https://www.longtail.co.jp/~fmmitaka/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=20070830,20150804&tit=%8B%84%89%D4&tit2=%8BG%8C%EA%82%AA%8B%84%89%D4%82%CC 【季語が灸花の句】
みなでかぐへくそかづらのへのにほひ
松本秀一
へくそかずらは漢字で書くと「屁糞蔓」。写真を見ると中心に濃い紅色を置いた白い可憐な花なのに、どうしてこんな身も蓋もない名前をつけられてしまったのだろう。枝や葉に匂いがあるらしいけど、そんなに臭いのだろうか。まだ嗅いだことのない私にはわからないけど、この名をみると確かめてみたくなる。俳人はちょっと変わった植物が好みの人が多い。イヌフグリ同様、へくそかずらにもファンが多いことだろう。分類では晩夏になっているが、9月ごろまでその姿を見ることができるようだ。「これ、へくそかずらだよ」「へぇーこれがね」吟行へ出かけても一人は植物の名や鳥の名前に詳しい人がいる。そんな仲間に教えられみんなで頭を寄せ合ってへくそかずらをふんふん鼻をならして嗅いでいるのだろう。子供達が膝を折って輪になって座り「臭いね、ほんとに臭いね」と花を回して確かめ合っている様子なども想像されて楽しい。ひらがなに揃えた旧仮名の表記がへのへのもへじのようで、ユーモラスだし「へのにほひ」とずばり切り込みながらも下品にならず、牧歌的な情景とともにしっかりと記憶に残る。もし「へくそかずら」と出会う機会があるなら、この句を思い出しながら匂いを嗅いでみたい。『早苗の空』(2006)所収。(三宅やよい)
そしてみんな大人になりぬ灸花
村上喜代子
上五の「そしてみんな」の「みんな」と括られたなかには、作者自身に加え、親しい誰彼、そしてわが子も含まれるだろう。やりとげた充実感に満たされつつ、手が離れてゆくさみしさが押し寄せる。胸に空いたがらんとした空間がじわじわと広がる思いに途方に暮れる。どこかでアガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」の、登場人物がひとりずつ減っていく恐怖も引き連れているように思われるのは、大人になることで失ってしまうものの大きさを大人である作者、そして読者もじゅうぶん知っているからだろう。喜ぶべき成長の早さを嘆いてはならぬと思いながらも抱いてしまう複雑な心情を映し、花弁の芯に燃えるような紅紫色を宿す灸花が赤々と灯る。現代俳句文庫77『村上喜代子句集』(2015)所収。(土肥あき子)
https://www.mysai.net/cgi-bin/kaisetsu_disp.cgi?kisetsu_cd=2&kisetsu_kbn_cd=3&bun_ya_cd=07&bun_ya_kbn_cd=02&kigo_no=0323
【季語解説】より
夏(晩夏)・植物
【灸花】 やいとばな
◇「屁糞葛」(へくそかずら)
アカネ科の蔓性多年草。葉は楕円形で悪習がある。盛夏、葉腋に小さい鐘状の花を付ける。外側が白く、内側が紅紫の地味な花だが、よく見るとなかなか可憐である。悪臭があるので「へくそかづら」と呼ばれるが、楊羽蝶などがよくよる花でもある。
例句 作者
老いまじく歩けばへくそかずらかな 湯浅康右
夫に吾灸花には熊ん蜂 依光陽子
路地裏も住めば都や灸花 青木華都子
外海が見えないへくそかづらかな 今瀬剛一
https://blog.goo.ne.jp/kanekuti3515/e/50f826163bbd463da27436bf41c58ecc 【灸花(やいとばな)】より
今日は久し振りに一雨きました。でも、雀の涙に毛が生えたぐらいかな…まあ、降らないよりはましですけどね。先程のニュースでは、同じ山口県でも岩国の方は大雨注意報とか、どうなっているんでしょう?
この程度ではやっぱり、蒸し暑さが却ってひどくなったような感じでした。こういう状態には、俳句では「溽暑」(じょくしょ)という季語を使います。「溽」には、蒸し暑いや湿気が多くて暑いの意味があり、じっとしていても汗が吹き出てくる、絡みつくような蒸し暑さをいうんです。要するに「暑さ」を、肌に感じる熱気と湿度を前面に出した、感覚に訴えた季語なんです。
椰子の葉のざんばら髪の溽暑かな 鷹羽 狩行
「ざんばら髪」というのは振り乱した髪のことですが、ここでは椰子の葉がそのように見えたということでしょう。もともと熱帯地方に分布する植物ですから少々の暑さには慣れているだろうのに。余りにも耐えがたいこの蒸し暑さの不快感に、さすがの椰子も髪を振り乱して…と詠んでいるのです。狩行の自家薬籠中のメタファーはさすがですね。椰子と人間の映像が重なって見えてくるでしょう。
今日の花は〝灸花〟(やいとばな)で、アカネ科の蔓性多年草です。夏の季語。花がお灸のもぐさに似ているところからこの名があるのですが、全体に悪臭があり、正式名は〝屁糞葛〟(へくそかずら)と言います。ナントモ可哀想な名前でしょう。花そのものはこんなにカワイイのに…。同情しますよ。
名をへくそかづらとぞいふ花盛り 高浜 虚子
https://xn--evqz9go5h336c.com/?p=136 【珍しい夏の季語の句】より
ヘクソカズラ
今日は珍しい夏の季語の句を紹介したいと思います。
ヘクソカズラという花をご存じでしょうか?
ヘクソカズラとはとにかく悪臭がある野山でよくみかける雑草です。
この雑草であるヘクソカズラも俳句の世界では夏の季語になります。
この「ヘクソカズラ」ですが「ヘクソカズラ」では季語としてあまりに品がないので
俳句の季語としては「灸花(やいとばな)」と呼ばれます。
「灸」とはお灸のことです。
この「灸花」という夏の季語を使って句を一つ作ってみました。
『黒松の 薬剤跡や 灸花』
川の堤の黒松の並木に防虫剤を埋め込んだ跡が点々とありました。
まるで灸(お灸)の痕のように見えたので近くに生えていた灸花とかけてみました。
においさえかがなければかわいらしい花なのですがねぇ。
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