白と黒の間

Facebook野口 嘉則さん投稿記事【自己実現の7原則】

第4の原則、思考を柔軟にする

こんばんは、野口嘉則です。今回は、「自己実現のための7つの原則」のうち、

第4の原則についてお話しします。第4の原則は、「思考を柔軟にする」です。

これについてお話しするにあたって、まず、次の場面を想像していただきたいと思います。

ある朝、あなたはゴミを出すためにゴミ収集場所に行きます。するとそこに、近所の人がいたので、あなたはその人に向かって「おはようございます」と笑顔で挨拶をします。

ところが、その近所の人は、あなたの挨拶に応えず、あなたを無視するかのようにその場を立ち去ってしまいました。

さて、このような場面に遭遇したとき、あなたの心の中にはどのような感情が湧いてきますか?少し想像してみてください。いかがですか?

上記のような場面に遭遇して、不安になる人もいらっしゃるでしょう。また、怒りが湧いてくるという人もいらっしゃると思います。あるいは、憂うつになる人もおられるのではないでしょうか。

つまり、同じ出来事に遭遇しても人によって湧いてくる感情が違うのです。

では、この感情の違いはどこから生まれるのでしょうか?

それは、その出来事に対する受け止め方の違いから生まれます。受け止め方の違いは、考え方の違いと言ってもいいですね。つまり、その出来事に遭遇したときに頭の中で考えることが

人それぞれ違うのです。そして、その考え(思考)が感情を生み出しているわけです。

たとえば、上記のような出来事に遭遇したときに、「私は嫌われているんじゃないだろうか?」とか、「こんなことで、近所の人達とうまくやっていけるのだろうか?」などと考える人は、不安になります。

「私は嫌われているんじゃないだろうか?」「近所の人達とうまくやっていけるのだろうか?」といった考え(思考)が、不安という感情を生み出すわけです。

また、上記のような出来事に遭遇したときに、「こっちから挨拶しているのに、挨拶を返してこないなんて、失礼じゃないか」と考える人は、怒りを覚えます。

「こっちから挨拶しているのに、挨拶を返してこないなんて、失礼じゃないか」という考え(思考)が、怒りという感情を生み出すわけです。

また、上記のような出来事に遭遇したときに、「どうせ私は嫌われ者だ」とか、「私は近所から疎まれているに違いない」などと考える人は、憂うつになったり悲しみや孤独感を味わったりします。

「どうせ私は嫌われ者だ」「私は近所から疎まれているに違いない」といった考え(思考)が、憂うつ感や悲しみ、孤独感などの感情を生み出すわけですね。

以上、3つのパターンを挙げてみましたが、これらが組み合わさったケースもあります。

たとえば、「私は嫌われているんじゃないだろうか?だとしても、挨拶を無視するなんて失礼だ」と考えると、不安と怒りの両方の感情が湧いてくるでしょうし、その後で、

「どうせ私は疎まれているに違いない」と考えると憂うつになるでしょう。

逆に、上記のような出来事に遭遇したとき、あまり気にならない人もいますよね。

たとえば、「相手は、心配事か何かで頭がいっぱいで、こっちが挨拶したことに気づかなかったのかもしれないな。次の機会にまた挨拶してみよう」と考える人や、「私のことを嫌っているのかもしれないけど、それはたいした問題ではない。近所づきあいを積極的にしようとは思わないから」と考える人は、あまり気にならないでしょうし、特に強い感情は湧いてこないでしょう。

以上の例でおわかりのように、僕たちの考え(思考)が僕たちの感情を生み出します。

ですので、あなたが何かの感情に悩まされることが多いなら、あなたはその感情を生み出す思考のクセを持っている可能性があります。

たとえば、劣等感に悩まされることが多い人は、劣等感を生み出すような思考のクセを持っています。

緊張しすぎる傾向がある人は、緊張感を生みだすような思考のクセを持っています。

同様に、怒りっぽい人は、怒りを生み出すような思考のクセを 不安になりやすい人は、

不安を生み出すような思考のクセを、罪悪感に悩まされがちな人は、罪悪感を生みだすような思考のクセを持っているわけです。

つまり、自分の思考のクセが、自分特有の感情パターンを生み出しているわけですが、そして、それがさらに、自分特有の行動パターンをも生み出しています。

しかし、僕たちはふつう、自分の思考のクセを自覚できていません。

自分のどんな思考が、どんな感情を生み出したのか、そのことをその瞬間には自覚できないまま、いつもの感情パターンと行動パターンを繰り返してしまいがちです。

なぜ僕たちが自分の思考を自覚できないかというと、思考はメガネのようなものだからです。

僕たちは思考というメガネを通して世界を見ているのです。

黄色のレンズのメガネで世界を見ると世界は黄色っぽく見えますね。

しかし実際は、世界が黄色っぽいのではなく、レンズが世界を黄色っぽく見せているだけです。ですが、いつもメガネをかけていると、「自分はメガネを通して見ている」ということを

忘れてしまうため、黄色っぽく見える世界が、世界のありのままの姿であると思い込むようになります。

黄色っぽく見えるのがレンズの性質(=思考のクセ)によるものであることを自覚できなくなるのです。

ここで大切なのは、メガネを通して世界を見ていることに気づき、メガネそのものを観察してみることです。

そして、メガネのレンズのクセ(=思考のクセ)に気づく必要があるわけです。

それをするうえで非常に効果的なのが認知行動療法です。

認知行動療法は、思考パターンと感情パターンに働きかける「認知療法」と行動パターンに働きかける「行動療法」の2つを統合し、効果の明らかな技法だけを採用して体系化された手法です。

思考のクセに気づくための効果的なツールや、そのクセをゆるめて思考を柔軟にするための効果的なツールも用意されています。

認知行動療法の大きな特長は、他の心理学的手法と比べて比較的短期間で効果が現れることと、手順が覚えやすいため、一度習得すれば、その後の人生において、いつでも自分で使うことができる、ということです。

ちなみに、認知行動療法は、「うつ病」、「不安症」、「対人恐怖症」、「強迫神経症」、「摂食障害」などの治療に有効であることが実証されています。

つまり、これらの症状を持つ人たちの思考パターン、感情パターン、行動パターン

の改善にも効果があるわけですが、ましてや健康な人が、自らのパターン改善のために

主体的に取り組めば、さらに大きな効果が期待できます。

実際、僕もこれまで、仕事面、経済面、人間関係面、家庭面などさまざまな領域の問題解決や課題達成に認知行動療法を活用してきており、思いきりその恩恵を受けていますし、

また、僕のクライアントさんにも活用していただき、多くの成果が出ています。

ここで話を「思考のクセ」に戻しますが、認知行動療法では、思考のクセのことを「認知の歪み」と呼びます。

メガネのレンズに歪みがあれば、世界が歪んで見えますよね。

同様に、思考に歪みがあれば、ものごとを歪んで捉えることになり、その結果、たとえば怒り、不安、憂うつ、焦り、孤独感、悲しみなどの感情を過剰に味わうことになります。

その思考の歪みのことを「認知の歪み」というのです。代表的な「認知の歪み」は

10種類あるのですが、今回は、その中から「百かゼロか思考」を紹介したいと思います。

「百かゼロか思考」というのは、ものごとを見るときに、「善か悪か」「正しいか間違いか」

「白か黒か」といった両極端な見方をしてしまうクセのことです。「白黒思考」ともいいます。

ほとんどの問題において、事実は白と黒の間のどこかにあるものですが、「百かゼロか思考」の人は、「白でないならば黒だ」と考えます。

「100パーセントでないならばゼロと一緒だ」という極端な捉え方をしてしまうのです。

たとえば、自分のやった仕事に対しても、「パーフェクトでないならば失敗だ」(=白でないならば黒だ)という見方をしてしまうので、自分のやった仕事に一部でも欠点やミスが見つかると、「失敗だ」とか「ダメだ」といったぐあいに、仕事全部を否定してしまいます。つまり、完璧主義的な思考になってしまうわけです。

甘いものを控えていたダイエット中の女性が、ケーキを一つ食べたことで「今までの努力が台無しになった」と考えて自己嫌悪に陥ってしまうのも、「百かゼロか思考」ですね。

「一番でなければ意味がない」というのも、「百かゼロか思考」です。

また、「百かゼロか思考」のクセを持っている人は、人に対しても、「善い人か悪い人か」「味方か敵か」といった二分法的な見方をしてしまう傾向があります。

世の中には、パーフェクトな善人もいなければ100パーセントの悪人もおらず、そういう意味で、人は皆、グレーな存在なのですが、「百かゼロか思考」のクセを持っている人は、相手の中に少しでも悪い点をみつけると、その人のことを「悪い人だ」と捉えたりしがちです。

また、世の中には欠点のない人などいないのですが、「百かゼロか思考」のクセを持っている人は、相手の中に欠点を見つけるとその相手を「ダメな人」と捉えがちです。

そして、自分に対しても「百かゼロか思考」で見るので、「自分はダメだ」とか、「自分のやったことは失敗だ」という結論に至りがちなのです。

以上、今回は、10種類の「認知の歪み(思考のクセ)」の中から「百かゼロか思考」を紹介しました。自分の認知の歪み(思考のクセ)を自覚することができると、それをゆるめて、

思考を柔軟にしていくこともできます。

これまでの自分の思考パターンに、新たなパターンを加えて、思考の選択肢を増やしていくこともできるのです。そして、そのための有効な手法が、心理学においていくつか開発されており、心理臨床の現場で使われて実証され、さらに修正や工夫が加わって改善されながら、進化・発展してきております。今回は、このあたりにしまして、ワークセッションの提案をしたいと思います。

今回もシンプルです。今回の記事を読んで感じたことや気づいたことを下のコメント欄にご記入ください。これが、今回のワークセッションです。

情報をインプットするだけでなく、感じたことや気づいたことをアウトプットすることで、

理解と気づきが深まり、学んだことが定着します。また、他の人と気づきを分かち合うことで、視野が広がるとともに、さらに新しい気づきが得られたりします。

ぜひ、この機会に、気軽にアウトプットする習慣を体得され、学びをご自分のものにしていただきたい、と思っています。あなたのコメントを楽しみにしています。

次回は、「自己実現のための7つの原則」のうち、第5の原則についてお話しします。

楽しみにしていてくださいね。


https://fuchu-kokoro.com/actmorita.html 【ACT・森田療法 受け入れ、飲み込み、前に進む】より

以前からの森田療法と、近年の行動療法のACT(アクセプタンス・コミットメントセラピー)は共通点が多いといわれます。

 

双方とも不安への対処として有効とされ、不安を「回避せず」「受け入れ」て行くことで、結果としてとらわれを減らすことを目指します。

 

当院のリワークプログラムにおいてグループでのACTをもとにした「こころストレッチ」プログラムを行っています。

動画:とらわれない(森田療法・ACT療法)

https://www.youtube.com/watch?v=BXPEE9pJxVw&list=TLGGVcl2q3uGCbYyNTA5MjAyMw

はじめに:認知行動療法にまつわる議論

認知行動療法が成立する前提に「自分の状態を感じ取れる」ことがあります。

1980年代以降、出来事への反応を要素に分けて対応していく「認知行動療法」が、その効果の速さや理論のわかりやすさなどもあり、世界で大きく普及しました。一方で、普及するに従い、この治療の「弱点」ともいえるところが議論になりました。主なものとして、次のような点がありました。

1、 本当に認知(考え)を「修正する」ことが必要か?

認知再構成法(認知行動療法の技法)では、まず自分の考え方のくせを見つけ、次にそれに反論する等して、その「くせ」を修正する方法をとります。これ自体の有効性は示されたのですが、実際に「くせを見つけた」ことで改善したのか、「修正した」ことで改善したのかが議論になりました。従来は「修正する」ことこそ有効といわれましたが、実際には「くせを見つけた」段階の効果のほうが大きいのでは?との論文も出されています。もしそうだとすると、「修正する」ことよりも、その前の「くせを見つけ」て、距離をとって冷静に対応することに集中したほうがいいことになります。

2、 自分の状態に気づかないと治療が成立しない

認知行動療法の第一段階として、出来事への各要素(認知、行動、体の感覚、感情)を見ることがありましたが、ここでつまずく例が見られました。自分の「今の状態」に気づかない、という場合があり、その場合はなかなか次に進めません。これは人により得意不得意がありあすが、ただ、苦手であっても何らかの訓練で改善できないでしょうか。

3、 人生のテーマがあいまいだと、治療効果が鈍る

認知行動療法では、まず現在の具体的な問題を解決し、その繰り返しで改善を図ります。それで改善する人も多かったのですが、「人生の早い段階で問題を抱えてしまった人」や「自分の支えが何かが見えていない状況」では、なかなか思ったような改善が見られませんでした。その際は、もっと根本に切れ込む方法が必要かもしれません。

こうした議論点を踏まえ、「第3の波」といわれる、新たな流派の認知行動療法が2000年代以降数多く出現しました。その中でも、欧米において普及してきたのが、ACT(アクセプタンス・アンド・コミットメント・セラピー)です。

こころを柔軟に:アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)

自分の「軸」を見つけつつ、状態を感じ、受け入れつつ前進する方法論です。

(詳細を書くと膨大になるため、ここでは筆者の考える要点を述べます) この治療法では、いかに過去やこだわりにとらわれずに「こころを柔軟にする」ことを大事にします。(さまざまな心の病がありますが、それにより苦しむとき、共通する「心理的な硬さ」があり、そこを柔軟にすることで、結果的に症状の苦しみも軽減すると考えます) そのための要点は、次の二つです。

●アクセプタンス(現実を受け入れること)

現実をありのままに見られないことにより、自分を自分で追いつめてしまう場合があります。たとえば、自分のこだわりに支配されてしまう限り、外からの助言は入りません。また、現実を「回避」し続けてしまうと、本来なら次第に慣れてくることも慣れずに、恐怖心などが残ってしまいます。こうしたこだわりや回避をやめ、今の現実をありのままに見ていくことを目標とします。

●コミットメント(「支え」を見つけ、そのために行動する)

何が一番自分にとって大事か(価値、もしくは「支え」)がぼやけていると、エネルギーもわきませんし、困難なときに「回避」の方向に行きやすくなります。そのため、まずは自分にとっての「支え」が何かを再発見し、そのうえで、それを実現していくためには、どのように行動していけばいいか、考えていきます。

より詳細に分けると、次のような要素になります。

<アクセプタンス>

●ありのままを受け入れる(現実を回避しない)

●こだわりにとらわれない(脱フュージョン)

●今の状態をしっかり感じ取る(マインドフルネス)

●状況を離れた視点で、客観的に見る

<コミットメント>

●コミットメント(支えを探す)

●支えを実現するための行動(目標を定め、実行する)

認知行動療法との違い

無理に「修正」することより、「気づく」ことを重視します。

ACTは、認知行動療法の後の「第3の波」といわれる治療法の一つですが、認知行動療法(CBT)と比べると、大きく次のような違いがあります。

1、「考えのくせ」を修正するのではなく、気づき、距離をとる

CBTでは、考えのくせがあったら、それを「合理的かどうか」考え、修正を図ります。一方、ACTでは、修正することよりも、しっかり気づいてその状況を受け入れ、もし考えにのまれていれば、それと「距離をとる」ことを重視します。

2、自分の状態に気づく練習を積極的に行う

ACTも含めた「第3の波」に共通することとして、今の自分の状態にしっかり気づく(マインドフルネス)ことを重視し、実際トレーニングもしっかり行います。これにより、気づきをしっかり持つことができ、また、CBTでは実際扱いにくかった「体の感覚」も積極的に扱うことができます。

3、 人生のテーマ(支え)について積極的に扱う

CBTでは、今現在の問題を扱うので導入しやすかったのですが、もし、自分の支えがぼやけていたり、考えのくせが昔からのことだったりすると、効果が乏しくなるきらいがありました。ACTでは、自分の一番大事なこと(価値、もしくは支え、願い)に注目し、そこを土台として実践的な目標や具体的な行動を組み立てていきます。

4、 疾患名を越えて、状態、症状との付き合い方を考える

ACTでは、もちろん症状や疾患に特化したプログラムもありますが、基本的には、疾患名に係わらず、「自分の状態、症状との付き合い方」に焦点を合わせます。そのため、幅広い疾患に対して、この治療法の要素を導入することができます。

当院での面接・治療とACT

当院では、リワークプログラムの中で、ACT理論をもとにした治療を実践しています。

現在のところ、外来治療として「ACTだけを行う」ことは当院では行っていません。ただし、「状態、症状への付き合い方」として、ACTの考えを基にして治療、アドバイスを行うことは多くあります。一方、集団の「リワークプログラム」での「こころストレッチプログラム」として、ACT理論をもとにした実践を開始しています。各疾患への治療(薬物療法など)を縦糸とするならば、ACT的な、変えがたい症状や状況とうまく付き合う方法を横糸として、共存して使っていくことを考えています。

ACTと森田療法

ACTと森田療法は、類似点が多く言われています。

ここまでを読んで、「まるで森田療法だ」と思った方もいるかもしれません。症状全体への「受け入れる」ことを土台とした対応は、ほぼ共通したところがあり、最近の話題になっています。 森田療法は、日本の医学者である森田正馬が20世紀初旬に開発した治療法です。「森田神経質」と呼ばれる、こだわり、とらわれ、不安の強い方(現在でいう、「不安障害圏」の方とほぼ一致します)に対して行う精神療法です。「とらわれ、考えすぎ」から抜けるために、一旦何もしない状態を作り、その後行動(作業)を行う中で、「あるがまま」の状態をつかむことを目指します。原法では、これを数か月の入院治療で厳密に行っていましたが、近年は長期入院の困難さもあり、この要素を外来で行う(外来森田療法)ことが多くなってきました。そして、この治療も、ACT同様、疾患への対応を補う形で、「変えられない症状にとらわれない」ことを目標に取り入れられる場合があります。

当院リワークでの「こころストレッチプログラム」

集団で行う、ACT理論をもとにした全8回のプログラムです。

当院のリワークプログラム「こころリワーク」において、2019年3月より、ACTを土台とした集団プログラム「こころストレッチ」を開始いたします(全8回)。休職された方が復帰したその後、様々なストレスに対処できる「こころの柔軟性」を獲得していけることを目標としています。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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