https://saku-pub.com/books/shiori.html 【杉山久子句集『栞』】より
早くから才能を発揮し、芝不器男俳句新人賞、山口県芸術文化振興奨励賞に続き、前作『泉』では第1回姨捨俳句大賞を受賞した著者。宇宙の中の一存在として詠み、しなやかで独創的な感性が煌めく注目の第四句集。
◆帯より
冬星につなぎとめたき小舟あり
過ぎてゆく日常に栞をはさむように句を作っているのかもしれないと、少し前から感じるようになった。
言葉にならないけれど言葉を取り巻くもの、言葉と言葉のあわいにあるものの輝きも、ともに受け取り、味わってゆきたい。(杉山久子)
◆自選12句
産みたての卵雪降る街に買ふ
いちめんの雪いちめんの若き星
山羊の乳燦と泡立つ桜かな
熱の眼に桜あふるるあふるる光
亀鳴くや死の話のち湯の話
白きもの蟻にはこばれつつもがく
昼寝より覚め匿名のひしめく世
たてがみのしろがねを露こぼれけり
ミサイルが来る風呂吹に箸の穴
聖樹の灯人待つ人を照らしをり
同時代生きてくれたる海鼠に酢
凩や夢と悟りて夢の中
<著者略歴>
杉山久子(すぎやま ひさこ)
1966年、山口県生まれ。20代の頃から作句を初め、1990年「星」「藍生」入会。1997年、第3回藍生新人賞受賞。2006年に第2回芝不器男俳句新人賞、2013年に山口県芸術文化振興奨励賞、2016年に第1回姨捨俳句大賞受賞。句集に『春の柩』『鳥と歩く』『泉』、紀行文集『行かねばなるまい』などがある。俳人協会会員。
http://sarashina-r.com/rekishi/haikutaikai/ 【9月17日に全国俳句大会ー新たに「姨捨俳句大賞」を創設】より
さらしなの里での全国規模の俳句大会が9月17日(土)に開かれます。1カ月間くらいにわたって行われる「信州さらしな・おばすて観月祭」の中で、全国俳句大会として33年前から行われている伝統のイベントです。
ことしは新たに「姨捨俳句大賞」が創設されました。俳句の新しい世界を開く句集の著者を顕彰するもので、毎年1冊選びます。今回は昨年4月からことし3月までに刊行された句集が対象で、9月17日当日、俳句大会に参加することが条件です。画像をクリックすると、チラシがご覧になれます。大会事務局は姨捨観光会館。ここには「更科紀行」の旅で当地にやってきた松尾芭蕉の資料をはじめ、「さらしな・姨捨」にまつわる展示コーナーもあります。HPもごらんください。
なお、今年の中秋は暦のうえでは9月15日(木)ですが、満月は17日になります。
http://www.basho-bp.jp/?page_id=26 【更科紀行(11句)】より
更科紀行 行程
貞享5年(1688)8月11日〜8月下旬 芭蕉45歳
貞享5年(1688)8月11日、芭蕉は門人越人を伴い岐阜を発ち、信州更科へ名月を見る旅に出る。木曾街道を寝覚の床・木曾の棧橋(かけはし)・立峠(たちとうげ)・猿が馬場を経て、8月15日夜、更科に到着。姨捨山の名月を見て、善光寺より碓氷峠を経て8月下旬、江戸へ帰る。それまでの旅とは違い、門人知己を頼らない旅で、それだけに旅情も深いものがあった。
紀行文『更科紀行』は作者の人生観や、旅中の僧の挿話を織り交ぜ興趣があり、また発句より散文を優位にした短編で整った作品である。芭蕉自筆の『更科紀行』(沖森文庫本)は、伊賀市所蔵の重要文化財になっている。
あの中に蒔絵まきゑ書かきたし宿の月
桟かけはしや命をからむ蔦つたかづら
桟や先まづ思ひ出づ馬迎へ
俤おもかげや姥うばひとり泣く月の友
十六夜いざよひもまだ更科の郡こほり哉
ひよろひよろと尚なほ露けしや女郎花をみなへし
身にしみて大根からし秋の風
木曾の橡とち浮世の人のみやげ哉
送られつ別わかれつ果はては木曾の秋
月影や四門しもん四宗ししゆうも只一ただひとつ
吹ふき飛ばす石は浅間の野分のわき哉
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