https://minamiyoko3734.amebaownd.com/posts/16626689/ 【ほととぎす】
http://www.basho.jp/senjin/s0905-1/index.html 【郭公(ほととぎす)声横たふや水の上
芭蕉(藤の実)】より
初夏の隅田川、ほととぎすがするどい声を残して飛び去った後も、その声は水の上にゆたかに広がりまるで横たわってでもいるかのように波にたゆたうことだ、という意。「郭公」つまり閑古鳥を「ほととぎす」と読むのは和歌の習いだが、ここは時鳥(子規、不如帰、蜀魂)である。
元禄六年四月二十九日付、大垣の荊口宛て書簡でこの句の作句事情を知ることができる。手紙によれば芭蕉はこの春、猶子桃印を病気で亡くし断腸の思い止み難く、精神もくたびれ、花の盛り、春の行方も夢のようで句も出来なかった。夏になりほととぎすが啼きわたるようになると、人々はそれを句に詠む。しかし自分は蜀の望帝が旅先で死去したとき、その魂がほととぎすになった故事を思い出し、桃印のことが一入悲しく思われるので、ほととぎすの句は作らないと決めていた。そこへ「愁情なぐさめばやと、杉風、曽良、水辺之ほとゝぎすとて、更ニすゝむるにまかせて」、ふとできた句という。「赤壁賦」(蘇東坡)の一節「白露江ニ横タハリ…」を踏まえた点を味わってほしいとも書いている。このとき芭蕉は「同じ心」でもう一句、「一声の江に横たふやほとゝぎす」を詠んだ。そして「ふたつの作いずれにや」と決めかねているところに、沾徳や素堂、安適などが来て、「水の上」に決まったという。(以上、荊口宛書簡)。しかしこれを聞いた許六は強く反対し「一声のかた勝れりと思へるなるべし」(『篇突』)と云っている。さらにこれに対し、去来がまた反論している。(『旅寝論』)。
先日、作句の現場を見たいと思い深川に出かけた。この句は江戸時代以来人々に好まれなかったのか句碑が見つからない。平成九年に芭蕉記念館に隣接する隅田川テラスに、九枚の句碑プレートができ、その一枚に入っている。心地よい川風の遊歩道、水ぎわから一メートルくらいのその句碑の傍に立つと、隅田川はきらめく大河である。この河の上を声を残して飛び去るほととぎすを想像する。確かにその声は水の上にひろがり、消えがたく横たわりただようであろう。和歌の代表的な題である「ほととぎす」は芭蕉の句に多く、およそ二十六句を数える。なかでもこの句は、世を去ってまだ一ヶ月の桃印への想い、死者の魂の鳥であるほととぎすへの思いを抜きにしては語れないであろうと強く感じた。
https://nomado.exblog.jp/8023295/ 【郭公声横たふや水の上】 より
郭公(ほととぎす)声横たふや水の上 芭蕉 ホトトギスは時鳥、郭公、子規などと書く。
「声横たふ」は大川の水の上に漂う鳴き声の余韻。ホトトギスは春のウグイス同様に初音が待たれた。高い鳴き声は「特許許可局」と聞こえる。
坪内稔典「季節のたより」毎日新聞5月28日
野草から野鳥まで関心が広がり、面白い。先般、長野に行った折り、バードウォッチャーが犇めき、やや辟易したが。大カメラを持ち、奥さんが助手というコンビも多かった。
巣箱から、野鳥が飛び立つ瞬間を狙っていた。コンパクトデジカメでは、なかなか。
先般のヤマガラも瞬間だった。花よりも夏鳥ねらうカメラマン 野窓
https://ameblo.jp/sawara20052005/entry-12592478455.html 【俳句 芭蕉 郭公声横たふや水の上 】 より
『名句鑑賞 十二か月』(井本農一/小学館)より選句
芭蕉 郭公(ほととぎす)声横たふや水の上
The call of Bird-Hototogisu spreads over water.
川面を横たわるものは、ほととぎすの声。その声は、夏の季節の訪れを感じさせる。
芭蕉は、手紙の中で、この句について次の蘇東坡の漢詩「赤壁賦」に触発されて作ったとする。
「赤壁賦」は、白い露が川面を覆い、月光に照らされたそのきらめきは、天の星々と接して、赤壁は幻想的な景色となる。
蘇東坡 赤壁賦 〈抜粋〉
壬戌之秋 七月既望 蘇子與客泛舟 遊於赤壁之下 清風徐来 水波不興 挙酒蜀客 誦明月之詩 歌窈窕之章 少焉月出於東山之上 徘徊於斗牛之間 白露横江 水光接天
壬戌(じんじゅつ)の秋 七月既望(きぼう)Autumn of the year-Jinjutu(AD 1082)July 16
蘇子(そし)客と舟を泛(うか)べて 赤壁の下に遊ぶ
I float a boat with a guest and play around the Red-Cliff.
清風徐(おもむろ)に来りて 水波興(おこ)らず
A refreshing wind blew slowly.But there are no waves on the surface of the water.
酒を挙げて客に蜀(すす)めて 明月の詩を誦し
I encourage the guest to drink.and I sing a poem-Meigetu.
窈窕(ようちょう)の章を歌う 少焉(しばらくに)して月東山の上に出でて
When I sing the chapter-Youchou of this poem,after a while the moon appears on the east mountain.
斗牛の間に徘徊す 白露江に横はり 水光天に接す
The moon moves between Star-Sagittarius and Star-Capricorn.The white dew spreads over water.The brightness of the surface of the water is in contact with the heaven.
0コメント