世を別ける白旗雲や冬の富士

https://genshobo.com/archives/11761 【俳句は国境を越えて】より

俳句は、いまや〈世界文学〉と言ってよい。著者は国際俳句交流協会会員で、俳句と〈英語ハイク〉の双方を詠み、比較研究してきた英語学の専門家でもある。俳句が、世界の国々との文化交流・対話の〈橋渡し〉となり、共感と共生のヒューマニズムを呼び起こすことを願ってまとめられた本書の意義は大きい。夏目漱石が熊本時代に詠んだ俳句を厳選して句題ごとに分類、さらに英語詩(3行詩)へ訳した試みは画期的である。また、世界各地の愛好家が詠んだ〈英語ハイク〉を独自の観点で紹介した章は、俳句の世界を一気に広げてくれる。

目次

第一章 俳句は国境を越えて   「俳句」と「ハイク」   国境を越えて「季節感」

    五・七のリズムは元は歌であった   美意識の根底にあるもの

    語には謂れ(語源)があるということ  人情と非人情  共感と共生の絆

    紋切型からの脱皮  文化の接触・混淆・変容 『グランド・ゼロの歌』より

    西洋の俳句受客 タンカのこと 子供の感性   良寛の俳句

    同一俳句の三つの英訳   リチャード・ライト   拍(音節)のこと

    「一筆書きの文学」としての俳句   詩学に裏打ちされて

    語の多義性   ことばの比較文化

第二章 熊本時代の漱石俳句の英訳   漱石俳句を英訳すること  漱石俳句のユーモア

    学校(旧制五高)の風景 地名を織り込む 「寺の記憶」 花を詠む(I)

    花を詠む(Ⅱ)   漱石と音楽=和楽器の音色=  俳句の中の人名

    俳句の中の昆虫  グロテスクな虫(生き物)  色・いろいろ(I)

    色・いろいろ(Ⅱ)   食べ物・いろいろ   お菓子あるいはおやつ

    数字の示すもの  温泉(ゆ)のある風景  漱石の病跡  水・いろいろ

    音のある風景

第三章 時の記憶(作品抄)    作品三十二句   追記―双方向性の読み

    あとがき

著者 西川 盛雄 にしかわ・もりお

1943年生まれ。1969年大阪大学大学院文学研究科修了、1973年ミネソタ大学大学院留学、1985年英国ランカスター大学大学院留学。専攻は英語学/言語学・異文化理解。現在熊本大学客員教授/名誉教授、放送大学客員教授。主要論文・著書:『ラフカディオ・ハーン=近代化と異文化理解の諸相=』(編著、九州大学出版会)、『ハーン曼荼羅』(編著、北星堂)、『英語接辞研究』(開拓社)。

弦書房より発行の関連書籍


https://jp-news.tuj.ac.jp/2021/10/20/tuj-and-swu-haiku-event/ 【テンプル大学ジャパンキャンパスと昭和女子大学の学生が俳句の世界を通して異文化を学ぶ】より

黛まどか氏 写真撮影は狩野吉和

テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長:マシュー・ウィルソン、以下TUJ)と昭和女子大学(SWU)は連携して、両大学の学生が異文化や日本語の理解を深めるために、俳句に関する講座を10月23日に開催します。

今回、昭和女子大学日本語日本文学科の客員教授であり著名な俳人の黛まどか氏の講座を対面とオンラインのハイブリッドでTUJの教室で行います。黛氏は「俳句と余白」と題して、俳句の歴史、ルール、精神などについて日本語で講演を行います。

当日は、TUJの学生が講義を英語に通訳し、また資料も英語翻訳するなど、参加者に日本語と英語で俳句の魅力を伝えます。通訳を担当するTUJ教養学部日本語学科4年生イアン スキバスキーさんは「数ヶ月前に通訳に指名された時から、とても興奮しています。私は俳句に馴染みがありませんでしたが、今では俳句の過程を大いに楽しみ、俳句についてかなりのことを学びました。本講座の意味を伝えられるように頑張ります」と語ります。この講座はTUJの日本語学学科の授業の一部として行われます。

2019年にTUJが三軒茶屋に移転して以来、両大学は狂言や落語など伝統文化・芸術を学ぶワークショップなどの授業や課外活動を通じて連携を深めてきました。講座に先立ち、SWUの学生団体「S×Tars(スターズ)」が学生交流会を開催します。「S×Tars(スターズ)」は、TUJとの交流を進めているSWUの日本語日本文学科の学生が中心となって活動しています。

主催者のコメントを紹介します

テンプル大学ジャパンキャンパス 山口麻子 日本語学科 准教授

テンプル大学ジャパンキャンパスと昭和女子大学はここ数年に渡り、数多くの日本語日本文化交流企画を行ってまいりました。それらの交流は、TUJの学生にとって日本語・日本文化への理解を深め、視野を広げる貴重な機会となっています。今回の講座により、TUJの学生が日本の伝統文化である俳句の素晴らしさを知り、昭和女子大学の学生との交流を通じて、お互いの文化と言語の理解を更に深めることができると考えています。

昭和女子大学 山本晶子 人間文化学部・学部長/日本語日本文学科教授

日本の和歌や俳句といった韻文の作品を他の言語に訳すことは、日常のものとは異なり難易度の高いものとなります。本学の日本語日本文学科の学生にとっては、英訳を通し、句の解釈を改めて考え、またTUJの学生にとっては、俳句で用いられる語と詠まれた情景を知ることで、日本のことばと日本文化を深く理解する契機になるでしょう。異文化交流を通して日本文化を学ぶ取り組みは、より多角的な視点を得ることができる機会と考えます。

「俳句と余白」”Haiku and the Spaces Between”

開催日: 2021年10月23日 (土) 13:00 – 14:30

会場: テンプル大学ジャパンキャンパス 312/314

教室形式: 対面・オンライン(Zoom)ハイブリッド

形式対象者: TUJ, SWUの学生と関係

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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