Facebook出口光さん投稿記事
皆さん、こんにちは。この絵をみてください。夏の富士山と湖面には冬の雪を頂いた富士山が描かれています。つまり夏と冬を同時に一枚の絵に描いたものです。
この絵を見ると異次元世界にのめり込みそうで、まさしくメタバースの世界ではないでしょうか。
北斎は、時空を超えた多面的な視点を持っていたのです。
世界で一番有名な日本人はこの富士を描いた北斎だと言ったらどう思いますか?
米国のライフ誌が21世紀を迎えるに当たって「この千年で最も重要な功績を残した世界の人物100人 」を選びました。-
その百人の中にたった一人日本人が含まれていました。
それが江戸末期に活躍した葛飾北斎です。意外ではないですか?
もちろん、 北斎とその版画「神奈川沖浪裏」(GREAT WAVE)は 知っていますよね。
でも、北斎は、写楽や歌麿、広重と同列のように思えませんか。
私もつい最近までそう思っていました。
ところが今、ヨーロッパで北斎が飛び抜けて注目されているのです。なぜだと思いますか?
北斎のMETA-VIEWING(天眼通)は、「北斎の志」と関係しているのです。
北斎は浮世絵師をはるかに超えるスケールで、活動していました。
その中身を知れば現代の私たちの生き方に具体的な示唆を与えてくれます。
-私たちは、2015年に志教育プロジェクトを立ち上げました。
日本の和の精神と文化を世界に伝えたいと思ったからです。あれから7年 「志」という言葉が教育の世界にようやく受け入れられるようになりました。
しかし三十年間、日本が経済的にも文化的にも衰退の一途を辿っています。
その最中に、北斎は彗星の如くヨーロッパに現れ始めました。私は、目に見える形で日本の魂が発動し始めたと思っています。私たちが北斎のことを本当に知れば力づけられます。
今の多くの日本人は 海外に行くと日本のことを尋ねられても語れなくなっています。
これを機に、 日本の文化とその底流にある日本の心を共に学び伝えていきませんか。
Facebook竹元 久了さん投稿記事 🌷徒然日記・森の声
ある人の娘さんがドイツ人と結婚した。それが縁で、二人連れだってちょくちょく日本へやって来るようになった。そのドイツ人の彼が最近頻りに日本の里山の素晴らしさを口にすると言う。ドイツにも森は幾らでもあるに違いないが、日本の森のどこが良いのかと聞くと、下草が繁茂している、むさむさしさが素晴らしいというのである。ドイツにはこの様な感じの森はないそうで、魑魅魍魎(様々な化け物)の息使いや、森に潜む生命のうごめきを感じるそうだ。これが何とも魅力で、そう言う山の中を歩くと、異世界と交流することが出来、大変幸せな気持ちになると言う。たしかに日本人は、自然の風景の中から、季節の微かな変化を敏感に感じとり、四季の移ろいに心を動かされ、そこから俳句や短歌を生み出してきた。春になれば待ち構えていたように梅見に出掛けたり、桜の季節は各地で花見が催され、テレビで開花予報まで出されるのである。これらは当に日本的情緒の典型と言える。
前秋に、イギリスの友人宅を訪ねたとき、「紅葉狩りに何処かへ出掛けようか~。」と言ったら、「イギリスではそんなことする人は一人も居りません。」と言われてしまった。イギリスでも黄葉する森は幾らでもあるそうだが、それを見る為にだけ、わざわざ出掛ける人は居ないらしい。「イギリス人は、はらはらと散る黄葉に、自分の人生を重ねると言うことはないのか。」と更に問うと、「そんなこと全然ありません。」と一言のもとに否定されてしまった。この時ほど日本人との精神構造の違いに驚ろかされたことはなかった。
最近、ある企業の会長さんがお寺にやって来るなり、「この感じは良いですね~。」と頻りに仰る。この方は旧家の育ちで、小さかった頃、お祖父さんが当時有名な禅僧を招いては、坐禅を組み法話を聞く会を催されていたそうである。お寺の長い廊下、部屋の違い棚の置き時計、開け放たれた廊下越しに見える鬱蒼とした庭の木々、部屋に漂う空気、どれを取っても小さかった頃の思い出に繋がることばかりで、懐かしさが込み上げてきたと言うのだ。
この二人の話を聞いて大いに感ずるところがあった。現代は万事便利になり、効率的で快適な生活が出来るようになった。それは大変結構なことなのだが、その為に失ったものも多い。これは以前別なところにも書いたが、私が四国八十八ケ所巡礼の歩き遍路に出掛けたとき、歩くことがどれだけ人間を本来の姿に立ち直らせるかを身をもって知った。山越えの遍路道を歩ききって、ふと振り返ると、急斜面に張り付くように点々と家が建ち、その間を梅林が覆っている。この何の変哲もない四国山地の田園風景が、代え難い素晴らしさで私の心に迫ってきた。ただ歩くだけで、こんなにも自分の心の内と向きあい、味わい深く景色を見ることが出来たのである。
私たちは日常的に車やバス、電車を利用し、極めて効率的、スピーディーに暮らしている。これは一方で、日々本来の心を失っていると言うことでもある。しかし、それで何か不都合が生ずるかと言えば別段ない。便利で快適ならそれが一番!と言うことになる。ところがもっと広い視野で社会全体を見ると、何処か歯車が狂い始めているのではないかと危惧される。親が子を殺し子が親を殺す、またお年寄りが一生掛かって貯めた命の綱とも言える蓄えを、騙して掠め取り、平然としている事件など、有っては成らないことが日常的に頻発している。これらはどう考えても異常としか思えない。便利さばかりを追い求めるうち、我々の心は知らず知らずの間に蝕まれ、本来あるべき姿を失ってしまったのではないだろうか。
嘗(かって)て人々の日々の暮らしは、自然と一体で、ゆったりとした時が流れていた。常に自分の心をそこに投影し、自然から生きる指針を学び教えられながら生きてきた。だから自然とは、人間の都合で利用するだけのものではなく、同等の価値を持った輩であったのだ。だから自然の持つリズムと歩調を合わせ、自然の発する声なき声に耳を傾け、会話するような気持ちで共に生活してきたのである。ところが現代は、丁度新幹線で矢のように飛ぶ車窓の景色を眺めているように、ただ効率一辺倒となり、その結果行き着いたのが自己喪失なのである。
最初にドイツ人が端無くも言ったように、日本人が古来より保ち続けてきた独特の自然観は、世界が注目する素晴らしい価値なのだが、日本人自身は全く気付いていない。それどころか西欧的合理主義を金科玉条のように思い、益々日本的情緒の大切さを忘れている。このへんでもう一度、近代合理主義から離れ、人間が本来持っている原初の速度で歩んでみれば、見落としたものに再び気付くことが出来るのではなかろうか。
https://www.joseishi.net/2016/07/05/6073/ 【小林聡美さんと語る、俳句と日本文化とは? [おとなスタイル]】より
小林聡美さんと宇多喜代子先生。
切り取った点から、景色が広がっていく「俳句には、それぞれの人の暮らしの目線が表れる。だから句会って、興味深くて面白いんです──小林聡美さん」
草餅買うを蓬餅にしてスッキリ。
小林 今回、先生にいただいた「草餅」という題で、一句詠んでみました。私と同じ歳でもう両親を亡くしている友人がいて、その子と久しぶりに温泉に行ったんです。そのときに、家庭的で爽やかな感じもする草餅を、彼女と食べたいなあと思いまして。
宇多 この情景にはショートケーキでもいいだろうけれど、草餅に合わせるところが、小林さんならではですね。
小林 現代生活では消えかけていますが、せめて俳句のなかには日本らしいものや言葉を入れたいなと思っているんです。
宇多 この一句で、景色がぐっと広がっていきますね。この友がどういう顔をしているのかな、と連想させます。一番いいのは、静止画が動き出して物語を紡ぐような、こういう句なんです。それから、一日(いちじつ)の長として少しだけ添削するなら、最後の「草餅買う」を、傍題を使って「蓬(よもぎ)餅」としてはいかがですか。細かいことですが、一句一動詞という法則に従うとすると、「会う」という動詞がすでにあるので、下句の「買う」はなくてもいいんです。
小林 一句一動詞なんですね。
宇多 もちろん、あくまでも原則ですよ。「や」の切れがとっても効いているいい句だから、あとに動詞ではなく、ものを持ってくるのがいいんじゃないかしら。
小林 「親のなき友と会う日や蓬餅」。とてもスッキリしました!
情景がパッと浮かびます。
小林 先生のこの句、「地下街に草の色」というのが素敵ですね。地下なのに草がある、という。
宇多 地下街って無機質で季節がないから、色に惹かれて草餅を買い求める、という情景を詠みました。色や文様も、昔は自然と密接に結びついていたでしょう? 私の祖母も着物の染め替えのとき、「春の雨を降らせてちょうだい」なんて注文していましたよ。
小林 かっこいい……。
宇多 呉服屋さんはちゃんと心得ていて、細い春の雨が斜めにスッスッと降っているような文様にしてくれるんです。子ども心に、「言葉だけで色や柄を表現できるのか」と感心したものでした。
小林 すごく豊かですねえ。
宇多 俳句を通して、日本文化の底流に触れていただけたら、うれしいですね。
<小林聡美さん プロフィール>
1965年、東京都生まれ。映画やドラマ、CMへの出演のほか、『散歩』(幻冬舎文庫)、『読まされ図書館』(宝島社)などエッセイの著作も多数。映画は4月公開『あやしい彼女』、5月公開『海よりもまだ深く』に出演。
<宇多喜代子先生 プロフィール>
俳人。現代俳句協会特別顧問を務める。著書は『名句十二か月(』角川選書)『、里山歳時記 田んぼのまわりで』(日本放送出版協会)など多数。作家の故・中上健次氏との親交でも知られる。農事や歳時記に造詣が深い。
おとなスタイルVol.3 2016 春号
(撮影/関めぐみ)
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