Facebook清水 友邦さん投稿記事
意識の最初の発達段階は母親と一体化し何もせず無垢で至福に満ちた未分化の状態です。
赤ちゃんは欲しいものがすべて与えられる子宮という楽園の中にいました。
しかし、やがて、苦しい産道を潜り抜ける楽園からの追放がおきました。
母親からの分離が起きたのです。
楽園追放の神話は個人の無意識と関係していることを表しています。
乳児にとって母親の乳房は母子一体になっていた安全で幸福な楽園を想起させました。
生まれたばかりの赤ちゃんは自分自身と自分のまわりのものとの区別がついていません。
さまざまな出来事に気づいてはいますが分離した実体としての自己には気づいていないのです。
成長の初期段階をユング派の心理学者エーリヒ・ノイマンはウロボロス と言いました。
ウロボロスとは、尾を呑み込む蛇の姿で示されるギリシア語のouro(尾)とboros(呑み込む者)に由来します。
ウロボロスは始まりも終りもない円環構造をしていて、永劫回帰、無限循環、永遠不滅、生と死、創造と崩壊を象徴しています。
一歳頃までの乳児に欲しいときに乳房が与えられない不快な経験は不安、緊張、孤独感、無力感などの分離感をもたらします。
愛を求めて手ひどく拒絶された経験は世界が悪意と敵意に満ちていると感じさせました。
これが繰り返されると何の不安もない絶対的安心感(euphoria)を喪失して基底不安(basic anxiety)が形成されるのです。
人々は欠落感や不安を解消しようと、行動表現します。
他人を操ったり支配して優位に立ち、自分に依存させようとする。
相手が自分の意のままになることを常に期待する。
恋人が少しでも他の異性と話していると嫉妬をしてしまう。
自分を褒めてくれたり、認めてくれたり、受け容れられることを求めて人に近づく。
自分自身のために何かを求めることはせず、他人のためにだけ進んで事をなす。
自分で何も決められず、決断できず迷ってしまう。
他者と関係を結んだりすることに過敏に反応したり避ける
異性と親密になることに恐怖する。
他人からの要請や依頼を支配的なものと受けとり一人でいることを好む。
心理学者のホーナイは不安から逃れるために次の三つのパターンがあると言っています。
他者に抵抗しようとする人々
他者に近づこうとする人々
他者から離れようとする人々
こうしてフロイトを後継した精神分析家達は母親との絆が断ち切られる経験が様々な人格形成を促すと考えました。
女性原理は子を包みこみ、守り養うことにあります。
母親は子供の個性や能力に関係なく平等に愛します。
しかし、女性原理が行きすぎると包み込んで離れることを許さず子供の自立を妨げます。
自我意識が芽生えていくときの支配的な母は自分を飲み込んでしまう恐ろしい怪物(テリブルマザー/否定的母)となって現れます。
それは内なる子供にとって、見捨てられ、裏切られ、無視され、幻滅させられたと感じる体験に相当しました。
その痛みを自覚できない時、他者への投影が起きて女性に対する憎悪となってあらわれます。
母系社会から父系社会の移行期の神話に現れる女神は怪物となって英雄の前に現れました。
そして戦いが起きて女神は殺されたのです。
人間の心理が作用して人間の歴史は作られます。
女性原理は包み込み融合し、男性原理は分離を促します。
自我意識の最初は自分が母ではないと認識したときです。
成長の最初は危険か安全かを解釈する自己防衛的段階にあり、自分の衝動、生理的な欲求、および本能の発散以外の選択を持ち合わせていません。
自己中心的で他者の立場を考えることができません。
発達心理学では7歳頃から他者の立場に立つことができると言われています。
人生の前半期の自我はどうすれば力を持つことができるかにあり主に個人的・外面的な功績による成功の目標達成に向けられています。
人生の後半になって自我はようやく魂の全体性との調和を求めるようになります。
ユングは自我(ego)と自己(Self)を区別して広大な心の全体性を(Self)と呼び「人間の究極の目標は自己(Self)になることである」といいました。
男性の中の女性性をアニマと呼び、女性の中の男性性をアニムスと呼びます。
ユング派の心理学者のジェイムズ・ヒルマンはアニマもアニムスもどちらの性にもあるといっています。
ユングはアニマとアニムスに四つのレヴェルがあるといっています。
1、逞しさや力強さの力のアニムス
2、決断力や実行力の行動のアニムス
3、表現力や人を動かす言葉の力、言葉のアニムス
4、人生の本当の価値や真実を教えてくれる意味のアニムス
1、セクシュアルで性的な魅力を持つアニマ
2、ロマンティックなアニマ
3、聖母マリアのような神聖なアニマ
4、至高の智慧(ソフィア)を表すアニマ
アニマとアニムスのレヴェルは物質的な粗大な領域からより微細な領域への段階を示しています。
自我は(エゴ)は最終的に智慧(ソフィア)を獲得することによって本当の自分(セルフ)に目覚めるのです。
神秘主義でエゴと全体の神秘的合一はウニオ・ミュスティカ(unio mystica)と呼ばれます。
キリスト教神秘主義の聖婚(Sacred Marriage) に至る段階は「交際」「婚約」「結婚」に例えられます。
「私の心と人間性が欲したように、私の体は隅々まで 至福のうちに彼の体を感じ、私は満たされて恍惚状態になった。私は少しのあいだそれに耐えるる力をもっていたが、すぐにその美しい男性の姿を見失った。そのとき彼は徐々に消え、完全に溶け去ったので、私はもはや彼を私の外に求めることも、内的に彼を識別することもできなかった。その瞬間、私たちは区別なく一体化していた。」13世紀の女性神秘家ハデウェイヒ
聖なる結婚にいたると魂は永遠の愛という絶対的安心感(euphoria)の中でくつろぎます。
*********************************
【呼吸道 オンライン講座】
2021年8月19日(木)19:30 スタート(毎週木曜日 19:30 - 21:30 全5回)
8/19、8/26、9/2、9/9、9/16
呼吸道の真の目的は自分自身を知るということです。
身体、感情、思考、時間、空間、あらゆる概念、知識、これらは全て私ではありません。
今まで自分だと思っていた私は私ではないということです。
それにはまず自分のマインド、思考を観照できるようにならなくてはなりません。
苦しみを取り去る方法は思考と一体化している偽りの自己に気がついて、今ここに在る純粋な意識と繋がることです。
しかし、物心が付いてからずっと思考と一体化しているので思考を見守るのが難しいのです。
それには体の感覚に注意を向け常に変化している呼吸と身体感覚から始めるのがやさしいのです。
人間の体は自然治癒力が備わっているので自我の統制を弱めるとほつれが解けるように
体は自然にバランスを回復します。
0コメント