https://polyhedra.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-886e.html 【『波紋と螺旋とフィボナッチ』…すべての植物をフィボナッチの呪いから救い出す…近藤滋著】より
植物の花びらの枚数や、葉の螺旋、マツボックリやヒマワリの種の螺旋にはフィボナッチ数が・・・という蘊蓄をご存知の方は、是非この本を読んで、フィボナッチの呪いから解き放たれてくださいませ(^o^)
波紋と螺旋とフィボナッチ
『波紋と螺旋とフィボナッチ』
ジュンク堂の「生物」のコーナーでこの本を見かけて、あ~ また「生物の形には色んなところでフィボナッチ⇒黄金比が現れるんだよ」という本が増えたのか~? と手にとって、8章『すべての植物をフィボナッチの呪いから救い出す』を読んでみたら…
植物にかかったフィボナッチの魔法で…『こうなるともう偶然ではありえず、自然はフィボナッチ数に支配されていると言いたくなってくるでしょ?』
フィボナッチと黄金比で…『皆さん、黄金比という言葉を聞いたことがあると思う。「モナリザやミロのビーナスの形状は黄金比に従って作られているので美しい」とか』… ん~ここまでは、よくあるパターンですが次が違った。
フィボナッチで一攫千金?…『ギリシャ人は、「人工物のプロポーションも、この比であることが望ましい」と思ったらしくパルテノン神殿の設計に使われている(眉唾です)。』←お~! (眉唾です)と書いてるゾ! この本、よくあるフィボナッチ・黄金比の本とは違うゾ!
著者は誰だ?…
近藤滋(こんどうしげる)… あ、どこかで聞いたことのある名前です。
大阪大学大学院生命機能研究科 教授
あ~ 所さんの目がテン!だ。
→目がテン!大実験…オセロの石で生き物の模様を作ってみよう!
この本は「買い」です(^o^)
https://www.myherb.jp/main/contents/rilax/fibonacci.html 【ハーブとフィボナッチ数列】より
自然界と数字
ひまわりのらせん「1、1、2、3、5,、8、 13、21、34、 55、89・・・」
植物の花びらを見ると、ユリの花びらは3枚、桜や梅は5枚、コスモスは8枚、キク科植物は13枚、21枚、34枚、55枚など、この「フィボナッチ数列」と呼ばれる数列に従って発生・成長しているものが多く見られます。
ハーブで数えやすい花を見ても、コモンマロウやナスタチウム、ハーツイーズ、ボリジ、マシュマロウ、ワイルドストロベリーなどはすべて5枚になっています。
その他、ひまわりの種の並びが螺旋状に21個、34個、55個、89個・・・となっていたり、葉の付き方や角度(葉序)、松ぼっくりのかさの並びやパイナップルの模様、身近なところではピアノの1オクターブが黒鍵5鍵、白鍵8鍵で合計13鍵になっていたり、様々なところにフィボナッチ数列が登場しています。
この不思議な数列は、「連続した2項の和が次の項になる」という法則で、「1+1=2」、「1+2=3」、「2+3=5」、「3+5=8」、「5+8=13」というように、前の2つの数値を足した数が並んでいくという規則性を持っています。
n番目のフィボナッチ数Fnの表し方(漸化式)
F0=0,F1=1 F(n+2)=F(n)+F(n+1) (n≧0)
F2=F0+F1=1(n=0)
F3=F1+F2=1+1=2(n=1)
F4=F2+F3=1+2=3(n=2)
F5=F3+F4=2+3=5(n=3)
F6=F4+F5=3+5=8(n=4)
F7=F5+F6=5+8=13(n=5)
フィボナッチ数列について
フィボナッチ数列フィボナッチ数列とは、1,300年ほど前にインドの数学者が書物に記したものを紹介したイタリアのレオナルド=フィボナッチ(Leonardo Fibonacci、Leonardo Pisano 1170年頃~1250年頃)にちなんで名づけられた数列で、彼は兎のつがいの問題を考案しました。
例えば、1つがいの兎が1か月で大人になり、2か月目から1つがいの子供を産んで増えていくとします。
1か月目には1つがいの兎が、2か月目には2つがいになり、3か月目には最初のつがいが1つがいの兎を生むので、3つがいになります。
これを繰り返していくと、4か月目には5つがい、5か月目には8つがいになり、増え方がフィボナッチ数列に従っていることが分かります。
産まれたばかり 生後1か月 生後2か月以降 つがいの合計
0か月後 1 0 0 1
1か月後 0 1 0 1
2か月後 1 0 1 2
3か月後 1 1 1 3
4か月後 2 1 2 5
5か月後 3 2 3 8
6か月後 5 3 5 13
7か月後 8 5 8 21
8か月後 13 8 13 34
9か月後 21 13 21 55
10か月後 34 21 34 89
11か月後 55 34 55 144
12か月後 89 55 89 233
黄金比と植物
黄金比ところで、フィボナッチ数列の数字を、1つ前の数字で割ってみます。
例えば、「3を2で割ると1.5」、「5を3で割ると1.67」、「8を5で割ると1.6」になります。
このようにして数字を追いかけていくと、やがて黄金比である1.618に近づいていくことが分かります。
黄金比とは、二次方程式 x2− x − 1 = 0(1:x-1=x:1 → x(x-1)=1)の正の解で、ギリシア文字の φ(ファイ)やτ(タウ)で表され、優れた芸術作品や建築物にこの比率が見られるほか、名刺や用紙サイズに利用されるなどバランスのとれた比率として知られています。
<二次方程式 x2− x − 1 = 0 の解>
x2-x-1=0
(x-1/2)2-1/4-1=0
(x-1/2)2-(5/4)=0(平方完成)
(x-1/2)2=(5/4)
x-(1/2)=±√(5/4)
x=(1/2)±√(5/4)
x=(1/2)±(√5)/2
x=(1±√5)/2
x=±1.618033988749895
そして、この黄金比で円周360度を2分した際の狭い方の角度を「黄金角」と言うのですが、植物の葉は光がまんべんなく当たるよう黄金角分に位置をずらして付いているものが多く見られます(2/5葉序や3/8葉序)。
植物は、より多くの光合成を行うためとはいえ、むやみやたらに葉を出してしまうと上の葉が下の葉を覆い隠して影を作ってしまい、かえって効率が悪くなってしまいます。
そのため、2方向、3方向、5方向、8方向など上下の葉ができるだけ重ならないように枝を生やしていき、太陽の光に対して葉を重ねないようにして光合成の効率を上げているのです。
バジル葉の付き方は「葉序(ようじょ)」と呼ばれており、どの程度の角度でずれるかは植物の種類によって決まっています。
360度の2分の1の180度ずれるもの、3分の1の120度ずれるもの、5分の2の144度ずれるものは、下から葉っぱを5枚数えたときに2周回って元の位置に戻ってきます。
このように、葉っぱの開度に級数的関係があることをシンパー・ブラウンの法則(Schimper‐Braun's Law)と言い、ドイツの植物学者K.F.シンパー(1803~1867)とA.ブラウン(1805~1877)が1850年代に提唱しました。
これは、葉序の開度と全周の比がいずれも、「1/n、1/(n+1)、2/(2n+1)、3/(3n+2)、5/(5n+3)、8/(8n+5)・・・ 」のような数列のうちのどれかに該当するという法則で、「n =2」とした主列「1/2、1/3、2/5、3/8・・・」は最も普通に見られる葉序なのですが、これがフィボナッチ数列になっており、「n =2以外」の副列と区別されています。
<シンパー・ブラウンの法則>(n=2の場合)
1/n、1/(n+1)、2/(2n+1)、3/(3n+2)、5/(5n+3)、8/(8n+5)・・・
1/2葉序・・・(360×1) ÷ 2=180度
1/3葉序・・・(360×1) ÷ 3=120度
2/5葉序・・・(360×2) ÷ 5=144度
3/8葉序・・・(360×3) ÷ 8=135度
5/13葉序・・・(360×5) ÷ 13=138.4615~度
8/21葉序・・・(360×8) ÷ 21=137.1428~度
※基準の葉から真上の葉まで何回転しているかを(X)、そこまで何枚の葉があるかを(Y) とすると、葉序はX/Yになる。(例:2回転の間に5枚の葉があれば2/5葉序)
フィボナッチ数列を神聖視することへの疑問
競馬ここまで、フィボナッチ数列や黄金比、黄金角と植物の深い関連性について見てきました。
しかし、実際にはアブラナの花びらは4枚、サフランは6枚だったり、7枚や11枚、18枚の花などの例外も多くあるほか、葉序に関しても厳密には黄金角ではなくその近似値となっており、自然界すべてがフィボナッチ数列や黄金比に従っているわけではないです。
つまり、自然界はある程度フィボナッチ数列に沿っているものの、すべての事象に関して単純に数学的な数式をもって自然やその根本を説明できるものではないので、特にフィボナッチ数列を神聖視する必要はありません。
自然界の作り出す規則性を発見して楽しむ分には問題ないのですが、フィボナッチ数列を株価や為替の分析に使ったり、「フィボナッチ馬券学で一攫千金!」などと競馬にまでフィボナッチ数列を使うような極端な例も出てきています。
冷静になって考えてみれば、株価や為替、競馬は自然ではなく人間が作り出したものなのですから、フィボナッチ数列と関連性があるわけありません。
ページ作成時のドル円チャート(1時間足)フィボナッチ通りに動いているように見えるが、実際には米利上げやFRB議長の発言で乱高下しただけ。例えば、株価や為替の場合、直近の高値と安値にフィボナッチを当てはめ、押しや戻りを予測することが行われています。
つまり、黄金比の1.618を使い、上げ幅や下げ幅に0.618を掛けた数値を押しや戻りとするもので、0.618のほか1から0.618を引いた0.382もよく使われます。
しかし、投資においては上昇や下落分の半値戻しや3分の2、3分の1戻しがセオリーとなっており、たまたま0.618や0.382が3分の2や3分の1に近いだけというトリックで、フィボナッチ数列の数字を都合のいいように取り出せばいくらでも応用が利く状態になっています。
同様に、フィボナッチ数列を基にしたエリオット波動などの分析手法も、単にオカルトなので投資に真剣に使うのはやめた方が良いでしょう。
実際に投資をしてみれば分かりますが、0.618や0.382のような数値でぴったり反転することはまず無く、それで儲かるなら億万長者ばかりになっているわけで、都合の良い時だけ引き合いに出される印象を受けます。
馬券に関しては、馬番やオッズをフィボナッチ数列に照らし合わせて分析するなどとさらに意味不明なものになっており、「何でもかんでもフィボナッチ数列頼み」というのはリスクが伴うことに注意を払うべきだと思われます。
※なお、4、7、11、18・・・という並び方はフィボナッチ数列と類似した「リュカ数列」と呼ばれるもので、2、5、8、11、14・・・のようにはじめの数に同じ数を次々と加えてできる「等差数列」や、2、4、8、16、32・・・のようにはじめの数に同じ数を次々と掛けてできる「等比数列」などもあり、植物の規則的に成長する部分にはフィボナッチ数列でなくとも何らかの規則性が見いだせる可能性(何でもこじつけできる)があります。
参考:第14回:全ての植物をフィボナッチの呪いから救い出す(大阪大学大学院 近藤滋教授)
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