カラスウリ

http://morinosijima.cocolog-nifty.com/hisakaki/2016/10/post-d54f.html 【カラスウリ】より

家の近くの雑木林で、カラスウリの赤い実を見つけた。カラスが食べるのでこの名がついたという4、5センチほどのだ円状の実。薄暗い葉陰にひっそりと姿を隠している。ワット数の小さな豆電球が、ほんのり辺りを照らし出しているように見える。

♪まっかだな/まっかだな/からすうりってまっかだな……。

唱歌『まっかな秋』にある。真っ赤に色づいたウリというから、果実を連想する人もいようが、食べられない。歌では「まっか」となっているが、実際はだいだい色に近い。晩秋の夕暮れ、たぶん夕日に照らされて真っ赤に映ったのだろう。

先端に実をつけたつるを引っ張ってみる。引いても引いてもなかなか実に届かない。

<つる引けば遥かに遠しからす瓜>(抱一)。

高浜虚子には<蔓切れてはね上がりたる烏瓜>というのもある。つるが長いからたぐり寄せるのが結構難しいのだ。

<殿り(しんがり)の秋の赤さや鴉(からす)瓜>(尾崎迷堂)。

毎年、この実が熟すと、冬の訪れを思う。暦のうえでは冬に入っている。けれども、実際には冬に向かって二歩進み、一歩秋に後ずさりしているという感じだ。ブリ起こしのあとも小春日和が続いている。日本の季節はなだらかな曲線をたどって移ろうのだ。

カラスウリが実を落とすのも間近。


https://akasabinohimajin.web.fc2.com/souhon/s-familyonjun/onjun-a/urifamilies/karasuurigenesis.html 【カラスウリ(Trichosathes cucumeroides) 烏瓜】より

小種名は"cucumis(キュウリ属)"に似た。別名の『玉章(タマズサ)』は縦に帯がある種子を結び文に喩えた・・・ とか、情緒、風情のある名前です。花は日が暮れてから咲き、朝には萎んでしまいます(実際には昼近くまで:下段写真2枚は午前10時過ぎに撮影)。

和名は、「カラスが好んで啄ばむ」、「カラスの食べ残し」等「人間の食用にはならない瓜である」ことを意味すると解する見解が主流ですが、このように直接的な解釈には承服できず独自の解釈をする先生もいます。

某大御所は「カラス」という形容が「黒い」の意味と同等に使われることに着目し、赤い実のこの種の名は"烏(カラス)"に由来する名前ではないと推論します。

「カラス」を「カラ・・・」と「・・・ス」に分解し、それぞれに「唐・・・」と「・・・朱」を充てます。「唐朱(カラス)」とは"朱墨"のことで、この材 料"丹砂"の上等品が"辰砂"と呼ばれ、緋色で鶏卵ほど大きさがあるものもあるという。これに赤い実を結びつけた見解です。

この先生にしては珍しく途中経過が少ない理論展開で単純明快とも言えるのですが、なぜかしっくりきません。

元々私は『名前』に対してストリー性を期待しています。しかし現実には、名前の基本的な部分においてはその種の有用性が云々されている場合が多数です。特 に一般庶民の生活にかかわっている場合には・・・。

試しにこの種の方言名を調べてみました。西日本を主体に数々の呼び名があり、「カラス・・・」の表記も多数あり、『烏・・・』を意味している(と思われる)名前も多くあります。

本来は『カラスウリ=唐朱瓜』であったとしても、命名の意図とは異なる解釈が広まり、定着したのではないでしょうか?

『唐朱瓜=カラスウリ』という如何にも貴族的な解釈は野山で生活を維持する庶民にとって現実感の希薄きまわりないものだった・・・と推測します。それより も身近にありながらも食用にはならない・・・そんな意味として『カラスウリ=烏瓜』と定着したように考えます。

※ 本種の当地における自生は確認していません。地元の植物誌にも名前がありません。


https://www.city.sano.lg.jp/soshikiichiran/sougou/toshibrandsuishin/gyomuannai/koho/7/6/5019.html 【色や音から生まれた方言・烏瓜とさいかち】より

形から生まれた烏瓜(からすうり)の方言と、果実の音から生まれたさいかちの方言について述べてみましょう。

烏瓜は蔓草(つるくさ)で、山や野原に生えている木に絡みつき、夏には6、7センチの楕円形の果実をつけます。晩秋になると、その実が熟し真っ赤になります。蔓(つる)に垂れ下がっているその実を好んで食べる烏(からす)は、その周りをくるくる回ることから、烏瓜をカラスポッグリ・カラスチンゴ・カラスノキンタマなどと呼ぶようになりました。いずれの方言も「烏の金玉」を連想して作られたものです。

さいかちは山や河原などに成長する高木で、秋になると長さ30センチほどのゆがんだ莢(さや)が垂れ下がります。莢には平たい種があって、熟すと茶色になり木から落ちてきます。その莢を振り動かすとガチャガチャとかガラガラと音を立てることからその音がさいかちの方言になりました。

この種を水の中に入れると、石けんのようなはたらきをし、皮膚をなめらかにするというので、化粧用としたり、昭和の初め頃までは洗顔用とすることもありました。また、野上地域では、火にいぶしたガチャガチャを、トブグチにさして置くと魔除けになるという信仰的な風習もありました。さいかちの果実は日常生活には大切なものでしたが、今ではその木も見かけないし、方言も消えてしまいました。

(市民記者・森下 喜一)

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