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働き疲れぐっすり 眠っている人に 知らせよう
月が光り 星が輝き あなたとあなたの家族とを 温かく守っていることを
病に苦しみ 眠られずにいる人に 知らせよう すべてを 任せきることによって
不思議な力が生まれ 闇が光になることを 坂村真民
Facebook近藤裕子さん投稿記事 山のあなた カール・ブッセ
山のあなたの空遠く 幸(さいわい)すむと人のいふ 噫(ああ)われ人と尋(と)めゆきて
涙さしぐみかへりきぬ 山あなたになほ遠く 幸すむと人のいふ
小学校の頃に覚えた詩は 上田敏訳のこの詩でした。
7歳年上の姉が繰り返し暗唱していたのを リズムの良さで 意味も解らず口ずさんでいたのを思い出します。
空のあなた(むこう) 尋め行きて(探しに行って) 涙さしぐみ(涙ぐみ) 幸いすむと(しあわせが住む理想郷があると)
幸せを求めて遠くに出かけて行っても 幸せが見つかるのではありません。
何処にいても、いつでも 幸せを感じることが出来ることが〈しあわせ〉というものなのでしょう。不思議なことに、今思えば この詩に出会ったことが 私の人生観を決定づけたような気がします。
✜上田敏は 大正時代の評論家、詩人、翻訳家。翻訳のセンスの良さに感心します。
Facebook清水 友邦さん投稿記事
春になるとイーハトーブ(岩手県)ではマグノリア(木蓮)の花が咲きます。
マグノリア(木蓮)の花言葉はLove of nature:「自然への愛」です。
宮沢賢治はマグノリアの木を寂静印(じゃくじょういん)といっています。
仏教の言葉で寂静印(じゃくじょういん)は煩悩の炎が吹き消された悟りの世界のことですが、賢治の言葉で言えば「まことの幸福(ほんたうのしあわせ)」です。
「まことの幸福」の象徴がマグノリアの花です。
物語の主人公は、マグノリアの白い花(まことの幸福)を求めて、厳しい山や谷をいくつもいくつも登ったり下ったり、沓(くつ)の底を踏み抜きながらも、捜し求めます。
ところが、マグノリアの白い花は、いくら捜せど見つかりません。
ついに疲れ果てて、座り込んでしまいました。
ふと、今自分がいままで歩いてきた方向に目をやると、山谷の刻みいちめんにまっ白なマグノリアの木の花が咲いているのでした。
マグノリアの花は、どこか遠い峰々に咲いているのではありません。
歩いてきた道程すべてに、マグノリアの花が咲いていたのです。
煩悩(思い込み)に覆われてマグノリアの花が、見えなかったのです。
主人公は、永遠の幸福(あること・being)を求めて、旅(すること・doing)をします。
しかし、幸せを得ようと努力(すること・doing)を続ける限り、今ここ(あること・being)にいられないのです。
これが探求の道で起きるパラドックスです。
水の中に住んでいる魚が水に気づかないように、いつも、目の前にあるために、かえって「まことの幸福」に気がつかないのです。
マインドというフィルターがかかっているために目の前のマグノリアの花が見えませんでした。疲れ果てて座り込んだときに、思考が落ちてはじめて思考を通さずに見ることができたのです。
どこか遠くに「まことの幸福」があるわけではありません。
歩いているいまここに「まことの幸福」があります。
探して歩いている時 苦しんでいる時 悲しんでいる時も 「まことの幸福」の只中にいたのです。賢治は作品「マグノリアの木」で、覚者の善と言っています。
「そうです、そしてまた私どもの善です。覚者の善は絶対です。それはマグノリアの木にもあらわれ、けわしい峯のつめたい巌にもあらわれ、谷の暗い密林もこの河がずうっと流れて行って氾濫をするあたりの度々の革命や饑饉(ききん)や疫病やみんな覚者の善です。
けれどもここではマグノリアの木が覚者の善でまた私どもの善です」
賢治は天災や疫病や戦争のあらゆる災難も覚者の善と語ります。
すべ ての物事はお互いに無関係ではなくて相互に関係して起きています。
物事の現象は因縁によって起き、お互いが 溶け合ってひとつに繋がっています。
華厳経ではそれを「事事無礙(じじむげ)」といっています。
「ええ、私です。またあなたです。なぜなら私というものもまたあなたが感じているのですからそうです。ありがとう。私です。またあなたです。なぜなら私というものもまた あなたの中にあるのですから」賢治・マグノリアの木
私たちの知覚はマインドによって制限されています。本来の姿から遠く離れた状態で過ごしています。あるがままの世界を分離して見ています。
私たちの本質は永遠の至福(ほんたうのしあわせ)です。
不安や怖れは自我防衛のために、エネルギーの流れを思考で遮っている事によって起きています。絶え間のない私という思いが、今ここから遠ざけて真実を隠してしまうのです。
心の痛みは「まことの幸福」に通じる扉でもあります。
どんな困難な状況にあっても、宇宙を信頼して、絶えず変化していく存在の流れに身を任せることができれば、その出来事全体のプロセスは本当の自分の気づきに導くでしょう。
宮澤賢治 マグノリアの木 - 青空文庫
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