Facebook・清水 友邦さん投稿事 「苦しみを超えるといのちが輝く」
セラピスト&カウンセラーとして活躍している岡部明美さんは30代に男の子を出産した直後に脳腫瘍と水頭病を発病して、意識不明の危機状態に陥りました。
赤ちゃん誕生という喜びの頂点から急転化、死をも覚悟しなければならない最悪の事態に陥ったのです。
岡部明美さんの著書「私に帰る旅」「約束された道」(学芸みらい社)「もどっておいで私の元気」(善文社)にはその魂の軌跡が感動的な筆力で克明に記されています。
『生まれなかったら死ぬこともない。出逢わなかったら別れることはない。挑戦しなければ失敗することもない。人と親密にならなければ傷つけあうこともない。信じなければ裏切られることもない。表現しなければ批判されることもない。人を愛さなかったら愛することの切なさも、愛を失うことの悲しみも味わうことはない。』(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
何事もなく、問題を感じることもなく、無難に人生を過ごしてきた人でも必ず危機状況はやってきます。
どうしても、それが回避できないことがわかると誰もが死と再生のプロセスに突入します。世界を認識していた自我が機能不全をおこすので確実で不動だと思えていた現実世界がゆらぎ、不安定になります。
出来事をあるがままに受けれる事が出来ないと、自分の無力さに苛立ち、痛みや怒り、哀しみが心の底から湧き上がってきます。
それは、危機状況にある人びとに表れる自然な反応なのですが、自分に何が起きているのか自覚出来ないと、心の奥から湧き上がる強い不安と恐怖の情動エネルギーに同一化して一種の錯乱状態、精神的混乱に陥ってしまうのです。
自我は思考を強くして感情と分離して感じないようにしてしまいます。
自分自身をあるがままに受け入れることができないので混乱したまま退行してしまいます。
深刻な危機は自我の境界がゆらぐので、古い自我を超えて新しい自我が再生されるチャンスでもあります。
人生の苦悩は新しく誕生する前の暗くて狭い産道を潜り抜けている最中なのです。
否定的に思える悲しみ、苦しみの体験は共感能力を育み、その人を成長に導く栄養となります。
病気や挫折が人生のターニングポイントになって病気の前よりもいっそう健康になる方は大勢います。
「暗く長いトンネルを抜け出た人たちの″いのちの輝き″ほど眩しく美しいものはありません。再生と復活への道は険しいけれど、いのちの痛みを経験した人は、生まれ変わって、本当のいのちの輝きを手に入れるのだと思います。」(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
『私が今思うのは、喜びを感じるためには、悲しみも感じるという対価がいるということ。喜びの大きさは、悲しみや苦しみの大きさに比例するということだ。憎しみという感情さえ愛がなければ生まれないのだ。』(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
内側に湧き上がる否定的な感情と直面し、それに気づき、自覚して客観されると自己成長、自己超越が起きます。
「昨日怒っていたことさえ、今日はもう過去のことになっている。すべては生まれては消えていく。うれしいことも、悲しいことも。変わってしまうということがあんなに悲しかったのに、今は、すべてのことが変わり続けるからこそ人は生きられるんだなと思えるようになってきた。」(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
頭の中の考えや胸の奥の痛みを自分と思って苦しみますが、それを客観的に見ることができると、感情や思考が現れては消える実体がない儚いものだということがわかります。
本当の自分は思考や感情ではなく、それをあるがままに見ている「気づき」なのです。
「見えるいのちと見えないいのちが互いにダンスしなから、
この宇宙の永遠の物語を編み続けている。
生まれたということ。
今、生きているということ。
出会えたということ。
別れゆくこと。
死にゆくこと。
そして、季節は過ぎ、いつかまた、巡り会う季節がやってくる不思議。
巡り会う生の旅の最終章では、あなたも私もない、
ただひとつの世界に還るという途方もない″生の神秘″ 」
(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
岡部明美さんと初めてお会いしたのは2018年1月20日に鎌倉で開催された「よみがえる女神」の出版記念のイベントでした。
お会いした岡部明美さんは知性あふれるとっても楽しい方で清水友邦と同世代で同じ岩手の生まれでした。
それ以来、親しくさせていただいて岩手イーハトーブツアーや講演会、ユーチューブ対談などでご一緒させていただいています。
『「あなたに会えて良かった」と心から思える人に出会えた時に、過去の痛みも悲しみも″生の喜びと祝福″に変わる。それを体験しなかったら、そこを通り抜けてこなかったら、決して私たちは出会うことはなかったのだと思うと、互いが歩んで来たすべての道のりが、なんてかけがえのない体験だったのだろうと思う。そんな人に出会うたびに、私の人生に起きた出来事に何一つ無駄なことなんかなかったのだと思える。なんという出会いの奇跡、人生の奥深さだろう』(岡部明美「約束された道 」学芸みらい社)
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