Facebook佐坂 輝久さん投稿記事【 「ひなまつり」の泣けてくる話。 】
堅苦しい、面倒臭そう……と思われがちな年中行事。
ひな祭りには七段飾りを、鯉のぼりは大空を泳ぐ大きなものを。そう考えているうちに、何もせず過ごしてしまう人がほとんどではないのでしょうか。
マナー講師としてメディアでも活躍する井垣利英さんは、そんなに大事に考える必要はないといいます。
ひな祭りには二色のガラス玉などを女雛と男雛に見立ててペアで飾ってみる。
鯉のぼりは、鯉のぼりの絵が描かれた手拭いや風呂敷などを部屋に飾ってみる。
そんな工夫をするだけで日常生活にも彩りが出てくるといいます。
本書は、日本人に馴染みが深いはずの年中行事をもっと気軽に楽しみ、幸せに過ごすためのヒントが満載の一冊。
・お正月に門松を飾る理由 ・節分の鬼を追い払う2つの魔除け
・ひな人形はもともと立っていた!? ・始業式が4月8日に始まる理由
・盆踊りにこめられた2つの意味 ・お墓参りのやり方とマナー
・大人になってこそ味わえる七五三の幸福 ・大晦日に年越しそばを食べるワケ
……などなど、知れば、「へーっ、そうだったんだ!!」と思わず誰かに話したくなったり、
心がポッと温かくなったりするお話がたくさん紹介されています。
本日は、3月のページに紹介されている、ひなまつりに関するお話をご紹介します。
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子どもたちの優しさが切ない「ひなの国みせ」
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ひな人形やひなまつりには、心温まる美しい話が残っています。
昔むかし……、春になり、桃の節句の季節になると、女の子たちはひな人形をもって
山に登ったものでした。春のおだやかな陽ざしのなかで、女の子たちは小高い山に行き、
草のうえに着てきた晴れ着の羽織を広げます。そしてひな人形をかざるのです。
小さい人形という意味のひな人形です。今のひな人形のように完成されたものではなく、とても素朴なものでした。
丘の上にひな人形をかざって何をするのかというと、ひな人形に四方の春の美しい景色を見せてあげるのです。これは「ひなの国みせ」といい、実際に行われていた風習です。
じつはひな人形に、生まれてすぐ、あるいは幼くして死んでしまった弟、妹のことをたくしています。
旧暦では、ひなまつりのころには桃の花やたちばななどが満開です。
寒くて暗い冬が終わり、いっせいに花が咲きはじめ、美しい変化をとげる春がやってきました。「このようすを、弟や妹にも見せてあげたかったな」と思う小さなお姉さんやお兄さんたちの優しい、切ない気持ちが伝わってくるようです。
昔は子どもが生まれるのも育つのも、大変な時代でした。だからこそ、亡くなった弟、妹に、
生きていればいっしょに楽しめた世界を見せてあげる。そうやって遊んでいたのです。
ちょっと泣けてくる話ですね。
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◆こんな内容が載っています
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・年賀状に「元旦」と書いたら恥をかくことがある? ・新しい年は何が「おめでたい」のか
・鬼を追い払う二つの魔除け ・ひな人形はもともと立っていた!?
・お墓参りのやり方とマナー ・始業式が四月八日に始まる理由
・「水無月」を六月に食べる理由 ・「七」はおめでたい吉祥の数字
・室内での七夕のかざりつけ ・ナスとキュウリの乗り物で行き来するご先祖様
・盆踊りを踊るためのマナー ・菊は不老長寿の薬だった
・「九」は最高におめでたい数字 ・菊は日本でいちばん愛されてきたお花
・大人になってこそ味わえる七五三の幸福 ・千歳飴はなぜ長いのか
・冬至は運が上向きに転じる日 ・ゆず湯は一年最後の厄祓い
・“ん“"がつく食べものには、運がいっぱい ・大晦日に年越しそばを食べるワケ
<巻末付録> 年中行事カレンダー
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あなたの日常生活が輝く不思議な力『開運 #年中行事はじめました』 井垣利英・著
(「致知BOOKメルマガ 」より)
https://tennenseikatsu.jp/_ct/17501775 【正月事始|俳句で味わう日本の伝統行事】より
読みもの暮らしの知恵二十四節気七十二候
2021年も残すところ1カ月を切りました。12月13日(地域によっては12月8日)は、正月事始の日。お正月の準備を始める時期です。季節が散りばめられた俳句で感じる、正月事始のお話。
(『暮らしの中の二十四節気 丁寧に生きてみる』より)
正月の準備にとりかかる時期
正月事始は、正月の諸準備にとりかかること。かつては旧暦の12月13日(地域によっては12月8日)とされ、現在は、新暦で行われています。御事始、正月始、十三日祝ともいわれます。
煤払(すすはらい)、松迎へ、餅つき、年木樵*、飾づくり、おせち料理の用意、春着の支度など、新しい年に年神様を迎えるために、年の内から少しずつ準備を始めるのです。
*としきこり:新しい年に使う薪を伐ってくること
正月事始の最初に行うのは煤払、つまり大掃除。起源は平安時代の宮中まで遡りますが、江戸時代になると江戸城で12月13日に煤払をしていたことから、庶民もそれに倣ったのだとか。
囲炉裏や竃、行灯の使用によって家の中に溜まった一年分の煤を払い、穢れを落として清める神事的な行事でもあリます。
関西では、花柳界や芸能の世界で、事始に師匠や家元へ鏡餅(事始の餅)を持って挨拶に行く習慣があります。弟子から師匠へ、分家から本家へ年末の挨拶をする「歳暮」の贈答も、この日に始まる地域が多いです。
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俳句で味わう季節の移ろい
ここで「正月事始」にまつわる俳句を一句。
画像1: 俳句で味わう季節の移ろい
挨拶に訪れた家の上りはなに、畳がよい香りを放った。正月用に畳を張り替えたのだろう。年の瀬の慌ただしい雰囲気の中にふと感受した「ハレ」の気が、畳の香に収歛(しゅうれん)されている。事始の一日の緊張感と華やぎが見事に表現されている。
こばやし・たかこ 1959年長野県飯田市生まれ。79年に信州大学人文学部に入学、専攻は国文学。81年、信州大学学生俳句会、岳俳句会に入会し、宮坂静生に師事。2003年 第58回現代俳句協会賞受賞。現在「岳」編集長。現代俳句協会副会長、現代俳句大賞選考委員、俳文学会会員、日本文藝家協会会員。2020年第8回星野立子賞受賞。
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もう一句。
画像2: 俳句で味わう季節の移ろい
門松をはじめ、御節料理や雑煮を煮炊きするための薪など、正月に必要な木を山から伐り出してくることを「松迎へ」という。新しい年の年男が、恵方にある山へ入って行う。
日頃は子供の声などしない谷山に、子供たちの明るい声が響いている。松迎への大人に付いて子供たちも山へ入って遊んでいるのだろう。こうやって年中行事は次の世代に引き継がれていく。
自然も人も新年を迎える特別な気分の中にある。
もり・すみお 1919年生まれ。加藤楸邨(しゅうそん)に師事、「杉」を創刊・主宰。78年、『鯉素』で読売文学賞受賞。87年、『四遠』で蛇笏賞受賞、87年、紫綬褒章受章、93年、勲四等旭日小綬章受章。97年、『花間』『俳句のいのち』で日本芸術院賞恩賜賞受賞、同年、日本芸術院会員、2001年、勲三等瑞宝章受章、2005年、文化功労者。2010年没。
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日本人がいかに自然を細やかに観察し、四季の移ろいを愛で、日常の中に取り入れて暮らしてきたかが、俳句からもわかります。
節気や節句、伝統行事などの真義を見つめ直し、日々の暮らしの中で意識して実践することで、先祖たちの生きざまに思いを馳せ、自然との深いつながりに気づき、私たちの日常がより豊かになるものと信じて。
当記事は『暮らしの中の二十四節気 丁寧に生きてみる』(春陽堂書店)からの抜粋です
画像: 撮影:©️狩野吉和
撮影:©️狩野吉和
著者/黛まどか
俳人。神奈川県生まれ。2002年、句集『京都の恋』で第2回山本健吉文学賞受賞。2010年4月より一年間文化庁「文化交流使」として欧州で活動。スペインサンティアゴ巡礼道、韓国プサン-ソウル、四国遍路など踏破。2021年より「世界オンライン句会」を主宰。現在、北里大学・京都橘大学・昭和女子大学客員教授。著書に、句集『てっぺんの星』、紀行集『奇跡の四国遍路』、随筆『引き算の美学』など多数。
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