https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:1/19/view/2837 【*俳句とホスピタリティ】より
池内
地元のマスコミにもそうそうたる方がたくさんいらっしゃるんですが、私ごときが、なぜ今日呼んでいただいたのかと思って考えておりましたら、たまたま松山で、今日から新聞大会というのが開かれて、偉い人がみんなそっちへ行ってしまっているので、それで私のところへお鉢が回って来たのではないかと思っているんですが、それはそれとしまして。さっき司会の方からも御紹介いただきましたように、私どもは「愛媛人その風土」という、言ってみれば愛媛の人間とは何かということをずっと追求してきた番組を、15年以上にわたって作り続けておりまして、随分たくさんの方々を取り上げたわけでございます。ここにいらっしゃる中でも、伴野先生と常磐井先生にはもうすでにその番組に御登場いただいておりまして、そのうち讃岐先生の所にも、お願いに行くだろうと思いますので、またよろしくお願いします。
そういった番組作りなどを通して、私なりに、これはマスコミとか何とかということではなくて、愛媛に住んでいる者として考えております愛媛らしさと言いますか、私はあえて愛媛の良さとか、愛媛の素晴らしさというふうなことで申し上げたいと思うのですが、一つは私はいつも思っておりますのは、排他的という話もあったのですが、来た人に対してはやはり親切な、もてなしの心と言いますか、温かくもてなす気持ちというのが、伝統的に愛媛にはあるのではないかということを、感じております。
英語であてはめますと、ホスピタリティというふうな言葉になるのではないかと思うのですが。それでなぜそういうものが愛媛にあるのかということを考えた場合、私は二つのキーワードがある。一つはお遍路だと思うのです。それからもう一つは俳句だと思うのです。
お遍路というのは、御承知のように、心や体を病んだ人々が、四国という島を巡りながら、その心の傷やあるいは肉体的な傷を癒(いや)すという事を目的に、弘法大師が作ったと言われていますけれども、非常にハードウェアとして、素晴らしい仕組みだというふうに思います。それではなぜお遍路というものが四国にできたかと言いますと、やはり四国が島国であったということ。つまり、かなり日数はかかりますけれども、ぐるぐる回っていくことができるという、この島という構造。
もう一つは、さっきの米地先生のお話とも関連しますが、非常に暖かいところであった。これは大変米地先生には申し訳ないんですけれども、もしみちのく八十八ヵ所というのがあったとしたら、たいがいお遍路さんは冬の間に凍死してしまいます。四国は、幸いなことに、海岸沿いに歩いている限りは、まずお堂の中あたりで野宿をしても、真冬でもまず凍死する恐れはない。そういうあたりからお遍路というのができた。しかもそれを支えるものとして、お接待というものが伝統的にあります。つまりお接待こそ、さっき言いました、ホスピタリティということに当たるのではないかと思います。それから善根宿という伝統がございます。お遍路さんを、見も知らない人でも泊めてあげるという。これは英語で言うとホスピスという言葉があたると思いますけれども。そういうお遍路の伝統というのが、愛媛に、そういう温かい心を生んだ。これは愛媛に限らないのですけれども、お遍路の中では、愛媛は菩提の道場というふうに言われていますが、そういうものがあるのだろうと思います。
それからもう一つ俳句ということで申し上げますと、正岡子規という人が出て、日本の俳句を文学として前進させ、改革をしたわけですけれども。正岡子規以前の俳句というのは、実は今のような形の俳句よりも、むしろ連句。大勢で共同作業として、36句なら36の連句を巻いていくという、そういう形の俳諧が、子規以前には一般的に行われていたわけです。とくに伊予は、それが大変盛んな土地であった。子規記念博物館の和田先生のお話によりますと、愛媛の俳諧のルーツは、大山祇神社に奉納されております「法楽連歌」というものだそうですが、これは15世紀の半ばから17世紀の終わりぐらいまで、延々といろんな階級の人が連句を詠んで奉納しているわけです。連句を奉納して、神に喜んでもらおうというそういう気持ちです。そういうわけで、正岡子規以前には、愛媛の中で、宇和島は宇和島、松山は松山でそれぞれの俳諧の伝統があって、連句を楽しんでいたわけです。
連句というのは、例えばちょうどこれはぴったり、今から300年前の1692年に、これは実は江戸で生まれた連句なんですけれども、松尾芭蕉が青地彫棠(ちょうとう)という、松山藩の江戸詰めのお医者さんの家に招かれまして、そこで俳句の会がありました。当然先生の芭蕉がお客さまですから、お客様が、その家の主に対するいろんな挨拶の気持ちを込めて、まず発句(ほっく)というものを詠むのです。その時は、芭蕉が「うちよりて 花入さぐれ 梅椿」という発句を詠んでいます。これは要するに、旧暦の12月なのです。この季節はちょうど野や山へ探梅と言いまして、早咲きの梅を探しに行く季節なのですが、「何も野や山へ行かなくても、この家の床の間にある花入れを、よく見てごらん。もうすでにここには梅も椿も咲いているじゃないか」という、非常に温かい、芭蕉の主人に対する挨拶の気持ちです。それを受けて、その家の主であります青木彫棠が詠んだ。これは二つ目で脇句(わきく)と言いますけれども「降り込むままの 初雪の宿」。「せっかく先生をお迎えしましたけれども、こんなあばら家で、雪が隙間から降り込んでくるような所で、何のもてなしもできません」という、芭蕉に対する挨拶。芭蕉の挨拶に対する返礼の気持ちを込めて詠みました。その次に、宝井其角(きかく)という、大変江戸で有名な俳人が、3句目。これは第三(だいさん)と言いますけれども、「目に立たぬ つまり肴をひきかへて」という句を詠んでおります。こういうふうに大勢で、3人、あるいは多い時は5人、6人ですけれども、一巻の連句というものを完成していくわけです。
この連句の心というものは、まず前に詠んだ人の気持ちになって、一応自分というものをいったん捨てて、前の人の句の心に寄り添って、自分をむなしくして、改めて新しい自分を発見していくという、そういう世界であるわけで、現代のように、俳句というのを独立した、五七五だけを皆それぞれたくさん作って行くという形ではなくて、こういう連句というものが盛んであった。やはりこれは共同作業。さっきも言いましたように、お客様をもてなす意味が、非常に強い文芸です。座の文芸というふうに言われますけれども。そういうものを長年盛んにどの階級も、大名から庶民に至るまでやってきた。これは伊予に限るわけではないんですけれども、伊予の人はことに連句を好んでやっております。そういう中から、こういうホスピタリティというふうな心が培われてきて、現代に至っている。
例えば、俳句の歴史で言いますと、小林一茶は二度にわたって伊予を訪れて、大変いい思いをしているんです。これは栗田樗堂(ちょうどう)という、経済的にも大変豊かな俳人が松山にいて、その人をスポンサーとして頼って来たということもあるんですが、ひとつは伊予の持つ温かさに引かれて来たんだろうと思います。また、去る11日、日曜日が、種田山頭火という俳人の52回目の命日だったのですけれども。山頭火は山口の人ですが、わざわざ愛媛へ来て、愛媛に終(つい)の住みかを求めて、ここで亡くなったというのも、やはり愛媛の温かさ、ホスピタリティにひかれたのではないかと。そんな気がしております。以上、この2点から、愛媛の良さについて、申し上げました。
讃岐
ありがとうございました。それでは最後になりますけれども、常磐井先生の方から、実際に生活を見ておられて、伝記や生活をずっと追い掛けて、記録をされているのですが、その目から見ての、愛媛のアイデンティティとか良さみたいなところをお話いただいたらと思うのですが。
https://www.nagoyagaidai.com/interest_question/topic07/ 【世界が絶賛する日本の
ホスピタリティには、400年前の千利休の教えが息づいている?!】より
皆さんは、戦国時代に名を馳せた有名な茶人・・・・・・“千利休(せんのりきゅう)”をご存知ですか? 実は茶人のほかに、商人の顔も持っていた千利休は、より良いおもてなしを提供するために、以下の「7つの心得」を説きました。
【千利休七則】
一、茶は服のよきように点(た)て(相手の気持ち・状況を考えて行動する)
二、炭は湯の沸くように置き (準備は要を見極めて行う)
三、花は野にあるように生け(物事の本質を見極めて、シンプルに表現する)
四、夏は涼しく冬暖かに(季節を五感で感じられるように工夫する)
五、刻限は早めに(ゆとりをもって行動するように心がける)
六、降らずとも傘の用意(何事にも万全の備えをする)
七、相客に心せよ(この場にいる全ての人に心配りを)
「一生に一度しかないこの茶会を、誠実に尽くす」茶人と、「ビジネスとしてサービスを考える」商人の二足のわらじを履いていた千利休だからこそ生まれた7つの心得は、それぞれが、とても日本人らしい考え方であり、いまも、日本の「おもてなしの心」に影響を与えています。
たとえば、飲食店に入ると、季節に合わせた温度で用意されたおしぼりが出てくる、何も買わずにお店を出ても、店員がお礼やお辞儀をしてくれる、予定された時刻通りに電車やバスが発着するなど、どれも、千利休の心得に当てはまるところがありますよね。
これらのサービスは、日本に訪れた外国人観光客から見ると、顧客や利用者へのホスピタリティが行き届いており、信頼感も増す行為。だからこそ、日本の「おもてなし文化」は世界から称賛されているのです。日本で暮らしていると当たり前に感じることばかりですが、それだけ「おもてなしの心」が私たちの生活に溶け込んでいる証拠ですね。
“日本の第一印象”になりうる航空業界。「日本のおもてなし」でお出迎え。
外国人観光客の誘致促進が国を挙げての課題となるなか、空港、旅行、ホテル業界では、今まで以上に「おもてなしの心」が重視されています。
とりわけ航空業界は、日本に訪れる外国人の第一印象になりうるところ。機内や空港は、日本の文化や人、言葉に触れる最初の場所であり、そこでどんな対応をするかで、日本に対する外国人の印象が左右されるといっても過言ではありません。そのため、単にマニュアルに合わせた接客のノウハウを実行するだけではなく、「千利休七則」や「一期一会」といった、長く受け継がれてきた日本独自の「おもてなしの心得」を基本指針として学んでいる航空企業もあります。
“どんな国の文化を持つ人であっても、どんな言語を話す人であっても、裏表なしの心で、お客様を迎えること”――キャビンアテンダントやグランドスタッフなど、空港で働くスタッフが、こうした同じ接客精神をもつことで、連携のとれた「世界が絶賛する“おもてなし”」が実現しているのです。
今後はさらに、多くの外国人たちが日本を訪れ、実際に肌で感じた日本の文化や、日本人の価値観や人間性を世界各国に体験談として広めていくでしょう。だからこそ、航空業界などのサービス業界では、日本文化のひとつである、「おもてなしの心」をますます重視していく必要があるのです。
名古屋外大では、そんな航空業界に特化した語学力の向上はもちろん、専門的な知識を備えるための「エアライン・ホスピタリティ科目」や航空会社と連携した「企業提携プログラム」など、航空業界への就職を意識した学びを通して、将来、航空業界で活躍できる人材を育成しています。
https://thehospitalityteam.jp/topics/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%EF%BC%94%E3%81%A4%E3%81%AE/ 【日本のホスピタリティが世界一と言われる4つの理由 ~日本のおもてなし文化のルーツとは?~】より
「日本のホスピタリティは世界一」と言われていますが、何故なのでしょうか?
それは、日本特有の「おもてなし文化」と深く関係があると考えられます。
東京オリンピックの誘致の際も日本の強みである「お・も・て・な・し」をアピールして、誘致に成功をいたしました。
また、東京ディズニーランドは世界一ホスピタリティレベルの高いディズニーランドだと言われており、海外でサッカーのスタジアムで試合が終わった後にゴミを拾う日本人サポーターの姿が注目されたり、震災などで被災されている皆さまが、物資などを配給される際に、順番を守り整列されている姿は、日本人としては当たり前だと思っていますが、外国人にとっては理解できないようです。
このように、日本はおもてなしをはじめとする、相手を「思いやり」「気遣い」「もてなす」文化が根付いており、それが、世界一のホスピタリティである由縁です。
それでは、何故、このような日本特有のおもてなし文化が出来上がったのでしょうか?
これに関しては、様々な要因が複合的に絡み合って出来上がった文化だと考えており、その主たる要因として考えられる4つを解説させていただきます。
1.村文化
まず、はじめに考えられるのは「村文化」の影響です。日本人は集団で農作物や漁業、狩猟をして、それによって得られた「めぐみ」を、皆で分け合って生活をしてきた成り立ちがあります。従って、村民同士の協力が重視されていたと考えられ、「村八分」という言葉が示すように、集団活動に対して逸脱した行動をする者は、仲間外れにされるといった、村内の「社会性」が重視されていました。そのような環境の中で、相手の感情を読み取る力や、他者とうまく付き合っていく協調性を養い、ホスピタリティ力が高まったと考えられます。
2.神道と仏教の影響
私たちの中で一般的に信仰されている「神道」と「仏教」も日本のホスピタリティと大きく関係していると考えられます。まず、日本人はお盆にはお寺に行き先祖を自宅に迎え、正月には神社に行き初詣で願いごとを祈願をする。このように、仏教も神道も両方受け入れる国民性があります。また、お寺に行っても敷地内に他宗教の神社があることも珍しくありません。
このように信仰に対して柔軟であることも、外国のような宗教観での争いなどがなく、お互いを尊重する文化が醸成されている要因として考えられます。また、神道は私たちの身近にある、山、川、森、滝などへの深い敬意を持ち、それらに神が宿り、私たちを見守ってくれていると考えられています。従って信仰において、神々への感謝が大切な価値観となっていることもホスピタリティに考え方に繋がっています。
また神社特有の「お祭り」の時の祝宴でも、参拝者や訪問者に対するもてなしが成され、ゲストを厚遇して喜ばせる文化が根付いた要因と考えられます。このように神道は日本人のアイデンティティに深く結びついており、神道の価値観や儀礼は、日本のもてなし文化に深く関係していると考えられます。
一方で仏教に関しても、善意と思いやりを重要な価値観としており、心の浄化と内面の平和を追求する宗教です。この点においても日本人が内面的に安定し、他者に対して優しさや寛容であるということが、世界一のホスピタリティに繋がっていると考えられます。
このように多神教、神道、仏教といった日本人の宗教観も世界一のホスピタリティに、大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
3.和を大切にする
「日本人の心」=「和の心」といっても過言ではありません。何故ならば、「和」は日本を言い表している言葉だからです。
「和食」・・・日本の食事「和紙」・・・日本の紙「和訳」・・・日本語に訳す
このように「和」は「日本」そのものを指しています。また、年号においても「令和」「昭和」といったように「和」という字が使われているように、日本にとって「和」は大切な意味を持ちます。それでは、「和」という言葉はどのような意味があるのでしょうか?
「和」を辞書で調べると、「和とは、仲よくすること。互いに相手を大切にし、協力し合う関係にあること。」とあります。
聖徳太子が制定したという17条憲法の第一条に「和をもって貴しとなす」という条文があります。故事ことわざ辞典によれば「何事をやるにも、みんなが仲良くやり、いさかいを起こさない のが良いということ」とあります。
ちなみに、この「和をもって貴しとなす」は「~をもって~となす」から「もてなす」の語源という説もあり、「おもてなし」の考え方と深い関連があると考えられています。
このように、「和」は日本人の心の中で調和、協力、共感、対立の回避、自然との調和など、
さまざまな要素と関連づけられており、日本文化と日本人の価値観に深く根ざしています。
この「和の心」が、日本人の「もてなし」に対する行動や考え方に大きな影響を与えていると考えられます。
4.礼儀を重んじる
そして、最後が日本人は礼儀を重んじるという点です。そもそも日本人は、「茶道」「華道」「書道」といった「道」を大切にする文化があります。この道というのは、所作や動作を「道」として極めることにより、身体と精神の訓練を通じて成長や精神的な洗練を追求する日本特有の文化です。そして、その道を追求する上で、相手に対する道義や礼儀、作法を重んじることを大切にしています。このことからも相手を尊重し、リスペクトするということもホスピタリティの価値観と共通しています。そして、このもてなし文化を語る上で、茶道を広めた千利休を外すことはできません。茶道は、もてなしの精神を体現する一つの方法として位置付けられており、ゲストに茶を振る舞い、もてなす機会を提供する中で、「茶室のしつらえ」「茶碗」「和菓子」など、その場を「一期一会」の機会として考えて、ゲストの事を心から想い、気遣い、もてなすことを大切にしています。
このように茶道は、日本文化に深いつながりを持ち、日本人の価値観や精神に大きな影響を与えています。そして茶道は、もてなしの文化を通じて人々を結びつけ、ゲストを大切にし、心から歓迎する、日本の伝統的なアプローチを象徴しています。
いかがでしたでしょうか?
このようなことから、日本のもてなし文化が作り上げられたと考えられ、この日本の伝統、文化から築き上げられた日本人の国民性が、日本がホスピタリティで世界一である理由だと考えられます。そして、この日本の強みである世界一のホスピタリティをこれからの企業運営に活かすことで、世界で唯一無二の競争力を手に入れることができると私は考えます。
それは、
・日本人のきめ細かい気遣いやもてなしでゲストに対する商品サービスの付加価値を高める。
・日本人の心である「和の精神」で組織力、チームで勝つ力を高め、生産性、競争力を高める。
・日本人であることに自信と誇りを持ち、日本人らしい生き方を世界に示す。
欧米に迎合、追随するのではなく、日本の強みを活かした、日本らしいやり方で
日本の未来を切り拓いていく覚悟が求められているのではないでしょうか?
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