「自分が変われば,世界が変わります。」良く聞く言葉です。
この考えだと、私が、腹立つ人の為に、セラピーを受けたら、相手が変わるって事ですよね?
半信半疑で、セッション受けたけど、相手は変わらないのです、「『周囲は自分の鏡』が本当なら、私が悪いのですね?」そんな声が聞こえてきそうです。
セラピーの世界では「過去と相手と客観的出来事を変えることができない」は鉄則です。
変えることができるのは自分だけ。
子ども時代に目の前で 母を交通事故で亡くした40代の男性を知っています。
「母を交通事故でなくする」なんて誰もが起きて欲しくない悲しい出来事です。
それ故に彼は新しい母の愛も拒絶、父も拒絶。閉じこもったままです。
然し「起きて欲しくなかった」とどれほど嘆いても 過去を変えることも 出来事を変えることも彼には不可能です。
では彼の人生は母の死とともに終わってしまうしかないのでしょうか?
新しい母の愛、父の愛を受け入れ、自分らしい人生を取り戻すことは不可能なのでしょうか?
どのようにすれば自分を取り戻すことができるのでしょう?
不慮の事故で愛するものを亡くした人は沢山います。
しかしそんな痛みと悲しみが自分を育てるエネルギーに変えられていったケースを私は幾例も知っています。
何が違うのでしょう?
考えられるのは 潜在意識に閉じ込められた「母を助けることのできなかった自分への怒り」「母を殺した世界への怒りと拒絶」もしかしたら双方かもしれません。
「かわいそうな自分」という被害者意識に凝り固まって バランスを取り続けてきたのではないでしょうか?
自分の痛みと怒りを観て 手放す勇気が必要です。
怒りは二次感情です。
自分が「激しい痛みと嘆き」を瞬時に「怒り」に変え、「絶望」に変え潜在意識に閉じ込めた事実を観る必要があります。
その時の「激しい痛みと嘆き」を顕在意識に昇らせ「涙で浄化」する必要があります。
それから自分を許すことが始まります。
自分を許すことが世界を許すことになり 自分と和解することが世界と和解することになり、愛を取り戻すことになるのではないでしょうか?
「自分が変われば世界が変わる」・…
世界は自分が引き寄せているもの、自分のエネルギーへの共鳴現象といえるのではないでしょうか?
セラピーは自分のエネルギーを本来の自分に引きもどす働きとも言えます。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD178BX0X10C22A5000000/ 【嗅覚取り戻す「嗅覚トレーニング」 コロナ禍で注目】より
2021年7月19日、イタリアのピアチェンツァで開催された嗅覚障害治療のワークショップで、マルティナ・マダスキ氏(左)に指導するミケーレ・クリッパ氏(右)。クリッパ氏は有名な美食家だったが、新型コロナウイルスに感染して嗅覚を失った。訓練を通じて嗅覚を部分的に取り戻した現在は、同じような境遇の人々を助ける活動をしている。(PHOTOGRAPH BY FABIO BUCCIARELLI, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX)
2021年3月、米国カリフォルニア州サンタローザに住むクリス・ロジャースさん(50)は、温かいグリルドチーズサンドイッチを一口かじったときに何かがおかしいと感じた。新型コロナウイルス検査で陽性と判定された2日後のことだった。溶けたバターとチーズのほっとする香りも、トーストしたパンの味もわからず、「段ボールを食べているようでした」と振り返る。
同じような経験をした人の多くは、発症の数日後から数週間後には嗅覚も味覚も回復していた。しかし、ロジャースさんの症状は3カ月経ってもほとんど改善されなかった。「味も匂いもしないものを何週間も食べ続けることがどんな感じなのか、経験した人でないとわからないでしょう」と彼は言う。「本当につらいです」
嗅覚が自然に回復するのを待ちきれなくなった彼は、耳鼻咽喉科の医師から勧められた嗅覚刺激療法を試すことにした。1日2回、バラ、レモン、ユーカリ、クローブの4種類のエッセンシャルオイル(精油)の匂いを10週間嗅ぎ続けた。
この嗅覚トレーニング(訓練)には、新たに形成された嗅細胞の活性化や生存、形成されるペースの促進、あるいは鼻と脳とのつながりの再構築といった効果が期待されている。いわば運動障害を改善させる理学療法の嗅覚版だ。10年ほど前から、かぜやインフルエンザなどのウイルス感染や脳の損傷、老化などで失われた嗅覚を回復させるために行われている(編注:日本では保険適用外。また、日本人向けの匂いの種類については現在、臨床研究が広く行われている)。
米マサチューセッツ眼科・耳鼻科病院で嗅覚障害の治療と研究に携わる鼻科医のエリック・ホルブルック氏によれば、おおむね3〜6カ月の訓練で嗅覚が改善するとされているが、それが治療によるものなのか、時間の経過とともに自然に回復しただけなのかを区別するのは難しいという。それでも氏は、香りの嗅ぎ分けは回復プロセスの強化や促進につながる可能性があるとして、新型コロナによる嗅覚障害を訴える人を含め、多くの患者にこの治療法を勧めている。
新型コロナ感染から数カ月たっても嗅覚を取り戻せない多くの人々にとって、嗅覚訓練は数少ない治療法の1つであり、唯一の方法であることも少なくない。
嗅覚訓練は、開始時の状態によって効果には大きな個人差があるものの、「基本的に有害とは考えられていません」と、米デューク大学で嗅覚障害を研究している耳鼻咽喉科医のブラッドリー・ゴールドスタイン氏は言う。「ほどほどの期待感で(嗅覚訓練を)推奨してはいますが、より特異的で効果的な薬物療法を見つける必要があります。そのニーズは満たされていません」
嗅覚トレーニングの起源
嗅覚障害の有病率が多くの人を対象に調査されはじめたのは20年近く前のことだった。ドイツ、ドレスデン大学医学部の嗅覚・味覚クリニックの耳鼻咽喉科医トーマス・フンメル氏は、それらの科学文献を調べてみたところ、一時的または永久的な嗅覚障害を患う人が一般人口の5%近くに上ることに気付いた。それまで考えられていたよりも多い数字だ。
氏は、クリニックを訪れる患者を観察する中で、嗅覚障害が情緒面の健康や生活の質に及ぼす影響の大きさを直接知っていた。うつ病の兆候を示す患者もいれば、食欲不振で体重が減少し、栄養失調になる患者もいた。
フンメル氏は、患者が嗅覚を取り戻すための手助けをしようと決意した。嗅覚系の細胞には、生涯を通じて再生され続けるというユニークな性質があり、頭部の外傷や上気道の感染症によって嗅覚を失っても回復できることがある。また、特定の匂いを感じられなかった人が、その匂いに何度も触れることで感じられるようになることも実験で明らかになっていた。フンメル氏は、この方法を使えば患者を助けられるかもしれないと考えた。
仮説を検証するため、フンメル氏は40人の患者に、ラベルを貼ったガラス瓶から、バラレモン、ユーカリ、クローブの4種類の香りを10秒間嗅ぐのを、1日2回、12週間続けてもらった。これらの香りを選んだのは、ドイツの心理学者ハンス・ヘニングが1916年に提唱した6つの基本臭(花、果物、腐敗、薬味、焦、樹脂)のうちの4つを代表していたからだ。
効果を評価するため、フンメル氏らは、訓練の前後で被験者にさまざまな匂いを嗅ぎ分けてもらった。その結果、嗅覚訓練を受けた被験者では約30%に嗅覚の改善が見られたのに対して、嗅覚訓練を受けなかった集団では改善したのは6%だった。論文は2009年2月に医学誌「Laryngoscope」に発表された。
その後も、嗅覚訓練の効果について複数の研究が行われ、多くの場合で、平均すると小さな改善が観察されている。フンメル氏によると、25%程度しか改善しない場合もあれば、70%以上のこともあるという。訓練によって嗅覚がどの程度改善するかは、患者の年齢や、嗅覚を失ってから訓練を受けるまでの時間や、損なわれていた嗅覚の程度によって異なる。
「つまり、感染後の早い段階で嗅覚障害を訴えてクリニックに来る人は、2年後に来る人よりも回復の可能性が高いということです」とフンメル氏は言う。
嗅覚訓練に用いる香りの種類を増やすと、訓練の効果を高めることができる。フンメル氏は2015年6月に「Laryngoscope」に発表した研究で、12週間の訓練を受けた後、香りをメントール、タイム、タンジェリン、ジャスミンの4種類か、緑茶、ベルガモット、ローズマリー、ガーデニア(クチナシ)の4種類に置き換えてさらに12週間続けると、元の香りを24週間使い続けるよりも高い効果が得られることを示した。
嗅覚訓練を実施する理想的な期間や、最も効果的な香りの濃度については、まだ調整が続いている。米スタンフォード大学の頭頸部外科医で嗅覚障害の専門家であるザラ・パテル氏は、効果の大きさを数値化する方法はまだ非常に原始的だと指摘する。
現在、医師が嗅覚訓練の効果を測定する際には、4つの選択肢の中から正しい匂いを選ばせて訓練の前後のスコアを出している。匂いは合計40種類ある。パテル氏は、「きわめて主観的な方法であり、真に客観的な尺度ではありません」と言う。また、患者が育った場所や文化によっては、40種類のそれぞれになじみがあるとは限らない。
嗅覚訓練が嗅覚を改善させるしくみはまだ明らかではないが、科学者たちはいくつかの仮説をもっている。例えばフンメル氏は、嗅覚障害のある人に匂いを嗅がせることで、嗅細胞の再生が早まり、回復を促すのではないかと、げっ歯類を使った研究から得られた知見に基づいて考えている。
一方、ゴールドスタイン氏は、嗅覚訓練の刺激によって、新たに自然に形成された嗅細胞が生き残りやすくなると同時に機能も向上し、その細胞が脳とつながることで、嗅覚が回復するのではないかと考えている。
新型コロナ感染に伴う嗅覚トレーニングの実際
コロナ禍によって、嗅覚刺激療法への需要が一気に高まった。2021年11月に医学誌「JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery」に発表された論文によると、米国では2021年8月までに新型コロナによって最大160万人が慢性的な嗅覚障害になったと推定されている。
「嗅覚の喪失や嗅覚錯誤(本来とは違う匂いを感じる)がより多くの人に語られ、問題として認知されるようになりました」とパテル氏は言う。「正直なところ、これはコロナ禍による不幸中の幸いだと思います。以前は、嗅覚障害について聞いたこともない患者や医師がほとんどだったからです」
ウイルスの中には嗅細胞に直接感染して嗅覚障害を引き起こすものもあるが、新型コロナウイルスは嗅細胞には感染せず、その周囲の支持細胞に感染する。2022年2月1日付けで学術誌「セル」に発表された論文によると、感染部位に殺到した免疫細胞が産生する抗ウイルスタンパク質のせいで、嗅細胞の嗅覚受容体を作るのに必要な遺伝子の活性が低下し、嗅覚を失う可能性があるという。
とはいえ、新型コロナに感染して嗅覚を失った患者の約80%が1~4週間以内に、95%が6カ月以内に、治療を受けることなく嗅覚を取り戻している。数カ月にわたって嗅覚障害を経験した多くの患者が、このままでは完全に回復しないかもしれないと感じて嗅覚訓練を受けている。彼らは、効果が出るまでには時間がかかることも、全員に効果があるわけではないことも理解した上で治療を受けている。
「嗅覚を失った人が受ける影響の大きさを、そのような経験のない人が理解するのは困難です」とパテル氏は言う。「嗅覚障害は目に見えず、他人に影響を及ぼすこともないため、本人にとってどれほど大きな問題であるかが理解されないのです」
複数の研究から、新型コロナ感染後に嗅覚障害が6週間以上続いている患者には、嗅覚訓練が有効であることが示唆されている。10週間の治療を受けたロジャースさんは、6週間目から改善を感じるようになったという。「味と匂いが徐々に強くなっていき、最後にはピザの味を、食べている間じゅう感じられるようになりました」
嗅覚訓練が終了してから5カ月以上経過した今では、「以前の75%くらいまでは嗅覚が戻ってきたと思います」とロジャースさんは言う。
彼には嗅覚錯誤もある。寿司に添えられているガリの香りを耐えがたく感じたり、コーヒーの香りがコショウのように感じられたり、大好きな銘柄のクラフトビールが金属のような味に感じられたりするのだ。こうした嗅覚の「誤接続」は、嗅覚障害からの回復に伴って生じることがわかっている。フンメル氏らが2020年11月に「Laryngoscope」に発表した研究では、嗅覚訓練がその克服に役立つことが示唆されている。
嗅覚障害に悩む患者が利用できる治療法は、嗅覚訓練以外にはほとんどない。パテル氏のように、嗅覚訓練に加えて、ステロイド剤(抗炎症薬)を使った鼻洗浄を勧める医師もいる。これは、腫れを抑え、嗅覚刺激療法の効果を高めることができる。パテル氏ら嗅覚科学者は、オメガ3脂肪酸サプリメント、ビタミンA、多血小板血漿(PRP)療法などについても、新型コロナ感染に伴う嗅覚障害を改善させる効果があるかどうか調べている。
嗅覚訓練は、確実に回復する保証はないものの、現時点では最も実践しやすく、安価で、多くの人には安全な治療法だと考えられている。「基本的に、嗅覚訓練は患者が主体となって実践できる治療法です。だからこそ、多くの人に選ばれているのです」とフンメル氏は説明する。
文=PRIYANKA RUNWAL/訳=三枝小夜子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2022年5月14日公開)
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