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大分合同新聞2016年2月7日読書面掲載記事
「古事記神話のいちばん深い所にあるのは火山の記憶で、日本神話の源流は火山の王国・九州で生まれたと主張する本が戦後まもなく出版されている。著者ワノフスキーはロシアの革命家だったが、日本に亡命し、早稲田大学の教師だった。本書は従来、ほとんど知られていなかったワノフスキーの古事記研究の全貌を明らかにするとともに、神道研究、地質学、歴史学の大学教授三人がユニークな研究の背景を解説している。昨今、火山というと災害の側面ばかりが注目されているが、ワノフスキーは神秘的な景観や温泉を出現させ、土壌を豊かにする「火山の恵み」についても述べており、温泉や火山と身近に暮らす大分県民にとって興味深い言葉に満ちている。(桃山堂)」
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宗教関係の新聞として著名な中外日報社(本社・京都市)の読書面である「中外図書室」で、『火山と日本の神話──亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論』を紹介していただきました。
「スサノオの涙は灼熱の噴石」というタイトルで、ワノフスキーの神話論・古事記解釈について、以下のような紹介がなされています。
イザナミ、スサノオ、オオクニヌシなどは火山の神であり、アマテラスやニニギは火山を鎮め、大地を統御する神とする。イザナミの場合、日本列島の島々を出産したことこそ、その根拠であり、また亡き母を偲んで流し、世界に災厄をもたらしたスサノオの涙は、火山から噴出した蒸気や石なのだという。
天孫降臨、神武東征などは国家の祖神が火山の神を鎮めていく過程を描いているとし、古事記は雑多な神話の寄せ集めではなく、一貫して「世界と国家の発生」を主題とする統合された壮大な叙事詩だと主張した。
(『中外日報』2016年2月26日付17面中外図書室より。転載許可済み)
中外日報ホームページには、仏教を中心として、宗教にかかわる読み応えのある情報がたくさん掲載されています。高村薫氏、内田樹氏のインタビューも、宗教的な視点が掘り下げられており、興味深い内容が語られています。
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3月 15日
ブログ「火山と古事記」
『火山と日本の神話』で示されているワノフスキーの古事記論で、最もユニークな論点は、サルタヒコを火山の神とみなしていることだ。今回は、サルタヒコの鼻にスポットをあてながら、ワノフスキーの古事記論を紹介する。(桃山堂)
3月 21日
ブログ「火山と古事記」
サルタヒコをえがいた絵あるいは祭でつかわれる面は、この神を「赤」によって特徴づけている。サルタヒコを火山の神とみなすワノフスキーの古事記論を道しるべとして、サルタヒコのビジュアルイメージの謎をかんがえたい。
4月 07日
ブログ「火山と古事記」①
スサノオは火山の神である──という議論には七十年以上の歴史があるが、一種のオカルト学説とみなされたのか、古事記関係の研究者からは相手にされていなかった。東日本大震災のあと、地震や火山にかかわる神話への注目が増し、興味をもつ人が増えているようだ。ワノフスキーはこの説の最初の提唱者ではないが、この問題について、最も深く思考し、ユニークな解釈をしている。
4月 10日
ブログ「火山と古事記」②
日本の神々の世界で最も権威と知名度をもっている神さまはアマテラスである。なぜ、アマテラスがいちばん偉いのか? ワノフスキーの古事記論『火山と太陽』を踏まえ、火山神話という仮説から古事記をみると、ひとつの回答が得られる。
ブログ「火山と古事記」③
スサノオとともにワノフスキーの火山神話論の中核にあるのが国産み神話の女神イザナミである。日本列島を産んだ女神に、火山的なエネルギーをみているのだ。イザナミ=火山という仮説的な視点から古事記を読み直すと、いくつかの謎について、その解明の糸口が浮き上がってくる。
4月 27日
古事記にえがかれている黄泉(よみ)の国は、火山の神話とかんけいするのではないかと、ワノフスキーは考えている。もし、それが正しいとすれば、黄泉の国のイメージは、箱根、雲仙、別府など温泉地の「地獄」と重なり、黄泉の国の「黄」は、硫黄の「黄」である可能性が生じる。
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