腸と森の「土」を育てる

Facebook岡本 よりたかさん投稿記事  「草」

「もっと上手に作ってくれんかな…」

無肥料栽培を始めて10年くらい経った頃、地主さんに声をかけられた。

「どう言うことでしょう」と聞き返したのだが、地主さんはバツが悪そうに後ろ向きになり、去りながらこう言った。「素人には畑貸さん方がいい、畑が壊されると周りに言われてな…」畑を壊すか…。畑を壊すとはどういう状況を言うのだろうか。

僕はしばらくピンと来なかった。いや多分理解したくなかったのだと思う。

一般的には、壊すとは草だらけにしてしまうことだろう。草が生えると、野菜に与えた肥料が奪われてしまう。

それが壊れていると言う認識なのだ。

僕らの農法は、草が大切なミネラルである。草は貪欲にミネラルを吸収し、子孫のために蓄える。

蓄えたミネラルは、やがて枯れ草や枯れ根、そして種として土に戻される。子孫はそのミネラルで再び子孫を作る。

ここに見事な循環が完成している。

循環はミネラルだけではない。身体を構成する四大元素である、炭素、酸素、水素、窒素も、光合成と分解を繰り返して循環する。

草こそが土を作る大切なアイテムであり、もし仮に神がいるとすれば、生命を生み出す草たちが神そのものなのである。

だからこそ、草を生やすと畑が壊されると言う意味を理解できなかった。いや、あえてしなかったのである。

僕はしばらく悩んだ。地主さんにどう伝えようかと。

ある時、用事があって薬局に行った。そこである母子の会話を偶々聞いてしまった。

母親は主婦には見えず、おそらく来ている服からして仕事一途の人なのだろう。そして子どもは、少し肥満気味に見えるが、青白く不健康そうである。

「お菓子ばっかり食べてるからお腹壊すのよ。栄養が足りないの。」

母親はそう言いながら手にしたのは、総合ビタミン剤であった。

僕はその光景を見てハッとし、直ぐに車に飛び乗り、地主さんのところに赴いた。僕が言いたいことが分かったのだ。

僕の顔を見た地主さんは、僕が何を言いたいのか一瞬にして理解したように、穏やかな顔になった。

僕はこう言った。

「野菜は元々、草だったんです。その草を人が食べれるように改良してきたのが今の野菜です。

何故、草が生えるのか。それはその土地に常に草が生えていたからです。草が朽ちて種を蒔き、ずっとそこで生きてきた。

だからこそ、ここの土は草が育つほど豊かになったんです。

もし、土に草が生えて来なかったら、その土は壊れています。その壊れた土に、科学的作り出したミネラルやビタミンを与えても、絶対に健康にはなりません。

土を健康にするには草が必要なんです。

微生物を生かし、そして増やし、その微生物がミネラルを作り出し、空気中の炭素や窒素を土に固定する。

草があるからこそ、地球があり、微生物があり、虫がいて、草があり、そして僕ら人間が生きているんです。

畑を壊すのは草じゃありません。畑を壊すのは間違った人の知恵です。化学肥料と農薬が畑を壊すんです。

だから僕は、畑を壊しているとは思いません。むしろ、生かしているんです。」

肩で息をしているのは、自分でも分かるほどだった。額から汗が流れ落ちていた。

地主さんが反論してくると身構えていたが、彼はただニコニコしていた。そしてこう言った。

「もういい。それでいい。そう言う考えも俺は分かる。俺の祖父が同じこと言っていからな…。好きにやれ。」

そして地主さんは部屋の奥へと引っ込んでいった。

少し言い過ぎたと反省したが、結局、山梨県を離れる最後まで僕に畑を貸してくれたのは、その地主さんだけだった。

想いを伝えれば必ず伝わるものだと、その時確信したのである。

ふと、思い出した50歳手前の夏のある日のこと。


Facebook布施 純郎さん投稿記事

【桐村里紗先生、新刊、腸と森の「土」を育てる】

私は、植物にとっての根は、人間にとっての腸である。そして、土壌の栄養素は、腸の中を流れる食物である。と以前より考えていました。

それを詳しく、地球環境規模で説明しているのが、友人の桐村医師(里紗ちゃん)の新刊「腸と森の「土」を育てる微生物が健康する人と環境」です。

「人は、食べ物を食べ、それを胃腸の消化液と腸内細菌の力で分解し、土に戻します。これがお通じですね。

根っこにあたるのは、腸の表面にある細胞です。ここからグングン栄養を吸収し、血管という葉脈を使って、葉っぱや花、実にあたる細胞に栄養を運びます。人は森に例えることができます。腸内の土である消化管は自然と繋がっています。

また、地球環境と腸内環境を考えて、地球環境に負荷のかからないタンパク質なら、牛肉より鶏肉や卵、動物性より大豆製品を食べれば、地球も人も健康になる」と里紗ちゃんは述べています。

腸内環境の話は、私もしますが、地球環境全体まで見ていません。しかし、地球環境と個人の身体は繋がっているのです。

腸内環境の悪化が、心身に病をもたらしますので、優れた環境に良い食物により腸の土壌改良をすれば良いのです。個人の腸内環境が良くなって、地球環境も良くなれば最高ですね。里紗ちゃんの力作です。良かったら、読んでください。


https://greenz.jp/2022/07/12/chou_mori_kirimura/ 【“身体のなかの土壌”を改良!?『腸と森の「土」を育てる』から学ぶ、人も地球も健康になる方法】より

外で思いきり深呼吸すること。蛇口からでる水をゴクゴク飲み干せること。

森を歩きながら陽の光を浴びること。

30歳を迎えてわたしはようやく、自分の人生にとって、優先度の高いことがわかってきました。そして、このどれかが満たされない日々がつづくと、心身を健康に保つことができないということも。

「自分だけ」で健康でいようとするには限界がある。環境が汚染されれば、心身をすこやかな状態に保つことは、途端にむずかしくなります。

新型コロナウイルスの流行は、日々の暮らしや健康が、環境変化の影響をじかに受けることを、わかりやすく人々に突きつけました。自分の身体だけ気づかっても、健康になることはできない。だとしたら、なにを、どうすればいいのでしょう。

これからご紹介する本には、その問いに対するひとつの答えが書かれています。

部分ではなく全体に目を向ける

内科医の桐村里紗(きりむら・りさ)さんによって書かれた『腸と森の「土」を育てる(光文社)』。桐村さんは本書で、人という「部分」だけにスポットをあてた従来のヘルスケアには限界があるとし、人を含めた地球全体で健康になるための「プラネタリーヘルス」(※1)という概念を提示します。

人と地球を切り分けず、多様な生物が生かし合う自然環境を維持し、この惑星全体の健康を実現することを「プラネタリーヘルス」といいます。(p236)

(※1)もともとは、2015年に医学雑誌『ランセット』に発表された概念。

プラネタリーヘルス実現のため、本書で提案されているのが「土」の回復。

人を含めた地球の健康のために土を回復するって、いったいどういうこと……?

「人は森であり、腸に『土』を内包している」

じつは桐村さんがいう「土」とは、植物を育む土壌のことだけではありません。

土壌に暮らす微生物が、食べ物と共に腸内に移住したものが腸内細菌の起源であり、人は今でも「食べる」ことを通して、外的な環境と接続しているのだ。日々の食べ物が腸内の土作りの材料になり、消化や腸内細菌による発酵を通じ栄養豊かな土となる。(表紙カバー)

腸内環境という、多様な微生物が活動する「土」。腸内の土が腐敗すると、どんなに栄養素を摂っても、身体はそれらを有効につかうことができません。腸内環境の乱れは、便秘や下痢をはじめ、心身のさまざまな不調にも関連します。

人の健康の要ともいえる腸の土と、生態系を支える森の土。双方の肥沃な土壌づくりのため、大きな役割を果たすのが、野菜や果物、豆類といった植物性食品中心の食事です。

野菜や果物、豆類がメインの食事は、腸内環境をととのえ、常在細菌のはたらきをサポートします。また世界資源研究所(WRI)によると、豆の温室効果ガスの排出量は、タンパク質1gあたり、牛肉のおよそ20分の1。タンパク質1gをつくるために必要な土地も、牛肉の20分の1。食の選択は、腸内環境はもちろん、地球環境にも影響をおよぼすのです。

肉も魚も好き!そんなわたしが実践するフレキシタリアン生活

しかしいくら健康や環境にいいからといって、「ベジタリアンになるのは、無理……」と感じる方も多いのではないでしょうか? なにを隠そう、わたしがそのひとりです。

肉も魚も大好き。おいしい食事の時間は一日のなかでも、このうえなく幸せなひととき。そんなわたしでも実践しやすい食事方法を、桐村さんは紹介しています。

それが「フレキシタリアン」というスタイル。

基本的には植物性食品を中心とした食生活を送りつつ、外食時や記念日など、動物性食品を食べたいときはフレキシブルに肉や魚を食べる。明確なルールや決まりごとはなく、健康や環境のため「動物性食品の摂取をなるべく減らそう」と思った人なら、誰でもいますぐ実践できる食事スタイルです。

ある日の夕食のおかず。ナスと厚揚げの醤油麹炒め

とはいうものの。

「すぐに献立のネタが尽きそう……」

「お肉なしで満足感を得られるのかしら」

そんなことを思いながら、おそるおそるはじめたフレキシタリアン生活。

実践してみると、意外にも楽しく、日々小さな発見がありました。

豆腐や厚揚げは食べごたえがあり、ほかの食材ともあわせやすいので、これまで以上に大活躍。肉を買わない分、すこし高くても原材料が国産のものを選ぶようになりました。近隣のものであればカーボンフットプリントが小さくて済みますし、国内の農家さんを応援したい気持ちもあります。

生姜や大葉は料理のアクセントになるので、常備しておきたい薬味です。

調味料でハマっているのが、米と醤油を発酵させてつくる醤油麹。甘み、旨み、コクとまろやかさ。これひとつでどんな野菜とあわせてもおいしい一品ができる、まさに万能調味料です!

旨みたっぷりの万能発酵調味料。醤油麹

家での食事を、植物性食品メインに切り替えて数週間が経ちました。

もりもり食べても胃もたれせず、お通じも好調。そのうえ地球環境の負担も減らすことができるのなら、なんだかとっても得した気分です。

小さくつづける未来への意思表示

「なにを食べるか」が、じぶんの身体だけでなく、地球環境にまでつながっていることを、わたしはこの本から学びました。

腸を元気に、地球を健康にする、日々の食事。

それは、スーパーで買い物かごに入れる食材の種類をすこし変えてみる、そんな小さな一歩からはじめることができます。

つぎの世代にどんな風景を手渡していきたいか、今夜の食卓から考えてみませんか?

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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