Facebook草場一壽 (Kazuhisa Kusaba OFFICIAL)さん投稿記事 「今」がつくるもの
すべての生物は、もとをたどるとただひとつの共通の先祖に行き着きます。ミミズも人間も、はじまりは同じ、細菌のような生命体です。ふるさとも当然同じです。海の深い、深い底。そこから本当に過酷な歴史を生き抜いてきました。それを進化というのでしょうが、それは同時に「絶滅」の歴史でもあります。
およそ6億年の間に、誕生した生物の90%以上(一説には99%)が絶滅したといわれています。また、比較的短い間に多くの種が絶滅するのを「大絶滅」といいますが、これまでに「大絶滅」は過去5億年の間に5回(五大絶滅事件)あったと分かっていて、なかでも有名なのは、約6,500万年前の恐竜をはじめとする大型爬虫類の大絶滅で、その原因も巨大隕石の落下だということが知られていますね。(最大規模のものは2億数千年前のもので、生物の多様性を回復するまで1000万年もかかったと推測されています。)
いまも絶滅は進行しています。現在、全ての生き物の28%が絶滅危惧種に指定されているという恐ろしいデータがあります。絶滅の進行スピードも過去の1000倍だとも。たった一種の生物が原因をつくっている・・・と。
未開発だとか後進国だとか、そんな言葉の空しさを思うと同時に、戦争は人間の破壊だけでなく、自然界に大きく影響すること・・・それが未来にどんなかたちとなって増幅するのか・・・空恐ろしいばかりです。
結局、過去(=過ぎ去る「今」)が未来をつくるわけです。私たちがいま、どうありたいか・・・なにを夢見るか・・・なにを祈るか―――
aribaba@1819aribaba
あとからくる者のために 田を耕し 種を用意しておくのだ
山を 川を 海を きれいにしておくのだ
ああ あとから来る者のために 苦労をし 我慢をし みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる あの可愛い者たちのために みなそれぞれ自分にできる
なにかをしてゆくのだ 坂村真民
https://nacsj.net/magazine/post_1485.html 【人類の進化―拡散と絶滅の歴史を探る】より
バーナード・ウッド著 馬場 悠男訳
「初期猿人」、「猿人」、「原人」、「旧人」、「新人」という人類の進化段階の用語を正しく理解することは容易ではなかろう。にもかかわらず、私たち人類はどこから来たのか、という疑問は古代ギリシャの時代からずっと持ち続けてきた。それは自らのルーツを知りたいという欲求と同時に、現存するオランウータンやゴリラやチンパンジーなどの類人猿との違いを明確に知っておきたいからでもあろう。なぜならば、昨今、遺伝子の解明が進んで、人類と類人猿とは遺伝的にきわめて近いものであることが明らかにされてきたからである。
著者は人類化石研究の第一人者であるが、本書は化石の形態研究の成果だけではなく、化石のDNAの研究や、長い時代にわたる地球の気候変動や地形形成など幅広く周辺学問の成果を取り入れて、人類がいかに暮らしてきたかを明らかにしたものである。
チンパンジーと現生人類(ヒト)の共通祖先から800万年~500万年前に現生のチンパンジーと分かれて登場することになる現生のヒトは、それからの長い長い時間のなかで、進化を遂げて「新人」である現代人になる。
「初期猿人」の化石は、すべてを合わせても、スーパーマーケットのカートに収まるほどしか得られていないというのに、それをいくつものヒトの種に分類した研究者や、さらにはその後の「猿人」から「新人」までを数十に及ぶ種に分類してきた研究者の熱意には頭が下がる。
それにしても、なぜ化石は少なく、地域的に偏在しているのか。それは死体が他の動物に食べられてしまう可能性や、分解が進みやすい地域の環境の特性によるものであろうとする。本書の前半では、その謎解きの方法が述べられ、後半では謎解きの成果が語られている。
複雑な人類の進化を理解するのは容易ではないが、何よりうれしいのは、系統樹の隣にいるチンパンジーは、ヒトと最も近い動物であるが、隣にいるということは分かれて存在している、ということであり、つまりは明らかに別物なのだということである。これを知っただけでも、本書は読む価値があった。
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