https://www.city.noda.chiba.jp/shisei/1016739/1016740/kusakoho/kusazukan/1027271.html 【マツバラン(松葉蘭)(マツバラン科マツバラン属)】より
特徴
山地で木の幹や岩肌にくっつくようにして育つシダ植物です。多年草で、何年もかけて大きな株に育っていきます。体の構造はとてもシンプルで、根や葉はありません。地上に出ている茎は、上のほうで2つに分かれ、それを何回も繰り返していきながら箒のようなかたちになります。根はありませんが、土の中には長くのびる地下茎があります。
シダ植物なので花は咲きません。株が成熟すると胞子嚢と呼ばれる丸いプチプチのようなものが茎にたくさんつきます。この中で胞子をつくり、この胞子が拡散することで増えていきます。
本来は山の中に生える植物ですが、観賞用に栽培されることもあるため、そこから飛び散った胞子が芽生えて野生化することもあります。また土とともに胞子が運ばれて、思いがけない場所から芽生えて育つこともあります。
かつては人気植物だった
江戸時代には、斑入り葉や枝変わりなど、本来の姿から大きく変形した「珍奇」な植物のブームがありました。マツバランも枝ぶりや色合いなど多彩な変化を示す株が多く見出されることから人気が高く、『松葉蘭譜』という専門の書物まであったほどです。それには約120種もの栽培品種が記載されており、その多様性と当時の人気ぶりをうかがい知ることができます。
市内の分布状況
林内でたまに見かけます。希少種扱いですが、一方で栽培もされるため、野田市のものが真の自生かどうかは不明です。
https://botanical-garden-city-fukuoka.blogspot.com/2019/05/no372019515.html 【ちいさな大発見!? No.37(2019.5.15) 陸上植物の「生きている化石」!】より
数億年前の古生代に死滅したと思われていた魚類のシーラカンスが20世紀初めに生きて発見されたことから、「生きている化石」と言われているのはよく知られているところです。
一方、陸上の植物で生きている化石と言えそうな植物が福岡市植物園でも見ることができます。シダ類の中でも特殊な原始的構造を持ち、日本に一目一科だけの特別な植物、それが「マツバラン」です。
ケヤキに着生している様子(現在)
もともと、植物は海や河川の水の中で生息していましたが、やがて陸へと上がっていったと言われています。そして地上に最初に上がった植物が、いちばん原始的な姿のまま何億年も生き続けてきたような格好をしているのがマツバランなのです。
マツバランは地下茎はありますが、基本、茎だけで、根も葉もない着生植物です。樹上や岩の上に生えることが多いそうですが、本園ではケヤキの株元に自生しています。茎の途中で丸く膨らんでいるのが胞子嚢です。胞子嚢は熟すと黄色くなり、その一部が裂けて、胞子が飛び出して増えていきます。
丸くなっている粒が胞子嚢
一見すると、葉のように見える茎が二つに分かれているのも大きな特徴の1つです。
二股分岐している様子(数年前の写真)
江戸時代には園芸栽培種として大流行し、いろいろな品種が作られたそうです。
こんなに地味なのに、江戸時代から園芸植物として珍重されていたとは意外な気がします。
今では山野の自生は少なく、環境省では準絶滅危惧種(NT)に指定しています。植物園においでの際には,是非見てください。
https://zukunashitosan0420.hatenablog.com/entry/2023/06/30/143728 【マツバランをみつけた】より
万緑やわれまた植物細胞を持ち
日陰を探して、山の農道に車を停めてぼんやりしていたら、脇の石積みに変なものが目に入った。初めて見るもので、花なのか枝なのか何だか全く見当がつかない。まわりはツタや花の終えたテイカカズラなどが繁茂していて、その隙間から顔をのぞかせていた。
帰宅してネットで調べてみると、「マツバラン」の可能性が極めて高い。
「マツバラン」。
古いシダの仲間でマツバラン科。熱帯や亜熱帯に生ずる結構珍しいもので、静岡県では絶滅危惧種Ⅱに指定されている。根も葉もないらしい。
ただしこのマツバランは、江戸時代に大流行した園芸植物でイワヒバと双璧をなすものだったのだという。中尾佐助著「花と木の文化史」では、日本の古典園芸植物として解説されている。古典園芸植物とは、江戸時代に流行し明治以降衰えたもので、オモト、セッコク、フウラン、マンリョウ、変化アサガオ、斑入り植物など様々を挙げている。
そして、高度に品種改良されたものだが、「品種改良の美学が、本能的美学とははなはだしく異なっていて、西洋にはかつて存在しなかった特殊なジャンルをつくっている。その結果・・・西洋人には全く理解力が欠けていて、国際的評価はほとんどゼロと言っていい。」とのこと。
ところが、マツバランは「現生の陸上植物のその全部が、古生マツバラン類から生まれてきている。」(もちろん顕花植物も含め)「陸上植物のすべての、大祖先とみられている」という大変なお方であった。
また現生マツバランは、日本でもまれな存在であるが、日本人はそれを探し出し、園芸化した。天保6年(1835)出版の「松葉蘭譜」には122品種が記述されている。とも書かれている。以上、中尾先生から教えていただいた。
こんなものが、裏山の道路わきにあったとは、調べてみて驚いた。
わが庭にも、オモトやマンリョウ、センリョウ、ヤブコウジなどが自然に生えているが、江戸時代の風景に近いのかもしれない・・・。
https://kiyo3266.seesaa.net/article/493196835.html 【西湘 酒匂川 マツバラン】より
2022年11月4日、酒匂川の川岸の樹に着生するマツバランを見に行った。
以前、箱根の山を歩いた帰りに酒匂川の岸辺を歩いた、そのとき木に着生するスギナによく似た植物のかたまりを見つける、調べてみるとマツバランだと思われた。
以前よりマツバランは神奈川県の西湘で稀に見られるとの情報は知っていたがまだ見た事が無い、一度見たいと思っていた植物である。
マツバランだと11月前後に茎に胞子のうと呼ばれる蕾のようなものをつけるそうなので今回確認のため見に行った。
特徴
常緑性、葉も根もなく、根茎と地上茎からなる。(茎だけの原始的種類で、「マツバラン目マツバラン科マツバラン属マツバラン」、日本に一目一科一属一種だけの特殊植物)
地上茎は緑色で直立し、2叉分岐する。枝には稜がある。胞子嚢群は側枝先につき、熟すると黄色になる。岩、樹幹に着生する。
今回は古木に着生していた
大株一つと小株二つに分かれていた
マツバランは姿から別名ホウキランと呼ばれる
もう少し経過すると胞子のうが黄色く色づくそうだ、そのころもう一度見てみたい。
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