俳句&短歌 "ライフ・アフター・クライシス"

https://note.com/ao_ajisai22/n/n29adbf0f8a52 【俳句&短歌 "ライフ・アフター・クライシス"①】より

ネットで現代短歌を見てたら自分でもやりたくなって、やってみたらたくさんになって、アララララって量になりました。

ひとまず第一弾です。

Ⅰ.

消したくてただ消したくて眺めてる         あふれさせ沈めてしまおうこの海へ

誰よりも憎み愛する自分こそ            ひっそりと咲いてる花に背を向けて

真っ白に行く手も見えぬ霧の中           この花をひそかに咲かせ手渡せば

手をのばす触れた先から消える雪          忘れなよ全ての恥も温もりも

刺すように刻む紙へと呪い文字           見てごらんそれが私の愛だから

恨めればまだしもなのか泣けるなら         それがみな、正しいとしてだから何?

悲しみは遠くよどんで雪が降る           冷たさは人からもらうそのままに

薄氷の上の笑いはうわのそら            みじめにも汚れつぶれたそれが愛

心にも水は通るよメロディーで           紙の字をむさぼるように飢えていた

口も手も封じられたら妬むだけ           生まれ落ち選べるものはろくにない

せき止めて終わりにしよう今ここで         断ち切ればせめての意味は立てられる

もう一度生まれたならば会いたくない どこか遠くで平穏にいて いつまでも言えないままに目を伏せて そんなふうにも生きる日よ 憎しみも悲しみもみな孤独から 伝える前に抱くことさえも はがれてはこぼれ落ちてくうろこたち 惜しみながらも眺めてみれば 憎みつつ焦がれ続けたこの世へと 残り続けて日は過ぎていき

Ⅱ.

絶望の夜にも響く鼓動音               許さない怒りの声が産声だ

落とされて獣の叫び生まれくる           這いずってつかんだ紙を引き裂いた

言葉にもならぬままでも何かある          私には叫びしかただ残らない

醜さはもらったもので作られた           願いとはただ絶望だ間違えて

もう一度生まれることはないように         使い切り死にたいだけとつぶやいた

かさぶたをとわになでつつ生きていく

絶望に希望を足せば足りないね この苦しみに耐えるほどには

耐える泥吐き出す泥とにじむ泥 足もと浸す泥の色は何

吹きつける風に目を閉じ暗くなる 先の見えないこの闇に生き

傷つけるつもりと傷は無関係 この胸の傷その胸の傷

洞窟に手負いの獣が住んでいる 傷をなめてはしみさせたりして

Ⅲ.

わからない違ったんだねきっとまた       こぼれてもこぼれてもまたすくい上げ

一歩ずつ歩くその道踏み固め          好き嫌いそれだけじゃない心って

相性と適性が先何よりも            暖かな風が吹く道目を閉じる

空の果ていつかまた会うこともあれ        愛してる遠い光を胸に抱き

ささやかにひとたらしだけ癒やす水

行き過ぎる親切にさえ感謝して 長い道のり揺られて行くよ

気がつけば真ん中を過ぎ先を見る カウントダウンは始まっている

身ひとつで埋まりたいけど引きずるかな あれもこれもの荷物たちをさ

相入れぬ道だとしてもそれはそれ そう認めればよかっただけじゃん

地獄なら地獄でいいよ狂い行く この幻の花を咲かせて

焼き払い道を作って倒れれば 手もとに何か落ちていた石


https://note.com/ao_ajisai22/n/n5abb23080beb 【俳句&短歌 "ライフ・アフター・クライシス"②】より

最初、「ワオ! こんなふうに書けたわ!!」ってなったものが、やってくうち、「ほぼ同じ内容だな〜…」ってなっていって、新鮮さは減っていくんですが。その惰性もそれはそれ、かな。

Ⅳ.

異常さも慣れてしまえば通常か          解放は破滅と共にやってきた

願いこそ狂っていけば地獄行き          狂い泣く 記憶に残ることもなく

限界はイヤもオウもなくやってくる        尊厳を失いながら生き残る

情けなくこぼせるならば人間だ          泣けるなら流れるものがあるものを

思い出す歌があるだけマシかもね         口ずさむ歌があるなら生きられる

耳をただ行きすぎるからむなしいな        涙ぐむ 人がましさを手に入れた

少しだけむなしさよりも嬉しさを

帰還兵 いったい何の戦だよ 誰も知らない戦いののち

歪む顔 鏡の中で反響し あちらこちらで責め立てる声

殴りつけ思い知らせてやりたいが そんな力も今はないんで

何となく変わる心は気まぐれだ 流れるままに移っていって

涙だけこの手に落ちる涙だけ しぼり出された命の叫び

恨みへと燃えさかる火を鎮めよう 冷たく穿つ雨に打たれて

彼岸花 散る花びらは涙だから 頬に触れてはまた落ちていく

Ⅴ.

呪われた血を少しでも薄めてく          錆びている砂の中にもナイフあり

不平等この世のすべては最初から         おとなしく死んでやるかよ最後まで

生きることそれだけがただ抗いだ         認めない 言う人にまで求めない

埋められてのばした手だけあがいてた       優しさはないところにはないもので

善じゃない悪でもないよ ただの人        与えられ持ったものさえ使えない

熊のよう のそのそ出てはまた戻る

言えること何もないから会えません すべて消えればよかったのにね

最初から何もなければよかったけど ここにあるからその上に立つ

最初から何もなければこんなにも 無言の闇をさまよいはしない

ひとつずつ違ったものを消していく 残るものなど何もなくても

見れぬならそれまでのこと手を離し さらに遠くへ流れつくだけ

知らぬまま責め立てられる常識に いつか殺られる日が来るのなら

いきり立ち殺気立っては歩く道 動くだけでも抗っている

苦笑い 好きで浮かべるはずもなく 飲み込む泥の味のままだよ

失格の烙印を押す資格こそ 誰も持たないに決まってる

Ⅶ.

日々は去り減る時を今焦り出す           諦めて遠ざかる欲ちぢめては

振り上げた拳をどこへ突きつける?        悪夢からじかにつながる現実へ

叩きつけわめく自責にもう飽きた          枯れた花埋める土にも埋まりたい

冬空にさらされている木枝たち 裸になればシンプルなのかも

触れられず痛みばかりのこの手では 花にも猫にも命あるものに

花たちを握りつぶす手赤く染め 初めて泣けた私のために

一人にはなりたくなかったはずなのに 初めて知ったおのれをつかみ

悲劇だけ生むためにこそ生まれたら 命を持たぬものがやさしい

おのれさえ抱けぬこの手はあなたなど 包む腕なく突き放すだけ

わからない ずっと前から外国語 習う術ない言葉たちなら

どこへとも帰れないならここにいる 私の中の海に沈んで

いつまでも這いずる泥をつかむ手で なすりつければ汚花を描く

指先を暖めもせず凍えれば せめての罪の代償になる?

振り捨てる過去が涙に変わる時 孤独は胸に暖かいかも


https://note.com/ao_ajisai22/n/nc5a23bd2c054 【俳句&短歌 "ライフ・アフター・クライシス"③ (テーマ別)】より

ラスト。テーマ別に集めてみたものたちです。

<10代><心の廃墟><女三代><愛憎><クライシス><異星><無限軌道><臆病な獣><指先の文字> …の順。

<10代>

だるい午後 響いたピアノを懐かしむ        跳ねるのは小人たちですメロディーの

楽しげに去っていく曲見送って

呼びかける名前の中の居場所こそ 欲してやまぬものだったのに

断絶をこれ以上には恨めない 悲しいだけの私が残る

病室の窓の外にも散る桜 残酷な上あざやかすぎた

病室のベッドの上で見る天井 諦めながらも覚醒を呼ぶ

紙の上文字だけをただ握りしめ にじむ血もあるよだれもあるさ

近くにはつなぐ手なくて探したら 古い本から届く文字たち

<心の廃墟>

消えたとてあったことには変わりない        死の上に立つ道なのはみな同じ

責めるなよ生きている人すでにいる         痛いのはただ胸の傷それだけよ

廃墟にも咲く花があり涙する            吹きすさぶ風にさらされ骨ひとつ

言い残す言葉をひとつ手のひらに これだけだから渡せるものは

<女三代>

あの人の命はどこへ着いたやら       祈りだけ 私たちにもできるのは

ほめられる苦労を人が選んだか?

祖母と母 私にまで下る時 歴史はさらに流れてた

刻まれた家系図をただ憎んでは いない家族をあざ笑いたい

古ぼけた柱時計が鳴る音に 目覚めてしまう憎しみたちが

散る花が奏でた歌を耳にして 長い苦難を恨むだけでは

<愛憎>

さようなら返せるものはそれだけさ        憎むほど近くいたから切り離す

安らかに願えないのが生傷よ

愛ならばやさしいはずと信じたの? 得られたものはそうじゃないのに

狂う時 切実さだけふくれさせ 道理を消した怪物となる

<クライシス>

ひび割れて真っ二つだわこの顔は       はね返る自分の声を聞いていた

拒否権をつかみ初めて人になる        見えないの あの火がもう上がってる

崖っぷち 落ちた横穴這いずって

進むほど崖が近づく恐怖心 言えぬままにも足はずり落ち

許そうと許すまいとて戻らない とうに焼け落ち崩れた橋は

絶望が叩きつぶした体から 泥にまみれた何かが生まれる

ゴミために横たえる手を投げ出して 親しめるのはこの腐臭たち

<異星>

それぞれの星に暮らして異星人         あの星も遠く振る手が見えないか

声だけを投げて眺めて陽が沈む         揺れたのは 最後の歌が聴こえてた?

涙まで見える距離ではなかったね        幻のように届いた かすかにも

嘆くけど 他は見えない違う星         ひとりずつ違う星から眺めてる

橋はない渡る舟とか綱もない 投げる声だけ消えていくけど

あの星を遠く眺めて涙する 帰れるのなら帰りたいのに

この星も来ない平和を待っている 悲惨を多く記憶しながら

遠いから届く電波が必要だ 右に左にアンテナを立て

残すもの何もなくてもここにいて 虚空へ向かって声張り上げた

<無限軌道>

一人では作れない時暖めて 互い違いに過ぎ去っても

身ひとつで別れゆく人見送れば 渡せなかった帽子が残る

あの窓とこの窓とに別れ行き 手を振りながら口ずさむ歌

走り去る汽車の窓から呼ぶ声が 過ぎた昔をなぞって消えた

あの世まで走る汽車へと乗る切符 終わりに着けば得られるだろうか

銀河にも墓があるなら埋まりたい どこから来てもしょせん藻屑と

最初から帰るあてない夜空には ひとつぶずつの星が瞬き

孤独なら飛ばせる心を遠くまで 綱を投げかけこの大海に

投げかけた綱は届かずきらきらと 夜空彩り視界を照らす

あまりにも遠く来すぎて見えないや はるか彼方の来た道とやら

<臆病な獣>

ぐったりと伏せた耳にも聞こえくる 洞窟からのあの咆哮が

知らぬ間に閉じ込められた檻の中 壊す時には満身創痍

獣ならその姿を見て知るだろう 爪に残る血毛むくじゃらの手

臆病さ傲慢さとを合わせ持ち どこへも行けぬ獣がここに

産声は肥溜めからものばした手 外殻を捨てむき出しの臓

笑い狂う声は私のものじゃない 岩に跳ねてく爪と足音

かたくなな皮膚を裂かれた生傷を そのままにしてむさぼる骨身

吐き捨てた骨が私に似ていても 蹴って粉々闇へと走る

<指先の文字>

言葉にしつづるそばからズレていく 取りこぼしてはまたすくい上げ

文学の神がいるなら祈りたい 胸の内から広がる海へも

愛すべき言葉たちなら愛したよ 一人の胸にひそむ魂

手放してつづる分だけ軽くなる 私の肩から紙の上へと

ここでいったん区切ります。

ふとやり始めたら、数日間、やたらとドーッと出てきて、「何なんだ…」ってくらいでした。

何十年分かの量なんでしょうが…

でも楽しかったなあ。

文章とも、詩とも違う、どっか別のスイッチが働くのね。型があるから? 

それゆえの楽しさがあるみたい。言葉遊びっていうか。

長生きすると、たまに、「そんなことが?!」ってことがあるけど。

自分が、俳句や短歌を『ワーイv』とやることがあるんだァ…?! っていうのも意外だった。

20才ごろ、やってみようとした時は、10本くらい作っただけだったのに。

改めて、私はなんか、"言葉"ってものを愛してます。

書くのも読むのも聞くのも。

その、愛? 執着…? …を、充分に込められた気がして満足です。

オンライン短歌教室とか参加してみたいな〜…! なんてことも思ったけど、どうだろ。

冊子にしてみたいな。

とにかく、楽しかったです。ではでは。


秋巳(あきみ)

様々な段階での長期ひきこもり。 (元寝たきり→治療に通うなど→現在はより家事手伝いっぽくなってるかな?)  アルコール家庭出身。カルチャー好きのオタク系。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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