古都に咲く極楽浄土の蓮の花。酷暑すら忘れる京都「法金剛院」へ

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酷暑の続く日本列島、京都もその例に漏れませんが、やはりそこは古都、暑さを忘れさせてくれるような光景が広がるスポットがありました。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者で京都通の英学(はなぶさ がく)さんが、まさに夏にしか見られない「極楽浄土」を紹介しています。

花の寺・法金剛院

京都の夏は盆地特有の酷暑に見舞われます。連日暑さが続く京都に夏ならではの楽しみもあります。その一つ法金剛院の蓮をご紹介します。

京都の夏に是非訪れたいのが蓮の名所で有名な法金剛院です。約90種類もの蓮が7月から8月にかけて境内に咲き誇ります。まさに極楽浄土のような光景が広がります。蓮の花は特に早朝に美しく咲くといわれています。まだあまり日の高くない早朝に行くことをオススメします。

蓮の花の命は4日しかありません。1日目はつぼみが少し開く程度に控えめに咲きます。2日目は満開となり一番美しく咲きます。3日目も美しく咲きますが、花の色は鮮やかさを失っていきます。4日目も早朝は美しく咲くものの、昼ごろに全ての花びらが散ってしまいます。

蓮の花を美しい状態で見ることは簡単ではありません。蓮の花の命のはかなさと、泥水の中から美しく大輪の花を咲かせる様は仏教の教えに通じるのでしょう。

法金剛院は関西花の寺二十五ヶ所の十三番霊場でとても由緒あるお寺です。法金剛院は別名「蓮の寺」と呼ばれていて、地元の方に親しまれています。

法金剛院は平安時代の右大臣清原夏野が山荘を寺に改めたのが始まりです。その後、鳥羽天皇の中宮待賢門院が極楽浄土を求めて堂宇を整備し法金剛院と名付けられました。法金剛院の蓮が咲き乱れる様子はまさに極楽浄土の様子をこの世に現したものだったわけです。

法金剛院の門構えは小さくひっそりとしていますが、境内は広大な敷地を誇ります。中に入ると大部分は苑池と呼ばれる大きな池があります。この大きな池が見えない程一面蓮の花に覆われます。

この庭園は現存する数少ない平安時代の作と伝えられていて特別名勝にも指定されています。「青女の滝」と呼ばれる巨石を並べた人工の滝は日本最古のものとされていて貴重な遺構です。

極楽浄土には四色の蓮の花が咲いているとされています。法金剛院にも極楽浄土と同じ青、赤、黄、白の色とりどりの蓮の花が咲いています。

存在感のある大輪の花も間近で見れば繊細な美しさに目を見張ることでしょう。暑い夏、いつもより早起きをして蓮を愛でてみてはいかがでしょうか?

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもその一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

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