https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12699502231.html 【迂闊にも花虎の尾を踏みにけり】より
迂闊にも花虎の尾を踏みにけり( うかつにも はなとらのおを ふみにけり )
昨日は「中秋の名月」が見られた日。コロナ禍がなければ、どこかの観月祭に出向き、月をじっくり眺めるところだが、今年は玄関先で雲の合間に浮かぶ月を数分見たに過ぎない。
それはさておき、今日は近辺でも時々見かける「花虎の尾(はなとらのお)」を取り上げたい。もともと園芸品種として導入されたものと思うが、半野生化したものもある。
本日の掲句は、その名にある「虎の尾」を「虎の尾を踏む 」という成句に絡めて詠んだもの。「虎の尾を踏む」とは、「虎の尾を踏めば、ただでは済まない。非常な危険を冒すこと」の喩えだが、幸いなことに何事も起こらなかった。
尚、「虎の尾」は「虎尾草」とも書き、夏の季語になっている。しかし、これは「岡虎の尾(おかとらのお)」という別種の草花のこと。一方、「花虎の尾」は季語になっていないが、8月初めから9月末頃に咲くので、掲句は秋の季語に準じるものとして詠んだ。
*虎尾草=岡虎の尾
ところで、名前に「虎の尾」が付く植物は他にもいくつかある。例えば以下のもの。面白いことに、いずれも別科別属の花である。
「伊吹虎の尾」 「春虎の尾」 「瑠璃虎の尾」
これは、花が沢山並んで、尾のような花穂になっているものを、昔から「虎の尾」と呼ぶ習慣があるためだと言われている。
そもそも、野生の虎が生息しない日本で、「虎の尾」ばかりが多いのかは何故なのか。強いものに対する憧れ?恐ろしいものへの畏怖?
因みに、「花虎の尾」に関しては、過去に以下の句を詠んいる。
【関連句】
① ぽにょぽにょと花虎の尾の並びたる
② 花虎の尾は昔からロリータ風
③ 花虎の尾っぽサンバで踊り出す
①は、花の咲いている感じを、宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」の歌に出てくるあの「ぽにょぽにょ」という擬態語で表現してみた。
②は、花を原宿、秋葉原で流行っているというロリータファッションに譬えて詠んだもの。同ファッションは、少女の小悪魔的な美しさを表現した日本独自のファッション。
③は、賑やかなサンバダンスに譬えて詠んだ。ネットで画像や動画を確認すると衣装の色や形がど派手でセクシー。
「花虎の尾」はシソ科ハナトラノオ属の多年草。北アメリカ原産で大正時代に渡来したそうだ。花期は、8月初めから9月末頃。花色にはピンクの他に白、赤紫などもある。別名に「角虎の尾(かくとらのお)」がある。
「花虎の尾」は、季語になっていないせいもあり、詠まれた句がほとんどなく、参考句は割愛する。
http://ooikomon.blogspot.com/2022/01/blog-post.html 【大井恒行「虎の尾を踏む張子の虎や老いの春」(新春詠)・・】より
謹賀新年!本年もよろしくお願いいたします。3年前より、つまり、古稀を期に年賀状はお出ししておりませんので、本ブログにて、新年のご挨拶を申し上げます。
ということで 、年頭から図々しく「現代俳句」(現代俳句協会)1月号
の「百景共吟」の句と合わせて、本年1月8日発売予定「図書新聞」(3526号・1月15日)の書評「北川美美著『眞神』考」の写真などをアップさせていただきます。また「現代俳句」同号には、別に武馬久仁裕著『俳句の深読み』(黎明書房)の書評(ブックエリア)
「『言葉さばき』は『言葉みがき』」も合わせて寄稿しました。
列島を巡る地震や鹿は四花 恒行
はるばると鹿は雪華をはこぶなり
令和はや鹿の飢えさえ知らず住む
氷野国(ひのくに)や遊べる鹿はそしられて
流氷の醸すカモシカかもしれない
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本書は、北川美美の遺書である。主要には、俳句総合誌「WEP俳句通信」(88号・2015年10月~108号・2019年2月)に連載され、途中に病を得、手術、入退院を繰り返しながら書き継がれた。連載は中断を挟みながらも成就し、加筆修正を施していた最中、本書の仕上がりを見ることなく、無念にも他界。いわばこの世への渾身の置き土産である。(中略) そして、『眞神』は「季語の有無だけでなく壊滅した新興俳句を含み、俳句が何であるかを呈示していよう。俳諧であり、発句であり、雑排、滑稽、挨拶、写生、あらゆる俳句の側面が多面的に一三〇句に含まれる。それが小西甚一先生の言う「雅と俗にまたがった」もの、すなわち俳句であり、『眞神』である」と見定めた北川美美もまた、三橋敏雄の精神とともに、祈りにも似た不朽の問いを発しているのである。
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