道教とは

http://www2s.biglobe.ne.jp/~xianxue/DandX/DandX1-1.htm 【道教の定義】より

 道教とは何か。千差万別の世界の宗教をキリスト教を基準にして統一することは不可能である。現在までの研究から道教の特徴をおおまか にまとめてみよう。

 道教は中国の古代の母系氏族社会で自然発生した原始宗教である。その変化の過程で、巫術禁忌、鬼神祭祀、民俗信仰、神話伝説やさまざ まな方技術数を取り入れ、道家黄老の学を旗印と理論的な柱とし、儒家・墨家・陰陽家・神仙家・医家などの諸学派の修練理論・倫理観念・宗 教信仰なども取り入れた。人々を救い、長生し仙人に成り、さらに道と一つになることを総合的な目標に掲げ、神学・方術なども含む雑多な宗 教体系である。それは漢の時代に特定の歴史的条件のもとで絶えず仏教の宗教形態を取り入れ、次第に発展し中国の伝統的民衆文化の特色を備 えた宗教となった。

 この道教の定義では、道教の源流が母系氏族社会で自然発生した原始宗教であること、漢の時代に黄老の学が神学化・方術化したこと、中 国の儒家・道家・仏教およびそのほかのさまざまな文化要素を取り入れたこと、その目標は人々を救い、長生し仙人になり、道と合し神に通ず ることであることをはっきり表している。


http://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E9%81%93%E6%95%99 【道教どうきょう/道教】より

中国漢民族の伝統宗教。道教という語は、戦国時代の『墨子ぼくし』では儒教を、三国魏の時代に漢訳された『無量寿経』の中では仏教を指す普通名詞であった。その後、儒仏道三教の一つとして、固有名詞化されるのは、諸説あるが北魏の寇謙之(三六五?—四四八)前後の頃とされる。中国人は道教を中国で生まれ育った中国人の宗教といい、魯迅も中国文化の根底には道教がある、と説く。道教が一大宗教に育った背景には、古来の鬼神信仰や陰陽思想などに加えて、外来の仏教の影響もある。戦国時代の『荘子』には、藐姑射はこやの山に処女のように若々しい神人がいて、五穀を食わず風を吸い露を飲み空を飛ぶ、とある。秦の始皇帝は、東方の海上の蓬萊ほうらい・方丈・瀛洲えいしゅうの三神山の不死の薬とそれを服す仙人の存在を信じて、徐福にそれを求めさせた。神人仙人の存在を説く神仙思想は、道教に入って、山岳修行・辟穀へきこく・丹田呼吸・服薬・内観・房中・飛昇の諸術に発展する。仏教からは戒律や儀礼、経典の作成や読誦などを、儒教からは仁義孝悌などの善行の徳目などを受け入れた。漢末には、張陵(—一七九)の五斗米道や張角(—一八四)の太平道が初期の教団として出現した。そこでは病苦を除くために罪を懺悔し、符を入れた水を飲み、『老子道徳経』を読誦し、積善除邪の道誡を守ることが説かれた。教団では、信者を鬼卒や鬼吏と称したので、鬼道を民に教えた、といわれた。わが国の卑弥呼ひみこも鬼道につかえたと中国の史書は記す。初期の道教教団は名称を天師道といい、暫時淫祀邪教面を整斉していった。やがて知識人や皇帝の信仰を得て発展し、上清派・霊宝派・全真教・正一教などと変遷して今日に至る。道教の最高神は元始天尊や老子を神格化した太上老君である。また荘子は南華真人で、三国時代の有名な人物の関羽は、関帝(財神)などとなる。尊や真人の語は、日本の古代の人の名前に利用されている。道教はわが国に総合的・体系的には伝えられなかったので教団も道観(道教の修行のための専門施設)もないが、謡曲の東方朔・西王母ほか久米仙人・浦島子・かぐや姫や星辰信仰・庚申信仰・九字呪文・修験道などにその思想の一端を見ることができる。

【参考】金正耀著/宮澤正順監訳『中国の道教』(平河出版社、一九九五)、野口鉄郎『道教事典』(同、一九九四)、同編『講座道教』一~三(雄山閣出版、一九九九~二〇〇〇)、木村英一他監修『道教』一~三(平河出版社、一九八三)、『シリーズ道教の世界』一~五(春秋社、二〇〇二~二〇〇三)

【執筆者:宮澤正順】

一三世紀頃、生没年不明。道教房、念空、道阿弥陀仏とも称す。京都九品寺の長西に師事して、諸行本願義を学ぶ。また天台教義も修め、思円より具足戒を受けた。『関東往還記』の弘長二年(一二六二)七月一九日の条に、鎌倉の新善光寺別当で念仏者の主領とあり、また日蓮の『一代五時図』に「今の道阿弥」、『行敏訴状御会通』に「道阿弥陀仏」と名前がみえることからも、影響力の大きさが知られる。著書に『諸行本願義』『観経定善義見聞集』などがある。『法水分流記』や『浄土惣系図』(西谷本)によれば、弘安年間(一二七八—一二八八)に没した。

【資料】細川涼一訳注『関東往還記』(平凡社、二〇一一)、『一代五時図』(『日蓮大聖人御書講義』一二上、聖教新聞社、二〇〇一)、『行敏訴状御会通』(『同』四下、一九九三)、野村恒道・福田行慈編『法然教団系譜選』(青史出版、二〇〇四)

【参考】日置孝彦「称名寺と宋代浄土教—性仙の『観経疏管見鈔』を中心として—」(『金沢文庫研究』二四九、一九七八)


https://biz.trans-suite.jp/7149 【「道教」の教えとは?思想やタオと日本への影響もわかりやすく解説】より

「道教」は、中国において「三教」のうちに数えられる代表的な宗教で、英語では「タオイズム」として世界的に知られています。

日本人よりも、欧米人の知識層の方が詳しいかもしれない「タオイズム」や「タオ」は、ビジネスパーソンが知っておくべき教養といえます。その概要を解説しますので参考にしてください。

「道教」とは?

道教とは、中国で自然発生的に成立したとされる、多神教的宗教のことをいいます。無為自然の思想である老荘思想や中国古代の民間信仰、不老長生の神仙思想、陰陽五行説、易など、さまざまな要素が混交した宗教です。混然一体となって成立しているようにみえる道教について、その教えや思想などをわかりやすく解説します。

道教の教えは「老荘思想」

道教哲学の源は老子と荘子の唱えた「道」と「無為自然」の思想にあります。老子と荘子の思想はあわせて「老荘思想」とも呼ばれます。「老荘思想」「道」「無為自然」についてはのちほど詳しく説明します。

道教の開祖は「老子」とされる

道教は開祖を老子としていますが、老子が道教を開いたわけではありません。道教の複数の宗派において老子は神格として崇拝されています。

道教の「神」は複数

道教には複数の宗派や民間信仰のさまざまな形態があり、また原始儒教や仏教なども取り入れられているため、祀られる神やその概念も複数に存在します。ちなみに、日本の七福神のメンバーに道教の神が入っています。

道教の「神仙思想」は不老長寿を願う思想

神とは別の概念として、「仙人」があります。仙人とは、俗界を離れて暮らし、仙術により不老不死、あるいは不老長寿を得た人のことをいいます。

その仙人になることを願う思想のことを神仙思想といいます。神仙思想を追及する過程で、体操法や漢方薬などが研究され、中国の医学や化学が発達したとされています。

「老荘思想」とは?

道教と儒教の思想は中国の思想界を支配してきました。儒教は孔子の思想が源となり、道教の思想の源は『老子』『荘子』にあります。老子、荘子の思想をあわせて「老荘思想」とよびます。

老荘思想の核は「無為自然」と「道」

老荘思想の根本は無為自然を尊ぶものです。それは「道家(どうか)」の思想となって発展し、その後に道教を成立させる思想の源となりました。道家とは、「老荘思想」を奉じた学者を指す言葉です。

「無為自然」とは、儒教の人為的な教えを否定して、「道」のままに任せて生きることに真理があるとする考え方です。

老子は「道」の概念を示した

『老子』の思想の核に「道」があります。道は万物生成の原理であるが空っぽの概念のことをいい、そこから「有」が生み出されるとされます。「道」は抽象的な概念であり、老子も具体的に言葉で説明するようなものではないとしています。

老子は道の性質についてつぎのように語っています。『老子』の中から書き下し文と解説を紹介します。

道は自然に法(のっと)る

すべてのことは自然にのっとっている。春夏秋冬の移り変わりのように、人間の行うべき道も自然にのっとるのがよい

その光を和し、その塵に同ず

きらびやかな才知などの光はぼかして、目立たないよう俗世間の中に同化するがよい

これは「和光同塵」のもとになった言葉として知られています。

参考記事

「無為自然」の意味とは?ありのままに生きる「老子」の道を解説

荘子は「逍遥遊」の生き方を示した

老子の「道」の思想をさらに深めたのが「荘子(そうし)」です。荘子の思想を著わした『荘子(そうじ)』は、道家思想の全容を備えているとされます。

荘子の思想には、俗世間を離れ、無為自然の世界に遊ぶ姿勢である「逍遥遊(しょうようゆう)」が根底にあります。逍遥遊とは、とらわれのない自由な境地に心を遊ばせるという意味です。

荘子の言葉を『荘子』の中から紹介します。

自らその適を適とす

自分の本当の心に適したものを求めるべきである。自適ということが真人のすがたである。

不言の言を聞く

声なき声を聞くことは、政治に携わるにも、人と交際するにも、大切な心得である。

参考記事

「荘子」の思想とは?名言と現代語訳も紹介!孔子への見方も解説

「タオイズム」と「タオ」とは?

「道教」のことを英語で「タオイズム」といいますが、その概念は狭義の道教であるといえます。また、「タオを生きる」などというように使われるときの「タオ」は「道」の意味です。これらがどのような概念で用いられているのかを次に説明します。

「タオイズム」は道教の「老荘思想」のこと

道教は英語で「Taoism」と呼ばれます。「老荘思想」についても同じく「Taoism」とされます。このことからも、欧米で「タオイズム」の概念で語られるときの道教は、多神教で不老長生の神仙思想などが混交した中国民族古来の道教ではなく、老荘思想の概念であることがわかります。

「タオ」は老荘思想の「道」の意味

「Tao」とは「道」の中国語の音を英語で表したものです。英語で「Tao」というときは、老荘思想の「道」の意味で使われます。

また、欧米で「Tao」を扱った書籍は多数出版されています。ユニークなものでは「くまのプーさん」がTaoを説く「The Tao of Pooh」という本がベストセラーになっており、日本でも翻訳本が出版されています。

道教と日本との関係

最後に道教と日本の関係について説明します。

「道教」が教団組織として根付くことはなかった

道教の思想は4世紀には日本に伝わっていたとされています。しかし道教そのものが日本に取り入れられ、教団組織が成立して広く流布されることはありませんでした。

「神道」の思想に影響を与えた

しかし神道の神典とされる『古事記』や『日本書記』に道教の影響がみられるとともに、民間行事として行われてきた神道の中にも道教の思想の影響が多くみられます。

参考記事

「神道」とは何か?仏教との関係や歴史・起源を3つの視点から解説

「陰陽道」や「山岳信仰」など文化に影響を与えた

また、道教を形成する要素である神仙思想や陰陽五行説も、日本の文化や思想に大きな影響を与えました。例えば陰陽五行説の中の呪術的な要素を日本独自に発展させた「陰陽道(おんようどう・おんみょうどう)」は、古代から江戸時代に至るまで、政治や生活習慣に大きな影響を与えています。

さらに、日本の山岳信仰や、修験道などにも道教の神仙思想などの影響が色濃く反映されています。民間信仰の中に溶け込む形で、それとは認識されずに道教は日本に根付いているといえます。

参考記事

「陰陽五行」とは何か?その思想や日本に与えた影響も解説!

「タオ」の思想が西洋から輸入された

老荘思想を「タオイズム」として評価した西洋から輸入する形で、「タオ」の思想が日本に伝わったといえます。タオの思想では陰陽説も重要視され、陰陽を表す「太極図」がよく用いられます。「太極図」は道教のシンボルでもあります。

まとめ

「道教」は、老荘思想や神仙思想、さらに陰陽五行説など、さまざまな要素が集まった中国の代表的な宗教です。中国の思想や文化は日本のそれと密接にかかわっているため、私たちがよく知らない道教は、実は日本人にとって身近な存在だといえます。

道教の源となった思想や哲学を抜き出したものが「タオイズム」です。「道教」を理解するためには、思想としての「タオイズム」に触れるとともに、道教の要素を残すさまざまな日本の文化を再発見する過程が必要だといえそうです。

 

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