Facebook百武正嗣さん投稿記事《不安、パニック、トラウマのアプローチ》
彼女は突然、地下鉄の電車の中で、言い知れぬ不安に襲われた。胸がざわざわと蠕き、ドキドキと音が聞こえてきたからだ。
最初はそれだけだったので、二、三日してその出来事を忘れていた。しかし、ある時に電車の中で、車両と線路がこすれるようなギャーっとする音が耳に入ってきた瞬間に、再び不安に襲われた。外の景色を見ながら自分の中の不協和音が鳴り響き出したような感覚とともに胸の鼓動が高鳴り出した。
その出来事を経て、不安やイライラに悩まされるようになった。そんな状態でも仕事に行かなければならないので、仕事を休まずに働く日々が半年間ほど経った時に、電話口でクレーマーの男性が、しつこく文句を言うのを聞いてい気持ちが悪くなり、電話を切ったのだった。
それに怒った男性は、自分を名指して苦情を言うような、ストーカー的な行為を繰り返すようになった。上司に相談したが、仕事だからと取り合ってくるなかった。それが3ヶ月も経つと、電話を取るのが怖くなってしまったので、もう一度上司相談したところ、やっと人事に掛け合って職場を変えてもらえた。
しかし不安は大きくなり、会社に行くことが出来なくなってしまったので退職をした。
一人で生活をしているので、いずれは働きに出なければと思いながら、アパートにこもる状態が続いた。
(シャトル技法)
彼女の相談を聞いて、最初の電車の中で、不安に襲われだ場面に戻ってもらった。意識的にその場面で、自分自身に何が起きたのかを、注意深く見つめるために.「身体に意識を向けてください」と伝えた。
呼吸や肩の緊張、喉元の感覚はどうですか?あるいは船の鼓動の高鳴りとともにいると、どのような感覚が生じできますか。からだ(内部領域)に意識を向けてもらと、不安はどこあたりから生まれてきますか?
このように気づきの問いかけをした。
すると彼女は子供の頃に父親が突然怒鳴りだり、母親に暴力をふるった場面を思い出した。子供なので母親を守ることも出来ずに、不安な気持ちで、姉妹で食卓の食事をモクモクと食べていたことが思い起こされた。
この場面がフラッシュバックすると、パニックになり、過呼吸に襲われたのだ。
このようにを意図せずに深い不安や恐怖の体験がおもいだされると、パニックに陥る人が多い。特に、暴力や口うるさい母親の言葉を何回も聞かされたり、理由もないのに怒鳴りだす父親などが、居ると家の中はいつも見えない緊張感、イライラが続くことになる。そのために子どもは不安がいつも心の奥にあって、大人になっても「予期せぬ音、怒鳴り声」に過剰に反応してしまう。
不安やパニック、過呼吸に悩まされている人は、背景となっている「安心、安全」な体験が充分になされていないとも言える。
さて、本題のアプローチである《シャトル技法》について説明する。シャトルとは、駅と空港を行き来するシャトルバスと同じ意味である。特定の場所や位置を行ったり来たりするアプローチのことだ。
「過去と現在」を行ったり来たりする技法とも言える。フリッツは過去の出来事が問題なのではなく、過去の出来事と、現在の出来事の識別が出来ないことが、本当の問題だと述べている。
そこで彼女のケースでは、過去の父親の「暴力的な行動、怒鳴り声」と大人になった今の自分の予期しない時に起こる人間関係や環境の「突然の音」を分けるために、次のようなアプローチを行った。
まず、不安やパニックになりそうに感じたら(過去の子供の頃の体験に戻り)、現在に戻る方法を伝えた。ゲシュタルト療法の基本的な《気づきのレッスン》でもある。現実にコンタクトする レッスンであるり。目で周りを見つめて落ち着く色や形、外部の木々の動き(視覚).現実の音を聞く、人の声、車の音、風の音なとゆっくりと聞き入る(聴覚).部屋の匂い、風の匂い、何かの香り(嗅覚).周囲にある椅子や座布団、壁や草木に触れる(触覚).水を飲む、何かを食べる(味覚)を一つ一つ意識をすて気づく、感じるのである。
動物で人は、現実に意識を戻すことで、過去の怖い体験や不安に襲われると想像の世界(内部領域の気づき)か、今ーここ、の現在に戻ることができる。
このことを彼女に説明して、気づきのレッスン(外部領域の気づき)をした。
そして、もう一度、子供の頃の場面に戻ってもらった。ただし、その体験に深くとどまらないようにと指示したのである。何となく父親の怒鳴り声、暴力的な態度を思い出せそうに感じた時点で、現在の大人の自分に戻るように提案した。何回か繰り返すと、過去の体験に少しずつ長くいられるようになる。
このシャトル体験を四回、五回としていると、彼女の姿勢や動作がゆっくりとなることが分かる。呼吸も意識的にゆっくりと息を吐くようにも伝えた。
最後のプロセスとして、「ゆっくり周囲の人、的の景色」を眺めてくださいと言った。彼女は周りの人や外の景色、部屋の座布団を触れてリ、見たりしながら「スゴイ、凄い」と声を出したので、何が起きたのと訪ねた。周りの「人が怖くない」.「部屋の中が明るく」.「音が心地よく聴こえた」と少し顔を赤らめながら興奮気味に答えてくれた。
http://edgeofart.jp/%E3%80%8A%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E7%95%8C%E3%80%8B%E3%81%AE%E3%81%BB%E3%81%8B%E3%81%AB%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E3%81%AA%E3%81%97%E3%80%9C%E4%BF%B3%E4%BA%BA%E3%83%BB%E9%96%A2%E6%82%A6%E5%8F%B2%E3%81%AE%E4%B8%96/ 【《現実界(レエル)》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜】より
俳壇の郊外からいま、怪物が進撃しつつある。俳句といえば、日本の古き良き伝統文化と考える人にとって、関悦史は日本庭園を踏みにじるゴジラに等しい。この番組では、「平成の怪物」と評される関の作句活動に、はじめてカメラが肉薄している。
東日本大震災で建造物の倒壊などの被害を受けた関。被災状況を証明する書類を届けに行った土浦の役所で見た桜は、白けて見えたという。《現実界》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜
呆けゐて死なざりしかば花うるさし 悦史
「花うるさし」の一語に込められた、伝統美へのアイロニー。関は、日本美の代表ともいえる桜も、風流とは程遠い観点で俳句に詠む。
あるいは、同世代の仲間と動物園に出かけていき、レストランのテーブルの上に短冊を並べてバラバラの言葉を無作為につなぎあわせてゆく関の姿は、宗匠帽をかぶって桜の木の下で短冊に筆を走らせる俳人の姿と、どれほど隔たっていることか。俳句を「悪ふざけ」と称し、「イタズラをしかける」気持ちに近いと言う関。子供の頃に負った脊椎の怪我のために労働に従事することがかなわない関にとって、《現実界》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜
地下道を蒲団引きずる男かな 悦史
の「男」は、世外の徒である自画像でもある。彼にとって、この世はすべて異界。スーパーで買ってきた惣菜をかきこみ、旧式のノートパソコンに「メモ帳」機能で書きつける句は、伝統的な季語から現代風俗までを対象とし、哲学や芸術用語も織り交ぜ、まさに混沌の現代社会そのものの写し絵なのだ。
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