合歓の花の句

https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496071775.html 【合歓を「ねむ」と読みける花の艶】より

合歓を「ねむ」と読みける花の艶

( ごうかんを 「ねむ」とよみける はなのつや )

合歓(ねむ)の花は、6月頃にも咲いていて盛りが終わったと思っていたら、今頃になってまた咲きだし、満開になっている。ネットで調べてみると、合歓の花は同じ木でも2度咲くようだ。

この花の名前の「ねむ」は、周知のとおり、夜になると葉を閉じて眠ったようになることに由来する。花の柔らかい印象からも「眠り」を連想させ、ぴったりの名前のように思われる。

一方、当て字の「合歓」は中国名からきている。ただ、この合歓(ごうかん)には、「男女が共寝して相歓び合う」という意味があり、夫婦円満の象徴として付けられたということは、意外と知られていないのではないだろうか。

「ねむ」という言葉には、親が幼児をあやすような響きがあるが、「合歓」には、もっと大人びた艶っぽい意味が込められている。そんなことを知り、詠んだのが掲句である。「合歓の花」は「花合歓」ともいい夏の季語。

ところで「合歓の花」といえば、有名な句に松尾芭蕉の以下の句がある。

象潟や雨に西施がねぶの花

この句では、「ねむ」のことを「ねぶ」と詠んでいるが、もともとは「ねぶ」で、それが音変化したものが「ねむ」だと言われている。「けぶり」を「けむり」「と言うようになったのと同じ。

*象潟(きさかた):秋田県所在の地名  *西施(せいし):中国、春秋時代の越の美女。

芭蕉がいた時期に「ねむ」と呼ばれていたかどうかは定かでないが、敢えて珍説を述べれば、上句で「ねむ」でなく「ねぶ」と詠んだのは、その響きが「愛撫」「慰撫」などに通じ、少々艶っぽい感じを出すためではないかと思う。試みに「ねむ」とし、読み比べてみていただきたい。

因みに合歓の花に関しては、過去には以下の句を詠んでいる。

【関連句】

① くすぐれば夢にほほ笑む合歓の花

② 見上げれば紅透けてあり合歓の花

③ 覚めざるを願う夢みし合歓の花

①は、乳飲み子が、母親に抱かれてぐっすりと眠っている様子をイメージしたもの。②は合歓の花の咲いた景をそのまま詠んだ句。③は、夢の中で、覚めないで欲しいと願ったが、覚めてしまったという体験を詠んだ句。

「合歓の花」とは、厳密に言えば、「合歓の木(ねむのき)」の花のこと。合歓の木は、マメ科ネムノキ属の落葉高木で、原産地は日本、南アジア。花期は6~8月。一つの花に見えるものは、小さな花が10~20個集まったもので、薄紅色の糸のような部分は長く伸びた雄蕊である。

「合歓の花」が詠まれた句は、これまでも何句か紹介したことがあるが、今回はそれ以外のものを幾つか以下に掲載した

【合歓の花の参考句】

真すぐに合歓の花落つ水の上     (星野立子)

九時過ぎてなほ明るしや合歓の花   (加藤楸邨)

合歓の花沖には紺の潮流る       (沢木欣一)

虹消えて虹の睫毛を合歓の花     (矢島渚男)

合流の白濁はるか合歓の花       (西村和子)


うちゆう@nousagiruns

【合歓の花:7月の季語】名前は、夜になると葉が閉じることに由来。漢字の「合歓木」は、中国ではネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから。

高枝に花めぐりあへり午下の合歓(飯田蛇笏)

雨の日やまだきにくれてねむの花(与謝蕪村)


http://haikuwotukuru.com/%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%AD%A3%E8%AA%9E%E3%80%8E%E5%90%88%E6%AD%93%E3%81%AE%E8%8A%B1%EF%BC%88%E3%81%AD%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%EF%BC%89%E3%80%8F/【夏の季語『合歓の花(ねむのはな)】より

解説

あまり聞いたことのない花かもしれませんが、写真をみたらわかるかもしれませんね。マメ科の植物で高さ10メートルにも及ぶこともあるようです。ちょうど6月~7月くらいに花が咲きます。刷毛(はけ)のように美しいピンクの花は夜になると閉じられて眠っているように見えることからこの名前がついたと言われています。

樹木としての名前は「ネムノキ」なのですが、季語として使われるのは花の方です。

中国では夫婦円満の花になっているのでこの漢字が当てられています。

『ねぶの花』『花合歓』とも言います。

※太字はすべて同じ季語として使うことができます。

季語『合歓の花(ねむのはな)』の俳句と鑑賞

合歓の花沖には紺の潮流る 沢木欣一

鑑賞:「合歓の花」のあとに切れが入っています。合歓の花……沖には紺の潮流る

こうなっていますので、意味としては「合歓の花が咲いている。……沖の方には紺色の潮の流れがある。」こうなります。しかし、合歓の花の色合いを知っている人には濃紺の海をバックに咲く薄桃色の合歓の花が美しく浮かんだのではないでしょうか。

また、上にも書いたように「合歓の花」には眠りや夫婦円満の意味もありますから、その裏に流れる情愛も表現されているようにも感じられます。

谷空にかざして合歓のひるのゆめ 長谷川素逝

鑑賞:合歓は時に大きな樹ですから、見上げることもあるでしょう。谷の底の方から見上げた合歓の花に夢の世界を感じているという句です。

確かに合歓の花の姿形は夢の世界の一部のような感じがしますよね。眠りに落ちるともいいますから「谷空」という言葉と響き合っています。夢の中から空を覗いているような美しいイメージ。

下五(最後の五音)の「ひるのゆめ」という平仮名での書き方も柔らかくていいですね。

折り合ひをつけて暮して合歓の花 山内美代子

解説:人間ならば誰しも暮らしの中に折り合いをつけているものです。季語『合歓の花』を合わせた一句。このように観念的なことを俳句に織り込むときは季語を花とか動物など具体的なものにすると良くなります。

俳句はモノで語る詩だからです。どうしてモノで語るのかと言うと短いからですね。短いからこそ具体的なモノをイメージさせるわけです。

さて、この句ですが、『合歓の花』が眠りや夫婦というイメージを持っていますから日々の暮らしというものと響きますよね。かといって生活感が出すぎているわけでもない。絶妙な距離でピッタリとはまっています。素晴らしい句だと思います。


コズミックホリステック医療・現代靈氣

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