門を出て出会い頭に年の神

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https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01094/ 【2022年の干支「壬寅」はどんな年になる? 循環する暦、420年前の日本に見つけた希望】より

歴史学者・東洋古代思想史研究家 村上瑞祥

2022年の干支は壬寅(みずのえ・とら)、冬が厳しいほど華々しく生まれる年に

2022年の干支は壬寅。トラは十二支の中でもタツと並び四聖獣に列している

2022年の干支は「壬寅(みずのえ・とら)」である。果たしてどんな年になるのだろうか。

干支で何が分かるのかと思われるだろうが、もともと干支は世の理(ことわり)を知り、未来に備えるために生み出された暦のシステムである。

干支はそれぞれに意味がある。それによると「壬寅」は「陽気を孕み、春の胎動を助く」、冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる年になるということらしい。

今回は、2022年の干支「壬寅」が指し示していることを解き明かしながら、干支と相対するまた別の暦と照らし合わせ、ちょうどすべてが重なった420年前の日本でどんなことが起きていたのかもご紹介しよう。

十干は太陽、十二支は月を象徴とした生命循環、干支は2つの「神の意志」を組み合わせたもの

陰陽道の大極図は、陰陽という2局が対立している形を表している。この図柄は家紋にも採用され、二つ巴と呼ばれている

陰陽道の大極図は、陰陽という2局が対立している形を表している。この図柄は家紋にも採用され、二つ巴と呼ばれている

まずは干支のシステムについて簡単にご紹介する。干支は中国の古い思想である陰陽五行説を礎にした、60年周期で繰り返す暦である。

陰陽五行説とは、世の中のすべては、それぞれ独自の性質を持つ5種類の元素「木・火・土・金・水」に分類され、「陰」と「陽」に分かれるという思想である。もちろん干支も五行、そして陰陽に影響される。

干支は、十干(じっかん)と十二支の組み合わせでできている。

十干は太陽を象徴とした生命の循環を表している。「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類あり、1番目の「甲」は草木の芽生えを、10番目の「癸」は落ちたタネが土の中に潜ることを意味する。そしてまた1番目に戻って繰り返す。

十二支は月を象徴とした生命の循環を表している。「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類あり、1番目の「子」は生命の種子が宿ることを、12番目の「亥」は次世代のタネの中に生命力が閉じこめられることを意味する。これもまた1番目に戻って繰り返していく。

この2つを組み合わせ、「甲子」「乙丑」「丙寅」といった具合に順番に並べたのが干支である。1番目の「甲子」から始まって、60番目の「癸亥」で終わり、また初めにかえって繰り返す。これが還暦と呼ばれる所以だ。

古代人たちはこの生命の循環に神の大いなる意思を見た。干支とは、この2つの神の意志を組み合わせる「二元論的手法」によって世の理を解き明かそうとしたものなのである。

陰陽道の大極図は、陰陽という2局が対立している形を表している。この図柄は家紋にも採用され、二つ巴と呼ばれている

干支とは、十干(じっかん)と十二支の組み合わせのこと

二元論的世界観や循環する暦のシステムは世界中で見られる

二元論とは、異なる2つの原理で物事を解明しようとするもので、古代人たちが二元論的世界観を持っていたことは広く知られている。中国の陰陽思想をはじめ、インドの神秘主義やゾロアスター教、グノーシス主義などもそうである。

またこのような循環する暦のシステムは、何も東洋に限ったことではなく、アイルランドの古代ケルト暦、古代ローマ帝国のユリウス暦、古代エジプトでも見られる。

例えば、エジプトのアブシンベル神殿では、毎年2月22日と10月22日の2日だけ、最奥に安置されている第19王朝ラムセス2世の像に朝日が当たる。この神殿が建造されたのは紀元前1,300年頃だが、それよりはるか以前から詳細な気象学の知識を持っていたとされる。

古代エジプト人たちは、日差しの角度の変化や季節の移り変わりなどから、太陽もまた循環していると結論付け、死と再生を繰り返す循環思想、太陽神ラーの信仰を生み出したのである。

エジプト南部、ラムセス2世の事績を称えるために建造された石山をくり抜いた巌窟大神殿「アブシンベル神殿」。1960年代にアスワン・ハイ・ダムの建設に伴い移築された

エジプト南部、ラムセス2世の事績を称えるために建造された石山をくり抜いた巌窟大神殿「アブシンベル神殿」。1960年代にアスワン・ハイ・ダムの建設に伴い移築された

陰陽五行説から見る「壬寅」の意味、「陽気を孕み、春の胎動を助く」

西の地平線に太陽が沈むと東の空に月が登る。古代人から見れば、さながら月は太陽の化身に見えたのかも知れない

西の地平線に太陽が沈むと東の空に月が登る。古代人から見れば、さながら月は太陽の化身に見えたのかも知れない

それでは2022年の干支を読み解いていこう。「壬寅」は、十干が「壬(みずのえ)」、十二支が「寅(とら)」である。これらが何を意味しているのか。古代人が神の意志を推し量るために用いてきた二元論的手法を用いて考察してみる。

1. 陰陽五行説から見た「太陽を象徴とした生命循環(十干)」と「月を象徴とした生命循環(十二支)」が表していること

2. 言葉には天意が宿るという思想「干支の文字の形(象形)」と「干支の文字の音韻(納音)」が指し示していること

まずは、陰陽五行説から見た「太陽を象徴とした生命循環(十干)」と「月を象徴とした生命循環(十二支)」が表していることについてである。

「壬」は十干の9番目、生命の循環で言えば終わりの位置に近く、次の生命を育む準備の時期を表している。

「壬」の文字の意味は「妊に通じ、陽気を下に姙」、厳冬を耐えて内に蓄えた陽気で次代の礎となること。土の下で芽が膨んで土がぐんと盛り上がっている様子、もしくは生き物が子孫を残すための繁殖期をイメージすると理解しやすい。

「壬」は「みずのえ」、陰陽五行説では「水の兄」と表記し、これは「水の陽」を意味する。ちなみに水の弟もある。「癸」は「みずのと」で「水の弟」と表記し、「水の陰」となる。

五行の「水」は静寂、堅守、停滞、冬の象徴である。「陽」は激しいとか大きいといった意味である。つまり「壬」は、厳冬、静謐、沈滞といったことを表している。

「寅」は十二支の3番目で、生命の循環で言えば初めの位置に近く、誕生を表している。

「寅」の文字の意味は「螾(ミミズ)に通じ、春の発芽の状態」、豊穣を助けるミミズが土の中で動き、芽吹きが始まった状態。暖かくなって虫たちが動き出し、春の胎動を感じさせるイメージである。

「寅」は陰陽五行説では「木の陽」に分類される。五行の「木」は成長、発育、誕生、春の象徴である。つまり「寅」は、強く大きく成長するといったことを表している。

これらが十干と十二支がそれぞれ意味するところだが、問題は組み合わせである。五行では関係性によって、お互いを打ち消し合ったり、強め合ったりといったことが起きる。

「壬」と「寅」の関係は、「水生木」の「相生」と呼ばれる組み合わせで、これは水が木を育み、水が無ければ木は枯れる。つまり「壬」が「寅」を補完し強化する関係となる。

これらを合わせ考えると、陰陽五行説から見た2022年の干支「壬寅」は、「陽気を孕み、春の胎動を助く」、冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれることを表している。

西の地平線に太陽が沈むと東の空に月が登る。古代人から見れば、さながら月は太陽の化身に見えたのかも知れない

2022年の干支「壬寅」は、「陽気を孕み、春の胎動を助く」

言葉には天意が宿るという思想、「壬寅」の文字の形と音韻が指し示すこと

次に「干支の文字の形(象形)」と「干支の文字の音韻(納音)」が指し示していることを見ていこう。十二支に当てはめられた文字の形と音韻にも意味がある。

東洋思想では、言葉に天意が宿ると考えられてきた。言葉を形にしたのが文字であり、口から発するのが音韻である。

「壬」という漢字は、鍛造する台を表した象形文字である。そこから支える、担うといった意味が派生した。

「寅」という漢字は、弓矢を両手で引き絞る形を表した象形文字である。もともとは、引っ張るや伸ばすといった意味で使われていたが、矢が放たれる準備段階を示していることから、「動き始め、胎動」といった意味が派生した。

口から発する音韻は、「納音(なっちん)」で分類される。納音とは、干支や風水と同じく陰陽五行説を礎にしたもので、中国語の音韻理論で干支を整理したものである。干支は60種類で納音は30種類のため、干支2つに納音1つが割り振られている。

「壬寅」の納音は「金箔金(きんぱくきん)」である。これは金箔に使われる微量の金を意味し、他者を引き立てるがそのままでは自身は薄いまま。しかし本来は金であり、素晴らしい資質を持っているのだから、実力を養うべく己を磨くことが成功につながるという意味である。

つまり「壬寅」という言葉は、春の胎動が大きく花開くためには、地道な自分磨きを行い、実力を養う必要があるといったことを指し示している。

人類は金が好きである。世界中の遺跡から金の装飾品が出土し、様々な宗教の神像・仏像は金を纏っている。黄金の輝きは神秘に包まれているのだろう

人類は金が好きである。世界中の遺跡から金の装飾品が出土し、様々な宗教の神像・仏像は金を纏っている。黄金の輝きは神秘に包まれているのだろう

循環世界で未来を知るための標、地上の理「干支」、天の理「二十八宿」

冬の星座の代表格オリオン座。その歴史は古く、古代メソポタミア文明を作ったシュメール人が「アヌの真の羊飼い」と名付け、その原型となった

冬の星座の代表格オリオン座。その歴史は古く、古代メソポタミア文明を作ったシュメール人が「アヌの真の羊飼い」と名付け、その原型となった

さてここまでは、2022年の干支「壬寅」についての考察を行ってきたが、干支が地上の理を知るための暦とすると、天の暦も存在する。そのひとつが「二十八宿」である。ここでも古代人に倣い、「天」と「地」という二元論的手法で考察をしてみよう。

二十八宿とは黄道を、「東方青龍」「西方白虎」「南方朱雀」「北方玄武」に4分割し、さらにそれぞれを7宿に等分。4×7=28宿として天の理を知ろうとしたものである。

二十八宿も干支と同じように、暦の上で年・月・日にそれぞれ当てはめられる。それによると2022年は「参宿(しんしゅく)」にあたり、これは西方第7宿のオリオン座の3つ星のことである。

「参宿」は「西方白虎」の7番目で、宿曜占星術の原典に「怒を嗜み、口舌毒害を好む」とされるほど激しい性質を表している。その激しさは、多くの事柄にポジティブに立ち向かい、何事にも好奇心旺盛に取り組むという本性も併せ持っている。

ちなみにオリオン座の3つ星は、和名で「親荷星(おやにないほし)」、「親孝行星(おやこうこうほし)」とも呼ばれている。真ん中の息子星が両方の親星を担いで旅をする姿に見立てられ、婚礼と旅行は吉で、葬儀は凶とされる。

これらを総合しまとめてみると、「壬」陽気を孕み厳冬を耐え、「寅」春の胎動を、「金箔金」本質的な実力を養いながら、「参宿」何事にも好奇心を持ってポジティブに進めば、華々しい成果が期待できる、希望にあふれる年になるということになろう。

さてこの天と地の暦は、60と28の最小公倍数の420年周期で巡る。歴史は繰り返す、世の理は繰り返すのが循環思想である。果たして420年前の「壬寅」「参宿」が重なった年にはどんなことが起きていたのか。実はまさに苦しい時期を越え、華々しい時代へと進む胎動の年であった。

金も薄ければ儚し、大望の夜明け前は深く蠢く

2022年の420年前、1602年という年は江戸幕府の成立前夜である。

史料で1602年(慶長7年)の項目を見ると、方広寺大仏殿消失、東インド会社設立、徳川頼宣初代紀州藩主就任、本願寺の東西分裂という記述が目に付く程度で、日本史の授業で習うような特筆すべき事柄はあまり無い。

しかしこの時期はちょうど関ヶ原から大坂夏の陣までの暗躍期であり、豊臣から徳川新時代へと移行するための、数々の布石が打たれた胎動の1年であった。

消失した方広寺は、豊臣家に縁が深い寺であった。豊臣秀頼が亡き父、秀吉の法要のために全国六十六州から集めた巨木で大仏殿を建設していたのだが、あと少しで完成というこの年に、金箔押しのための銅流しの作業ミスで焼失してしまう。

この後、10年の歳月と、巨木銘木や大量の金箔など巨額の資金を浪費し、再度大仏殿を建立したが、その完成法要をきっかけに鐘銘事件が起き、歴史は冬の陣へと動いていく。

徳川家はというと、月陰の朝に日輪が登るが如く、その先に続く栄華の時代の幕開けのために着々と準備を進めていた。翌年には天皇家から征夷大将軍に任じられ、その後260年以上も続く安定した時代へと向かう、まさに夜明け前の年だったのである。

徳川家康という人物は、非常に好奇心の旺盛な人であったそうだ。江戸時代の正史である徳川実紀に「三浦按針を近くにおき、幾何学や数学を熱心に学ばれ」という記述がある。齢60を過ぎてからも、西洋数学という未知の学問に邁進したというのには驚かされる。

420年前の日本では、まさに金も薄ければ儚し、大望の夜明け前は深く蠢き、苦しい時代を抜けた先には大きな希望が続いていたのである。

歴史にも二元論的な側面がある。勝者と敗者、為政者と国民、冨貴者と貧賎者、しかしそれらもまた循環する。世の理は繰り返すことにある。絶えず勝ち続けられる者もいなければ、永続的に続く王朝も存在しない。辛く厳しい冬はいずれ終わり、暖かい春が来る。冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる。それが「壬寅」である。

三浦按針、本名ウイリアム・アダムスはオランダ船リーフデ号の航海士。1600年に日本に漂着、家康に気に入られ、外交顧問として仕官した。按針祭の起源は、この地で日本初の洋式帆船が建造されたことによる

三浦按針、本名ウイリアム・アダムスはオランダ船リーフデ号の航海士。1600年に日本に漂着、家康に気に入られ、外交顧問として仕官した。按針祭の起源は、この地で日本初の洋式帆船が建造されたことによる


コズミックホリステック医療・現代靈氣

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