022/7/31朝刊 星野高士訳)
A sunny wheat field strewn with senseless death hungry for peace 麦畑の陽に 意味なき死 和を求むヘルマン・ファンロンパイ(『東京新聞』2022/7/18朝刊 木村聡雄・林啓太訳)
The two shores of the Pacific joined by generosity an ocean of peace
太平洋両岸 寛容が結ぶ 平和の海 ヘルマン・ファンロンパイ
(『産経新聞』2022/7/16朝刊 木村聡雄訳追加)
これらの句は「平和」という主題が中心に据えられていて変奏曲のようにも読める。ファンロンパイ氏の俳句は、普遍的なメッセージを伝える装置として有効に機能しているだろう。とはいえ日本人はこのように考えながら俳句を作ることは稀ではないだろうか。たとえば自分を取り巻く多様な主題を探り、一句の中の言葉や切れ、有季派なら季語関連そして推敲にもこだわりを持つかもしれない。
もちろん欧米詩でも季節や自然物、また人の心へと向かおうとしつつ表現する俳句も多くあることは、毎年のHIA俳句大会の外国語部門の発表作品を見てもよく分かる通りである。海外で俳句が書かれるとき、一般的には俳句という詩を西欧詩的視点で捉え、新たな解釈のもとに句が作られるように思われる。わが国の明治期の新体詩から近代詩への試み、つまり目指すべき異質な存在をいかに自らの内部に取り込んで、さらにそこから自己表現とするという歴史的流れも想起させる。いずれにせよ、二十一世紀においては、今度は我々が他者の考えを認める寛容さをもって、世界規模の広義の俳句を想定すべき状況となっていると考えられるだろう。
さて本協会に目を向ければ、コロナ禍による制限はあるにせよ、国内外での活動も着実に進められている。2022年10月には韓国で開催された短詩型民族詩の時調(シジョ)大会に本協会も参加し互いに理解を深めた。その詳細は本ページ「後記」を参照していただきたい。時調との交流はこれまで幾度か行なってきたが、今回は2019年の本協会主催による駐日韓国大使館韓国文化院(東京・四谷)での国際時調協会の閔炳道(ミン・ビョンド)理事長の講演開催以来であった。
恒例のHIA俳句大会は今回も日本語、英語(外国語)とも多くの投句があった。まもなく優秀賞などが発表され、本年12月には会場での表彰式も行われる。今後も会員の方々の『HI』誌やHIA俳句大会への投句など積極的なご参加もお待ちしている。
7月の総会では本協会新体制も決定した。有馬朗人前会長の残りの任期を永田龍太郎氏が引き継いでいたが、今回新たに大高霧海氏が会長に決定し、事務局長も改まった。本協会は今後、俳句の無形文化財登録を視野に入れ、会の名称も含めた新たな展開を打ち出して行く予定である。
【後記】『詩語無境』―時調と俳句―
国際俳句協会
藤本はな
韓国の短詩型民族詩である時調(シジョ)と、国際俳句交流協会(HIA)との文化交流は2015年冬、国際時調協会の閔炳道(ミン・ビョンド)理事長と代表4名が市ヶ谷の事務所を訪問された時に始まっている。2016年秋、第一回清道(チョンド)国際時調大会に招待された有馬朗人前会長は「俳句と時調」の講演をされ、私は「俳句の国際化について」の話をさせて頂いた。2017年夏は、韓国から訪問団が来日され、江東区の芭蕉記念館や京都の冷泉家を訪問され、また2019年初冬、HIA主催の交流会が四谷の駐日韓国大使館韓国文化院で開かれた。閔炳道理事長が「時調は韓国の心」と基調講演をされた。そして2022年春、常に閔理事長にコーディネーター通訳として同行されている安修賢(アン・スヒョン)釜山カトリック大教授から、10月に清道で開催する第四回清道国際時調大会「韓・日定型詩の出会い」に講師を紹介して欲しいとのメールが届いた。この要請に応えHIA会員で天為同人の内村恭子さんが、「俳句から見た時調」、黒川悦子日本伝統俳句協会副会長が「時調と俳句、その共通点と異質性」、黒川先生の紹介で和歌の専門家である吉海直人同志社女子大特任教授が「和歌における昨日と今日」の格調高い講演をして下さった。3人の講演内容は安先生が事前にハングルに翻訳され、立派な冊子として2日間の会期中、会場に集まった多くの時調詩人に配布された。韓・日短詩型の文化交流は、閔炳道理事長の韓国の民族詩である時調への再認識、再評価を願う強い思いに、清道郡の群守をはじめ多くの方々が賛同され、このような日本からの俳句と和歌の研究者招聘事業の実現に繋がっている。また、今回は特別に時調詩人で文芸評論家の文武鶴(ムン・ムハク)先生の「時調の見る俳句」という講演があった。韓国をテーマにした私達の俳句を取り上げ、俳句への深い理解を示された。現在両国が置かれている政治的な問題を離れて文学による交流の大切さを述べられ、今回の東アジア定型詩の国際大会をきっかけに、時調と俳句が「似て非なるもの」であるとしても、それぞれの民族の定型詩を互いに学び、互いに感じ合うことによって、今後のグローバリゼーションの中で一つになれるのではないかという文先生の提言は、文化交流の神髄を述べれられていると思った。
2022年10月29日 清道国際時調大会会場にて
2022年10月30日 通度寺大僧正と
2016年、有馬朗人前会長と韓国三大名刹の一つである通度寺(新羅の善徳女王によって646年創建、2018年ユネスコ世界文化遺産登録)の大僧正、中峰堂性坡大宗師にはじめてお会いした時のえもいわれぬ和やかな出会いのひと時を思い出し、出来ることなら今回、再びお目にかかりたいとの希望が特別に叶えられお会いできた時の感動は忘れられない。大僧正は有馬先生に「詩語無境」という書を揮毫して下さったのだった。今回の表敬にも優しく迎え入れて下さり、自らお茶を注がれて貴重な時間を私たちに分けて下さった。
2016年10月29日 有馬朗人前会長と
高浜虚子は、85年の生涯の間、船で下関から釜山に入り、韓国を4回も訪れている。1924年、釜山では「松原に萩あり館尚遠し」の句がある。今回、私達の宿泊地であった大邱で「水車あり柿の山里これよりぞ」を詠んでいる。ちょうど同じ季節に韓国を訪れているということを思うと、虚子山脈の端に連なる一人としては感慨深いものがある。俳句と時調の交流が国境を越えて次世代に続いていくことを念じ、閔炳道理事長、金一鷰(キム・イルヨン)副理事長、鄭敬花(チョン・ギョンファ)事務局長はじめ、私達を大歓迎して下さった時調詩人の皆さま、そして何より心と言葉の架け橋となって下さった安修賢教授に心から感謝の念を捧げます。
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