https://kigosai.sub.jp/001/archives/9769 【梔子の花(くちなしのはな) 仲夏】より
【解説】
本州の中部以南に自生する常緑低木で、高さは一~三メートル。庭木として多くの園芸種がある。六月~七月、枝先に香りのいい白色の六弁花を咲かせ、夜にはさらに香りたつ。果実が熟しても口を開かないことから、「口無し」の名がついたともいわれる。
【例句】
口なしの花さくかたや日にうとき 蕪村「新花摘」
山梔子や築地の崩れ咲きかくし 麦水「葛箒」
口なしの淋しう咲けり水のうへ 青蘿「青蘿発句集」
薄月夜花くちなしの匂ひけり 正岡子規「季語別子規俳句集」
今朝咲きしくちなしの又白きこと 星野立子「立子句集」
https://gptelemann.wordpress.com/2009/08/31/%E7%85%A7%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%82%93%E5%90%9B%E3%81%AE%E3%80%80%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E6%AD%B3%E6%99%82%E8%A8%98%E3%80%80%E3%80%8C%E6%A2%94%E5%AD%90%E3%81%AE%E8%8A%B1%E3%80%8D/【照れまん君の 俳句歳時記 「梔子の花」】より
花梔子遠き香りの記憶あり 照れま(はなくちなし とおき かおりの きおくあり )
梔子の花 と言えば、先に書きました歌謡曲を思い出します。
渡哲也氏の歌った歌。有名な曲なので、皆様よくご存知だとは思いますが、素晴しい歌なので、歌詞を書いてみます。
くちなしの花 作詞 水木かおる 作曲 遠藤 実
いまでは指輪も まわるほど やせてやつれた おまえのうわさ
くちなしの花の 花のかおりが 旅路のはてまで ついてくる
くちなしの白い花 おまえのような 花だった
わがままいっては 困らせた 子供みたいな あの日のおまえ
くちなしの雨の 雨の別れが 今でも心を しめつける
くちなしの白い花 おまえのような 花だった
小さな幸せ それさえも 捨ててしまった 自分の手から
くちなしの花を 花を見るた 淋しい笑顔が また浮かぶ
くちなしの白い花 おまえのような 花だった
「くちなし」 と花の名前を最初に聞いた時、とても変な名前だなあと思った。
それに漢字が難しくて 「梔子」 が書けません。
我が家には子供の頃から梔子の花は咲いているので、幼い頃から 花は知っていました。ママゴトをしていても、この花は香りがいいので、よく使っていました。こんなに香りのいい花なので、素敵な名前が付いているだろうと思っていたら、あに図らんや、以外でした。
あの頃は、当然名前を知る由もありません。
クチナシ の名前の由来。
説 1、 果実が熟しても実が口を開かないので「口無し」から クチナシ。
説 2、 沢山成る黄熟した果実を梨に見立てて、その縁にある萼の形から、
口ひげの様にも見え、また口をすぼめている様にも見えることから、
嘴を持った梨 口のある梨 から クチナシ になった。
説1、と 説2、は正反対。口が無いというのと、口が有るというのが、何だか面白いですね。多くのサイトには、説1、の方しか書いてありません。したがって、説1、の方が有力なのでしょうか?実の形が名前になった、という事は間違いが無いようです。
こんなに香りがいい花なのに、どうしてこの香りが名前にならなかったのだろうと、不思議な気がします。クチナシ が咲くと、庭中にいい香りが立ち込めます。
蕾の上の ササグモ?でしょうか
漢字のほうですが、中国では 山梔子 (サンシシ)と書くそうです。
梔 声符は シ ・ くちなし
1、クチナシ 2、桑の一種
梔子 シシ ・ くちなし
巵 だけだと、 シ ・ さかずき と読む。
意味は 1、さかずき 2、支と同じ 支離 ばらばら
3、梔と通じ 臙脂(えんじ) べに
中国の徳利に 巵(し)と言う酒器があり、クチナシの実の形が似ていたので 木偏に 巵 と書いて クチナシの木にした、という説があるようです。
3、には 臙脂やべになどの色、染料に関する意味合いもあるようなので、これらも関係しているのかも解りませんね。
日本では古く、平安時代の 「新撰字鏡」(901年)には 「久知奈志」(クチナシ)。
「本草和名」(918年) には 「久知奈之」(クチナシ) とあるようです。
クチナシ はこの他に、「支之」・「木丹」・「黄枝花」・「山黄枝」・「白玉花」・
「枝子」 などの表記があるそうです。
結局、中国で使われていた山梔子が漢字として使われるようになり、やがて梔子 クチナシ になったようです。
古今集 より 一首。
みみなしの山のくちなしえてしかなおもひの色の下ぞめにせん よみ人しらず
この和歌は梔子の花そのものでなく、梔子の実で染める黄色っぽい色のそれに染めたいと、詠まれているようです。
さて、いよいよ俳句です。俳句歳時記では 「梔子の花」 は 夏の季語。
「花梔子」・「山梔子の花」とも書きます。「くちなし」や「口なし」と言う書き方
もします。 俳句を見てみましょう。
くちなしの花さくかたや日にうとき 与謝蕪村
山梔子や築地の崩れ咲きかくし 堀 麦水
薄月夜花くちなしの匂ひけり 正岡子規
今朝咲きし山梔子の又白きこと 星野立子
くちなしの一片解けし馨かな 久保より江
梔子の花はすぐに茶色になって、汚くくなってしまいます
口なしの花はや文の褪せるごと 中村草田男
草田男氏の句、「口なしの花」の所で切って読みます。
文章や手紙は書いた翌日、読み返してみると、変なことに気が付くことがよくあります。草田男氏も何かハイカラな文章を書いたあと、ほんのちょっと経っただけで読み返すと、はやくも文章が色褪せてしまっていた、と言うような事があったのでしょう。
梔子の花は、茶色く色の褪せるのが早いですよね。香りはものすごくいいのに、そのまま枝に色褪せた花が沢山残ります。
その梔子の変色した花を見ながら、自分の書いた文章に思いを馳せているのですね。
俳句を作っていると、出来た時は ものすごくいい句が出来た、と思うことがしょっちゅうあります。夜中に作った俳句などは、翌朝読み返すとガックリ。昼間作った句も一週間・一ヶ月と経って読み返すと、なんじゃこれは というようなことがよくあります。
草田男氏のこの俳句、とてもよく解ります。素晴しい句ですね。梔子の名句だと思います。
よその家の八重の大輪 梔子の花
我が家の花の倍くらいの質感があります。
被子植物門・双子植物綱・アカネ目・アカネ科・クチナシ属 クチナシ
学名 : Gardenia jasminoides Ellis
英名 : Common gardenia
原産 : 日本・中国・台湾・インドシナ・ヒマラヤ
梔子の実は、日本では古く、飛鳥時代から染料として使われるほか、漢方薬としても使われていたそうです。消炎・利胆・止血薬 他 黄疸や肝炎・血便・不眠など、広く用いられていたようです。喉のはれや痛みがある時、煎液でうがいをすると、効果があるそうです。
沢庵漬けを作る時、黄色の染料として使われているそうです。
梔子は常緑低木。3メートル位の大きさになるようです。我が家の梔子は小さな木です。高さは 50cm もありません。50年も前の子供の頃から、殆ど変わりません。少し横に大きくなっているくらい。毎年、剪定されるので、大きくなりません。かわいそうなくらい伐られている年もあります。
下の写真(6)の写真のあと剪定され、枯れるんじゃあないかと思うほど刈られました。しかし、翌年(今年)はまた、葉がびっしりと生えて、沢山の花を咲かせてくれました。
半世紀くちなしの咲く庭であり 照れまん
花言葉 : 洗練・優雅・喜びを運ぶ・私は幸せ者・清潔
俳句では 梔子の花 は 夏の季語で すが、もう一つ、「梔子の実」 は 秋の季語 になります。別の書き方で、「山梔子の実」。「梔子」とだけ書いてあると、梔子の実の
付いた秋の季語になるようですので注意です。
クチナシの実の句を二句。
山梔子の実のみ華やぐ坊の垣 貞弘 衛
くちなしの実のつんつんと風の中 安斉君子
次は、今年の我が家の梔子の写真。雨上がりに撮ったものです。ややピンボケです。
何故か、白い花はピントが合ってくれません。撮り方が悪いのかなあ??
梔子のセピア チェンジの風の吹き 照れまん
(略)
ところで、我が家の梔子は、八重なので実を付けてくれません。一重六弁の花には、実がなるそうですが、八重の花には実が成らないそうです。
梔子(くちなし)の花びらは、食べられるそうです。紅茶に入れて飲んだりすると、とても香りがよくて美味しくなるそうです。ウッソー、ホント!。何だか汚い感じがするけど、大丈夫???
そういえば、学名に、 Jasminoides とありましたが、これは ジャスミン のような、とか、ジャスミンに似た香りを持つと言う、意味だそうです。 一度、紅茶に入れてみようかな??
梔子の実の写真が今回は撮れませんでしたので、又いつか、梔子の実が撮れましたら、載せてみたいと思います。今回は、夏の季語 「梔子の花」 と 秋の季語 「梔子の実」 を載せてみました。
https://ameblo.jp/haiku-de-moemoe/entry-12604468738.html 【本日のMy 俳句[ くちなしの饒舌なまでに香りをり ]】より
毎年、梅雨入りはしてもしばらくの間は雨も降らずに好天が続くのですが、今年は梅雨入り宣言が為された途端から雨が続きました。昨日からようやく梅雨の晴れ間の短い晴天がありましたが、今の時期、路上でも何処かのお宅の庭先からでも、あの花の香りが…姿かたちよりも独特の濃厚な香りが───
こんにちは、本日の季語は「くちなしの花」・・・夏の季語です。あの香り高い真っ白な花については花の名を上げただけで誰もがご存知の花ではないかしら? 庭木や公園木としてもよく植栽されているお馴染みの花です。 こちらは ↓ 名古屋の鶴舞公園に植栽されている満開のくちなしです。
アカネ科の常緑低木でコンパクトに刈り込んでおけば庭木としての手入れも楽なんですよね。真っ白な花は本来が一重咲きで近頃では八重咲きのものが主流になっているかな?
八重のほうは見た目が華やかになりますが、一重咲きのほうが香り高いような気がします。
「くちなし」だけでは秋の季語
今日は平仮名で「くちなし」と表記しましたが、漢字表記では「梔子」また「山梔子」と書きます。
そうして、実は単に「くちなし」また「梔子」だけでは、初夏の花ではなく秋の実を意味するのね。
↓くちなしの実・・・実が生るのは一重咲きの種類だけです。
「くちなし」の名の由来は・・・
「くちなし」とは、ズバリ「口無し」を意味しています。 口が無いって・・・???
もちろん、くちなしの花に”口”が有るわけではなく、これは実の状態・形状を表しているんですね。 くちなしの実は、熟してもすぼまったままで 口を開けることがありません。
そこから、口を開けない=口無し とネーミングされたようです。
また、このトックリ状の実の形を見ると、碁盤や将棋盤の脚を思い出しませんか?偶然に似ているわけではありませんよ(笑) 勝負に対して「口出し無用」のメッセージがこめられているんですって!
この時期に咲く花を季語にする場合は「梔子の花」と”花”を付けるか、または花を意味する言葉を付け加えるかして、秋の実ではないくちなしの”花”が季語なんですよ、と表します。
例えば、今日の句のように”香り”(香りのは実ではなく花なので)、また「咲く」「花びら」または花から転じて”白い”というのを強調すれば花を表現することにもなります。
いずれにせよ「くちなし」のみでは秋の実、正確には「山梔子」(くちなし)と書く秋の季語になります。
今日の句は・・・真っ白な姿形は清楚でとりわけ美しいのですが、くちなしの花のくちなしの花たる所以はその香り・・・。こちらの体調によっては、やや重苦しささえも感じてしまうような濃厚なジャスミン系の香り。
あの香りは目には見えないけれど、途方も無い存在感があります。
まるで、ひとつひとつの花が「ワタシハココニイルノヨ」と己の存在を主張しているように───そう、香りって実はとてもおしゃべりなのかもしれません(笑)
今日の句は、そんなくちなしのおしゃべりな?様子を詠んでみました。
「くちなしの じょうぜつなまでに かおりをり」と読んでね。
※饒舌(じょうぜつ):おしゃべりの漢語的表現。漢字では他に「冗舌」とも表記します。
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