朝顔の有名俳句

http://haikubasyou.uenotakako.com/2017/08/ 【芭蕉の詠んだ朝顔】 より

朝顔に我は食(めし)くふおとこ哉            三ヶ月や朝顔の夕べつぼむらん

蕣(あさがお)は下手(へた)のかくさへ哀(あはれ)也     朝顔は酒盛しらぬさかりかな

蕣や昼は錠おろす門の垣                蕣や是も又我が友ならず

芭蕉は、朝顔の花を哀れで美しいと捉えているようです。

加賀千代女の「朝顔に釣瓶とられてもらひ水」という名句が浮かびますが、女性の朝の水仕事の句との対比が面白いですね。

朝のご飯の前に早々と咲く朝顔にいとおしさを感じます。

そして、50歳を超えてからの最後の句は、芭蕉の自然を愛でる思いがいつもなら救ってくれるのだが、この時ばかりは「閉関の比(へいかんのころ)」と前書きに記されてあるように、美しく咲く朝顔でさえも友とはなってくれないといいう表現で、「桃印」(芭蕉の甥と伝えられる)を病気で失ったため落ち込んいた気持ちを上手く詠まれていますね。


https://haiku-textbook.com/haiku-asagao/ 【【朝顔の有名俳句 30選】すごく上手い!!季語を含んだおすすめ俳句作品集を紹介!】 より

今回は、朝顔を題材にした有名俳句やオリジナルの俳句をご紹介していきます。

朝顔とは、ヒルガオ科サツマイモ属の植物で、日本では最も身近な植物として知られています。

朝顔が咲くのは夏ですので夏の季語と思われがちですが、じつは朝顔は秋の季語です。

旧暦の二十四節気では、朝顔が季語として使用されるのは立秋の頃だとされており、立秋とは8月の初旬を指します。

そのため、朝顔は夏の風物詩ととらえてよいでしょう。

私たちの生活にとても馴染みの深い朝顔。現在では色とりどりの美しい姿を見せてくれますね。

今回は、お手本となる朝顔のおすすめ俳句をご紹介していきます。

【NO.1】加賀野千代女

『 朝顔に つるべ取られて もらい水 』

意味:井戸に水を汲みに行ったら、朝顔の蔓がつるべに巻きついていた。これを取り外してつるべを使うのはかわいそうなので、お隣に水をもらいに行くことにした

俳句仙人

加賀野千代女は、江戸時代の最も有名な女性俳人じゃ。表具師(掛け軸や屏風、ふすまなどを作る職人)の家に生まれ、52歳で剃髪して尼僧になってからは『千代尼句集』を発表したぞ。せっかく咲いた朝顔の花をあわれに思う、作者の優しさが表れている一句じゃな。

【NO.2】水原秋桜子

『 朝顔市 立つ日は癒えて 帰る日ぞ 』

意味:毎年7月に行われる朝顔市がもうすぐやってくる。その頃には、病床にいる自分の身体も癒え、家に帰ることができるだろう

俳句仙人

水原秋桜子(みずはら・しゅうおうし)は、本名・水原豊。秋桜子という名前を見ると女性のようじゃが、実は男性なのじゃ。高浜虚子に俳句を学び、本業は産婦人科医だったはずじゃ。朝顔市とは、毎年七夕の前後に東京都・入谷で行われる大規模な市場のことで、江戸時代中期ごろから始まったと言われておるぞ。作者は病床の床にありながら、回復し家に帰れるその日を待ちわびていたのじゃろう。

【NO.3】炭太祇

『 蕣に 垣ねさえなき 住居かな 』

意味:あさがおというものは蔓が長いため、民家で咲かせる場合にはつるを巻き付ける垣根をつけるものだが、この住居にはその垣根がない。それほどにまで苦しい生活をしているのかもしれない

俳句仙人

「蕣」は「あさがお」と読み、「むくげ」と読むこともあるぞ。炭太祇(たん・たいぎ)は江戸時代の俳人で、与謝野蕪村とも交流があったと言われておる。荒れ果てた民家に咲き誇る朝顔の花が、不思議な美しさをかもし出している一句じゃ。

【NO.4】正岡子規

『 朝顔に われ恙なき あした哉 』

意味:今日もこうして、朝顔が咲く時間を迎えられた。明日もきっと、つつがなく朝顔を見ることができることだろう

俳句仙人

恙(つつが)ないとは、無事である、異常がない、という意味じゃ。正岡子規は俳壇を代表する人物で、雑誌『ホトトギス』を刊行したぞぉ。生まれつき身体が弱く、結核のため34歳という若さで亡くなってしまったのじゃ。そんな子規にとって、毎朝朝顔を見られることは当たり前のことではなかったのかもしれんのう。

【NO.5】稲畑汀子

『 朝顔の 萎えて朝の 心失せ 』

意味:朝顔がその美しい花を見せてくれるのは、朝の早い時間だけ。昼前になって朝顔がすっかり閉じてしまうと、すがすがしい朝の気分もどこかへ行ってしまったようだ

俳句仙人

稲畑汀子(いなはた・ていこ)は、高浜虚子の孫で、現在『ホトトギス』の名誉主催、日本伝統俳句協会の会長を務めておるぞ。朝にしか咲かない朝顔の特徴を、よくとらえた一句になっておるのう。

【NO.6】稲畑汀子

『 朝顔の 蔓の自由の 始まりし 』

意味:今年も朝顔の蔓がどんどん成長する季節になった。あちらこちらに伸びている蔓は、まるで自由を得たかのように生き生きして見えることだ

俳句仙人

こちらも稲畑汀子の詠んだ一句じゃ。朝顔というと、どうしても美しい色をつける花の方へ目がいきがちじゃが、この句は朝顔の蔓を主体に詠まれておる。蔓が伸びていくさまを、「蔓の自由」と表現しているのが素晴らしいのう。

【NO.7】山本荷兮

『 あさがほの 白きは露も 見へぬ也 』

意味:朝顔が美しい白い花をつけている。その白さは、昨夜降った雨の露さえも見えなくなってしまうほどである

俳句仙人

山本荷兮(やまもと・かけい)は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した俳人じゃ。松尾芭蕉の門下にいたが、やがて芭蕉とは違う道を歩むぞお。江戸時代は朝顔の品種改良が盛んな時期じゃったから、白い朝顔は目新しいものだったのじゃろうな。

【NO.8】石田波郷

『 朝顔の 紺の彼方の 月日かな 』

意味:朝顔の花が咲き、その紺色を眺めていると、この花が咲くまでの長い月日のことを思い出すことよ

俳句仙人

石田波郷(いしだ・はきょう)は、大正時代から昭和時代にかけて活躍した俳人じゃ。人間性に深く根ざした作風を追及し、人間探求派と呼ばれたぞぉ。見たままの情景を詠むだけではなく、そこから感じ取れる物語性や、人間の心情を深く掘り下げている一句じゃ。

【NO.9】加藤楸邨

『 朝顔の 藍やどこまで 奈良の町 』

意味:7月の奈良の町に足を運ぶと、数えきれないほどの朝顔が咲いている。朝顔の花の藍色は、一体どこまで続いているのだろうかと思うくらいだ

俳句仙人

加藤楸邨(かとう・しゅうそん)は、石田波郷とともに人間探求派と呼ばれた俳人じゃ。本名は健雄といい、水原秋桜子の弟子じゃった。どこまでも続く藍色の花が目に浮かぶような、そんな美しい一句じゃな。

【NO.10】松尾芭蕉

『 朝顔や 昼は錠おろす 門の垣 』

意味:夕方の夜に淀川のお茶屋から花火を打ち上げたいものだ

俳句仙人

松尾芭蕉は江戸時代に活躍した俳人で、『おくのほそ道』を書いたことで有名じゃな。与謝蕪村、小林一茶と並んで「江戸の三大俳人」と呼ばれておる。花びらの閉じた朝顔を、門の錠にたとえるというのが、とても粋な一句じゃ。

こんな俳句もある!朝顔のオリジナル俳句作品集【20選】

ここからは、朝顔を季語として詠んだ、オリジナルの俳句をご紹介していきます。

私たちの生活の中に馴染みの深い朝顔ため、たくさんの俳句が詠まれています。

【No.1】朝顔や 朝露のせたる 軽やかに

意味:朝の雨に濡れた朝顔はいっそうさわやかで、元気そうに花びらが開いている。そんな姿に元気をもらった

俳句仙人

朝露をのせた朝顔の姿が、生き生きとした姿で描かれた一句じゃ。

【No.2】朝顔や 月曜の朝に ホッといる

意味:休み明けで心が重い月曜日だが、出勤途中に朝顔が咲いているのを見て、沈んだ気持ちがホッとした

俳句仙人

花には人の心を癒してくれる効果があるが、朝顔も例外ではないのう。

【No.3】朝顔や ひとりゆうらり 哲学す

意味:朝顔の花がひとつ、静かに揺れている。まるで物思いにふける自分の心と同調してくれているようだ

俳句仙人

作者の心に寄り添ってくれているような、朝顔の静かな姿が目に浮かんでくる一句じゃ。

【No.4】朝顔の 色眺め歳 感じおり

意味:今年も朝顔が咲いた。その美しい色を見ていると、今まで自分が過ごしてきた歳月が思い出されることだ

俳句仙人

朝顔も、桜と同じように季節の訪れを感じさせる植物じゃな。作者は毎年変わらずに咲く朝顔に、どんなことを思い出したのじゃろうか。

【No.5】朝顔の ドレス仕立てや 誰ぞ着る

意味:大きな白い朝顔が、360度の方角に花をつけている。それを見ると、まるで丁寧に仕立てたドレスのように見える。自分はこのドレスを誰に着てもらいたいだろうか

俳句仙人

朝顔の花びらをドレスに例えるという、美しい一句じゃ。

【No.6】朝顔に つかみどころを 教えけり

意味:朝顔の蔓はどんどん伸びていってしまうので、うまく垣根に絡まるように調整してやらなければならない。それはまるで、どこにつかまればいいのかを教えてあげるような感じだ

俳句仙人

作者が心を込めて朝顔の世話をしている姿が目に浮かんでくるのう。

【No.7】朝顔の 傷つき易き 絹の襟

意味:朝顔の花びらは、まるで絹の襟のようになめらかだ。しかし繊細で傷つき易いので、そっと触れなければならない

俳句仙人

朝顔に対する作者の優しい気持ちが伝わる一句じゃ。

【No.8】朝顔の 紺一天の 晴れ間かな

意味:朝顔の紺色が美しい。まるで晴れ渡った空のようである

俳句仙人

朝顔の美しさをよくとらえている一句じゃな。

【No.9】文化から 朝顔市の いま令和

意味:文化の時代から続く朝顔市。いまや令和を迎えているが、変わることなく続いている

俳句仙人

文化というのは江戸時代の元号じゃ。令和になった今でも朝顔市が続いているというのはすごいことじゃな~。

【No.10】桶に浮く 朝顔市の 団十郎

意味:朝顔市に行った際、団十郎という種類の朝顔が、花びらだけを切り取られて桶の中に浮いていた。その様子が涼やかで美しかった

俳句仙人

団十郎というのは、朝顔の品種の一つ。海老茶色をしており、歌舞伎役者の二代目市川團十郎が着ていた衣裳の色と同じであることから、その名前がつけられたぞぉ。

【No.11】咲き疲れ 投げやり気味の 朝顔や

意味:猛暑を耐え忍び、強烈な台風にも蔦を絡ませて耐え忍んだ朝顔たちが、たんだか疲れてみえる。人も朝顔も本当によくがんばったものだ

俳句仙人

悪天候が続くと、朝顔だってくたびれてしまうのう。そんな気持ちを代弁するかのような一句じゃ。

【No.12】朝顔の 開き切つたる 海の色

意味:開花しきった朝顔の花を見ていると、そこに深い海の色が感じられて、とても美しいことだ

俳句仙人

朝顔の色は美しく、さまざまなものに例えられておるのう。あっぱれじゃ!

【No.13】朝顔に たたまれている 明日の色

意味:明日の朝まで朝顔が花開くことはないが、いまたたまれている花びらの中に、明日の希望をも包み込んでいるような気がすることだ

俳句仙人

想像力に満ちた素晴らしい比喩じゃな。

【No.14】朝顔も つるべのばせぬ 寒き夏

意味:冷夏の影響でなかなか朝顔が育たない。本来ならば今頃は、朝顔の蔓がたくさん伸びている時期であろうに

俳句仙人

朝顔が元気いっぱいに育っていくのを待ちわびる、作者の想いが切実な一句じゃ。

【No.15】朝顔は 彼の教室の 窓辺哉

意味:朝顔を見るたびに、学生時代の教室の窓際に朝顔が咲いていたのを思い出し、あの頃の懐かしい気持ちに想いを馳せてしまうことだ

俳句仙人

作者にとって朝顔とは、学生時代の懐かしい思い出と切り離せない存在なのじゃろう。しみじみと感じ入る一句じゃな。

【No.16】朝顔の 空より青く 咲きにけり

意味:朝顔が咲いている。晴れ渡る雲一つない空よりも青く、その花を咲かせていることだ

俳句仙人

澄み切った青空と、朝顔の鮮やかな青色が美しく表現されておるのう。すばらしい句じゃ。

【No.17】行きしなの朝顔 帰りしなの歌

意味:待ちに待ったお出かけの日。行きには朝顔を眺めながら、帰りには鼻歌を歌いながら歩く道のりが楽しい

俳句仙人

鼻歌が聞こえてきそうな、楽しい軽やかな一句じゃな。

【No.18】王冠を 被る朝顔 実を見つけ

意味:朝顔に実がついているのを見つけた。その実の先が王冠に似ていて、まるで朝顔の花が冠を被っているようだ

俳句仙人

朝顔の実を王冠のようだと例えたのがユーモラスじゃ。作者のセンスが光る一句じゃな。

【No.19】朝顔や まだ日のささぬ 水の色

意味:朝顔の濃い紫色は、まるでまだ日が差さない時間に静かに揺れている水のようだ

俳句仙人

朝顔の紫色を「日のささぬ水の色」と表現しているのが美しいのう。

【No.20】朝顔が となりのつると 糸電話

意味:朝顔の蔓が長く伸びていて、色々なところに絡まっている。隣同士の蔓が絡まりあい、まるで糸電話をしているように見える

俳句仙人

絡まった蔓を糸電話に見立てたという着眼点が面白いのう。

以上、朝顔を季語に使ったおすすめ俳句集をご紹介しました!

俳句仙人

古くから私たちの目を楽しませてくれている朝顔。私たちの生活に、なくてはならない風物詩じゃな。

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

0コメント

  • 1000 / 1000