あとからくる者のために

Facebook・兼井 浩さん投稿記 ■あとからくる者のために--- 坂村真民

あとからくる者のために 苦労をするのだ 我慢をするのだ 田を耕し 種を用意しておくのだ あとからくる者のために しんみんよお前は 詩を書いておくのだ あとからくる者のために 山を川を海を きれいにしておくのだ ああ あとからくる者のために

みなそれぞれの力を傾けるのだ あとからあとから続いてくる あの可愛い者たちのために

未来を受け継ぐ者たちのために みな夫々(それぞれ)自分で出来る何かをしてゆくのだ

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これは、大東出版社の『坂村真民全詩集第三巻』に載っています。

しかし、この詩には二種類があります。

この詩は真民が六十五歳の時に書かれたものですが、九十二歳の時に書き改めたものもあります。

六十五歳の時の詩は、自分に向かって書かれていますが、九十二歳の時の詩は、人々に向かって書かれているところが大きな違いです。

社会の人々への「それぞれが少し我慢をして、少し苦労をして、自分にできる何かをしてゆこう」という真民の呼びかけがより届く詩になっていると思います。

それでは、九十二歳の時の「あとから来る者のために」を紹介します。

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■あとから来る者のために

あとから来る者のために 田畑を耕し 種を用意しておくのだ 山を 川を 海を きれいにしておくのだ ああ あとから来る者のために 苦労をし 我慢をし みなそれぞれの力を傾けるのだ あとからあとから続いてくる あの可愛い者たちのために みなそれぞれ自分にできる なにかをしてゆくのだ

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■坂村真民の詩

日の昇るにも 手を合わさず、月の沈むにも 心ひかれず、 あくせくとして

一世を終えし人の いかに多きことぞ。

道のべに花咲けど見ず、梢に鳥鳴けど聞かず。

せかせかとして 過ぎゆく人の いかに多きことぞ。

二度とないこの人生を いかに生きいかに死するか、 耳をかたむけることもなく

うかうかとして、 老いたる人の いかに多きことぞ。

川の流れにも風の音にも 告げ結う声のあることを 知ろうともせず、 金に名誉に地位に狂奔し 終わる人のいかに多きことぞ。

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少食であれ!これは健康のもと。少欲であれ!これは幸福のもと。

この二つのものをしっかりと身につけよう。この世を悔いなく終わるため。この世を楽しく生きるため。

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坂村真民(さかむら しんみん、1909年1月6日 - 2006年12月11日)は、日本の仏教詩人。一遍の生き方に共感し、癒やしの詩人と言われる。


環境問題に取り組み続けてきたデヴィッド・スズキが伝える『地球のなおし方』

カナダ生まれの日系三世、デヴィッド・スズキ。彼は、CBC(カナダ放送協会)の長寿番組『ネイチャー・オブ・シングス』のパーソナリティーを30年以上つとめるほか、ブリティッシュ・コロンビア大学名誉教授、生物学者、環境運動家としても知られている。そして、セヴァン・スズキの父親でもある。

セヴァンは、92年、ブラジル・リオで開催された環境サミットで、「伝説のスピーチ」を行った少女(当時12歳)だ。セヴァンの「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください」という大人に向けたメッセージは、今も、色あせることなく力強いメッセージを発信し続けている。

セヴァンは父親から、「人は、何を言うのかではなく、何をするのかが全てだ」と教えられたそうだ。

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科学者である私は、人というのは、環境破壊の現実を見せられれば、「考え方を改めなければならない」と気づいてくれると期待してしまいがちですが、現実はそうではありません。人は、事実を前にしても、考え方を変えようとしないものです。そこに私はフラストレーションを感じています。

それでも、心を開いてくれるように、あれこれやってみることになるのですが、セヴァンのリオでのスピーチは、まさにこうした試みを成し遂げようとするものでした。しかし、セヴァンのあのスピーチは、一つのスピーチでしかありません。人々に「このままではいけない」と気づいてもらい、社会を変えるスタートラインに立ってもらうためには、セヴァンは今後も繰り返し、同じことを伝えていかなくてはならないのです。

■私たち人間が自然の一部だと考えなくなってきたのは危機的なこと

──デヴィッドさんが繰り返し訴え続けていることは?

地球上の生物のなかで、人間が最も重要だと考えるのはやめようと主張しています。地球は人間のものだから何をしてもいいという考えとは、決別しなければなりません。

私たちは、自分たちが動物であることを忘れています。もし、きれいな空気、水、土、太陽の恵みがなくなれば、私たちは生きていられません。それにもかかわらず、私たち人間は、毒性のある化学物質を自然界に放っています。そして、地球上の生物や環境と、自分たち人間は一緒ではないと考えがちです。このまま私たちが認識を改めなければ、今後もずっと、環境汚染が続くことでしょう。

──頭で理解したことを、アクションに変えるには何が必要でしょうか。

難しい質問ですね。もし私がその秘訣を知っていたら、すでにカナダを変えています(笑)。

私は、人類は自然と分断されていると感じています。話を100年前に戻して説明しますね。 1900年、世界には15億人の人がいましたが、100万人以上が住む都市は16しかなく、世界最大の都市・ロンドンには650万人が、世界第七位の都市・東京には150万人が住んでいました。

しかし、多くの人は、小さな村に住んでいたのです。当時、ほとんどの人は農民で、食料を作っていました。農民は自分たちが、自然の一部であり、自然に頼って生活していることを理解していました。特定の植物が空気中の窒素を吸収し、土壌の肥料となることなどを熟知していたのです。

そして100年後の2000年。世界の人口は61億人を超え、100万人以上が住む都市の数は400以上になり、トップ10位の大都市には、1100万人以上の人が住んでいます。日本やカナダでは、80%以上の人が大都市に住んでいます。東京や名古屋で見る景色の大部分はコンクリートです。自然は人間が住むところにはなく、どこか別の場所にあるものになってしまいました。

生活に必要なものを買うためには仕事が必要で、そうなると、大都市のほうが重要になってきます。そして、経済が何よりも優先されるべきものになってしまい、私たちは、自分たちが自然の一部だと考えなくなっていきました。これは危機的なことです。

──ではどうやったら、今の状態を変えていけるのでしょうか。

セヴァンは92年に、「大人たちのやっていることは、私を悲しくさせる」と言いました。その言葉は人々の心に響きました。私たちは、生活のなかで取り組める、小さな変化から始めていくべきだと思っています。

私の財団(デヴィッド・スズキ・ファンデーション)では、自然への悪影響を減らすことができる簡単な10ステップというものを紹介しています。

例えば、一週間に一回は肉を食べない日をつくるとか、車を運転しない日を設定するといった、簡単なアクションです。

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1.Reduce home energy use by 10%

家庭の消費電力を10%減らす

2. Choose an energy-efficient home and appliances

断熱性の高い家、省電力の家電を選ぶ

3.Don't use pesticides

殺虫剤を使わない

4.Eat meat-free meals one day a week

肉抜きの食事の回数を増やす

5.Buy locally grown and produced food

国産の、近くでとれた食べものを選ぶ

6.Choose a fuel efficient vehicle

燃費の良い車を選ぶ

7.Walk, bike carpool or take transit

移動はなるべく徒歩、自転車、公共交通機関を使う

8.Choose a home close to work or school

住まいは職場や学校の近いところを選ぶ

9.Support alternative transportation

車になるべく頼らないライフスタイルを

10.Learn more and share with others

環境について学び、情報を分かち合う

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もし、日本に住んでいる人が10ステップを実行したら、自然環境に大きなインパクトを与えるでしょう。でも、たとえ日本とカナダに住んでいる人全員が、10ステップを実行したとしても、地球環境の悪化をとめることはできません。悪化のスピードをスローダウンさせることができるだけです。

より大きな変化を起こすには、政府や企業についても考えなければなりません。

政府は法律をつくり、税金の使い道を決めています。環境汚染や、大量消費などの悪いことに税金をかけ、よいことには税金をかけない社会のしくみをつくるためには、私たち一人一人が政治に関心を持ち、参加ができる民主主義社会が必要です。しかし、カナダでは半数近くの人が投票に行かないのが現状です。

一方、カナダの企業は、何百万ドルといった大金を政治家に献金しています。ですから、企業が政治家に会いたいと電話させすれば、政治家はすぐに企業の声を聞くでしょう。しかし、こうした関係はやめさせなければなりません。

企業の政府に対する影響力は大きいので、企業献金の上限額を定めたり、ロビー活動をやめさせる法律が必要です。こうした法律ができれば、大きな変化につながると思います。

■現在子どもたちがおかれている状況は緊急の課題

──環境問題に興味を持ったきっかけは?

私は今も昔も自然が大好きです。父はキャンプや魚釣りに行くのが大好きで、私の幼少時の思い出の一つは、4歳のときに父に連れられて山にキャンプに行き、魚釣りをしたことです。わたしの両親はカナダ生まれの二世で、私は日系三世ですが、第二次世界大戦中、カナダ政府は日本人を山のなかの強制収容所に隔離しました。私は、スロカン収容所(SLOCAN)に収容されました。当時7歳だった私は、学校に行かなくてよくなったので、嬉しく思った記憶があります。

収容所にいた多くの日系人は日本語が話せる二世で、私は三世で、日本語が話せなかったので、いじめられました。それで私は、他の子どもと遊ばない代わりに、山にハイキングに行ったり、母親のためにマツタケ採りや、魚釣りに行きました。クマやオオカミを目撃することもありました。私にとって、自然は身近な友達で、愛すべきものになっていったのです。

両親はいつも私に、外で遊ぶように言いました。雨が降っていてもお構いなしです。今日、カナダの親たちはどうでしょうか。車が危ないから外で遊ばせたくない。あるいは、わが子を誘拐し、虐待する人がいるかもしれないと心配しています。よって、親たちは、子どもを室内で遊ばせるのです。子どもがおかれている現在の状況は緊急の課題だと思います。子どもたちに、テレビを見せたり、コンピューターで遊ばせることはやめさせるべきです。

──カナダでは、デヴィッドさんが親しんでいた自然は今も残っていますか?

それほど多くは残っていません。少年時代、父と一緒にバンクーバーに釣りに行き、カットスロート(Cutthroat Trout)をよく獲りましたが、今、孫が釣りに連れていってほしいと言ってきても、同じ場所に行くことはできません。世界中どこでも同じです。東京でも70~80年前ならば、もっと緑があっただろうし、川には魚がいて、鳥たちの存在もずっと身近だったはずです。

──セヴァンさんとデヴィッドさんの二世代で共有された自然はありますか?

あります。でも、昔のままの自然が残っているわけではありません。バンクーバーの近くの島にキャビンを持っているので、しばしば訪れるのですが、サーモンがいたり、ワシが飛んでいるのを見て、島の自然は素晴らしいなと感じます。しかし、長年、島に住んでいる80代の方にいわせれば、昔と比べて、自然はだいぶ破壊されているというのです。都市に暮らす私には、島の環境は素晴らしく見えるのですが。

先日見たテレビ番組では、ボストン在住の40歳の女性が、カナダの方まで漁に行くのは普通のことだと話していました。彼女は、200パウンドの魚は大きい部類に入ると言っていましたが、次に登場した、かつて漁をしていた80歳くらいの男性は、ボストンから3~4マイル以上離れたところに漁をしに行ったことがなく、200パウンド以下の魚は小さすぎるから、海に戻していたというのです。この話から分かることは、自然環境を比較する基準は、つねに変化しているということです。

若い世代がするべきことは、過去の自然環境がどうであったか知ることです。そして、回復にむけて活動を始めることです。

■最後にデヴィッドは、私たちが日本でできる環境への取り組みについて、

「人間は好きなように地球を使っていいという見方を変える挑戦が必要。私は空気・水・大地・火の4元素の自然を崇拝するカナダの先住民から学んだ。日本にも古くから自然崇拝の考え方があるが、都会の私達は自然から切り離されて生活していると思い込んでいる。今一度自然と大地と、もう一度つながらなければならない」と締めくくった。

Source:骰子の眼 インタビュー・文:奥田みのり

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