https://kiji-sniper.com/blog/how-to-use-rhetoric/ 【修辞法(レトリック)を超絶わかりやすく解説!表現力アップが実感できる使い方10選【例文あり】】より
ブロガーやコラムニストなどのライターに求められるのは、読み手の心を惹きつける魅力ある文章表現力です。
日本語の基本的な書き方を習得しているのは当然として、そのうえで、いかに魅力的な文章に仕上げていくかで「モノ書き」としての真価が問われます。
その際に役に立つのが、今回解説する「修辞法」。
記事やコラム、エッセイなどに限らず、小説や俳句などにも役立つ表現技法です。
記事の内容や場面に合った修辞法を適切に活用することで、単調な文章が、説得力のある表現豊かな文章にレベルアップできます。
今回は数多くある修辞法の中から、使いやすい10種類の技法を具体例と一緒にお伝えします。
修辞法を使用する際のコツやルール、注意点も解説しているので、最後まで読んで魅力的で読者の心に刺さる執筆にお役立てください。
修辞法(レトリック)とは
「修辞法」は「レトリック」や「修辞技法」とも呼ばれ、日本語の表現を豊かにし、感情や意味を効果的に伝える技術のこと。
言葉の響きやリズムを引き立たせ、読者の心に深い印象を残す効果があり、和歌や短歌などの日本の古典文学においても重要な役割を果たしてきました。
まずは、修辞法には具体的にどういう効果や役割があるのかを見てみましょう。
修辞法による効果と意味
修辞法を使った文章が読み手に与える効果は大きく3つ。
読み手に強く印象づけられる
感情や情景が伝わりやすい
リズムがよく読みやすい文章になる
文章が単調でインパクトがないと悩んでいる方には、修辞法はとても有効で、おすすめの対策方法です。
読み手に強く印象づけられる
修辞法の魅力の一つは、情報だけでなく書き手の思いや意図をわかりやすく伝え、内容を魅力的で記憶に残る文章にできること。
つまり、読み手の感情や想像力を膨らませ、文章をより鮮明に覚えてもらえる効果があるのです。
例えば、単純に「赤ちゃんの頬はとても柔らかい」と書くところを、「赤ちゃんの頬はマシュマロのようだ」と書くとどうでしょう。
これは「比喩表現」という修辞法の一つです。
「マシュマロのよう」と書くことで、文章が印象的になると同時に、読み手は赤ちゃんの頬がどれほど柔らかいのかを具体的にイメージできます。
感情や情景が伝わりやすい
修辞法は、より強い感情や鮮やかな情景を伝える手段としても、文学作品や広告などで時代を問わず用いられてきました。
例えば、「彼女は怒った顔でこちらを見た」という状況だけを伝えるよりも、「彼女は鬼のような表情でこちらを見た」と「比喩表現」で書くほうが、彼女の怒りのレベルや、その場面の情景を鮮明に思い描くことができますね。
また、単に「彼は何度も同じことを繰り返す」と書くところを、「彼は何度も、何度も同じことを繰り返す」とか「彼は何度も同じことを繰り返す。何度もだ」と書くと伝わり方も変わってきます。
これは「反復法」という修辞法で、同じ言葉を反復して強調することで、伝えたいことがより鮮明になる効果があります。
リズムがよく読みやすい文章になる
読みやすく、わかりやすい文章には流れるようなリズムがあります。
例えば、「彼と行った最後の喫茶店。頼んだのは大好きだったコーヒーゼリー。ほろ苦い恋の味がした」
ここで使われているのは、文章が『~喫茶店。』『~コーヒーゼリー。』のように名詞や名詞句で終わる「体言止め」という修辞法。
文章全体が読みやすく、リズミカルな響きがあり、最後の「ほろ苦い味」を強調する効果もあります。
あるいは、「時は金なり、金は力なり」という言い回しは「対句(ついく)」という修辞法で、リズム感のある表現になります。
ライティングで活用したい基本の修辞法
修辞法が文章にどういう効果をもたらすかが分かったところで、いよいよ具体的に修辞法の使い方を紹介しましょう。
まずは修辞法の基本中の基本ともいえる5種類からです。
どれもなじみ深く、使いやすいうえに、効果的なので、ぜひ取り入れてみてください。
比喩
「比喩」は情報をわかりやすく伝えるために、ほかの何かに例えて説明する手法。
読者の共感や理解を深める重要な手法であると同時に、書き手の思いを情感豊かに、かつ正しく伝えることができます。
一般的によく使われる「比喩」には、「直喩(ちょくゆ)」「隠喩(いんゆ)」「換喩(かんゆ)」の3つのパターンがあります。
直諭(ちょくゆ)
わかりやすい具体的な例を用いる比喩表現で、物事の特徴や性質を強調するために使われます。多くの場合、「まるで○○○のようだ」「○○○のような●●●」というスタイルで書かれます。
例文 彼の笑顔は、まるで太陽のように明るい まるで赤ちゃんのようなすべすべ肌
ガラスのように繊細なハート
隠喩(いんゆ)
「直喩」のような直接的でわかりやすい例え話ではなく、例えでありながら、それを明確にせず読者に判断を委ねるのが「隠喩」。「●●●は○○○だ」と断定した書き方で表現されます。
例文 彼女は会社の太陽だ カレーは飲み物だ 目の前が真っ暗だ
シンプルにイメージを伝えられますが、書き手が伝えたいことを読み手も正しく理解しなければいけないため、わかりにくく突拍子もない例えでは伝わりません。
換喩(かんゆ)
物事を比較する際に、そのものの属性や密接な関係にあるもので表現する技法が「換喩」
です。対象物を象徴する特徴的な言葉に置き換えて表すため「換喩」といいます。
例文 永田町の理論 今夜は大好きな鍋を食べに行く やかんが沸いた
擬人法
人間以外のモノや抽象的なモノに対して、人間の特性や感情を持たせるテクニックを「擬人法」といいます。擬人化することで読者は感情移入しやすくなり、暖かみや親近感のある文章を作ることができます。
例文 鳥が歌っている 空が泣いている 眠らない街
擬態法(オノマトペ)
音や声、動作などの自然の音や状況を文字で表現する修辞法が「擬態法(オノマトペ)」。擬態語と呼ばれることもあります。
具体的な音やイメージを読者に伝え、そのシーンを生き生きと臨場感のある文章にする場合に有効です。擬態法は主に「擬態」「擬音」「擬声」の3種類に分類できます。
擬態:モノの状態や様子などを言葉として表現する方法
例文 空が『どんより』曇ってきた 彼女は『テキパキ』と話す
擬音:モノの音を言葉として表す技法 例文 頭が『ガンガン』するお酒を『グビグビ』飲む
擬声:人や動物の声を言葉にする方法 例文 犬が『わんわん』鳴いている
彼が『ゲラゲラ』笑っている
倒置法
「倒置法」は、通常の文法的順序とは異なる語順で文を構成する表現方法です。
主語と述語や目的語を逆の順序で配置することで、伝えたいことを強調したり余韻を持たせて印象的な表現にできます。
例文 通常: 彼は公園で本を読んでいた 倒置法:公園で本を読んでいた彼
例文 通常:きっと彼は勝つよ 倒置法:彼は勝つよ、きっと
体言止め
文章を名詞や名詞句などの「体言」で終える表現が「体言止め」です。通常、文章の締めに使う「です」や「ます」を省略することで文章の印象が強調され、読者の心に深く刻み込まれるのと同時に、文章にリズムを与えたり、余韻を整える効果があります。ただし使い過ぎると効果が薄れるどころか、逆に読みにくくなり読者の気持ちが離れてしまいます。また、ビジネスでのコミュニケーションには適さないので、使わないようにしましょう。
例文 やっと購入できた念願の我が家 ふと思い出す、彼と行ったあのお店
主張を強調する修辞法
ここまで紹介してきた基本の修辞法5種は、主に文章を理解しやすくしたり、リズミカルで読みやすくする効果があります。
ここからは主張したい部分を強調して伝えるのに効果的な修辞法を3種類、紹介しましょう。
列叙法(れつじょほう)
「列叙法」は情報を順番に並べて記述することで、特定の順序や流れを強調したり、情報を整理して伝えるのに役立つ手法。「列叙法」には「列挙法(れっきょほう)」と「漸層法(ぜんそうほう)」があります。
列挙法(れっきょほう)
複数の関連する要素や同じレベルの言葉を並べて示す「列挙法」は、情報を整理して伝えられるのが特長です。多くの場合、文章の最初に要素を列挙して要点を伝えるときに使われます。
例文 新学期の科目には「数学」「科学」「歴史」「英語」が含まれています
文章は「起」「承」「転」「結」で構成すると読みやすくなります
漸層法(ぜんそうほう)
一方、「漸層法」は語句を重ねて、言いたいことを次第に強めていく手法のこと。文章をクライマックスに向けて盛り上げる効果があります。
例文
最初はたった2人の路上ライブだった。観客も10人程度。しかし、諦めずに演奏を続けるうちに観客が50人、100人と増え続け、その様子が地元新聞で取り上げられた。
レコード会社の役員の目に留まり、小さなライブハウスで演奏させてもらった。そして、300人規模、1,000人規模のライブへとつながり、いまでは毎年武道館で1万人規模のコンサートができるようになった。
緩叙法(かんじょほう)
「緩叙法」は直接的な主張を避け、その逆のことを否定する表現方法です。言いたいことを遠まわしに伝えることで、日本人特有の奥ゆかしさを表現することができます。また一方で、あえて反対意見として強く主張する場合にも効果を発揮します。
例文 今日はそれほど寒くないね この代償は決して安くはないぞ
そのほか、緩叙法で使われる表現をいくつか紹介します。
大きい→小さくない 甘い→辛くない 嫌い→好きではない 危険→安全ではない
弱い→強くはない
反語法
言いたいこと、主張したい内容を強調するために、あえて疑問文や逆の意味の言葉で表現する方法を「反語法」といいます。逆の意味の言葉で表現する反語法は、多くの場合、相手に対するイヤミや皮肉の意味で使われます。
疑問文の例文
誰がこれほどの豪雨を予想しただろうか?(→誰も予想できないほどの豪雨だった)
彼以外に問題を解決できる人がいるだろうか?(→彼以外には問題を解決できない)
逆の意味の例文
ピアノの音なんて、まったく気になりませんわ(→とても気になる)
おりこうなお子様でいらっしゃる(→頭の悪い子供ですね)
文章のリズムを整える修辞法
今度は、文章のリズムを整える修辞法を2種類、紹介します。どちらも言葉を繰り返すことで、言いたいことをリズミカルに強調できる表現方法です。文章内の盛り上がるシーンで、適切に用いることで非常に効果的な働きをします。
反復法
同じ言葉やフレーズを繰り返し使用するテクニックです。繰り返すことで内容を強調し、読者の注意を引き、メッセージをより効果的に伝えることができます。また文章にリズムを持たせることもできるので、読み手の心に響く表現としても効果があります。
例文 青い鳥が遠く、遠く飛んでいった 人民の人民による人民のための政治
対句法(ついくほう)
同じ文章内に似たような表現を並べることで、印象を強める効果を発揮するのが「対句法」。
先の「反復法」に似ていますが、反復法では「同じ言葉」を繰り返すのに対して、「対句法」は「同じ文章構成」を繰り返すという違いがあります。
例文 花は咲き 草は茂る 静かな夜、遠くの街灯
この文章では「花」と「草」、「夜」と「街灯」が対になっており、それぞれ異なる行動や状態を表していますね。こうした対照的な内容を持つ言葉が織り交ぜられているため、読者はその対比をより強く感じることができるのです。
修辞法を用いるときの注意点
ここまで、全部で10種類の修辞法を解説してきました。どれも上手に使えば、伝えたいことをわかりやすく表現できるテクニックなので、ぜひ活用してください。
ただし、修辞法全般に言えることですが、使用するにあたって注意すべきポイントが2つあります。修辞法の使い方と一緒に、次の2つの注意点も覚えておいてください。
使いすぎを避ける
文章に彩りを添え、言いたいことを強調したりリズミカルに読みやすくする修辞法ですが、使い過ぎると逆に伝えたいことがぼやけてしまいます。また、文章が不自然になったり、読みにくく読者を混乱させることにつながってしまうことに。
修辞法の目的は、伝えるべき内容をわかりやすく伝えるための技法であって、テクニックを見せびらかすためのものではありません。「策士、策に溺れる」ということにならないためには、いつどこで修辞法を使うかをしっかりと見極める必要があります。
そのためには、日ごろから小説や新聞、エッセイなどを読み、どういう修辞法がどういうタイミングで使われているのかを学んでおくようにしましょう。
修辞法が適さない文章もある
修辞法は豊かな表現で文章を魅力的にする手法なので、ビジネス文書や科学的な論文など客観的な情報を伝える際には適しません。また事実だけを正確に伝える必要があるニュースや情報サイトなどでも修辞法は使わないようにしましょう。
例えば、「今日の太陽は優しく微笑んでいます」という表現はエッセイや自分のブログでは効果的ですが、天気予報やニュース記事での表現には不適切です。
修辞法ってどのくらい種類がある?
今回は使いやすい10種類を紹介しましたが、修辞法にはまだまだたくさんの種類があります。言語学者である瀬戸賢一氏の著書「日本語のレトリック」では約30種類の修辞法が解説されています。
【「日本語のレトリック」で紹介されている修辞法一覧】
隠喩 直喩 擬人法 共感覚法 くびき法 換喩 提喩 誇張法
間所法 曲言法 同語反復法 撞着法 婉曲法 逆言法 修辞的疑問法
挿入法 倒置法 対句法 声喩 漸層法 逆説法 諷喩 反語法
隠喩 パロディ 文体模写法 含意法 挿入法 省略法 黙説法
修辞法はこの30種類以外にもたくさんあるため、果たしてどれぐらいの種類があるかは明確ではありません。
ただし名称は初めて目にする修辞法が多いですが、それぞれの具体例を見ると、その多くが見たことがある表現方法です。
名称や種類をすべて覚える必要はありません。伝わりやすい表現を意識した結果、知らないうちに修辞法を使っていたとなれるように、たくさん文章を書くようにしましょう。
修辞法と表現技法の違い
表現技法は、文章や音楽、絵画などさまざまな表現における工夫や技術のことを指し、その中で文章における表現技法を修辞法といいます。つまり、さまざまな分野における表現技法のうち、文章における表現技法に限定したものが修辞法です。
ただし、表現技法という言葉が指すものが文章だけに限定される、すなわち修辞法と同義で使われることもあります。
「表現技法」と「修辞法」が同じ意味合いで使われる場合、表現技法は文章構造や文体など技術的な側面を含むのに対して、修辞法は強調や説得力など表現力に関する技術のみを指します。表現技法という言葉が出てきたときは、文脈を考慮して意味を捉えましょう。
文章の表現力が上がる便利アイテム
適切な修辞法を使うためには、多くの書物を読んで、多くの文章を書いて身につける必要があります。その際、どういう表現方法があるかを調べるために役立つ、便利なおすすめツールがあるので紹介しておきましょう。
言葉に詰まったときや、もっといい表現がないか、と思ったときに活用してみてください。
きっと役に立つ情報が見つかるはずです。
連想類語辞典(Webサイト)
言葉の意味やニュアンスに応じて類似の意味を持つ類語や同義語、連想語が調べられるオンラインの辞書サイトです。
言葉のバリエーションが非常に豊富なので、特定の単語で検索すれば数多くの連想語が表示され、文章にマッチした言葉を選んで使うことができます。
参考:連想類語辞典
日本語表現インフォ(Webサイト)
「小説・コラム・ブログなど物書きの参考書を目指しています。」としているとおり、日本語の表現に関する言い回しをいろいろと調べられるサイト。
例えば「喜び」という感情表現を調べると、「喜びのレベル」や「喜びの感覚・精神的な反応」「喜びの表情・リアクション」などのカテゴリー別に、さまざまなバリエーションの用例を知ることができます。
参考:日本語表現インフォ
てにをは連想表現辞典(書籍)
日本人作家400人の表現 から22万の文章例をピックアップし、類語・類表現で分類した「書く人」のための辞典です。
一つの文章(あるいは単語)を調べれば、実際にその表現が使われている小説の文章が紹介されています。
さらにその単語の類語も書かれているので、類語を使った表現方法を調べることもでき、次々と発想の輪を広げていくことができる構成。
ただし実際の小説で使われている表現なので、そのまま使うのではなく、その文章を参考にしながら自分でオリジナルの言い回しを考える必要があります。
てにをは辞典(書籍)
先の「てにをは連想表現辞典」は表現方法を知るための参考書ですが、こちらの「てにをは辞典」は、純粋な日本語コロケーション辞典。
コロケーションは単語と単語の結びつきのことで、35,000点の見出しの下に、60万件のコロケーション例が収録されています。
より適切な言葉を調べたいとか、もっと表現を工夫したいというときに役立つ辞典です。
修辞法を駆使して読者を惹きつける文章を書こう
文章表現を豊かで伝わりやすくする「修辞法」について解説してきました。
単調な情報の羅列だけでは伝えきれない書き手の気持ちを、わかりやすく伝えるために、修辞法は非常に効果的な技法です。
しかし使い方を間違えたり、頻繁に使い過ぎると、要領を得ない、回りくどい文章になってしまう諸刃の剣でもあります。
修辞法を正しく使いこなし、表現力を身につけるためには、いい文章をたくさん読み、自分でもたくさんの文章を書くしか道はありません。
読み手の心を惹きつける、魅力的な文章を書くために、今回紹介した各修辞法の使い方をお役立てください。
記事スナイパーはオウンドメディア構築の経験も豊富。
ただ記事を大量生産するだけではなく、マーケティング分析とSEOの知見をかけ合わせ、ターゲットに「刺さる」オウンドメディアの構築をおこないます。
0コメント