https://www.mapple.net/articles/bk/6190/?pg=1#ls_1 【富士山と駿河湾の形成の歴史~標高と深海の日本一を持つ静岡県~】より
標高3776mを誇る富士山に、深さ約2500mとこちらも日本一の駿河湾。その落差は合わせて約6300mと圧倒的なスケール!それぞれの成り立ちや特徴を見ていきましょう。
富士山の歴史と成り立ち
標高が高い山の成り立ちには大きく2つのメカニズムがあります。
その一つは、大陸や島などの陸地と陸地が衝突してできるというもの。大陸や島は厚さ100mほどの巨大な岩盤のプレートに乗っており、プレートが移動して陸地同士が衝突すると、横方向から大きな力が加わります。そして陸地にシワが寄るようなかたちで、押し上げられた部分が山となります。世界的に見るとヒマラヤ山脈やアルプス山脈など、国内では“日本の屋根”と呼ばれる日本アルプスが代表的です。その一つ南アルプスには日本で2番目に高い北岳もそびえています。
もう一つのメカニズムは火山活動によるものです。噴火によって地表に吹き出した溶岩や噴石、火山灰が積み重なることで高い山ができます。富士山は数十万年もの間、噴火を繰り返し、1万年前にようやく今のような姿になりました。最初に「先小御岳(せんこみたけ)」という山ができ、その後に「小御岳(こみたけ)」と「愛鷹山(あしたかやま)」が、そして、10万年くらい前にこの2つの火山の間に、今の富士山のもとになる「古富士(こふじ)」ができました。古富士の火山活動は非常に活発で、大きく成長して小御岳を覆いこみ、1万年前には愛鷹山のふもとまですそ野が広がり今のような形になりました。4つの火山が積み重なっていることから、富士山は“4階建て構造”といわれています。
4つの火山が積み重なってできている富士山。2004(平成16)年、東京大学地震研究所のボーリング調査により小御岳火山の下に先小御岳火山があることが判明しました。
富士山形成の歴史:地下はどうなっている?
数十万年にもわたってこの地で火山活動が続いてきた理由は、プレートの活動が深く関係しています。富士山の地下では、ユーラシアプレートと北米プレート、フィリピン海プレートの3つが交差しており、プレートが接した場所ではマグマができやすく、火山活動が活発になりやすくなっています。さらに、富士山のほぼ真下には、フィリピン海プレートが東西に大きく裂けており、このすき間を埋めるように地下で発生したマグマがのぼってくることから、火山活動が長く続いてきたとも考えられています。
富士山形成の歴史:地下はどうなっている?
3つのプレートが重なるところに富士山があります。
富士山形成の歴史:美しい形になった理由
また、富士山が美しい円錐形をしているのは、溶岩の粘り気の質にあります。富士山と、国内では富士山に次いで標高の高い火山の御岳山(おんたけさん:長野県)は、ともにほぼ同一の火口から複数回の噴火を繰り返す成層火山です。この2つを比べてみると、溶岩の粘り気の強い御岳山は表面がゴツゴツとした形状になったのに対し、溶岩の粘り気が弱く流れやすかった富士山は、美しい円錐形になりました。
駿河湾は伊豆半島が本州に衝突してできた!
駿河湾は奥行き約60km、御前崎と石廊崎を結ぶ湾の間口が約55㎞、表面積は約2300㎢で、今からおよそ60万年前、火山島だった伊豆半島がフィリピン海プレートに載って南から移動し、本州に衝突したことで湾となりました。
湾の中央部にはフィリピン海プレートとユーラシアプレートを境界とする溝が南北に伸び、東西を二分しています。この溝は「駿河トラフ」呼ばれ、大地震の想定震源域とされる「南海トラフ」と連続し、その北端部分にあたっています。
駿河湾の最深部は2500mに及ぶ世界有数の深海
駿河湾は、日本はもとより世界でも有数の急峻な海底地形として知られており、湾奥地の富士川河口部では、海岸からわずか2km地点で水深500mにも及びます。駿河トラフでは本州が載っているユーラシアプレートの下に、フィリピン海プレートと太平洋プレートが潜り込み続けていることから、このように急峻で最深部が2500mにも及ぶ深海を作り出したと考えられています。
また、湾南西域には水深平均100m、最浅部32mの「石花海(せのうみ)」と呼ばれる台地が存在し、好漁場となっています。
駿河湾は魚の天国!
日本の魚類は淡水魚を含めて約2300種確認されていますが、駿河湾内には、そのおよそ半分にあたる約1000種もの魚類が生息していると言われています。魚が生息しやすい複雑な地形や、湾内への黒潮の還流など、恵まれた環境が石花海をはじめ絶好の漁場を作り出しています。
水揚げされるのはアジ、サバ、イワシ、カツオ、シラスをはじめ、駿河湾で唯一水揚げされるサクラエビ、大きいものは体長3mにもなる世界最大のカニ・タカアシガニ、ところてんなどの原料になるテングサなど、多岐にわたります。こうした海の幸が静岡県の食文化や漁業を支えてきました。
富士山の湧水が駿河湾に注ぎ込むことで静岡の地形を形作った
富士山の湧水は、年間約25億トンとも言われる富士山に降る雨や雪が大地に染み込み、濾過されながら地下水となり、これが地表に現れたものです。駿河湾の沿岸には湧水の名所が数多くあり、川や岸壁から駿河湾に注ぎ込み、海の恵みを育んでいます。また、湧水は駿河湾の海底でも確認されており、現在その研究が進められています。
富士山頂から駿河湾の海底まで、高低差6300mに及ぶダイナミックな地形は湧水でつながり、美しいグラデーションを描いているのです。
https://hicbc.com/bousai/earthquake/file/earthquake/reason/ 【◆心配される東海地震】より
ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界にあたる南海トラフと駿河トラフ。この2つのトラフに沿って、太平洋側の海底では、過去100年から150年の周期で巨大地震が繰り返されて来ました。東海地震・東南海地震・南海地震です。この3つの地震は、過去、同時あるいは、連続して起きています。
1605年に起きた慶長地震(M7.9)は、3つ同時に起きました。
1707年の宝永地震(M8.4)も、3つ同時に起きています。
1854年の安政東海・安政南海地震(M8.4)は、まず東海・東南海地震が発生し、32間後に、南海地震が起きました。
さらに、1944年の昭和東南海地震(M7.9)が発生した2年後の1946年、南海地震(M8.0)が起きています。昭和地震の時に地震が起きなかった区域、つまり安政東海地震と昭和東南海地震の震源域の差が、大地震の空白域(駿河トラフ)と考えられています。駿河トラフでは、およそ150年間、大きな地震が発生していないため、東海地震はいつ起きてもおかしくないと言ているのです。
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