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【自己実現の7原則】 第6の原則、人間関係を通して自分を確立する
こんばんは、野口嘉則です。今回は、「自己実現のための7つの原則」のうち、
第6の原則についてお話しします。
第6の原則は、「人間関係を通して自分を確立する」です。
今回の原則は、すごくパワフルな原則です。早速、話をはじめますね。
僕たちの“心のありよう”は、僕たちがつくる“人間関係”に現れてきます。
つまり、僕たちの“内面の状態”が、“人間関係という形で外に”現れてくるわけです。
たとえば、心が成熟していて、心の安定度が高い人は、周囲の人とも良好な関係を
安定的に築くことができます。
内面の成熟度・安定度が、成熟した人間関係、安定した人間関係となって、外に現れてくるわけです。
また、心に余裕がないときは、周囲の人との人間関係もギクシャクしがちですよね。
心が不安定なときは、周囲の人との人間関係も不安定になってくるわけです。
これも、心のありようが人間関係に現れてくるわかりやすい例ですね。
こんなふうに、僕たちの心のありようは、僕たちが築いていく人間関係に大きな影響を与えるわけですが、逆のことも起こります。
つまり、僕たちが築く人間関係が、僕たちの心のありように大きな影響を与えるのです。
たとえば、大切な相手と親密で安定的な関係を築くことができたら、僕たちの心は満たされ、
自尊心が育ちます。
また、人間関係の問題に取り組み、それを解決することができたら、僕たちは自分に自信を持つことができるし、自分に対する否定的なスキーマ(思い込み)や人間関係についての否定的なスキーマをゆるめることができます。
僕たちが築く人間関係が、僕たちの心のありように大きな影響を与えるわけです。
アドラー博士が「人の悩みはすべて対人関係の悩みに行きつく」と言っています。
僕たちの心を悩ませるのは、突き詰めていくと対人関係(人間関係)の問題である、
つまり、対人関係(人間関係)の問題こそが僕たちの心を悩ませる、ということですね。
この言葉も、僕たちが築く人間関係が、僕たちの心のありようや悩みに大きな影響を与えることを示しています。
ところで、「レジリエンス」という言葉をご存知ですか?
「レジリエンス」とは「精神的な回復力」のことです。「困難な状況や辛い出来事が続いても、そこからしなやかに立ち直る力」それがレジリエンスです。
つまり、レジリエンスが高い人というのは、柔軟な適応力があって、折れない心を持っている人です。
レジリエンスにはいくつかの要素があり、それぞれの要素を高めていくと、結果的にレジリエンスも高まるわけですが、その要素は内面的なものばかりではありません。
もちろん、レジリエンスの要素には、「感情を調整する力」や「思考の柔軟性」などの
内面的な要素もあります。(それぞれ、第3の原則と第4の原則に当たるものです)
ですが、レジリエンスの要素には、「身近な人と良好な人間関係を築いていること」
という、外側の要素もあるのです。
つまり、身近に心の支えとなる人の存在があると、僕たちのレジリエンスは高まるということです。
このことも、僕たちが築く人間関係が、僕たちの心のありように影響を与えることを示していますね。
以上、ここまでのところをまとめますと、僕たちの心のありようは、僕たちが築いていく人間関係に大きな影響を与えるが、同様に、僕たちが築く人間関係は、僕たちの心のありように
大きな影響を与える、ということです。
つまり、僕たちの心のありようと、僕たちが築く人間関係は、おたがい影響を与え合っているのです。僕たちの内面と外面(人間関係)は、影響し合い、循環しているのです。
ですので、内面にアプローチし、内面に変化を起こすことで、僕たちの人間関係も変化しますし、逆に、人間関係にアプローチし、人間関係に変化を起こすことで、僕たちの内面も変化します。
そして、自己実現に向けて自分の土台づくりを進めていくうえでは、内からのアプローチと
外(人間関係)からのアプローチの両方に同時並行で取り組むのがベストなのです。
両方からアプローチすることで好循環が起こり始めます。
ここで、前回までを振り返ってみますと、第1の原則から第5の原則まで、内面にアプローチする原則が続きましたね。
一方、第6の原則では外側(人間関係)にアプローチします。
人間関係における問題を解決し、幸せな人間関係を築いていくことによって、結果的に、内面に変化をもたらしていくわけです。
この第6の原則を実践するうえでは、具体的・実用的・効果的な方法が必要になってきます。
30代前半の男性(Aさん)の例を紹介したいと思います。
Aさんは妻との関係が悪化したことを悩んでいたのですが、心理学の本をいろいろ読むうちに、自分が妻に対して依存的であることに気づきました。
Aさんは、妻の感じ方や考え方を尊重するよりも、自分の感じ方や考え方を受け入れさせよう
とすることが多く、意見が対立したときも、自分の意見を正当化して、自分の意見を押し通してきました。
「俺の言っていることは明らかに正しい。君はそれを理解するべきだ」といったスタンスで、自分の意見を通してきたのです。
このときAさんの内面では、「僕のことを受け入れてね」「僕の欲求を満たしてね」という一方的な依存(甘え)の心理が働いていたわけですが、Aさんは心理学を学んで、そのことを自覚したのでした。
しかし、そのことを頭で自覚しても、Aさんは妻への接し方を変えることができませんでした。実際に妻と話していると、自分の意見を押し通すパターンが出てくるのです。
また、本を読むと、「ありのままの相手を受け入れよう」とか、「相手の立場になって考えよう」とか、「相手への期待を手放そう」といったことが書いてあり、これらを実行しようとするのですが、しかし、実際に妻と接していると、いつものパターンを繰り返してしまいます。
「ありのままの相手を受け入れる」とか、「相手の立場になって考える」とか、「相手への期待を手放す」とか、こういった精神論的なことは、頭でわかっていても、なかなか実行できないですよね。
もちろん、自らの心の成長・成熟が進めば、そういったことも徐々に実行できるようになっていくわけですが、それを待っていたら目の前の問題解決が進みません。
妻との関係を改善したいAさんには、すぐに実行できて、しかも効果的な方法が必要でした。
僕がAさんにお教えしたのは、対人関係療法(IPT)で使われる方法でした。
その方法を使うことで、Aさんはそれまで繰り返してきたコミュニケーションのパターンを脱することができました。
それまでは、自分の正しさを主張して、自分の意見を押し通していたAさんが、その方法を使うことで妻と建設的な対話を進めていくことができ、夫婦関係を悪化させていた根本原因にまでたどりつくことができたのです。
そして、その後もAさんは、妻との対話を重ねていき、その結果、Aさんの夫婦関係は修復されたのでした。
ここで注目したいのは、妻との関係修復に取り組むプロセスで、Aさんの内面が変化していったことです。
そのプロセスにおいて、Aさんの心理的自立が進み、Aさんの妻に対する依存的な姿勢が顕著にゆるんでいったのです。また、Aさんは自分の“感情”を自分で扱えるようになりました。
かつてのAさんは、思いどおりにならないときの“残念さ”を自分で抱えることができなかったので、自分の意見を通し、自分の思いどおりにすることで、妻のほうに我慢させていました。
そういう形で妻に依存していたわけです。
しかし、妻との対話を重ねるうちに、Aさんは、“残念”という感情を受け容れることが
できるようになり、思いどおりにならない状況をも受け容れて、根気よく妻と話し合うことが
できるようになったのです。
これは、妻との対話を重ねるプロセスで、Aさんの「心の器」が丈夫なものになったからです。
このAさんの例でわかるように、適切な方法で人間関係の問題を解決し、幸せな人間関係を築いていけば、それにともなって自己確立が進み、自らの内面も変容するのです。
幸せな人間関係を築くための方法としては、対人関係療法の手法や弁証法的行動療法の対人関係スキルが非常に効果的です。
どちらの手法も、その場しのぎのコミュニケーション技術とは根本的に違います。
一定期間、取り組むことによって、自らの対人関係スタイルに変化が起きる
とともに、自らの心理的な自立が進み、自分という人間の基礎が確立されます。
あと、大切なポイントなのですが、これらの手法を使って人間関係づくりに
取り組むときに、人間関係の問題の解決だけを目指すのではなく、その過程を通して自らの自己確立を進めることを、意識的に目指すことが大切です。
つまり、自らの成長のためのトレーニングという意識を持って、人間関係づくりに取り組むのです。
上記のAさんも、最初の動機は、妻との関係を修復することだけでしたが、僕は、手法をお教えしたときに、「この手法を、奥さまとの関係修復のためだけではなく、自らの成長と自己確立のために実践してみませんか」と提案しました。
そしてAさんは、実際、そのような意識で取り組まれました。だからこそAさんは、内面的に変化することができたのです。
以上、今回は第6の原則についてお話ししました。
おたがい、人間関係を通して自分を確立するという意識を持って、人間関係づくりに取り組みたいですね。
ではここで、今回のワークセッションを提案したいと思います。
今回の記事を読んで感じたことを下のコメント欄に書き込んでみてください。これが、今回のワークセッションです。
次回は、いよいよ第7の原則についてお話しします。「これぞ極意!」ともいえる原則です。
楽しみにしていてくださいね。
【自己実現の7原則】 いよいよ極意、第7の原則。意志の力に頼らないこと。
こんばんは、野口嘉則です。
今回は、「自己実現のための7つの原則」のうち、いよいよ、極意といってもよい
第7の原則についてお話しします。
最初に、僕がコーチングやカウンセリングを通して経験したことからお話ししますね。
これまで、新たにクライアントさんになってくださった方に、初回セッションの中でお話を伺ったとき、「自分を変えることって、気が遠くなるくらい難しい気がします」とおっしゃった方がたくさんおられます。
なぜそう思われたのか、を伺ってみると、「何年もの間、自分を変えたいと本気で思って生きてきたけど、自分がほとんど変わっていないからです」とおっしゃる方が多いです。
しかし、こういったケースでは、よくよく伺ってみると、「自分を変えたい」という気持ちは
ずっと以前から持ち続けておられ、そのために本を読んだり、セミナーに参加したりしてこられた方が多いのですが、毎日、少しずつでも、自分を変えるための具体的なワークや行動を
継続して実践してこられた方は、極めて少ないのです。
つまり、自分を変えたいと思って、定期的に本を読んだり、セミナーに参加したりして、
その都度、何かを実践し始められるのですが、1~2ヵ月もすると、実践したりしなかったりというふうになり、やがて実践をやめてしまわれたケースが多いのですね。
意志が弱いからではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、継続できない理由は、意志が弱いからではない、と僕は思っています。
何かを継続していこうと思うなら、意志の力に頼らなくていいような、そんな取り組み方が必要です。
意志の力で自分を鼓舞し、「継続しなければ」という思いで続けていくのって、楽しくないですよね。そして、これでは、継続していくことが苦行のようになっちゃいますね。やがて息切れしてしまいそうです(汗)
ここで、第7の原則を紹介したいと思います。
第7の原則は、「環境の力を使って習慣化する」です。では、この原則について説明しますね。
僕たちの人格や人間性は何によってつくられるかというと、僕たちの日々の習慣によってつくられます。
『7つの習慣』の著者コヴィー博士も、次のように述べています。
「私たちの人格は、繰り返される習慣の結果として育成されるものである」
また、次の名言も有名ですね。「習慣が変われば、人格が変わる。人格が変われば、運命が変わる」
さらに、ジョン・デューイが、次の言葉を残しています。
「人間は理性の生き物でもなければ、本能の生き物でもない。習慣の生き物である」
僕たち人間は常に理性的に生きているわけでもないし、常に本能的に生きているわけでもありません。常に自らの習慣にしたがって生きているのです。
であるならば、僕たちが自己実現に向けて、人間としての土台づくり(自分づくり)に取り組んでいくうえで、最重要な課題となるのは、自分づくりのための習慣を定着させることです。
特に重要なのは「学ぶ習慣」です。
自分づくり(土台づくり)の大切さに気づき、「取り組もう!」という気持ちになっても、
自分づくりについて学ぶことが習慣になっていなければ、やがてその気持ちは薄れていきがちです。
頭の中における「自分づくりの優先度」は、日々の仕事や雑事に追われるうちに、みるみる落ちていきます。
そして、「結局、自分づくりに取り組まないまま、1ヵ月が過ぎてしまった」といったことを繰り返すことになるケースがとても多いのです。
そこで、学び続ける習慣が必要になってきます。
心について学び、人間について学び、自分について学ぶこと、これを習慣化することによって、自分づくりへの高い意識が保たれ、取り組みが自然に継続されます。
一旦、習慣化してしまえば、意志の力に頼らなくてすむようになります。
基本的に、人間の意志は不安定なものです。意志の力は、心身のコンディションに左右されますし、また、日々の仕事や雑務に追われていると、意志のスイッチを入れることがないまま一日が過ぎていくことにもなります。
ですから、意志の力だけに頼るやり方は、続かないことが多いのです。
ですが、習慣化したことについては、意志の力に頼らなくてすみます。
僕の友人に毎朝のジョギングを10年以上続けている人がいますが、彼にとってジョギングは完全に習慣になっているので、ジョギングをするうえで、意志の力はまったく不要だそうです。
つまり、ジョギングをするにあたって、「走るぞ!」と気合いを入れる必要もないし、精神的なエネルギーを消耗することもないわけです。
さて、ここで一つの疑問を感じた方もおられるのではないでしょうか?
「たしかに、一旦習慣化してしまえば、意志の力は不要になるし、自然にそれを続けることができるようになるのだろうけど、習慣化するまでは意志の力に頼る必要があるのではないか?」こんな疑問を感じられた方もおられると思うのです。
しかし、実際のところ、意志の力によって習慣化をしようとしても、なかなか難しいですよね。
僕はこれまで、コーチングの仕事を通して、さまざまな年齢、職業、価値観の方の、さまざまな目標の達成をサポートしてきましたが、その過程で、人が習慣を身につけるプロセスをたくさん見てきました。
その経験から確信したことは、意志の力だけで習慣化するのは難しい、ということです。
一方、うまく習慣化できた人たちの共通点を探っていったときに、あることに気づきました。
それは、環境の力を使うことで、無理なく自然に習慣化できる、ということです。
上記の友人の例で話しますね。
彼はジョギングを習慣化するにあたって、自分の意志の力だけに頼るやり方を採用しませんでした。彼は、地域コミュニティでの活動を精力的にやっていたこともあり、近所に知人・友人が多くいました。そのため彼は、毎朝一緒にジョギングする人を自分の他に2人見つけることができ、集合時刻と場所を決めて、3人でジョギングすることを始めたのです。
つまり彼は、「ジョギング仲間がいる環境」を自ら創り出したのですね。
彼のケースに限らず、一緒に走る仲間がいる、というだけでジョギングの継続率は飛躍的に高まります。
一人で孤独に走るのではなく、走る時間を仲間と共有し、声をかけ合ったり、励まし合ったりするだけで、無理なく、楽に習慣化できるのです。
自分づくりについて学ぶ習慣を身につける場合も、環境の力を活用することがとても有効です。
特に、一緒に学ぶ仲間がいる環境に身を置くことは、非常に効果的です。
一人で孤独に学ぶのではなく、仲間と一緒に学び、意見交換や情報交換などをすることで、
楽しく、深く学ぶことができ、学ぶ習慣が自然に定着します。
そして、その効果を最大限高めるためには、一定期間、同じ仲間と一緒に学ぶことが好ましいです。できれば1年くらいは、同じ仲間と学べると最高ですね。
まず、できることから始めてみてはいかがでしょう。
知人・友人と勉強会を企画して、定期的に集まるとか、夫婦で同じ本を読んでその感想を語り合うとか、そんなことからでもいいのです。
そして、自己実現に向けて自分づくりに取り組むのであれば、ぜひ、自分づくりに役立つ心理学を誰かと一緒に学ばれることをおすすめします。
この「自己実現のための7つの原則」も使えそうでしたら気軽にご利用くださいね。
最後にもう一つだけお話しします。
発達心理学によって、人間の心がどのような発達プロセスを経て成長・成熟していくのかが、
いろいろわかってきているのですが、発達心理学が教えてくれることの一つとして、
「人間は、死ぬまで、精神的・人格的に成長し続けることができる」ということがあります。
つまり僕たち人間の心は、生涯にわたって発達し続けることが可能なのです。
そして、そのためには、そのときの自分の心の発達段階に合った課題に取り組んでいく必要があります。
僕たちは、何歳になっても、心について学び、人間について学び、自分について学ぶことで、そのときの自分の心理的・精神的な成熟度を知ることができますし、そして、その成熟度に合った課題に着実に取り組んでいくならば、精神的・人格的に成長し続けることができるのです。
そのためにも、学び続けることを習慣にしたいものですね。
そして、習慣化するうえで、環境の力も有効活用したいものです。
以上、今回は、第7の原則をお伝えしましたが、次回は、皆さんにお知らせがあります。
その話の前に、ここで、今回のワークセッションを提案したいと思います。
今回の記事を読まれたあとで、以下の問いに対する答えを、下のコメント欄に書き込んでみてください。
1.今回の記事を読んで何を感じたか?
2.自分が身につけている習慣の中で好ましい習慣には何があるか?
これが、今回のワークセッションです。
さて、次回の僕から皆さんへのお知らせについて、少しだけお話ししておきますね。
これまで7つの原則の概要をざっくりお伝えしてきましたが、具体的なやり方などは
お伝えできていませんので、「どんな原則があるのかはわかったけど、日々、何をやっていけばよいかわからない」「何が大切なのか、知識としては理解したけど、実際の進め方・取り組み方がわからない」「具体的なエクササイズを教えてほしい」といったご感想をお持ちの方もたくさんおられると思います。
そこで、僕から皆さんへの具体的な提案として、今、一つの企画を準備しているところです。
この企画をお伝えすることに今とてもワクワクしています。楽しみにしていてくださいね。
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