http://oldtower.blog.shinobi.jp/Category/14/ 【エニアグラムとの出会いと解き方「人は誰も、ある意味で夢遊状態なのだ」】 より
当ブログ(2014/6/23)に、日経サイエンス5月号の記事内容の一部を載せています。
「私たちの意思決定や実際の行動が驚くほど無意識の心の動きに支配されていることが明らかになりつつある」
これと同様なことが今年の10月号に載りましたので、少し取り上げてみたいと思います。執筆者は、A.F.シャリフ(オレゴン大)とK.D.ボース(ミネソタ大)の研究者です。
「人は誰も、ある意味で夢遊状態なのだ、と主張する哲学者や神経科学者が増えている。私たち人間は自分の人生を自分の意見で紡ぎ出しているのではなく、単に過去の出来事に突き動かされ、意識の裏舞台で働くたくらみに動かされている。完全に目覚めているときでも、自由意思など幻にすぎない…。
何かを意識的に選択するという体験は当人の行動を引き起こす神経プロセスの結果であって、意識的選択の行動の原因ではないことが神経科学から示唆された。私たちの脳は、私たちの助けなしに、私たちの行動のすべてを決めている……いうなれば、こんな感じだ」
ところで、エニアグラムを世に知らしめたのは、アルメニア生まれのグルジエフという男性です。1866年生まれで1949死去といわれています。神秘思想家と知られています。
また、エニア講座だけでなく、他でもよく使われる「ワーク」という言葉を最初に使ったのはグルジエフだと言われています。
★ゲオルギイ・グルジエフ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%8
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グルジエフはまず「人間は機械だ」と説いています。
「彼の行動、行為、言葉、思考、感情、信念、意見、習慣、これらすべては外的な影響、外的な印象から生ずるのだ。人間は、自分自身では、一つの考え、一つの行為すら生み出すことはできない。彼の言うこと、成すこと、考えること、感じること、これらは全てただ起こるのだ。人はうまれ、生き、死に、家を建て、本を書くが、それは自分が望んでいるようにではなく、起こるに任せているに過ぎない。すべては起こるのだ。人は愛し、憎みもし、欲しもしない。それらはすべて起こるのだ」
グルジエフのこの「人間機械論」を知ったのは、20年前になってしまいました。なんというか私はすぐに納得できたのです。でも、その考え方を証明できる科学的根拠をグルジエフは挙げていません。
私自身は正しい認識だと確信していたのですが、根拠を科学的に示せないならば誰も信じないだろう、世の中に受け入れられることはないと考えて、積極的に取り上げたことはありません。
たまに、講座などでチラリとほのめかせたことはあったのですが…。ただ、ほのめかしても、その言葉に食らいついてくる人はいません。なにか反応してくる人もいませんでした。興味のないことのような…。私にとっては重大ポイントなのに…。
さて、続きも少し紹介します。
グルジエフは「普通の人間の現状を囚人の状態に例えている。「君は自分自身の状態を認識していない。君は牢獄にいるのだ。もし君が分別のある人間なら、君が望むことはそこから脱出することだけなはずだ。しかし、どのようにして? 塀の下にトンネルを掘る必要があるが、一人ではできない。しかし、10人か20人いるとしよう。もし、彼らが交替で働き、互いに支え合うならば、彼らはトンネルを完成させ、脱出することができる。(『グルジエフ・ワーク』K.R.スピース著)
私たちは何かで精神的に追い詰められて、あれこれ解決策を探したりもしますが、考えをまとめることができず堂々巡りばかりです。自分でも自分をどうしようもなく、まるで牢獄の中にいるようだと感じることがあります。
しかし、実は追い詰められていなくとも、たいてい、いつも牢獄のなかにいる囚人だということを知りません。
たとえば、タイプ4の人がタイプ8という人物を知り、その真似をして、タイプ8が言いそうな主張をしたとしても、その主張が通るということにはなりません。
何故通らないのかといえば、それまでの言動から、容姿、声、威圧感など、どれをとってもタイプ8とは違いがありすぎるからです。で、いくら他人を真似たとしても、自分という存在が変わることはなく、永遠にタイプ4であることから逃れられません。
つまり、「自分」からはけっして抜け出せない。タイプ4という「囚人」」だからです。むろん、なんでも思い通りにできると思いこんでいるタイプ8も、タイプ8という囚人です。その他のタイプもです。
しかし、エニアグラムは囚人である自分、精巧な生きる機械である自分を客観的に知らしめてくれます。エニアグラムというツールを知るだけで、10人力を得たようなものだと、その箇所を読んだときに私は感じました。
で、今日までずっと当会のエニアグラム理論を広めていこうと努めています。力量がないので、まるで、一歩前進二歩後退状態?なんですが。いつまで続けられるのかと少し心配しています。
グルジェフが説いていたことが基本的には正しかったと証明される、そんな日はもう少しでやって来るようです。
ある意味、神秘学って凄いと思う。でも、観想を続けているうちにたぶん直感しただけなのではと思うのです。そして、科学者の多くも、ある日、直観みたいなものが働いて、秘密の扉を見つけ出したのではないかと…。
私自身も真剣にあれこれ格闘している時というのではなく、のんびりと休憩している時、突然に脳裏に浮かびあがったのが、基本理論のその1でした。
あれも直観だったと思うのです。でも、たぶん、たくさんの探すという作業をしているのでなければ、直観など働かなかったと考えられます。で、しばらくして、他の基本理論も連鎖的に次々に、連鎖的に見つかりました。
ところで、グルジエフに信奉していたというか傾倒したP.D.ウスペンスキーも、はじめてグルジエフに会ったとき、「この人は何者ぞ!」と何か直観が働いて、彼の門下に入ったのではないかと。
このウスペンスキーが著した『人間に可能な進化の心理学』の中にあるもので興味深いものを少しご紹介します。
「人間は、自己についていかに無知であるかということさえ気づいていない」、「人間は機械だが、一種独特の機械である」、「人間には一体性はなく、制御中枢もなければ一定不変の「私」や自我はないのである。人間を図に表せば下記の図のようになる」
この図を見たら、誰しもハッとするのではないでしょうか。「私」って、もしかしたら…と気づかれるのでは。
ヒトにある60兆もある細胞の一つひとつ全てに、遺伝子が入っていることは、今では周知のことです。遺伝子は、DNA二重らせん構造からなるもので、これが複製されることで次世代へと受け継がれていきます。
DNAをコピーすればクローンができあがります。それゆえ、体細胞の一片を取ってきても、そこから人間をひとり誕生させられることも、一般に知られるようになりました。
しかし、これらのことは、60年以上前に亡くなったウスペンスキーさんが知り得ることではありません。
ウスペンスキーさんは細胞の一つひとつに「私」が入っていると説いているのではありません。この辺りの説明は、何度読んでも何を言いたいのかも理解できない文章です。長文なのでここでは取り上げられません。
知りたかったら彼の著書『人間に可能な進化の心理学』(めるくまーる刊行)をお読みください。
なお、グルジエフの著作として、なにを言っているのか理解不能な奇書があります。『ベルゼバブの孫への話』(平河出版社)です。これほど奇怪な文章を他でみたことは一度もありません。
定価7500円です。奇怪な文章って、どういうものかどうしても知りたくて…。
難解で訳の分からない文章だと権威的に感じるのか、常人にはない偉大な人物だから…賢者ゆえだろうと受け取る人たちが少なくありません。私からは過大評価しているとしか考えられません。
で、訳の分からない文章であれば、私の場合は無視します。それでも、直観で得たものの中になにか「真理に迫るものはある」と見ています。ただ、それだけのことなのですが。
最近の現代精神医学界では、宗教と誇大妄想との関わりについて論じられるようになっています。
私からは、宗教家や教祖だけでなく、神秘学とか精神世界に関心を持つ人達の中にも誇大妄想的な傾向があるのではと考えられる人をよく見かけます。
通常は、想像力が豊かになることは高く評価されるところですが、実は誇大妄想的になりやすいというデメリットもあると考えられ、注意したいところです。
人間が夢遊状態にいるからこそ起きるものではないかと思うのです。
Facebook・清水 友邦さん投稿記事
3月24日、第7回岡部明美ライブトークにティムとよし子がゲストで主演しました。
明美ちゃんは作家・セラピストでお二人はエニアグラムとバイロン・ケイティの講師をしています。
有名なバイロン・ケイテイの人生を変える4つの質問は次のとおりです。
「それは本当でしょうか?」
「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
「そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか?」
その思いがなければ、あなたはどうなりますか?
お二人は例をあげました。
夫が電気をつけたままにしたので奥さんから電気がついていたと言われました。
夫は妻がまた怒っていると思いました。
さてバイロン・ケイティの質問です。
「それは本当でしょうか?」
奥さんは電気がついている事実を告げただけなのに
夫はマインド(思考)が作り上げたストーリー(物語)の中に入ってしまって機嫌を悪くしていたのです。
「そう考えるとき、あなたはどのように反応しますか?」
夫は指摘されるたびにいつも反応して「妻はいつも怒っている」とストーリー(物語)を補強していました。
あの人はいつもこうだと決めつける認知の歪みが起きていたのです。
「その考えがなければ、あなたはどうなりますか?」
バイロン・ケイティの質問で頭の中のストーリーが幻想だと気がつくと心の葛藤から解放されます。
バイロン・ケイティのワークは「ビリーフ(考えや思いこみ、価値観など、信じていること)」から自分を解放するための「ワーク」なのです。
『単純な真実は、実際に起きることが、起こり得る最良のことだということです。このことがわからない人は、自分自身の考えをただ信じているのです。そして限られた世界の幻想に留まり、あるがままの現実との闘いの中で自分を失わざるを得ないのです。それは常に敗北する戦争です。なぜなら、現実に抗うからです。そして現実はいつも優しいのです。あなたが理解しようがしまいが、実際に起きることが、起こりえる最善のことです。そしてあなたがそのことを理解するまで、心に平和はありません。現実は常に、それについて私たちが語るストーリーよりも優しいのです』ティム・マクリーン 高岡 よし子 (翻訳)バイロン・ケイティ「タオを生きる---あるがままを受け入れる81の言葉」
バイロン・ケイティ・ワーク
http://www.transpersonal.co.jp/p/byron-katie-work/
私がエニアグラムを最初に知ったのは吉福さん経由でした。
80年に出版された精神世界マップにエンネグラムとして最初に紹介されました。
81年にウスペンスキーの「奇蹟を求めて」と82年にスピースの「グルジェフ・ワーク」が翻訳されてオクターヴの法則をまとめたシンボルが紹介されましたがそれがエニアグラムでした。アメリカではヘレン・パーマーの「エニアグラム」が出版されてから80年代の終わりころにはエニアグラムが大いに賑わいました。
日本では97年にオレアリーの「エニアグラム入門」が吉福さんの解説付きで翻訳されたころから広まり、いまではソニー、 アップル、トヨタなどの企業や人材マネジメントツールやコーチングに取り扱われて広く普及しています。
現在、エニアグラムでグルジェフ=イチャーソの経過の流れが語られることは少なくなっているようです。
エニアグラム研究所のエニアグラム日本語訳
タイプ1:改革する人
タイプ2:助ける人
タイプ3:達成する人
タイプ4:個性的な人
タイプ5:調べる人
タイプ6:忠実な人
タイプ7:熱中する人
タイプ8:挑戦する人
タイプ9:平和をもたらす人
エニアグラムを性格診断として捉えてしまうと固定概念で見てしまうことが起きてしまいます。
気を付けないと、うるさくしたり、引きこもったりするのは何々タイプだからと特定のタイプに自分や他人を閉じ込めて合理化してしまうことがおきてしまいます。
幼児期に親の理想や期待、注目や愛を得ようとして子供はサバイバルとしてこの世に適応していくために9のタイプの自我を形成しました。
エニアグラムはその行動パターンを明らかにしてくれる強力なツールです。
しかし、今の社会では組織の運営に都合が良い従順な社員の性格改善にエニアグラムが使われるおそれがあります。
もし、エニアグラムを望ましい性格を飾り付けてしまうことに使われてしまうと自己の本質を知ることが難しくなってしまいます。
エニアグラムはある特定の修行段階を達成した秘儀参入者に明かされた秘教的伝統の秘伝でした。
エニアグラムを学ぶものは外部に内容をもらさないことを誓約させられていたのです。
エニアグラムは自分のタイプに気がつくことによってエゴから自由になる自己探求のツールでした。
良いエゴも悪いエゴもネガティヴなエゴもどんなにポジティヴな良いエゴでもエゴに変わりがありません。
エニアグラム9のタイプは永遠のものではなく通り過ぎてゆくものなのです。
エニアグラムは本質の自分に気がつくための自己探求の道具なのです。
エニアグラムは占いのように自己納得的な道具とすべきものではないのです。
ネットで検索をかけると玉石混淆のエニアグラムの情報があふれています。
エニアグラムを使い自我のとらわれから本質へと自己探求したい方は、客観的な臨床例が豊富で単純に決めつけをしない
経験豊富なティムとよし子のワークをお勧めします。
エニアグラム研究所
http://www.enneagram-japan.com
エニアグラムとは
http://www.transpersonal.co.jp/p/enneagram/
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