きのこの毒

http://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/mame/mame01-5.html 【きのこの毒】より

きのこは秋の味覚の代表として、様々な種類が食用に供されています。しかし、その一方では毎年のように毒きのこによる中毒事故が発生していることも事実です。中毒の状況には、死に至るような致命的な症状から神経系の異常、胃腸系障害など種々の症状を引き起こすことが知られています。代表的な毒きのことしては、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジが知られていますが、その他中毒症状別の毒きのこは、下表に示した通りであります。それでは、いったいなぜ、きのこは毒を持つようになったのでしょうか…

 一般的に植物の場合は、動物から捕食されることによって受ける損傷を免れるために様々な植物毒を合成し、動物から捕食されないように防御を行っていると言われています。防御物質としての「毒」の場合、動物が食べてすぐに毒と分かるような成分だと言われています。つまり、食べられないように自分の身を守るための「毒」と言うことです。

 しかし、きのこの「毒」の場合、ゆっくりと効き目を現すため、すぐには毒と分かりません。一般的には、胃腸系の毒で約1時間、致命的なものでも体が反応するまでには6時間近くを要します。このような悠長な反応ではとても自分の身を守ることなどできません。それゆえ、きのこの「毒」の場合、きのこ本体を食べられないようにするための役割は持っていないのではないかと言われています。捕食を回避する目的を果たしていないとすると、いったい何のための毒なのでしょうか…?

 きのこは地球上の物質循環に無くてはならない存在であることは、良く知られています。つまり、植物や動物の死骸を分解して無機化し、土へ還す「分解者」としての役割を担っています。「分解者」であることからすると、共生関係にある植物が養分(動物の死骸)を吸収し易くするために、積極的に動物を死に追いやることも考えられなくはないのです。きのこを食することで動物が死に至る。このような企みの元で、きのこは毒を持つようになったのではないか? また、きのこの色のカラフルさには目を惹かれるものがあり、暗い森の中では目立つ存在と言えます。胞子の拡散(動物に食べられない場合は風で飛散)も兼ね、あえて動物に食べられることを前提に地上や樹上などに子実体を形成しているのではないでしょうか? きのこを見つけた動物がきのこを食べて(糞として胞子を拡散)、上手く死に至ればきのこの菌糸やバクテリアが死体を分解して土壌へ養分の形で還元し、それを植物が利用する。きのこの「毒」は、このようなしたたかな物質循環を考えて菌糸が身に付けたものなのかも知れません。さらに、きのこの本体である菌糸は「毒」を持つことで、その生育の場である地下や樹木内において、他の菌類との熾烈なテリトリー争いで優位に立つための手段を身に付けることができたのではないかとも考えられます。光のない地下の世界で、他の競合微生物とのサバイバルに打ち勝ち、地下の世界を制覇するためにきのこ(菌糸)の「毒」が役立っているのかもしれません。

(略)

https://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-12759 【おや、まあ!キノコ 13)キノコの毒は、なぜあるのか?】より

 最近出た毒キノコの図鑑では、これまで食べられるとされてきたキノコのうち、実に40種類余りに、有毒成分が含まれるか、実際に症状が出たことが、記されています。

 キノコに含まれる化学物質の詳細な分析や、中毒事例のデータの収集がすすめられてきて、身近なキノコの想像以上に怖い面が、明らかになってきました。

 でも、食用とされてきたキノコで、これまで中毒事例が大きな問題にならなかったのは、なぜか? 多くは加熱したり、湯がいたりすることで、毒がそのまま体内に入ることが稀れだったからでした。そのなかでも、中毒事例の情報が収集されて、一部では加熱不足などから、軽度の中毒は起こってきたことが明らかになっています。

 写真1枚めは、オシロイシメジ。よく食べられてきましたが、胃腸の中毒を起こすことや、変異原性の物質をふくむことがわかってきました。

 写真2枚目は、ナラタケ。北日本で良く食べられてきた代表的なキノコです。最近、4、5種にくわしく分類され、そのなかには加熱が不十分だと胃腸を壊す種類があることが分かってきました。

 こうなると、キノコの大半は、人間などにとって有害な毒物が含まれると考えてしまっても、まちがいではなくなります。実際に、いま判明している食用になるキノコのうち、毒性分が検出されていないものは、わずか数十種にまで、減ってきています。

 全体は5000種ともいわれています。判明している完全無毒な食用キノコは、ごくわずかなのかもしれません。

 問題は、従来の経験だけで野生のキノコを採集している方々が、これらの、新しいキノコについての情報や動向を知らないままでいることです。

 図鑑も、うんと古いものに頼っては、不意打ちをくらいかねません。

 で、本題です。

不思議なのは、なぜキノコと毒性分は、これほど切り離しがたいのか? ということです。

 キノコの毒は、なぜキノコにあるのか?

 研究の最中の問題なのだと思いますが、1つは、キノコは生きるための栄養を、他の動植物から吸収する生活をしていることと、関係があるらしい。

 栄養を奪う相手は、植物の木や草だったり、木の内部にいる微生物だったり、死んだ虫や動物の排泄物だったりします。

 キノコ(本体の菌糸)は、体からさまざまな化学物質を出して、周囲のそれらの生物とその死骸を分解し、得た養分を吸収している。

 キノコの毒のうち典型的なものに、生体の細胞を壊す細胞毒というものがあります。食べた人の胃も、細胞がやられる。テングタケの仲間のように、肝臓の細胞を激しく壊す毒物もある。

 もしかしたら、神経毒をもつキノコは、近寄ってきた小虫や微生物にその毒を接触させて、動けなくしているのかも。

 2つめの毒の目的は、キノコがその毒で身を守っているということです。

 確かに、牧草地などでは、牛が食わない雑草だけが繁茂しちゃう例があります。

 最近死者がでたカエンタケの場合は、食べると死をまぬかれないだけでなく、触った指もただれるほどの、強い毒性があります。

 毒をもって、捕食者を撃退する。

 私は、キノコは、生物多様性の基盤になって、地球の自然をささえている存在と感じています。しかし、森の分解・更新役としてのその実際の姿は、なかなかおぞましい面さえあるように感じます。

 相手は10億年以上も前に地球に登場して、現在の環境を生み出しつつ、生き抜いてきた、つわものです。

 名前を確定できないキノコに接するときは、ゆめゆめ、ご用心を。

 (この記述は、次の文献を参考にしました。

 「日本の毒きのこ」長沢栄史 監修、学研、

 「特別展オフィシャルガイドブック 菌類のふしぎ」国立科学博物館)

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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