Facebook・天外 伺朗さん投稿記事
14日は、小児科医の木林京子さんが主催する「統合医療実践者の会」で「医療改革と教育」というタイトルでお話しさせていただいた。「統合医療学会」とは関係ない任意の集まりだが、医療者以外も含めて51名参加された。
木林さんは、ホロトロピック・ネットワークの古い会員さんで、バイオレゾナンス医学会の矢山利彦さんのクリニックで数年勤務されたのち、いまは岡山でご自身のクリニックを開業されて医療と教育の統合を「すこやか」という言葉を中心に追及しておられる。
ワクチンの副反応を事前に自分で検知できる「身体智」と、バイオレゾナンスの関係。フランスの産婦人科医ミシェル・オダンが「世界平和のための自然分娩」を提唱し、安産のためには「大脳新皮質」の働きを弱め、「古い脳」の活性化を強調したこと。天外が、それは安産だけでなくあらゆる人生に通じることだと直感的に感じたことから、教育問題に入っていったこと・・・などをお話しした。
1時間半では語り切れない多岐な内容になったので、混乱された方もおられたかも・・・
http://www.jcounselor.net/11interview/archives/2015/07/post_76.html 【深いフロー状態では、能力が飛躍的に伸び、運がよくなる?!】より
今回のインタビューは、フローインスティチュート代表で、ホロトロピック・ネットワークを主宰されている日本におけるフロー研究の第一人者、天外 伺朗(てんげ しろう)先生です。
天外先生は、42年間ソニーに勤務され、CD(コンパクトディスク)や犬型ロボットのAIBOなどを開発、商品化し、ソニーの役員まで務められました。
自由闊達で1人1人がイキイキと研究開発に没頭ができる「燃える集団」だった組織が、「ソニーショック」と言われるまでになぜ凋落してしまったのか、その原因を探求していく中で、自らの経験を元に「フロー経営」という経営手法を体系化されました。
現在では、企業経営者向けに社員1人1人の個性ややりがいを引き出すフロー経営を伝える「天外塾」を主催されています。
また、いわゆるブラック企業に相対する「ホワイト企業大賞」を創設し、社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を表彰する制度を作られました。
「働く幸せ」とは何なのか、「生きる幸せ」とは何なのか、どうすればそれを実現できるのか、天外先生にお話を伺いました。
「先生は日本におけるフロー研究の第一人者だと思いますが、フローについて簡単に教えていただけますか?」
フローというのは、無我夢中になって何かに取り組んでいる時に、特殊な精神状態になるということを、チクセントミハイ博士が発見し、それを学問的に研究しておられるわけです。
これは、すごく浅いフローから、至高体験と言いますが、宗教的な超越体験に至るまでのすごく深いフローまで、連続的にフローという現象があるのですけれども、一定以上の深いフローに入ると、奇跡が起きます。
技術開発プロジェクトの場合だと、エンジニアが皆スーパーエンジニア変身する。アイデアが湯水のように湧いてくる。それよりすごいのが、もうこれでダメかと思えるような状況に接しても怯まなくなり、何とか突破して行ってしまう。
それともう一つ、サイエンティフィックな説明ができないけれども「運がよくなる」というのが、僕が発見しているフロー現象ですね。スポーツの場合はゾーンと言いまして、これは練習の時よりもすごいプレーができるということがよく知られています。
「チクセントミハイとの出会い、それはいつ頃の出来事だったのでしょうか?」
2004年2月の末ですね。2003年にソニーショックというのがありましてソニーの株が暴落して、つられて日本中の株が暴落しました。それがソニーショックと言われています。
その2年ぐらい前から実はソニーがおかしくなっているのに気が付いていまして、人事部のカウンセラーが僕のところに来て「ソニー中がおかしくなってきた」と。当時、出井さんが会長をやっていたんだけれども「出井さんのカウンセリングをしないと、救えない」と言い出しましてね。
「どういうことですか?」
いろいろ聞いてみると、うつ病がものすごい勢いで増えているという状況だった。
僕自身はその頃、AIBOを商品化して、その後に二足歩行のロボットを開発していましてね。開発部隊が百何十人いましたけれど非常に燃えていて、良い状況にあったんですよね。だから、会社全体がおかしくなっていることに気が付かなかった。でも、友達なんかと話してみると、確かにおかしくなっていると。
僕が知っているソニーというのは、エンジニア達が目を輝かせて夢中になって仕事をする、という職場だったので、いったい何が起きているんだろうと、2001年頃から考えていたんですよね。
出井さんのカウンセリングというのはそんなに簡単には出来ませんので、ちょうどそのカウンセラーが河合隼雄のお弟子さんだったんです。それで、河合隼雄を呼んで、出井さんとインタビューをしてもらおうと。そのインタビューの中でカウンセリングをしてもらおうという案を出しましてね。
「カウンセリングですか?」
これは名案だと思ったんだけれど、そのカウンセラーの上には人事部長がいて、人事担当役員がいて、そういう個別インタビューみたいなのは出来ないとなって、結局、河合隼雄を呼んで講演会をやって終わりになっちゃたんだよね。
そこには出井さんも出てきましたけれど、カウンセリングみたいのは出来なくてね。結局そのままソニーショックに突入していったという事なんです。
ですから2年前には現象としては気が付いていたと。でも、何が原因なのかは僕自身もわからなかった。そのうちにチクセントミハイのフロー理論に出会って、これで全部読み解けるということがわかったんですよね。チクセントミハイの本を全部集めて、片端から読んでいった。
それで、2003年の秋頃かな。TED(テクノロジー・エンターテイメント・デザイン)カンファレンスというのがあると。今では有名になっていますけど、当時はそれほど知られてなかった。
TEDカンファレンスが始まる時に、ソニーの盛田昭夫がそれをお手伝いしていたんですよね。それでAV関係は全部ソニーがサポートしていたし、必ず役員クラスの人が出席していたと。丁度、前に出ていた人が退任したので、出井さんから電話が来まして「お前出ろ」と、言われたわけです。
僕はその時に研究所の設立準備をしていたので、「忙しいから嫌だ」って何回も何回も断っていた。そのうちにプログラムが来たら、チクセントミハイが話すという事がわかった。こういうのを共時性と言うんですけどね。
「シンクロですね?」
丁度その頃に、『運命の法則』という本を書いていて、第一章に「共時性を感じたらそれに乗っていけ」なんていうことを書きましたので、これは乗っていかなきゃという事で、すぐ出席を決めて。それから、八方手を尽くしてチクセントミハイとの昼食の約束を取り付けたんです。
講演の直前に昼食を食べた訳ですよ。場所がカリフォルニア州のモンタレーというところで海辺の大変風光明媚な場所ですけど。本人から事前に天ぷらが食べたいという希望が出ておりましてね。
モンタレーという町は、セラピストの方はご存じかもしれないけれども、エサレン研究所というのがあるんですよね。要するにニューエイジのメッカなわけです。
それから、スティーブジョブズが行ってたサンフランシスコ禅センターというのがあるんですけどね。ジョブズが行ってた道場とは違うけれどもその禅センターの道場があるわけです。
非常にニューエイジ的で東洋情緒が豊かで、日本料理屋がたくさんあるんですよね。海辺の町だから天ぷらも美味しい。ですが、そのうちに段々、その天ぷらがノドを通らなくなりまして。
「と、おっしゃいますと?」
その時にね、こちらはある企みを持ってミーティングに臨んでいたんですよ。それは、「フローに入ると運がよくなる」という事をチクセントミハイの口から言わせたかったのね。もし、彼がそれを言ったら、『運命の法則』のハイライトになる予定だった。
こっちはしたたかだったんだよね。単に会いに行ったんじゃなくて、そういう計算の下に、非常に悪い企みを持ってミーティングに臨んでいた訳。ところが、どうしても言ってくれないんですよね。
僕はコンパクトディスクやって、それからAIBOやNEWSというワークステーションをやったりして、毎回フローに入っていると。チームがフローに入る体験をしている訳です。そのたびに信じられないくらいの幸運に恵まれている訳です。だから、フローに入ると運がよくなるということが、僕の中では信念になっていると。
ところが、なかなか言ってくれない訳ですよ。「フローに入るとマインドがオープンになるから幸運になったような錯覚を起こすかもしれない」とかね。
でも、それでもしつこくいろんな事例を出して迫っていくと、最後には、「自分は学者だから、合理的な説明ができる範囲内でしかお話できない」「フローに入ったら運がよくなるなんてことを言ったら、私の学者生命が危うくなる」とまで言われちゃってね(笑)。
「せっかく行ったのに・・・」
これは天ぷら代が無駄になったかなということで、ちょっと食欲が落ちてきちゃったんだよね。
そのうちに彼が、「ここであなたと逢うのはものすごい共時性を感じる」と言い出したんですよね。
そこで僕はムカっとしましてね。共時性なんてちっとも合理的じゃない訳ですよね。彼はユング派ですから、それに抵抗がないのかもしれないですが、ちょっと前に合理性じゃなきゃ発言出来ないと言ったばかりなのに、共時性なんて言いやがってと(笑)。
ムカっとしてたんですけど、なぜ共時性を感じたかというと、彼が用意したパワーポイントの最初のスライドがソニーの設立趣意書だったんですよね。「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」というのを彼が用意していまして。
それで、講演に出ましたら、もちろん英語でしたけどそれがパッと出てきて、「これがフローに入るコツだよ」というところから講演が始まったんですよね。それでまた、ムカっときまして。
「それは?」
ソニーがおかしくなった原因はね、その頃は全部読み解けていましたけれど、基本的にアメリカ流の合理主義経営を入れたと。出井さんがジャック・ウェルチを追いかけちゃったんですよね。それで、能力給を入れて、その他にもいろいろな合理主義なやり方をあれこれ導入していました。
そうすると、例えば能力給というのは成果を上げたら給料を上げるよ、地位を上げるよと、もろに外発的動機に依存したマネジメントな訳ですよ。そうすると、内発的動機がベースになっているフローには誰も入れなくなる。
これは当たり前のことでね。そういうことがわかっておりまして。したがって、ソニーがおかしくなったのは、アメリカ流の合理主義経営を入れたからだということを思っていた訳ですよね。
であるにも関わらず、そのアメリカの地でアメリカ人がアメリカ人相手に合理主義経営と正反対のフロー経営の話をしましてね。その手本が創業期のソニーだと言ってしまった。これはムカっときますよね(笑)。結局、そこで怒ったことが僕が経営の方向に入っていく原因です。
「なるほど・・・」
『運命の法則』には、フロー経営の神髄みたいなことがちょこちょこ出てきた訳ですよね。それを見た日本経営合理化協会の人が「経営塾をやってくれ」と頼みに来たんですよね。
これもね、僕は何度も何度も断っていたのね。大体お前の所の会社の名前が気に入らない(笑)。合理化ってのは俺が一番嫌いなんだと。
そうしたら、その人が「実は中村天風を発掘したのは俺だよ」と、言ったんです。まだ誰も知られていない頃に膨大な録音テープを天風会から借り受けて、本を3冊作っていて、いずれも一万円ぐらいの本で、しかも一万部以上出たと。三億円売り上げてる訳よね。まあ、出版業界では信じられない話だと。
それから中村天風が経営の世界で非常に有名になってきて、皆が取り上げる様になってきたという話だったんで、そこまでやっている人だったらということで、経営塾を始めた。それが2005年ですね。
翌年から経営塾が“天外塾”という名前で始まりまして、それが結構評判を呼んで、神田昌典の当時の会社名でいうとアルマックとかね、日本能率協会とか、あっちこっちで呼ばれて天外塾をやるようになったんです。まだ僕はソニーの役員をやっていましたけれども、現役中からそんな事を始めていたんですよね。
http://www.jcounselor.net/11interview/archives/2015/07/10124.html 【スポーツもフロー経営も、“古い脳”を活性化することが必要!】より
「天外塾に岡田武史監督が来られたのですよね?」
神田昌典が主催する天外塾が2007年だったかな。その時に塾生として岡田武史が来たんですよね。当時彼は浪人中でして。どっちかというと管理型の経営が得意な人だった訳よね。
だからコルサドーレ札幌ではJ2にいたのを一年でJ1に上げてますし、その後、横浜Fマリノスに来て、二年連続でJ1で優勝させている訳です。就任した途端に、凄い実績を上げている訳ね。
それは、彼は非常に分析力の高い人で、例えば、点を取られることの60%はカウンターアタックだと。そうすると、その自分達が攻めている時に向こうの残っているフォワードがいると。そのフォワードの前、何メーターに一人、後ろ何メーター斜め何度のところに1人必ず残すということを実践すると、カウンターアタックでは点を取られない、という風なこと、そういう細かい事をたくさん作ってそれで勝利に導いていたんですよね。
ところが本人はそれに飽き足らなかったのね。J1で優勝するくらいだったら管理型で優勝できると。でも、とてもこれじゃ世界に通用しないってのはわかっていた。
「世界に通用しない?」
それはなぜかというと、例えばサイドを使えというと真ん中が空いててもサイドにボールを出すようになっちゃう訳ね。要するに指示命令に忠実になっちゃう。ある時に指示命令をすると、状況が変わっててもそれを守り続けると。これじゃあとても世界には通用しないと。もっと臨機応変に選手達が活き活きと出来るようにしなきゃいけない。
スポーツの世界ではフローの事をゾーンと言っていますけど、それを目指したマネジメントをしたいということで既にいろいろとやってこられたんですよね。中国拳法をやったり、座禅をやったり、気功をやったり。
「フローに注目されていたのですね?」
いろいろやっている中で、僕が、指示命令をしないで本人の自主的な意欲を大切にするという「フロー経営」を教えているということで参加してくれた。
その年の12月に岡田さんは日本代表監督になりまして、さっそくそれを実行し始めて。当時は新聞記事なんかにも出ていましたけどね。脳科学の話をして選手にひんしゅくを買ったとかね。これは僕がしゃべったことの受け売りだったと思うんだけどね。
僕は人工知能と脳科学を統合した学問を提唱してインテリジェンス・ダイナミクスという名前で付けて。その名前を付けた研究所の所長をやっていましてね。一応脳科学はプロな訳ですよね。
そしてその研究所をやっている時に、不思議なことに気が付きまして。我々は猿から人間に進化する時に、大脳新皮質というものがものすごく発展したわけです。わずか100万年の間に3倍ぐらい大きくなってる。そしてその脳科学の論文というのはほとんど新皮質に関する論文ばかりなんです。
ところが、新皮質の計算だとスポーツができないということがわかった。キャッチボールもバッティングもできない。要するにボールが通り過ぎても計算が終わらない。だから、スポーツというのは全部古い脳でやっているということがわかりまして。その話を最初の第一講でやったものだから、岡田監督は非常にのめりこんだ。
「これだ! と?」
新皮質の働きを弱めて古い脳を活性化するというのが、フロー経営のコツだし、スポーツでも同じことをやらないとうまくいかない。計算の遅い新皮質がスポーツでシャシャリ出てくると、イップスになるよという話をしたわけです。
だから、新皮質の働きを抑えて古い脳をガンガン活性化することが、スポーツでも必要だし、フロー経営でも必要なんです。その辺のからくりはスポーツとフロー経営と同じだよ、ということを言ったので、彼はのってくれました。
そして、彼は非常に頭のいい人だからものすごい工夫をしたんですね。例えば、基本的なポリシーとしては、シンプルにボールを回すパスサッカーを目指している。そうすると真ん中が空いててもドリブルをしないでボールを回しちゃう。
それをどうやって伝えたらいいだろうかと工夫したんですね。「真ん中が空いてたらドリブルをしろ」と言うと、これは指示命令になりますよね。指示命令になるとフローに入れませんが、スポーツではもっとダメなことが起きます。
その指示が頭に残っていると、ドリブルすべきかパスを出すべきか、ということを考える訳です。考えると0.1秒、0.2秒遅れる。これはサッカーでは致命的な訳です。だからそういうことを考えないで本能的に体が動くようにもっていかないといけない。そこで岡田監督が考えたのが「つぶやき作戦」ですね。
インタビュー写真
「それは、どんな作戦なのですか?」
「ドリブルできる時はドリブルしろ」なんてことは一言も言わずに、皆で試合のビデオを見ている時に、誰かがいいドリブルをすると「おっ、いいドリブルだな」とつぶやくんですね。
皆に聞こえるように、かつ、大きくない声で言わなきゃいけない。技術的に難しいですが、「つぶやき作戦」これは経営でも使えますよ。指示命令をしないかわりにつぶやく。そうすると、これは古い脳に直接入ってくるということなんですよね。
「古い脳に入れるのですね?」
古い脳と新しい脳ということで言うと、「勉強しろ」と言うと、子どもは必ず勉強しなくなる。なぜだかわかりますか。これは、NLPで読み解けますね。NLPでは、新しい脳皮質、古い脳皮質とは言いませんけど、古い脳、新しい脳ということの原理は踏まえている訳です。
NLPの中で「前提条件」というのがありますね。「勉強しろ」という言葉の前提条件は何か。「あなたは勉強しない人ですね」というのが前提条件になっている訳。そうすると「勉強しろ」という言葉は指示として新皮質に入る。
それに対して、前提条件は本人の意識と無関係の古い脳に直接入る訳ですよ。「勉強しろ」という言葉の背後に「あなたは勉強しない人ですね」というメッセージがあって、それは本人も意識していないうちに古い脳に直接入っている。「私は勉強しない人」ということで古い脳に入っちゃうと、直接行動に結びつきますから、勉強しなくなるという原理ですよね。
新皮質にいくら情報が入ってきても、古い脳との間にものすごいギャップがある。だから、行動にはつながらない訳です。これはNLPでちゃんと読み解ける話です。
指示命令というのはそういう要素があるわけです。指示命令をすると、必ずそれの反作用が出てくる。そういう意味で、今の企業経営というのは全部間違いだと思います。岡田さんはそこを非常に上手にインプリメントされて2010年のワールドカップがうまくいったというわけですよね。
「世間から批判されて、非常に苦労された時期がありますよね?」
ものすごく叩かれましたよ、僕も一緒に叩かれました。天外伺朗という怪しいのについているから岡田監督はおかしくなったと。僕以外に座禅の和尚様とか、その辺も一緒に叩かれましたけどね。岡田監督はオカルトだとか、そういう叩かれ方をしましたね。僕も一緒に叩かれて、おもしろかったけど(笑)。
ワールドカップに行ってから、ものすごく成績が良くなったので、マスコミが手の平を返したように褒め始めて、僕もその頃は毎週、週刊誌に登場しました。そのあたりから天外塾はものすごく人気を呼んできた訳です。
そんなことで、企業経営の一番根元にあるところから全部ひっくり返すというふうなことをやっています。
「CD開発やAIBOなど、ソニーの中でも傑出したお仕事をされていますが、他の方と天外先生の違いというのは、どんなところだと思われますか?」
今、教育環境をやっておりまして、自分を振り返るとよくわかってきました。
一つは、子ども時代に神奈川県の茅ケ崎市にいましたが、その頃の茅ヶ崎市には人家がほとんどなくて、松林だらけでした。その松林ごとに、子ども達がグループを作って、時には戦争もしますし、いろんなことをやっていたのです。
僕らのグループは、木の上に10人くらい乗れるようなハンモックを作り、そこが基地だったんです。学校が終わるとランドセルを放り投げてそこに行く。すると仲間がいて、ものすごく楽しい小学校3年から中学2年くらいまでの幼少期を送りました。
これは本にも書いておりますが、サドベリー教育という、遊び中心でたっぷりフローを経験している訳です。それが大人になってからフローに入れる、あるいはフローに入れるチームを作れる一番の大きな要因だったと思います。
「どんなお子さんだったのですか?」
それまで虚弱児童でした。広島で小学校にあがり、鹿児島に行き、それから茅ヶ崎に来たんですけれど、広島・鹿児島時代はしょっちゅう肺炎になったり熱を出して寝込んでいる虚弱児童だったんです。茅ヶ崎に行って森の中で育つようになってから、健康になりました。ですから、勉強もあまりできずに、運動もできずに、どちらかというと学校では落ちこぼれに近かったんじゃないかな。
「でも、たくさん遊んだのですね?」
いっぱい遊ばせてもらいました。
「それが今の教育に関する提言につなががっているのですね?」
そうですね。サドベリー教育の話を聞いた時に、これは一番必要なことだな、と直感的にそして体感的にわかりました。
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