梅の花

https://www.kampo-sodan.com/column/column-2834 【実だけじゃない!梅の花も消化不良やのどの渇きに良い薬です】より

生薬の花めぐり(9)

「生薬の花めぐり」へようこそ!

このコラムは、1回目の牡丹から始まり、2018年最初の掲載となる今回で9回目を迎えます。暮らしの場でよく見かける生薬のはたらきを更に知って、病気知らずになっていただくことが私達の夢です。実は皆さんのお役に立ちたいと思って始めたのですが、今では大変自分の勉強になっています!

今回は、お正月に飾られ、これから早春に咲く梅の話です。どうぞお付き合いくださいませ。

梅といえば

まだ寒いときに咲き、一番早く春を告げる花。花の中では「忍耐強い」「謙虚」など高い品格の象徴とされています。中国の「国花」である梅花は、蘭・竹・菊と並んで「四君子(しくんし)」と、あるいは松・竹とともに「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれています。

原産は中国の南で3000年以上の栽培の歴史があります。観賞用、実を食用に、盆栽にと、品種がたくさんあります。主に長江地域と南の各地で栽培されており、日本にも野生のものと栽培されたものがあります。

この下の梅の花の写真は新宿御苑で撮ったものです。

薬として使えるかどうか品種によります。また花、葉、根、実、種はすべて薬に応用できます。

花のはたらき

梅の花は薬用効果が高く、副作用はまだ確認されていません。健康維持や体のちょっとした不調にも使えます。平性で味は微酸、肝胃肺に帰経する理気薬に分類されています。はたらきはといいますと、専門用語では「理気」「生津」「化痰」「和胃」「活血」「止痛」「解毒」。たくさんありますね!

言い換えると、下記のようなときに用います。

①消化を助ける。みぞおちの痞え(つかえ)、ゲップ、吐気、食欲不振、消化不良に。

②痰切れをよくする。

 口やのどに粘りを感じ、痰なのか鼻水なのか、胃液なのか、

 いつも痰が絡んでいるようですっきりしない時や、咳と痰が切れにくい時に良い。

③のどの渇き、夏の運動の後に。夏バテの予防になります。

④胃やお腹の張り・痛みに。緊張やストレスによる胸のつかえ、胸や両脇のはり、気分の落ち込みにも。

⑤梅核気(のどに梅の種が詰まっているような異物感)。

⑥黄疸が出るとき。

花の使い方

蕾が咲く直前に採り、香りを損なわないよう素早く陰干しします。

かつては、飲み薬として丸剤や粉薬が作られたり、乾燥した花の粉を外用に使われてきました。新鮮な花弁を潰して口内炎や腫物などにも使えます。

私達は、手間をかけずに、お湯を入れたり煮出したりしてお茶として飲むとよいでしょう。用量は2~5g、蜂蜜や黒糖を入れるとなお一層美味しくなります。

用途に応じて追加しても。

①食欲不振、消化不良、胃の張り、咳痰、梅核気に… 一つを足しても全部足してもOK!

・玫瑰花(まいかいか、バラの1種)2g

・陳皮2g

・紫蘇の葉、生姜を適量

②夏ののどの渇きに…

・薄荷の葉(フレッシュ)3~6枚

梅の実のはたらき

梅の実は性平味酸、約2000年前の『神農本草経』(最古の生薬の書物)で「梅実」と呼ばれ、「中品(体力を養う目的の薬。毒にもなり得る。)」に記載されています。実のはたらきは花とほぼ同じですが、その他にこのようなはたらきがあります。

①下痢止め

②関節炎、関節痛

③抗菌・抗炎症作用

④抗アレルギー作用

⑤長期にわたる利尿剤の使用の場合

注意:「酸味」ですので、胃酸過多、胃及び十二指腸潰瘍の方は控えましょう。

梅の実の使い方

5~6月に実を採収して、梅干し、ジャム、「陳皮梅」「話梅」(乾燥梅菓子。蜜と合わせたドライフルーツ?!)などに使われます。

「烏梅」は聞いたことがありますか?未成熟な梅の実を炮制(ほうせい…「生薬の花めぐり」⑧)し、くん製の過程を経て黒くなったため烏梅(うばい)と呼ばれます。止咳、止瀉、止渇、止嘔、止血、安蛔(あんかい)などの効能があります。日本で烏梅が配合されている処方は杏蘇散(きょうそさん)があります。

その他

梅の実の「核仁(かくじん)」は、目のかすみや疲れ、暑気あたりなどに使われ、木の根は黄疸に。梅の葉は慢性下痢、月経の不正出血などに良いとされています。

梅干し、梅酒以外にも、体にいいこといっぱい!の梅の魅力が伝わったでしょうか。

次回は“春到来の象徴”とも言われる、黄色の花が咲く「山茱萸(さんしゅゆ)」をお届けします。お楽しみに!

コズミックホリステック医療・現代靈氣

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