https://minamiyoko3734.amebaownd.com/posts/36750889 【須田郡司~聖なる石への旅「五島列島のドルメン・王位石(おえいし)」(長崎県小値賀町)】より
「五島列島の小島に巨大ドルメンがあり、そのドルメンは沖ノ神島神社のご神体である」
そんな話を巨石仲間から聞いて、私は長崎へと向かった。
その島は「野崎島」と呼ばれ、五島列島の東北端にある小値賀島の東方対岸にあった。佐世保港からフェリーに乗り3時間半で小値賀島へ、そこから野崎島行きの町営の小船に乗り換えると10分ほどで目の前に野崎島が現れた。島の中腹に何やら巨石らしき物体が見える(写真1)。まるでロケットのような形をした大きな石柱である。船は、40分ほどで野崎港に到着した。
寛政の時代(1789-1801年)に大村藩領のキリシタンが五島列島へ移住していった。その中に、野崎島に移住した家族が17世帯あり、それがこの地でのカトリック信仰の始まりだ。島民は最盛期には約650人いたが、高度経済成長期になると減少し、1971年に残っていたカトリック信徒6世帯31人が島を去り、2001年以降は無人島となった。
島の中心部に残る旧野首教会は、平成元年(1989)に長崎県指定有形文化財に指定され、ユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会の1つでもある(写真2)。教会近くの廃校は、野崎島自然学塾村として、おぢかアイランドツーリズムが管理している。
野崎島は周囲約19キロメートルの地塁山地で、沖ノ神島神社は島の北部山地にある。上陸後、さっそく沖ノ神島神社へと向かった。山道は次第に険しくなっていく(写真3)。それを駆けるように上ってゆくと、どこからか獣の鳴き声が聞こえた。やや物悲しい声の主は、野生の鹿の群れだ。
小道をさらに進んでゆくと森の中の所々に巨石が見えてきた。石段を上ると、沖ノ神島神社が鎮座していた(写真4)。神社をお参りして、背後に回ると、巨大な石柱が天に向かって伸びていた。その巨石を見上げながら、この光景は現実なのかと一瞬疑うほどの衝撃を感じた(写真5)。まるで神話の中にいるような、そんな錯覚に陥ってしまったのだ。神社の正面から海を望むと小値賀島が見えていた(写真6)。
沖ノ神島神社は慶雲元年(704)、小値賀島の地ノ神島(ちのこうじま)神社より奇魂(くしみたま)を分祀し、その沖津宮として創建されたといわれている。神社の後ろに悠々と聳える磐座が「王位石」と呼ばれる石だ。高さ約24メートル、途中から石柱状に2組に分かれて立ち、上にテーブル状の長さ約5メートル、幅約3メートルの平石が乗っている(写真7)。
私は興奮を抑えることができず、裏山に駆け上って王位石を裏から覗いてみた。その何とも絶妙なバランスに驚嘆するばかりだ(写真8)。この石は、王位石と書いて「おえいし」と呼び、年に米一粒ずつ大きくなるため「生石(おえいし)」ともいわれている。また、伝承に寄れば、この石は竜宮から献じた鳥居であるとか、平石の上に沖ノ神島神社大明神が出現したなどと、様々な伝承がある。
王位石は、かつて「野崎参り」とか「お山参り」といわれ、小値賀島の漁師の人々の信仰を集めていたという。参拝船には笹竹に取り付けた日の丸を旗めかせ、かけ声も勇ましく、野崎島に渡り、沖ノ神島神社で盛大なお祭りをした。その時、王位石の平石の上でお神楽を舞ったともいわれる。24メートルもの高さの平石を見上げると、ここでお神楽を舞ったとしたら、まさに命がけの奉納だ。
ただ、野崎島には、今では集団移住で村はなくなり、野生の鹿が生息するばかりだ。地ノ神島神社がある対岸の小値賀島の海辺には鳥居があり、その正面が沖ノ神島神社の方向を向いている(写真9)。
この島には、「龍燈」(りゅうとう)と呼ばれる不思議な現象があるという。陰暦の大晦日の夜、沖ノ神島神社の先にある海中の竜宮の門より、月光のごとき火が燃え出て、小値賀島にある地ノ神島神社に光が走るというのだ。実際に龍燈を見た、という報告もされているという。五島列島には、神秘なる世界が今も存在している。
※『月刊石材』2014年11月号より転載
◎All photos: (c) Gunji Suda
◎ 須田 郡司プロフィール
1962年、群馬県生まれ。島根県出雲市在住。巨石ハンター・フォトグラファー。日本国内や世界50カ国以上を訪ね、聖なる石や巨石を撮影。「石の語りべ」として全国を廻り、その魅力を伝えている。写真集『日本の巨石~イワクラの世界』(星雲社)、『日本石巡礼』、『世界石巡礼』(ともに日本経済新聞出版社)、『日本の聖なる石を訪ねて』(祥伝社)など。
◎須田郡司ツイッター
https://twitter.com/voiceofstone
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矢岳神社・白嶽ドルメン
天草白嶽山頂に不思議な巨石群があるのを知っていますか。長さ13m、幅6mもあるテーブル石に、杯状穴や方位を示すようなペトログラフ。古代のドルメン(支石墓)、祭祀場、星見台? 白嶽の「矢岳神社」と「ドルメン巨石」のミステリー、古代と繋がれるかも!
天草三つ葉ツツジで有名な白嶽
イギリスのストーンヘンジや、フランスのカルナック遺跡など世界でも知られる巨石群。なんと、天草の山頂にも巨石群があるのです。
巨大なドルメン(支石墓)は祭祀場、星見台? いずれにしても、その場所はまぎれもない神域。あまり知られていませんが天草三つ葉ツツジが咲く、白嶽の山の上にあります。
神秘の巨石群の入り口
山の上と聞くと、登山が必要? と心配しがちですがさほど距離はありません。国道266号線から白嶽森林公園キャンプ場へ向かう途中、「矢岳神社」参拝の鳥居が目印です。鳥居の手前まで、車で行くことができます。
目印は鳥居の形の道標
鳥居をくぐり山道を登る事4、5分。鳥居形の道標が見えてきます。まずは、ここから「矢岳神社」の山の神様に入山のお祈りをして進みましょう。
このあたりから、大きな石がごろごろしていますので歩くのには注意が必要です。しっかりした靴で行くことをお勧めします。
神の峰!? 神秘的な「矢岳神社」
進んだ先には、苔むした巨石と2つ目の鳥居。この辺り迄来ると、かなり神秘的雰囲気です。
ここ「矢岳神社」の祭神は男女の山の神様。境石とゲブの伏石と呼ばれる巨石です。この石を大地の女神と天神(男神)とみたて、天地創造神話を元に祀られているいます。
苔むす自然石の結界守る神域
神社手前の案内板によれば、ヤダケとは古代シュメール系語で「神の峰」を意味するのだとか。標高244m、苔むした狛犬が守る大きな巨石の岩陰にあるお社があります。
お社は、参拝の時にだけ扉をあけ参拝できるようになっています。おみくじと共に、植物の種も販売されていますよ。
白嶽山頂に世界最大級ドルメンの謎
「矢岳神社」の参拝後、逆方向に進むとドルメン巨石群が見えてきます。長さ13m、幅6m、厚さ1.5mのかなり大きな平たいテーブル石を5つの礎石が支えています。
平たいテーブル石には、杯状穴や方位を示す線刻やペトログラフの模様。ここで祭祀が行われていた事がうかがえる神秘的な場所です。
古代の祭祀場? 星見台?
白嶽頂上にあるドルメン巨石。案内板によれば「姫戸の雨竜より北極星を望むとき、小島のその先の矢岳に神を向かい入れる神殿としてこのドルメンが存在していた」という記載があります。
この文章からも白嶽は古代に神を向かいいれていた場所であることが伺えます。
山が星見盤? 境石・太陽石に夏至石
「矢岳神社」と「ドルメン巨石」の周辺にも、多くの興味深い石が点在しています。そして、それは明らかに人の手が加わっていると思える物が多数あるのも神秘的です。
天界と人の世界の境界の石と謂われる境岩。夏至石、冬至石、太陽石などなど。まるで山が巨大な星見盤のようなのです。ミステリーとロマンをつめこんだ、白嶽。興味深い場所です。
まとめ
天草の山頂にある、不思議な「ドルメン巨石」。山全体が星見盤のような白嶽は、好奇心を掻き立てます。「矢岳神社」と共に、古代の神域を巡ってみませんか。
■「矢岳神社」「白嶽ドルメン巨石」
住所:上天草市姫戸町姫浦5395-2付近
アクセス:車 熊本駅~~約2時間 九州自動車道松橋IC~約1時間40分 天草空港~約1時間30分
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