沈黙の春〜レイチェル・カーソンの警告〜

Facebook・兼井 浩さん投稿記事

■沈黙の春 〜レイチェル・カーソンの警告〜

環境保護運動の古典といわれる『沈黙の春』を著し、人工化学物質による環境破壊に対し警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソン。DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し、訴えたカーソン。

現在、地球の環境破壊を防ごうという運動は世界中で定着し、多くの人が大なり小なり環境のことを意識して暮らしていると思います。

この環境保護運動が始まるきっかけとなったのが、レイチェル・カーソンという人物なのです。

彼女は小さな頃から父親の営む農場で自然に触れ、教師である母親の元で読書に熱中しながら育ちました。

読書好きが高じて作家になろうと思ったレイチェルは、大学で英文学を学びますが、生物の授業でその面白さに魅せられ、生物学者への道を選びます。

しかし、当時は生物を学ぶ女性は少なく、学校でも紅一点という状況だったのだそう。

卒業後、レイチェルは政府の漁業局に勤めながら短編作品を執筆。それが出版されると、長編作品にもとりかかり、長編2作目「われらをめぐる海」がベスト・セラーとなります。

この成功で、彼女は作家に専念することになりますが、ある日、鳥獣保護地区を管理していた夫婦からの手紙で、政府が蚊の撲滅の為に撒いた農薬(DDT)のせいで、その島の生物がほぼ全滅してしまったことを知ります。

そこで彼女はこの問題を広く提議する為に、全国の講演会でDDTの散布の危険性について説いてまわりました。

そして1962年、彼女は国を巻き込む一大ムーブメントを作ることになる著書「沈黙の春」を発表したのです。

DDTの問題を告発したこの本が出版されると、どのメディアもこの問題を取り上げ、化学薬品業界はレイチェルとこの本をつぶす為に"アンチ・沈黙の春"キャンペーンを展開。しかし、この盛り上がりが一層この作品を世間に広めることとなり、ついには政府がこの問題についての調査を開始し、DDT(農薬、殺虫剤)の有害性を認め、この使用を全面的に禁止するまでに至ったのです。

ちなみに「沈黙の春」とは、農薬のせいで生物が死に、春なのに鳥の鳴き声が聞こえず、自然は沈黙してしまったことを表すタイトルです。

その後も世界では環境保護に対する意識が高まり、アース・デイや国連人間環境会議などが開催されることとなりました。

環境問題に熱心に取り組む、元米国副大統領のアル・ゴア氏は、「『沈黙の春』がなかったら、ひょっとすると環境運動は始まることはなかったかもしれない」とまで述べています。

それだけ、彼女の残した功績は大きいのです。

環境保護を訴えてきた彼女の自然を愛する気持ちは、この名言にも表れているのではないでしょうか。

"It is not half so important to know as to feel."

『「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないのです。』

地球の美しさ、自然の美しさを感じることによって人の心は豊かになる。

本で読んで自然を知るよりも(もちろんそれも大切なことですが)、実際に触れて自分の目や耳や鼻、手を使って自然を感じることの大切さを伝えたい、そんな彼女の思いがひしひしと伝わってくるようです。

ただ環境問題を訴えるだけでなく、美しい言葉で自然を描写している彼女の著書、手に取る機会があれば読んでみてはいかがでしょうか。

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レイチェル・カーソンの警告

■沈黙の春 〜レイチェル・カーソンの警告〜 2014年放送

環境保護運動の古典といわれる『沈黙の春』を著し、人工化学物質による環境破壊に対し警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソン。没後50年を迎えるにあたり、彼女の言葉に改めて光をあてます。『沈黙の春』が出版されたのは1962年。

「ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぷるぷるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。病める世界 - 新しい生命の誕生をつげる声ももはやきかれない。すべては、人間がみずからまねいた禍いだった」

DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し、訴えたカーソン。彼女の警告を受け、危険な農薬類は禁止に向かいましたが、人類はいまだ他の生物や自然に対し破壊的行為を続けています。環境ホルモン、原発事故による放射能汚染など、問題はむしろ拡大しているのではないでしょうか。環境破壊に警鐘を鳴らす番組を通して、彼女の思想をあらためて振りかえりましょう。

彼女の意志は、「人間は自然に対して謙虚であれ」と、今に生きる私たちに普遍的なメッセージとして訴えてきます。

■動画:下記の1999年に放送された二つの番組を紹介しています。

「未来潮流 地球と生命のために〜環境運動の先駆者レイチェル・カーソン〜」

「世紀を越えて 地球 豊かさの限界 第3集 それはDDTから始まった」

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■カーソンが亡くなる2年前、1962年に出版された「沈黙の春」。

アメリカのとある町。

春がくると、緑の野原のかなたに白い花のかすみがたなびき、秋はカシやカエデやカバが燃えるような紅葉のあやを織りなし松の緑に映えて目に痛い。渡り鳥が洪水のように、あとからあとへと押し寄せては飛び去る。ところがあるとき、どういう呪いをうけたのか、この自然豊かな町に暗い影がしのびよった。いつもだったら、コマツグミ、ネコマネドリ、ハト、カケス、ミソサザイの鳴き声で春の夜が明けるのに、いまはもの音一つしない。野原、森、沼地-みな黙りこくっている。春がきたが、沈黙の春だった。

沈黙の春の原因を追及。このままだとやがて人間のからだも蝕まれていくと警鐘を鳴らしています。

■そ上にあげた化学物質DDT。

日本でも戦後、GHQによって導入されたことにより、発疹チフスの患者は1年で30分の1に減りました。世界中で1億人の命を救った奇跡の薬品といわれ、この殺虫効力を発見した科学者はノーベル賞を受賞したほど。そのDDTをカーソンが「危険だ!」と書いたものだから、化学薬品企業などを中心とした産業界、体制側の科学者から激しいバッシングを受けました。しかし、彼女の警告を真摯に受け止めたケネディ大統領が英断を下し、諮問委員会に調査を命じたことによって流れが変わりました。

たった一人の女性が書いた一冊の本が大統領を動かしたのです。

環境保護に対する市民の意識が高まったアメリカでは1970年にアースデー、公害抗議運動の大きなうねりが巻き起こります。1972年にはストックホルムで国連人間環境会議が開催。同年、DDTは使用禁止となりました。

カーソンの精神は、20年後のリオデジャネイロ地球サミット、そして2012年リオプラス20へと受け継がれています。

しかし、今日、環境汚染がなくなったかというと、残念ながらそうとは言えません。DDTなど残留性の高い物質は、使用をやめても長く環境中にとどまり続けます。外因性内分泌かく乱物質、いわゆる環境ホルモンの問題は解決していませんし、オゾン層の破壊、放射性廃棄物の処理問題等、豊さと利便性を追及した20世紀の負の遺産は膨大です。

どうしたら環境破壊をくいとめることができるのでしょうか。

カーソンは、最終章に「べつの道」と題して、我々は如何に生きるべきか、示唆を与えてくれています。

べつの道

私たちは、いまや分かれ道にいる。

長い間、旅をしてきた道は、すばらしい高速道路で、すごいスピードに酔うこともできるが

私たちはだまされているのだ。

その行き着く先は、禍いであり破滅だ。

もう一つの道は、あまり(人も行かない)が、この分かれ道を行くときにこそ、

私たちの住んでいるこの地球の安全を守れる、

最後の、唯一のチャンスがあるといえよう。

※引用「沈黙の春」新潮社刊 青樹簗一訳


https://www.nhk.or.jp/archives/nhk-archives/past/2014/140413.html 【沈黙の春〜レイチェル・カーソンの警告〜】より

沈黙の春〜レイチェル・カーソンの警告〜総合 4月13日(日)午後1:50〜3:00(70分)

沈黙の春〜レイチェル・カーソンの警告〜

沈黙の春〜レイチェル・カーソンの警告〜

環境保護運動の古典といわれる『沈黙の春』を著し、人工化学物質による環境破壊に対し警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソン。4月14日、没後50年を迎えるにあたり、彼女の言葉に改めて光をあてる。『沈黙の春』が出版されたのは1962年。

「ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。ぷるぷるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。病める世界 - 新しい生命の誕生をつげる声ももはやきかれない。すべては、人間がみずからまねいた禍いだった」

DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し、訴えたカーソン。彼女の警告を受け、危険な農薬類は禁止に向かったが、人類はいまだ他の生物や自然に対し破壊的行為を続けている。地球温暖化、環境ホルモン、原発事故による放射能汚染など、問題はむしろ拡大しているのではないか。レイチェル・カーソンを紹介した番組や環境破壊に警鐘を鳴らす番組を通して、彼女の思想をあらためて振りかえる。

ゲスト

北野大(淑徳大学総合福祉学部教授)

キャスター

桜井洋子アナウンサー

「未来潮流 地球と生命のために〜環境運動の先駆者レイチェル・カーソン〜」(1999年1月30日放送/74分<ETV>) ※一部抜粋

作家の松本侑子さんとレイチェル・カーソン日本協会の上遠恵子さんが、アメリカのカーソンの故郷を訪ねて、その思想のもととなった「自然観」を探り、カーソンの後を継いで環境保護運動を主導する女性たちと話し合う。

語り:小林恭治

出演:松本侑子(作家) 上遠恵子(レイチェル・カーソン日本協会理事長) シーア・コルボーン(『奪われし未来』著者) ロジャー・クリスティ(レイチェルの甥)

NHKスペシャル「世紀を越えて 地球 豊かさの限界 第3集 それはDDTから始まった」(1999年2月21日放送/59分<ETV>) ※一部抜粋

人々の生活を一変させた人工化学物質。自然界にはない物質が次々と開発され、その数およそ1600万にのぼる(1999年当時)。人工化学物質がもたらした光と影について警鐘を鳴らす。

語り:松平定知 上田早苗

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