増える変異株

https://wired.jp/2021/03/03/covid-19-february-2021/ 【「ワクチンを手にした人類」vs「増える変異株」のせめぎ合い:新型コロナウイルスと世界のいま(2021年2月)】より

新型コロナウイルスの感染者数は2月になって世界的に激減し、ワクチンの接種基準や変異株への有効性などに関する新たな研究結果も次々に発表されている。この1カ月の新型コロナウイルスに関する動きを、これらの最新情報と共に振り返る。

世界における新型コロナウイルスの感染数者と死亡者数は2021年1月に過去最悪を記録したが、2月になって感染者数は激減した。その理由として、ホリデーシーズンが終わって人の流れや集まりが減少したことや、天候の影響、ワクチンの普及などが挙げられる。しかし、感染者数はロックダウンおよびそれぞれの国の政策や人の行動に大きく左右されるので、確証的なことはいまだにわからないままだ。

こうしたなか、世界各国では新型コロナウイルスのワクチンが本格的に流通し始め、それぞれの国の戦略に沿って接種が進められている。タンザニアのように新型コロナウイルスのワクチンを“却下”して自然のレメディ(治療法)で対抗する国もあれば、変異株のせいで従来株用のワクチンが使用できなくなる国もあった。日本でも2月14日にファイザー製のワクチンが承認され、17日から医療従事者への接種が始まっている。

さて、免疫を「逃避」する変異株が蔓延する南アフリカは、どのワクチンを選択したのだろうか? すでに新型コロナウイルスの感染歴がある個人にも接種が必要なのだろうか? 2021年2月に世界で起きた新型コロナウイルス関連の動きを見てみよう。

南アフリカの変異株にはワクチンの有効性が低下

英国のイングランド公衆衛生庁(PHE)は2月2日、いくつかの地域で確認された新たな突然変異株の存在を明らかにした。南アフリカの変異株にみられる「E484K」と呼ばれる変異は、免疫を「逃避」する能力をもつことがわかっている。それゆえ南アフリカの変異株には、これまで承認されてきたワクチンの有効性が低くなることが懸念されていた。

実際にこの変異株が蔓延している南アフリカで2月7日に実施された小規模な治験では、英製薬大手アストラゼネカ製のワクチンの有効性は25%以下で、軽度から中等度の感染に対してほとんど防御効果がないと報告されている。南アフリカはすでにアストラゼネカ製のワクチンを100万人分確保しており、翌週から医療関係者への接種を開始する予定だった。ところが、それを一時的に見送るかたちとなっている。

また、南アフリカ変異株に対するジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンの有効性は57%、ノヴァヴァックスが製造したものは49%だった。さらにJ&J製のものは重症化や死亡に対する保護効果において、85%の有効性が示されている。

このことから南アフリカでは2月11日、アストラゼネカ製のワクチンをいまだ変異株が蔓延していない国々に転売する予定であると発表。代わりに保護効果が示されているJ&J製のものを使用すると決定し、2月17日から医療関係者を中心に接種が始まっている。一度の接種で済むJ&J製のワクチンが使用されたのは、南アフリカが初めてだ。

また、mRNAワクチンの先鋭となったファイザーとモデルナは、すでに南アフリカ株に対抗するための改良ワクチンを開発している。両社ともにまもなく臨床試験が開始される見込みだという。

イスラエルでのファイザー製ワクチンの効果

イスラエルは新型コロナウイルスのワクチンにおいて世界一の接種率を誇り、“リアル実験室”として注目されている。そしてこのほど、20年12月20日から21年2月1日までの期間にファイザー製ワクチンを接種したすべての人を、人口統計学的および臨床的特徴に基づいて、ワクチンを接種していない対照者と1:1の比率でマッチングさせた調査の報告書が発表された。

接種群およそ60万人と非接種群60万人を比較したところ、症状のある感染症の94%を予防することが示唆されており、ファイザーの第III相臨床試験のワクチンの有効性95%とほぼ同じ結果となった。

重症化の予防に関する数値を見ると、1回目の接種後14〜20日目までは62%の有効性、21〜27日目までは80%、2回目の接種後7日目以降は92%の有効性という結果だった。この報告からは、ファイザー製のワクチンはすべての年齢層でCOVID-19の発症・重症化の予防に非常に効果的であることが示されている。

ロシアの「スプートニクV」は91%以上の有効性

臨床試験の結果を待たず20年に早期の接種を始めて批判の的になったロシアのワクチン「スプートニクV」だが、最終段階にある第III相臨床試験の中間解析結果が医学誌『The Lancet』に発表された。これによると、症状のあるCOVID-19に対して91.6%の効果があることが明らかになったという。

この研究結果は、19,866人の参加者から集められたデータに基づいているが、そのうち約4分の3(14,964人)がワクチンの2回の投与を受け、4分の1(4,902人)にはプラセボが投与された。ワクチン接種群では、2度目の接種を終えてから16人が新型コロナウイルスに感染。プラセボ群では62例が確認され、有効率は91.6%であった。なお、60歳以上の2,144人に着目した部分的解析では、有効率は91.8%と同様の結果が得られている。

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フランスでは回復者への接種は1回に

各社のワクチンの有効性が明らかになるなか、新型コロナウイルスに感染歴のある個人のワクチン接種についてのガイドラインは、いまだに確立されていない。例えば、米疾病管理予防センター(CDC)はいまのところ、すでにCOVID-19の症状から回復した個人についてもワクチンの接種を推奨している。

ところが、最近発表された4つの論文(1、2、3、4)では、最初のワクチン接種を受ける前に新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」の抗体が陽性だった人の免疫反応は驚くほど異なっており、接種してからわずか数日で高レベルの抗体を産生したことが明らかになっている。感染歴のある人の免疫反応は、そうではない人の10~20倍であり、2回目のワクチン接種後もほぼ同様の結果が得られたという。

これらの情報をもとに2月12日、フランスでは新型コロナウイルスの感染歴がある個人は、通常2回の接種が必要なワクチンに対して1回の接種を奨励している。持続的な免疫記憶をつくるにはしばしば2度目の接種が必要とされるが、すでに感染歴がある個人は免疫記憶の一部をもっているとみられ、回復の3~6カ月後にワクチンを1回接種するだけでこの免疫記憶を十分に呼び覚ませるというのだ。

誰がいつ感染したのかを確実に知る手立てはないので、この戦略を確立するにはさらなる調査が必要とされる。しかし、ワクチンが不足している現在、フランスですでに感染が確認されている340万人分(現実はそれ以上だ)のワクチン1本分をほかに回すことは、より迅速に集団免疫を達成する有効な手段のひとつと言えそうだ。

2回目のワクチン接種を3カ月延期してもいい?

英国では最速で人々にワクチンを行き渡らせ、ある程度の免疫をもたせる手段として、2本目のワクチン接種を12週間も遅らせる戦略をとっている。そこで早急に必要とされていたのが、1度だけ接種した場合のワクチンの有効性とその持続性の調査だ。

この点についてアストラゼネカ製のワクチンは、接種後22日目から90日目まで76%の持続的な保護を示した。また、この期間内に保護力が低下する証拠はほとんど見られないことも詳細に報告されている。

ファイザー製に関しては、治験で1度目の接種から22日目(2回目の接種日)の間で52.4%の有効性がすでに発表されている。“リアル実験室”として注目されているイスラエルのデータでも、だいたい50〜60%の有効性だったと報告されており、12週間の遅延は奨励できないとした。

ところが、スコットランドの複数の大学による共同分析では、ファイザー製のワクチンの接種後4週目までに入院リスクを最大85%も減らせる(対してアストラゼネカ製は94%)という結果も出た。有効率とは異なる数値だが、英国は2回目のワクチン接種を遅らせる判断は有効だったとの見解を示している。

モデルナのワクチン半量投与の治験

モデルナが2月9日に発表した論文では、100マイクログラムの完全投与、50マイクログラムの半量投与、またはプラセボの生理食塩水のいずれかを28日間隔で2回投与したランダム化二重盲検対照試験[編註:どの薬やプラセボが誰に投与されたのかを、観察者にも患者にもわからない状態で試験を実施する手法]の結果が発表された。

600人が参加した治験では、1回目のワクチン接種後は100マイクログラムのグループのほうが50マイクログラムのグループより抗体価が高かったものの、2回目の接種後の抗体価はふたつのグループでさほど変わりがなかった。現時点で接種基準とされているのは100マイクログラムだが、もし半量での接種が承認されれば、実質的に現在のワクチンの配布を一瞬にして2倍にできるということになる。

ワクチン接種を終えたあと濃厚接触者になったら?

mRNAワクチンの普及とその驚くべき有効率を受け、米疾病管理予防センター(CDC)は濃厚接触者に関するガイドラインを変更した。新型コロナウイルスの陽性患者と濃厚接触したとしても、過去3カ月以内に2度のワクチンの接種を終えていて症状がない場合のみ、自粛する必要がなくなるという。

英国で「ヒトチャレンジ」が開始

英国では臨床試験を管理する倫理委員会が2月17日、研究の一環として意図的に被験者を新型コロナウイルスに感染させ、ワクチンや薬の効果を早急に試す実験を開始する許可を下した。その名も「ヒトチャレンジ」だ。

この研究は18〜30歳までの健康なボランティア90人を選択し、被験者たちをさまざまな量のSARS-CoV-2に曝露したあと感染者を隔離し、24時間体制で見守るというものである。この際、感染が確認された参加者にはレムデシビルが迅速に提供され、この薬が早期治療として有効であるかどうか調べられる。

これまで入院患者でしかテストされなかったゆえにレムデシビルの効果は薄いという結果が発表されたが、より早期に投与すれば効果がみられるとの主張が多い。今回の実験は、これを検証するためのものだ。

ワクチン接種でウイルス量が低下する

ワクチン接種による効果のひとつとして議論されているのが、接種後に新型コロナウイルスに感染した患者にも、他人を感染させるほどのウイルス量があるかどうかだ。査読なしのプレプリントとして公開された研究によると、1回目のワクチンの投与後12日から28日後に発生したケースを分析すると、非接種者と比べて接種者のウイルス量が約4分の1に減少していることが明らかになっている。結果としてワクチン接種は、新型コロナウイルスの拡散防止にもつながることが示唆されている。

皮膚フィラー注入歴のある方はワクチン接種に注意?

美容整形の一環としてダーマルフィラー(皮膚充填剤)の注入を受けたことのある人は、mRNAのワクチン投与後まれに充填材の注入部位(顔や唇)に腫れが生じることが、米疾病管理予防センター(CDC)によって報告された。これは一時的なものと思われ、ステロイドなどで治療を受ければ治まるという。

米国では7つの変異株がそれぞれ成長

2月12日に投稿されたプレプリントでは、米国各地で別々に発見された新型コロナウイルスの7つの成長系統が報告されている。しかも、そのすべてがスパイクたんぱく質に関連するまったく同じ遺伝子領域で変異を起こしていたという。英国や南アフリカの変異株もまた、スパイクたんぱく質に関する変異があった。

異なる遺伝子系統が独立して同じ方向に進化することは珍しくなく、動物でも収束(収斂)進化があることが確かめられている。研究チームは、この変異が宿主細胞の侵入において重要な役割を果たしており、中和抗体からの「逃避」を可能にしたり、細胞侵入の受容体となるACE2への親和性を高めると考えている。

米国では2月末、急降下していた新規感染者数が平坦化し、変異株の蔓延を示唆する不気味な兆候が現れ始めている。これに対抗するには、とにかくマスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを徹底してワクチンの普及を待つしかないだろう。しばらくの間は、「ワクチンを手にした人類」vs「変異株」のせめぎ合いが続きそうだ。


Facebook・岡本 よりたかさん投稿記事

「SARS-CoV-2ウイルス(新型コロナウィルス)のワクチンについての単なる覚書」

理解してから接種してもらうために…。

追記:まず、大雑把に言うと、DNAは遺伝情報を蓄積する核酸であり、RNAはDNAの情報を元にタンパク質を生成する核酸。役割は他にもあるが、ここではこの点だけで説明する。

また、SARS-CoV-2ウイルスはスパイクタンパク(周りのイボイボ)を持ち、これを利用して細胞の中に入り込み、宿主とする。

このスパイクタンパクを体内で合成し、スパイクタンパクを攻撃する抗体を生成させるのがワクチンの目的。

●ファイザー社、モデルナ社のワクチン

mRNAはメッセンジャーRNAであり、細胞内でスパイクタンパクを作り出す。

このmRNAの脂質粒子(包み込む膜のようなもの)として、ポリエチレングリコール、つまり界面活性剤をコーティングしてある。

人によるが、この界面活性剤がアレルギー反応などの様々な問題を起こす可能性が指摘される。

このmRNAは一度スパイクタンパクを作ると消えてしまうので、細胞内で分解しないように人為的に加工されている。

mRNAは常にスパイクタンパクを作り続けるために、常に抗体も作られ、リュウマチやアナフィラキシーなどの自己免疫病を起こす可能性がある。

●アストラゼネカ社のワクチン

チンパンジーのアデノウイルスをベクター(運び屋のようなもの)として利用し、人の細胞の中にスパイクタンパクを作り出すDNAを組み込む遺伝子組換えワクチン。

人の細胞に組み込まれたDNAは、mRNAと違い、RNAを利用し永遠にスパイクタンパクを作り続ける。

永遠にスパイクタンパクを作るということは、もちろん抗体も永遠に作り続ける。Covid-19が治ったとしても、抗体は残り続ける。

このDNAは、人のDNAのどこに組み込まれるかは分からない。がん細胞を作ったり消滅させる遺伝子の側かもしれないとのこと。

また、両ワクチン共、抗体依存性感染増強(ADE)が起きる可能性があり、次にウイルスに接した時に、重篤になる可能性を秘めている。

10年経たないと結果は分からず、リスクを理解して接種すべきワクチンである。

※情報源

新潟大学医学部元教授・名誉教授 岡田正彦

岡本 よりたか

ドイツではワクチン接種後の死亡者が急増していることを、メディアが放送。4人に1人が死亡とのこと。日本では公になったのは39人だが、副反応が原因という因果関係を見つけられず、報告していない例が相当数ある模様。


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