「オルガン」

https://organ-haiku.blogspot.com/2014/12/blog-post_30.html 【オルガンについて】より

息をする、と言う。息を、と。でも息と、それをするものとは分けられない。

むしろ、息がする、と言ったほうがいい。息が、するのだ。俳句もまた、そうではないか。

俳句を、するのではなく、俳句が、するのだ。俳句がする、4つのオルガン。

オルガン

田島健一(たじま・けんいち)

1973年東京生れ。「炎環」同人、「豆の木」参加。 句集に『ただならぬぽ』(2017年)

鴇田智哉(ときた・ともや)

1969年木更津生れ。「魚座」「雲」を経て無所属。句集に『こゑふたつ』(2005年)、『凧と円柱』(2014年)、『エレメンツ』(2020年)。

福田若之(ふくだ・わかゆき)

1991年生れ。「群青」。句集に『自生地』(2017年)、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留金からなる一冊の蝶』(2017年)

宮﨑莉々香(みやざき・りりか)

1996年高知生れ。「円錐」「群青」を経て無所属。

宮本佳世乃(みやもと・かよの)

1974年東京生れ。「炎環」「豆の木」。句集に2010年合同句集『きざし』、2012年『鳥飛ぶ仕組み』、『三〇一号室』(2019年)

⚫︎卒業

生駒大祐(いこま・だいすけ)

1987年三重生れ。「天為」同人。「手紙」「クプラス」。


https://www.sakigake.jp/special/2020/haiku/article_02.jsp 【響きと余韻を楽しもう】より

 第1回目(4月6日付)のこのコーナーはいかがでしたでしょうか。私のお示しする添削案は、あくまでも一つの選択肢にすぎません。ぜひ批判的な目でお読みいただきたいと思います。

 今回は前回に引き続き、切字の「や」を用いた添削を試みます。

響きを良くする

オリオンの吹雪を透かす三連星

櫻庭小夏さん(大館鳳鳴高3年)の作。吹雪の上の夜空にオリオンの三つ星が見えた。力強い作品です。これをさらに響きの良い句にするため、切字の「や」を使い、

オリオンや吹雪を透かす三連星

としてはどうでしょうか。「オリオンや」とすると、オリオンの全体像が一度目に浮かびます。さらにそこから三つ星にズームインしてゆく感じです。なお、オリオンと吹雪はともに冬の季語ですが、どちらもこの句にとって必要な言葉です。「季重なり」の問題は生じません。

流れを断ち切る

星飛びて雨に降られたままでいる

千葉優翔さん(秋田大1年)の作。「星飛ぶ」は流れ星。秋の季語です。雨が上がって流れ星が飛んだ。雨に降られて濡れた状態でしばらく夜空を見つめている。叙情的な作品です。「星飛びて」に続いて「雨に降られたままでいる」という叙述の流れがあるわけですが、その流れを断ち切ってみましょう。切字の「や」を使って、

星飛ぶや雨に降られたままでいる

としてはどうでしょうか。「星飛ぶや」とすると「や」の後に時間と空間の余韻がたっぷり生まれます。そのあとに、おもむろに「雨に降られたままでいる」と続きます。

表現を再構成する

つぎに言葉の背景にある情景や作者の意図を考えながら、表現を再構成する、ややハイレベル?な添削を試みます。

祖母の手の細さを知りて目貼剥ぐ

岡田水澪さん(潟上市、会社員22歳)の作。祖母が目貼を剥ぐのであれば「祖母の手のその細きこと目貼剥ぐ」とする案が考えられます。しかし「知りて」とあるので、高齢の祖母の手が細くなったのを知って、孫である作者が祖母に代わって目貼を剥ぐのだと解釈しました。「知りて」を直してみたいと思います。私の添削案は、

細き手の祖母が見てをり目貼剥ぐ

です。目貼を剥いでくれる孫の姿を祖母が見守っている場面を想像しました。作者の意図と合っているかどうか、少し心配です。

短い文に切って考える

眠すぎてミルクに溺れる子猫かな

浦島奈々さん(能代西高3年)の作。子猫が春の季語。眠そうな子猫が皿のミルクに突っ伏している。あるいはミルクに噎(む)せている。子猫の可愛らしい姿を捉えた作です。添削のポイントがいくつかあります。「眠すぎて」の「すぎて」は不要です。「溺れる」はじっさいに溺れるわけでなく、溺れそうだという意味ですね。「ミルクに溺れる」が八音で字余りです。やりくりが難しいときは短い文に切ってみましょう。一つは子猫が眠いということ。もう一つは、ミルクに溺れそうだということ。それをつなぐと「猫の子は眠しミルクに溺れんと」となります。さらに句の仕上がりを元の句に近く、柔らかくしましょう。添削の最終案は、

眠そうな子猫ミルクに溺れそう

です。旧かな表記では「眠さうな子猫ミルクに溺れさう」です。私の添削案が作者のお気に召すとよいのですが…。

さあ、あなたも投稿してみよう!


https://www.kohaneko.tokyo/2020/12/477.html 【477 母音(あいうえお)を意識するだけで、俳句がガラッと変わる】より

俳句では、十七音を声で出して読んだときの、音の響きを大切にすることがあります

音の響きって何?と思うかもしれませんが、難しいことはありません

言葉を組み立てている音の基本、つまり母音の「あいうえお」の響きを大切にするということです

普段何気なく聞いている、母音の「あいうえお」ですが

それぞれの母音には日本人に共通したイメージがあります

そのため、母音の出現頻度が、一句の印象にも大きな影響を与えているのです

ここでは、「あいうえお」のそれぞれが持つイメージを紹介します

そして、「あいうえお」が句に与える影響を、実際の句を見ながら、感じていきたいと思います

まず大まかにですが、母音の「あいうえお」には、次のイメージがあります

「あ」 開く・広がる

「い」 命・積極性

「う」 閉じる・内部の充実

「え」 伸びる

「お」 偉大・重い

これらのイメージは、あ段・い段・う段・え段・お段、それぞれの段に共通したイメージとして現れてきます

「あ」  開く・広がる

あ段の子音「か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」には概ね共通して

「朝、輝く、栄える、高い、晴れる、初風、八雲」などのように開き広がるイメージを読者に与えます

「い」 命・積極性

い段の子音「き・し・ち・に・ひ・み・い・り・ゐ」には概ね共通して

「息、生きる、賑やか、決める、行く、人、水」などのように命の元、積極性のイメージを読者に与えます

「う」 閉じる・内部の充実

う段の子音「く・す・つ・ぬ・ふ・む・ゆ・る・う」には概ね共通して

「包む、組む、沼、含む、群れる、繋ぐ、膨れる」などのように閉じて内部が充実するイメージを読者に与えます

「え」 伸びる

え段の子音「け・せ・て・ね・へ・め・え・れ・ゑ」には概ね共通して

「枝、栄誉、毛、背、手、根、願い、芽」などのように元から伸びていくイメージを読者に与えます

「お」 偉大・重い

お段の子音「こ・そ・と・の・ほ・も・よ・ろ・を」には概ね共通して

「凝る、沿う、止まる、乗る、剛健、王国、長」などのように重いイメージや、偉大で着実なイメージを読者に与えます

このようなイメージは普段は意識しませんが、多くの人が心の中の奥底にあるものです

母音のイメージが俳句にどのようなイメージを与えるのか

芭蕉の句で確認してみましょう

「あ」から始まる句

(開く・広がる)

あかあかと日はつれなくも秋の風

秋風に折れて悲しき桑の杖

あけぼのや白魚白きこと一寸

「い」から始まる句

(命・積極性)

生きながら一つに氷る海鼠かな

いざ共に穂麦喰はん草枕

稲妻や顔のところが薄の穂

「う」から始まる句

(閉じる・内部の充実)

うたがふな潮の花も浦の春

打ち寄りて花入探れ梅椿

梅が香にのつと日の出る山路哉

「え」から始まる句

(伸びる)

枝ぶりの日ごとに変る芙蓉かな

枝もろし緋唐紙破る秋の風

榎の実散る椋の羽音や朝嵐

「お」から始まる句

(偉大・重い)

扇にて酒くむかげや散る桜

落ち来る高久の宿の郭公

思ひ立つ木曽や四月の桜狩り

どうでしょうか、母音のイメージが俳句の中にも感じられるのではないでしょうか

母音を意識して俳句を作る人は沢山いますが、どこで母音を意識するかは、人それぞれのようです

一句の中の最初の文字を意識する人もいます

あかあかと 日はつれなくも 秋の風

ああああお いあうえあうお あいおあえ

全ての単語の最初の文字を意識する人もいます

あかあかと 日はつれなくも 秋の風

ああああお いあうえあうお あいおあえ

一句の中で、一番数の多い母音を意識する人もいます(この句では「あ」が多い)

あかあかと 日はつれなくも 秋の風

ああああお いあうえあうお あいおあえ

このように、母音を意識する場所は、人それぞれなのですが

唯一、俳句の最初の母音だけは、どのケースでも意識されています

それだけ重要な音になり得る、ということです

句作や推敲の際に、母音に注意を払うことで、よりあなたの表現したかった俳句に近づけられるはずです

ぜひ参考にしてみて下さい

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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