土と内臓 ~微生物がつくる世界~

https://www.sawakami.co.jp/media/webmagazine/202007book/ 【土と内臓 ~微生物がつくる世界~】より

土と内臓~微生物がつくる世界~ デイビッド・モントゴメリー、 アン・ビクレー 著

築地書館

本書も熊本の長崎書店で見つけた。こんなの読みたいなと思っていたら、こちらを待っていたかのように、書架に並んでいるではないか。こういうのが本屋業に愛情を注ぎ込んでいる書店経営だよなと、長崎書店をますます好きになった。

書名でパッと眼に入ったのは“土”であった。前々から土の中の微生物や細菌が土壌にどんな働きをしているか興味があった。それが本書では、腸内細菌や体内の免疫系にまで記述が及んでいる。手に取ってペラペラめくる間もなく、これは楽しみだと購入を決めた。

微生物とか細菌の世界はすごいな面白いなと思っていたら、たまたまコロナウイルス問題が発生した。ウイルス感染というものが脚光を浴びだしたので、本書を読み直すことになった。結果的に時流とやらを先取りした勉強になった。

長期投資ではいろいろな角度から考える習慣を身につけて、幅広い対応力を養っておくと強い。そのベースとなるものが、昔から言っている“広く深く遠く考える”ということだ。

例えば、コロナ問題で社会が一変してしまうとマスコミは大騒ぎしている。そう何もかも変わってしまうことなんて起こるのだろうか? 変わるとしたら、社会のどのあたりと、どのあたりだろう?


https://book.asahi.com/article/12521835 【「土と内臓 微生物がつくる世界」 体の中の隠された大自然】より

 何のことかと戸惑う書名。

 地中に伸び微生物と共生する植物の根と、「腸内フローラ」という言葉で知られるようになった体内での多様な微生物の働きを対比。栄養を得ること、外敵から身を守ることという生存に欠かせない二つの要素を助ける活躍ぶりを読み解く。原題は「隠された自然の半分」。地球で最も繁栄しながら見えていなかった微生物のことだ。

 それぞれは知られた役割ではあるけれど、二つを微生物でつないで語る着想が本書の妙だ。子どものころ、通学路で見かけた小動物の遺骸が少しずつ消えて、土にかえっていくのを見ていたことを思い出した。

 地質学者と生物学者の著者夫妻が自宅の裏庭を「不毛の荒れ地から生命あふれる庭園」にする懸命な試み、がんと診断された妻が健康や食生活を見直し始めた体験、二つの物語が科学と巧みに融合して微生物を身近な存在にしている。

 『土の文明史』で農耕文明が土壌を使い尽くして衰退させていくことを示して話題になったD・モントゴメリーへの期待も本書が読まれる理由だろう。

 本書も微生物と動植物の共生という科学の世界にとどまらず、科学技術史の流れからの位置づけ、目を引く話題、携わった研究者の物語も紡がれる。

 有機物や微生物に頼らない化学肥料は、火薬と原料が共通で、肥料工場は有事に軍需工場に転換でき、それも化学肥料の普及につながった。健康な人の便を致命的な下痢患者に肛門(こうもん)から注入する「糞便(ふんべん)微生物移植」が1958年に行われ、圧倒的な効果がありながらも抗生物質が重用されてきた。「害虫を一掃するための農薬と病原体を殺すための抗生物質」も有用な微生物に被害を及ぼしている。


https://honz.jp/articles/-/43529 【『土と内臓 微生物がつくる世界』訳者あとがき】より

本書の原題 The Hidden Half of Nature は「隠された自然の半分」という意味だ。それが示すとおり本書は、肉眼で見えないため長いあいだ私たちの前から隠されていた、そして今も全貌が明らかにはなっていない微生物の世界を扱っている。 

昨今、腸内フローラという言葉がちょっとした流行語となっている。腸内細菌の重要性は以前から言われてきたが、さらに一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになったということだろう。腸、特に大腸の内部は、人間にとってもっとも身近な環境といえる。そこでは数多くの微生物が生態系を築き、人体と共生して、食物を分解し人間に必要な栄養素や化学物質を作り、病原体から守っている。

それと同じことが、土壌環境でも起きている。腸では内側が環境だったが、根では裏返って外部が環境となる。そこに棲息する微生物は植物の根と共生して、病原体を撃退したり栄養分を吸収できる形に変えたりしている。さらに、微生物は細胞内でも動植物と共生していることがわかっている。太古の海で、あるとき捕食され他の微生物に取り込まれた微生物細胞が、生き延びて捕食者と共生関係を築くという常識を超えた事態が起きた。ここからやがて複雑な多細胞生物への進化が始まったのだ。

そうした微生物観は、決して古いものではない。コッホやパスツールらによる病原体の発見以来、長い間微生物は主に、撲滅すべき病気の原因とされてきたし、この見方は今も根強く残っている。病原体としての微生物という考え(細菌論)にもとづいてさまざまなワクチンや抗生物質が作られ、おかげで多くの人の命が救われたこともたしかだ。しかし抗生物質の乱用は薬剤耐性菌を生み、また体内の微生物相を改変して免疫系を乱して、慢性疾患の原因になっている。

同じことは土壌でも起きている。人類は有機物と土壌の肥沃度の関係に直感的に気づき、農地に堆肥や作物残滓などを与えてきた。科学者が、有機物に含まれる栄養分は植物の成長に寄与していないことを発見すると、化学肥料がそれにとって代わった。当初、化学肥料の使用で爆発的に収穫が増大したが、やがて収量は低下し、病気や害虫に悩まされるようになった。実は、土壌中の有機物は植物そのものではなく土壌生物の栄養となり、こうした生物が栄養の取り込みを助けて、病虫害を予防していたのだ。

このような進化史、科学史の流れから、微生物と動植物との共生関係、免疫との関わりについての新しい知見までの概観が本書一冊に凝縮されている。

著者のデイビッド・R・モントゴメリーとアン・ビクレー夫妻はそれぞれ地質学者と環境計画を専門とする生物学者で、土と環境のエキスパートではあるが、微生物学者や医師ではない。二人が微生物に関心を持つきっかけとなったのは、彼らの個人的な体験だった。そのいきさつは本文中に、臨場感あふれる筆致で描かれている。著者は新居の庭が植物の栽培に適さないことに気づき、土壌改良のために有機物を大量に投入する。それが予想以上の成果を収めたころ、アンががんと診断され、自身の健康と食生活に向き合うことになる。

この二つの経験を通じて、自分の身体と庭というもっとも身近な環境から微生物を捉え直し、実体験を医学、薬学、栄養学、農学など多分野の知見と融合させ、魅力的な物語に仕上げたのが本書だ。この本を読み終えたとき、私たちの健康や生活が隠された自然の半分なしには一日として成り立たないことが、改めて認識されるだろう。著者も言うように、それは私たちの一部であり、また私たちがその一部でもあるからだ。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

0コメント

  • 1000 / 1000